闇動画8(ネタバレあり)

yamidoga8 レビュー

はじめに

「闇動画8」のレビューです。いや~面白かった。そして今回は心霊寄りで、グロ要素はあまりなかったですね。

おつかれさま(怖い)

概要

2chの有名なスレ「お憑かれ様でした」の儀式をグラビアアイドルにさせて、何か怖いことが起こらないか、という番組を制作することに。女の子に儀式の実行を何とか同意させるために、ディレクターとADも一緒にその儀式をやることにした。

会議室みたいなしょぼい部屋でこの儀式を行うが、これと言った事象は起こらなかった。別の女性ADにカメラを持たせ、この後グラビアアイドルと1日同行させて何か起こるか撮影させることにし、念のためADとディレクターもカメラを持って撮影することにしてとりあえず解散。ADの運転でディレクターは帰宅することにした。

ディレクターは練馬の自宅をカーナビにセット、ADが車を走らせる。だがカーナビは全く別の場所に車を誘導してしまう。何度か目的地をセットしなおすが、練馬とは方向の異なる場所に案内され、辿り着いたのはどことも知れぬ墓地であった。

ナビが壊れたのかと、もう一度目的地をセットしても「目的地に近づきました、案内を終了します」を繰り返すばかり。次第に「目的地に近づきました」の合成音声が、高くなったり低くなったりと異常を示すようになる。何か気配を感じたのか、ADの方向にディレクターがカメラを向けると、めっちゃ近くで不気味な女がこっちを睨んでいる。驚いた彼は車から逃げ出してしまう。振り返ると絹を裂くような悲鳴があたりに響き渡り、彼は恐怖に駆られてその場から走り出す。車のブレーキ音と激しい衝撃音で画面はぐるぐる回り、唐突に映像は終わる。

ディレクターは道路に飛び出してしまい、通りかかった車に撥ねられ即死。ADは車の中で心臓マヒで亡くなっていた。グラビアアイドルの方はこれと言った事象は起こらず、同行した女性アシスタントのビデオカメラ映像はなにも記録されていなかったそうである。結局番組はお蔵入りとなった。

感想

この「お憑かれ様でした」ですが、これは2ch(当時)のスレで、文章だけでも結構怖いホラーになってます。実はこの話、スレ主の釣りだった(下のリンクの記事で詳しく検証されています)ようなのですが、「嘘から出た実」よろしく、嘘のつもりだったのにほんとに怪異に見舞われるというのもホラーとして面白いのでアリだと思います。

【都市伝説】お憑かれさまの真相【絶対に実行しないで下さい】 | Theつぶろ
今回は、お憑かれ様という都市伝説の記事です。以前も取り上げましたが、真相が分かったので記事にします。おつかれさま詳しい話は以下の記事をご覧ください。一応、簡単に説明しておきます。 スレに、怖い画像が貼られる 画像を見てしまった人は呪われるか...

このシチュの場合、グラビアアイドルの方に幽霊が現れそうですが、企画したスタッフの方に現れるというのも変則的で面白いと思います。ナビに変な所に連れていかれるというのも、他の心霊投稿ものにあった気がしますが、今はちょっと思い出せません。このパターンも結構怖いですよね。

車に現れる女の霊ですが、その片目はカメラのレンズに触れようかと言う距離で、かなりビックリするはずなのですが、不思議とそれほど怖くありません。それより車の方向にプロデューサーが振り返ったときに発せられる、鋭い悲鳴の方が何倍も怖かったですね。これは幽霊の悲鳴なのか、取り残されたADの悲鳴なのか明確ではないのですが(男でも感極まった悲鳴は高い場合もあるので)、僕は女の悲鳴だと思いました。

さて、これだけでもちょっと怖いのですが、実は「お憑かれさまでした」の儀式の、グラビアアイドルが水を飲み干すシーンで、ドアの明かり窓に女の顔が浮かび上がるのにお気づきでしょうか。エピソード内では全く触れられておらず、「XXXシリーズ」みたいなことしているな、と思いました。

爆光(?)

概要

旅客機の機内から撮影した映像。眼下には雪で白く染まった険しい山々が連なる。上の方から灰色の石造のようなものが落下し、山に激突すると、激しい閃光で画面は真っ白になってしまう。だがその光が晴れると、山々には何かが激突した後も無く、何事も無かったような光景が広がるばかりであった。

感想

なんだろこれ。何か神々しいものが落ちてきたということなんですかね。怖くもなんともありませんが、インパクトは十分で不思議な映像です。

帰り道などない(少し怖い)

概要

某週刊誌の編集者が映像提供者。その編集によく記事を寄せるフリーライターが撮影した映像らしい。そのライターは取材のため集団自殺する集まりに自殺志願者の一人と偽り、参加するふりをして潜入したようで、その際の隠しカメラの映像である。集まりを主催したらしき運転者と志願者と思われる男女2人、そして撮影者の男性の計4人で車に乗り合い、山奥へと向かう。

現地の森に到着して夜を待つことになるが、志願者の女性が地面の石にタロットカードを並べている。撮影者が何をしているのかと問うと、彼女はちゃんと死ねるためのおまじないであると答えた。夜が更けて辺りが真っ暗になると、主催者らしき男性は社内のメンバーに死ぬための薬物を渡す。「これで最後」との合図に従って全員がその薬物を服用するが、取材が目的の撮影者は飲むふりをしてその場をやり過ごし、様子を見る算段である。

しばらく経つと主催者の男性と先程の自殺志願者だったはずの女性の声がする。「もういい?」「どっちから行く?」という、初対面の面々だったはずなのに、まるで示し合わせた様な会話をするではないか。彼らは助手席の男性を担ぎ上げどこかへ行ってしまう。予想外の事態に戸惑う撮影者だが、車を降りて彼らの後を追うことにした。暗闇で隠しカメラが機能しないので持参した暗視カメラに切り替える。

しばらく行った山の中で、あの2人は意識を失った助手席の男に何かしている。彼に覆いかぶさり獣のように食らいついているようにも見える。あっけにとられた撮影者はここで不覚にも物音を立ててしまい、2人に気づかれてしまう。暗闇に爛爛と光る4つの目。走って逃げ出す撮影者。だが持参した筈の懐中電灯が見当たらない。暗視カメラの映像を頼りに森の中を徘徊する撮影者だが道に迷い、いずれ彼らが戻ってくるであろうここまで来た車の場所に舞い戻ってしまう。

撮影者は当てもなく森の中を彷徨うが幾度となく車の場所に戻ってきてしまう。疲れ果てた彼は意を決して彼らが助手席の男に食らいついていた場所に行ってみる。そこには横たわる上半身裸の男。その体には何者かが嚙みついたような2つ一組の傷がいくつも付いていた。それはまるで吸血鬼に噛みつかれた後のようである。

そして口が血だらけのあの2人組が姿を現し、その中の女性が撮影者に襲い掛かる。その口には牙のようなものが見受けられる。意識を失ったのか、あるいはもう亡くなってしまったのか、撮影者の男性は静かになってしまう。そしてあの二人に運ばれ、車のトランクに放り込まれた所で映像は終わる。

このライターは行方不明。映像は架空の差出人により、編集部に送られてきた。

感想

はい、吸血鬼です。現代の吸血鬼は人間社会への影響を最小限にするためこのような手段を取っているのですね。被害者もどうせ死ぬつもりだったんだからええやろって感じですかね、ある意味合理的かもしれません…て、んなわけないか。

あれですね、彼らは人間の生き血でないと食料にならないんですかね。だから被害者を眠らせる必要があったのでしょうか。そうでなければ葬儀屋になればいいんですからね。

それはともかく、何度方向を変えて歩いても、元の位置に戻ってきてしまうというのは、古典的ですが、怖いですね。女性の志願者(のふりをした女吸血鬼)のタロットカードのおまじないは、万が一逃げられないようにするための結界のようなものだったのでしょう。

でも隠しカメラにしてはいい絵を押さえているな、と思いました。

牢獄(少し怖い)

概要

昔牢獄として使われていたという東南アジアの洞窟の入り口の岩肌に顔があった。

感想

はっきりバッチリ人の顔です。最初は鼻筋と口元だけでしたが、次のカットで目頭がバッチリ写って存在感が増し増しになります。ちょっとイケメンで印象に残る顔です。周りの岩肌と異なり、明るい色合いなので合成感が丸出しですが、印象的な顔立ちが記憶に残ってしまい、なんだかちょっと怖くなってきました。

邪教(怖い)

概要

曰く付きの廃墟ホテルに肝試しに訪れた男2人と女1人の若者たち。

廃墟内でキャーキャー楽しむ彼らだが、とある部屋に不気味な物を発見する。それは首なしの仏像の脇に、頭部を切断された犬の死骸が吊るされているというもので、息をのんだ彼らは恐怖からそそくさと撤退することにした。廃墟から出た後、撮影者の男性が敷地内に先程と同じような首なしの仏像を発見する。

残る2人に声をかけようと彼らを追いかける撮影者は、2人の他にもう一人の人物を見かける。何やら親しげに彼らと会話している謎の人物は、撮影者自身に見えた。あっけにとられていると3人は車を出して廃墟から立ち去ってしまい、撮影者は不気味な廃墟に置き去りにされた格好になってしまった。

その場で頭を抱えた撮影者だが、背後から自分を呼ぶ声が聞こえる。今、車で去って行ってしまったと思った友人二人が廃墟の2階にいるようで、こちらに来るように呼び掛けてくる。だがシルエットになってよくわからない。こちらから呼び掛けても彼らは何も答えない。仕方なく撮影者は2階に上がると、彼を呼ぶ女性の声がする。友人の女性が部屋から顔を出し、「ゴウに戻るから早く来なって」呼びかける。彼女が顔を出した部屋に入ると、それはあの仏像が置かれている部屋だった。だが首なしだった筈の仏像には山羊の頭が乗っていた。

どこからともなく、再び彼女の「来い」という呼びかけが聞こえるが、どこにも誰もいない。彼は開け放たれた窓の曇りガラスに不気味な女の顔を認め、半狂乱でその場を逃げ出したところで映像は終わっていた。逃げだすシーンではお経のような呪文を唱える男の声が聞こえる。

この撮影者は森の中で手のひらの皮が剥がれ、それを合わせて合掌したような状態で発見され、今も入院状態。精神を病んでしまい、時折「ゴウに連れ戻される」と怯えるようになってしまった。残る2人は帰り道に自動車事故で即死してしまったそうである。

感想

山羊の頭はキリスト教徒が想像する異教の神、「バフォメット」を連想させますね。ミスマッチが異様でかなり不気味です。と、知ったふうなことを書いていますが、「バフォメット」の出典はWikipediaです(笑)。まあ黒ミサを描いた作品によく出てくる、くらいの認識しかありません。キリスト教から見れば当然、仏教から見ても異教であることは確かで、これがサブタイトルの元ネタでしょう(それにしてもイッヌを生贄するとは許せん)。

自分そっくりの人物が現れて、友人と親しげにしている光景は衝撃でしょうね。そればかりか置き去りされてしまったわけで、ちょっと洒落にならない状況がよく伝わります。撮影者に共感して視聴者も怖くなりますね。あの自分そっくりな何者かは、彼らを死に誘う存在だったのでしょうか。

で、ちょっとした絶望から希望の光の背後からの友人の声。「置き去りにされたわけじゃなかったんだぁ」、と安心したいところですが、あからさまにおかしい。絶対罠ですよねこれ(笑)。とは思っても、やっぱり誘われて行ってしまう気持ちはわかります。ここを踏ん張って廃墟から徒歩で脱出する、という選択ができるかどうかが分かれ目ですが、友人の声がしたら難しいかもしれませんね。

西洋の異教の神である山羊の頭なのに、曇りガラスの向こうに女の顔を見て逃げ出すシーンでは、何故か読経のような声が聞こえます。この声が結構怖いんですが、廃墟の施設内でもう一つの首なし仏像を発見するシーンでも聞こえていました。気のせいかもしれませんが、前々エピソードの「帰り道などない」で、女吸血鬼がタロットカードを置いたシーンでも、彼女が唱えていたような気がします。

さて、この廃墟ですが、ここは「ほんとにあった!呪いのビデオ15」のエピソード「責任」の舞台、「山中湖高原ホテル跡」ではないですか。ピンと来たのは「人生楽あり谷間アリ」の落書きです(笑)。このエピソード内では登場しませんが、この他にも「イカがイカった」「ふとんがふっとんだ」等のダジャレ落書きがあり、極めつけは「カレンダーの前でカレーを食うとカレンダー(辛えんだぁ)」です(笑)。「責任」は前編後編がYoutubeでフル公開されているので、ダジャレ落書きもここで確認することができますよ。

ここは現在「山伏スタジオ」と言う看板があって管理者がいるらしく、エピソード内で若者たちが開けてしまうゲートに連絡先が記されているらしいです。敷地内には旧山伏トンネルの入り口がありますが、このゲートで封鎖されているので、許可を得ないと廃墟共々見ることはできません。逆に言えばきちんと許可を得れば、廃墟スタジオとして利用できるのかもしれませんね。つまり、まあ、フェイクと言うことになるのでしょう。

でも全体的にストーリーが練り込まれていて面白かったし、結構怖かったです。好きなエピソードですね。

2022年5月6日追記
ここは「ほんとにあった!呪いのビデオ15」のエピソード「責任」の舞台…のそれぞれのリンクに誤りがあったので修正しました。

2022年5月6日さらに追記
友人の女性のセリフ「ゴウに戻るから早く来なって」を「ここに戻るから早く来なって」と誤って認識しておりました。修正済みです。

感想まとめ

毎度ながら恐怖を盛り上げるストーリーが秀逸で面白いです。ちょっと映像が嘘くさい(それでも初期に比べれば洗練されてきている)ので、それが気になる人には向かないかもしれませんが、ストーリーや状況に没頭すればかなりの怖さが味わえると思います。

「おつかれさま」「邪教」が良かったですね。次回も期待します。

コメント

  1. antonescu より:

    更新お疲れ様です。
    闇動画は、久しぶりに見ると面白いですね。
    グロ路線に行くと血の出方とかいろいろボロが出て突っ込みたくなってくるんで、こういう心霊系の方が純粋に楽しめますね。

    「邪教」の廃墟がほん呪に出てたと聞いて、15を見返してきましたが、壁に同じクッソ寒いダジャレがほんとにありました。ほんとにみんなよく見つけるなぁ・・・( ゚Д゚;)ゞ
    あと、女のセリフですが、たぶん話の流れからすると「ここに戻る」ではなく、「ゴウに戻る」ではないでしょうか。音声が不明瞭なのでどっちとも言えませんが。

    これからも頑張ってください。

    • itton より:

      antonescuさんこんばんは。

      >「ゴウに戻る」ではないでしょうか…

      ああ、なるほど!
      すみません、今深夜なんで明日確認しますね(笑)。

    • itton より:

      antonescuさん

      深夜だけど見ちゃいました。確かに「ここに戻る」ではなく「ゴウに戻る」と言ってますね。ご指摘ありがとうございます。修正しておきました。

      >こういう心霊系の方が純粋に楽しめますね…

      そうですね。だから「心霊闇動画」シリーズが別にリリースされたのかもしれませんね。

      >ほんとにみんなよく見つけるなぁ…

      これに関してはダジャレ落書きが妙に印象に残っていたので。「XXX」シリーズなんて、皆さんの観察眼凄まじいです。おかげで楽しませてもらっています。

  2. fd より:

    ちなみにほんとどうでもいいですが、エピソード『帰り道などない』のミニバンはトヨタエスティマ(3代目)『お疲れ様です』はトヨタウィッシュ(2代目)『邪教』はニッサンステージア(2代目)ですね。ハイ車豆知識です。どうしても車が主体のエピソードを見るとついつい車の知識をひけらかしちゃいます。すみません(_ _)

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