闇動画7(ネタバレあり)

yamidoga7 レビュー

はじめに

「闇動画7」のレビューです。今回は怖さもグロさも前回と比べてちょっと控えめです。

不在の視線、非在の視点(怖くはないが)

概要

映像提供者のバイク便仲間だった、上田さんの話である。彼がよく依頼される届け先の会社は、翻訳を手掛けているようだったが、かなり奇妙だった。マンション一室のその会社は、社員は一切顔を出さず、玄関先に荷物を置き、備え付けの印鑑を押して帰るように声がするだけ。そればかりか玄関の奥にはカメラが設置され、何やら撮影されているようなのである。

最初は気味悪がっていたものの、次第に慣れていったある日、届け先の会社が珍しく不在らしく応答がなかった。だが玄関に鍵がかかっていないため、上田さんは声をかけつつ部屋に入ってしまう。中には誰もおらず、いつものビデオカメラも設置されていなかった。ただ床に手書きの書置きとDVDが置いてあり、そこには「必ず見てください」と書かれていた。上田さんは自分宛なのか確証がなかったが、気になって持ち帰り、そのDVDの中身を見てしまう。

そこには配達に来た上田さんの姿が何回も記録されており、自分の体から別の自分が分裂してカメラに向かって歩いてきたり、頭が歪んだり、触手のような黒い影が写ったり、ノイズと共に首が無くなってしまったりといった、怪現象が写り込んでいた。彼がDVDを持ち得ったその日から、その会社への配達の依頼はぱったりと止んでしまったそうである。

映像提供者は、上田さんといっさい連絡が取れなくなってしまった。

感想

映像的には特に怖くはありませんが、上田さんが経験した不思議で不気味な様子が伝わってきますね。

いったい何が目的で撮影していたのか、姿を現さない部屋の主は何者なのか、何が目的なのか、結局上田さんに何が起こったのか、なぜ失踪してしまったのか、そもそもバイク便の送り主は何者なのか、いろいろと一切不明で、腑に落ちない点が不気味です。

赤い乗客(少し怖い)

概要

若いカップルが電車の中で撮影した映像。電車が長いトンネルに入ると、彼女さんの座席の後ろに全身真っ赤な人が立っている。

スタッフは映像を調べて、駅に入るときにホームにも赤い人がいたことを発見する。

感想

ほんの一瞬しか写りませんが、真っ赤っ赤で気持ち悪いです。ただスタッフが発見したという、ホームの赤い乗客は背が低く、ちょっと雰囲気が異なります。ホームの先端付近にいて、撮影者たちの車両とはかなり離れているので、ほんとに同じ霊なの?とも思いました。

今まで幕間のショートエピソードはしょぼいのが多かったのですが、これは少しインパクトがありましたね。

赤い人が現れる前に停車する駅は東海道線の湯河原駅で、彼らは上り電車に乗っていることが判明しました。この映像が撮られたときにはまだ分譲中だった、ホームから見えるリゾートマンションですが。僕が調べた時には一室売りに出されてました。でもすぐに売れてしまったようです。3,000万くらいだったかな(たけぇ)。

超越と俗悪の関係(ちょいグロ)

概要

映像提供者はテレビ制作会社の社長。あるスーパーで万引きGメンに密着したドキュメンタリーの撮影である。万引きした女を捕まえて、店長やGメンが強い態度で詰問するが、女は何も答えない。店長が警察を呼ぼうとすると、女は彼を指さし、手で空中に文字を描くようなしぐさを見せる。

すると店長は女が万引きした包丁の包装を解き、いきなり万引きGメンの女性を刺して、重傷を負わせてしまう。そればかりか、彼は包丁を自らの首に深々と刺して自殺してしまった。別の定点カメラが悠々と事務所を出る女を捉えていたが、彼女がカメラに視線を向けると映像にノイズが走り、どことも知れない神社の鳥居の場面に切り替わってしまう。その鳥居近くで高笑いをしているような女が写り込んでいた。

感想

今回も理不尽と言うかご無体と言うか、何と言ったらよいかわからないエピソードです。

悪霊の力なのか、神社の力なのか何だかわからない大いなる力を持った女性が、たまたま万引きしたところ、間の悪いことに万引きGメン密着ドキュメントの取材に出くわしてしまった、ということなのでしょうか。そんな力持っているなら、そもそも万引きなんてする必要なんかなくね?と思いましたね。

鳥居の前で高笑いする女の姿はかなり不気味ですけど、「訳がわからない」と言うのが正直な気持ちです。

盗視者(怖くない)

概要

生まれたばかりの赤ちゃんを親戚らしきおばちゃんたちが見ている。背後の人の目みたいな奇妙な模様の襖の一つにほんとに目が写り、瞬きした。

感想

襖の変な模様に目が写るといった、ほんとに概要通りの映像です。なんか前々巻にも似たようなエピソードがありましたね(マグロのやつ)。

魔の領域(少し怖い)

概要

地方のテレビ局が撮影したもので、その時のカメラマンが映像提供者である。

女の幽霊が出ると噂の山中の神社に取材に行くことになり、ディレクター、AD、そして映像提供者のカメラマンの男3人、そしてレポーター役の女性の計4人でロケに向かう。クルーはレポーターの女性を怖がらせようといろいろな仕込みをするが、仕込みとは異なる怪現象が起こったり、ディレクターが妙な指示を出したり、気がついたらカメラさん一人になってしまう。

やっと見つけたリポーターは森の奥に見えたかと思ったら消えてしまったり、神社の社殿床下でADが首を吊ってたり、その奥から女が顔を出していたり、ディレクターはブツブツ言いながら同じとこぐるぐる回ってるし、「こりゃあかん」とカメラさんは逃げ出して山を下りたら、駐車場にいなくなったはずの仲間がいて、「何してんの?帰るぞ」とか言われてしまい、映像はここで終わっている。

こいつらほんとは異世界の何かと入れ替わってるんじゃね、と言う感じの違和感を覚えたカメラさんは、怖くて今の現象を深く追及する気になれなかった。カメラ回しっぱなしで体験したことは記録されているはずなのに、放送自体はつつがなく行われた。奇妙なことに特に問題のない心霊スポット取材映像だったという。

カメラさんは、テレビ局を退職するのを機にあの時のテープを探すと、なんと自分が経験したおかしな映像がまるまる残っており、これが今回提供された映像である。逆に放送に使われたはずの編集済みテープは何処にもなかったという。

あの時のスタッフの3人はあの神社の取材から半年も経たずに局をやめてしまっていた。

感想

狐か狸に騙されたような奇妙な違和感。それが同じ場所に行きついてしまう程度なら不思議なこともあるもんだ、で済みますが、今まで仲間だった人間の存在にまで降りかかるととなると、心穏やかではいられないでしょうね。

また、本当は俺がおかしいんじゃないかと感じてしまい、虚構なんだか現実なんだかわからない不気味さが、このエピソードの肝なのでしょう。でも映像を見つけてしまっておかしいのは俺じゃなかったのだ、と判明した時の恐怖は想像に難くないと思いました。首を吊ったADの後ろに出てきた女が、この心霊スポットに出没すると言われている女の幽霊なのですかね。

ただ、このカメラマンさんの立場だったら怖いだろうなあと想像はできますが、直接的な怖さは控えめなので、かなり地味なエピソードと感じる人が多いとおもいます。

感想まとめ

幕間の小エピソードがしょぼいと苦言を呈してきましたが、今回はその一つが少し良くなってきました。「赤い乗客」はそれなりに印象に残るエピソードでした。

メインの3本はそれぞれ訳の分からない不思議な感じがテーマだったようで、それなりに興味深かったですね。面白いのですけどやっぱりちょっと地味です。

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