はじめに
「呪われた心霊動画XXX_ZERO 6」のレビューです。配信ですが「ZERO5」の配信開始がなんと10月14日と2ヶ月近く遅れたのに、今回は当日開始と爆早でした。基準がわからん(笑)。
いつもの通り以下のレビューはネタバレ満載ですので、本タイトルを未見の方はご注意願います。
27 ライブカメラ・マニアックス2 2つの映像(怖い?)
概要
「ZERO3」に登場した監視カメラマニアの滝本康二さんが、再び登場する。投稿が遅れたことを恐縮しながらも、彼は再び秘蔵の映像を提供してくれた。その映像は、一見なんということもない橋の上の様子を映したものだったが、よく見ると画面の片隅に異様なものが映り込んでいる。
そればかりか、滝本さんは異常なまでの執念で、この場所を別の角度から撮影した監視カメラを探し出し、あらゆるツテと経済力を駆使して、その映像を入手することに成功する。
そして、驚くべき真相が明らかになる――。
感想(ネタバレ)
橋の上の映像では、柵の下から女性の顔が「にゅーっ」と出てくるんです。
これだけなら、よくあるタイプの映像なんですが――まさかの、橋の下の映像まで瀧本さんは入手しているんですよ(都合が良すぎるきらいもありますが)。
その橋の下は、車や人が行き交うガード下なんですけど、そこに左から若い女性らしき人物が歩いてきて、橋の真下あたりでぴたりと立ち止まるんです。
そして、人も車も途絶えたその瞬間――なんと! 首だけがすーっと上に上がっていくんです。
まるでドローンみたいに、垂直にすうっと上昇していくその様子は、もしお酒でも入っていたら吹き出してしまうくらいのシュールさに満ちています。
てっきり体ごと浮かび上がるのかと思っていたので、思わず「そう来るか!」と驚きました。
インパクト抜群ですね。見ようによっては怖いのかもしれませんが、私はつい笑ってしまいました。
28 赤い丸(ちょっと怖い)
概要
チームXXXには、5年ほど前のある時期、差出人不明の多数の写真が送られてきていた。
それらは一見なんということもない写真ばかりだったが、「こんな場所、いちいち撮るか?」と思わず首をかしげるような内容だった。そして何よりの特徴は、すべての写真にいくつかの赤い丸印が記されていたことだ。
一見すると心霊写真のような雰囲気を漂わせていたが、赤丸の中に特別なものが写っているわけではない。意味が分からず、写真はそのまま倉庫にしまい込まれていた。
ところが今回、ある投稿映像をきっかけに数年ぶりに確認してみると、写真の裏面にいつの間にか染みのようなものが浮かび上がっており、それが人の顔のようにも見えるのだ。
しかもその染みは、表に描かれた赤丸の位置とぴたりと一致していた。
そして今回投稿された映像にも、いくつかの赤丸が映像上に重ねられている。
通りに面したカフェの窓際で、パソコンを開いてその映像を確認していたスタッフは、ふと、外を行き交う人々が自分に視線を向けていることに気づく――。
感想(ネタバレ)
つまりどういうことかというと――
写真の裏に不気味な顔が浮かび上がったように、この映像(投稿者は写真と同一人物だとXXXスタッフは睨んでいます)を見ていたパソコンの裏にも、何かが浮かび上がっていたのではないか、ということなんです。
そして、「これを見ているあなたのTVやディスプレイの裏にも、何か浮かび上がるかもしれませんよぉ」的なテロップで、恐怖を身近に感じさせる……前巻から続くあの“小憎らしい演出”です(笑)。
で、その映像は、例の脅し文句とともに3秒のカウントダウンの後に紹介されるんですが――当然のごとく、何も浮かび上がりません。もっとも、僕が見ていたTVもディスプレイも筐体が黒なので、仮に浮かび上がっていたとしても気づけなかったかもしれませんけどね。
ただ、何の変哲もない風景映像の最後で、思わず「くそ、やられた」と声が出るくらいには驚きました。
29 4本の音声テープ(少し怖い)
概要
投稿者の女性・森希実さんは、生前ルポライターだった叔父の資料を、依頼を受けて探していた。
その過程で、当初の目的とは無関係な、奇妙な取材録音テープを発見する。
それは、若い女性(イシオカカズミ)への音声インタビューで、どうやら飛行機事故の数少ない生存者のひとりであるらしい。しかし、過去の事件を調べても該当する飛行機事故は存在せず、その内容はにわかには信じがたいものだった。
テープは全部で4本あったが、叔父自身の声で記録された日付やナンバリングから、他にもインタビューが存在していた形跡があり、一部が欠けているようだった。
そして、最後と思われるインタビューには、実に奇妙な現象が記録されていた。
叔父はその直後に自殺したというが、父の話では、それまでまったく兆候はなかったという――。
感想(ネタバレ)
内容はですね、飛行機の乗客が一人ずつ狂っていく、というものなんです。
ゾンビ映画みたいに次々と感染していくわけではなく、暴れ出した一人の乗客を取り押さえると、今度は別の乗客が突然おかしくなる――そんなふうに、まるで“何か”が順番に乗り移っていくような話なんです。
隣に座っていた「イシオカカズミ」さんの母親も突然狂い出し、パニックになった別の乗客に撲殺されてしまったそうです。その壮絶な体験からPTSDを患った彼女へのインタビューは、ところどころ途切れてインタビューは何回にも及びます。その中で彼女は「早回しのようなノイズと、おかしなアナウンスが流れていた」とも語っていました。
そして、なんとか聞き取りを終え、これを本にまとめるという話が出たところで、彼女の様子が急におかしくなります。そして、あの「早回しのようなノイズとおかしなアナウンス」が実際に流れ始めるんです。しかも、しだいにその言葉が何を言っているのか、はっきりと聞き取れるようになっていく――。
これはぜひ本編をご覧ください(いや、この場合は“お聞きください”ですかね)。
音声だけの映像なんですが、なかなか怖いです。
おそらくは、得体の知れない「何か」がこの飛行機に取り憑き、墜落へと導いたのでしょう。
そして、その「何か」は強大な力で、この事故そのものを世に出すことを拒んでいる――。
出版の話が出たことで、その力が再び発動してしまったのかもしれませんね。
30 カラオケビデオ(少し怖い)
概要
投稿者の浅妻七海さんは、年の離れた友人である初老の女性・藤浪佳乃子さんの、突然の死に直面する。独身で身寄りのなかった佳乃子さんの遺品整理を任された七海さんは、押し入れの奥から、佳乃子さんの趣味だったカラオケのVHSテープの束を見つけた。
その中に、ガムテープで厳重にぐるぐる巻きにされ、「2025年2月14日」と日付が書かれた、異様な一本があった。
テープの内容は、ラベルに記されたものとは異なり、元のカラオケ映像にノイズが重ねられたような、激しく乱れた映像だった。そこに断片的に映る女性の顔は生気を失っており、まるで死体のようだったという。それは七海さん自身の証言によるものだが、映像を見るとその言葉を疑えないほど不気味なものだった。
もとはカラオケ映像のようなのだが、画面上に重ねられた歌詞や、かすかに聞こえるメロディからも、該当する曲を特定することはできなかった。
その後、七海さんとは一通のメールを最後に、連絡が途絶える。
そのメールに記されていたのは――。
感想(ネタバレ)
映像は「そこまで怖くはありません」と言いたいところなんですが……正直、けっこう怖くて不気味です。なんか、あまり何回も見たくはないですね。おかしいなあ、そんなに怖いはずじゃないのに。
やっぱり、ちょっと歪んだ顔とか、ノイズの入り具合とか―そういう微妙な“崩れ方”が、見る人の心をざわつかせるんでしょうね。「ほん呪」や「Q」でもそうなんですけど、心霊ドキュメンタリー界隈の方々って、そのあたりの“怖さの匙加減”を本当によくわかってるなあと、最近つくづく感じます。
そして、さらに怖かったのが七海さんから届いたメールです。
たった一文だけ、「2049年3月4日」。
これは、藤浪さんのテープと同じように、七海さんが亡くなる日付、なんでしょうか。
31 私も乗る予定だった(少し怖い)
概要
交通機関の大きな事故のあと、よく語られる談として「虫の知らせでその便に乗らなかった」という話がある。だが、そうした言い方は被害者に対して大変失礼だ――そう開口一番に語るのが、今回の投稿者・海沼勇人さんである。
しかし彼の場合は逆らしい。「そういう予感があったときは、あえて乗るんです(は?)」と真顔で語る勇人さん。話を聞くと、もともと乗る予定がない便でも、予感を感じたら“運命の歯車を狂わせるため”にあえて乗るのだという。
今回の映像は、そのとき記録したものらしい(毎回そんなことをしているわけではなく、今回は“人助け”のために機会があったとかなんとか)。しかも彼いわく、その映像を撮ることで“効果を補強”したつもりらしい。
件の便は特急電車だったそうだが、彼は自分のこの行為によって「68人の命を救った」と主張する(ちなみに大学は数学科らしいw)。だが、68人が死ぬ“運命”そのものはどこかで帳尻を合わせねばならず、「だからこの映像を見た人の中から68人が死ぬ」とのこと。
……つまり、「XXX民が観て死ぬのは自己責任」なのだそうだ。
10秒のカウントダウンののち、警告文とともに問題の映像が紹介される。
感想(ネタバレ)
「そういう予感があったとき、何もしないやつは許せない」とか――いやほんと、何言ってるんだこいつ、と思いました(笑)。
しかも、「68人が死ぬ運命そのものは、どこかで帳尻を合わせねばならない」みたいなこと言い出したときには、心の中で「ファイナル・デスティネーションかよ」とツッコミを入れました。そしたら直後に、海沼さんが「ファイナル・デスティネーションって知ってますか?」って言い出して、思わずずっこけました。
正直、海沼さんのキャラにはちょっとイラッとしましたが、「こいつ変だな……」という感じがよく出ていて、作品としてはそこが妙にリアルでしたね。
映像自体は、電車の車内から外を撮っているだけなんですが、最後のほうで苦しんでいるような顔が、何人分も浮かび上がり、そこそこ怖い表情で、ぞっとしました。
この「お前にも怪異が訪れるかもね」的な演出。前回、評判が良かったのかもしれませんね。あまり続くと食傷気味になりそうですが、今のところは嫌いじゃありません。
ところで、この特急電車はおそらく総武線です。進行方向の右側に緩行線が走っているので、千葉方面に向かっているはず。区間的には両国〜千葉間のどこかでしょう。車両は特急「さざなみ」あたりのE257系500番台だと思いますが、「8:08発」って列車は存在しないようです。
感想まとめ
今回も面白かったです。ただ、ちょっと小粒な印象でしたね。ボリュームもちょっとだけ少なめで、「あれ?もう終わり?」と感じてしまいました。
それでも、エピソード自体はどれも興味深かったです。
特に、まさかの音声だけの「4本の音声テープ」には驚きましたが、静かな恐怖がじわじわ伝わってきました。最初の監視カメラ回を除けば、どの話も“どうにもならない運命”というテーマが共通しているように思います。
それから、この巻はこれまでのエピソードとの関連性がまったく感じられませんでした。
これは少し珍しいことですが、映像や音声のどこかに、僕が気づいていない伏線が隠されているのかもしれません。
次はどんな展開になるのか、楽しみです。
では。
コメント
投稿お疲れ様です!
今回も面白かったですが、比較対象があの面白かった前巻なのが相手が悪い感じがしました。
映像同士のつながりという点では、「赤い丸」の映像の最後に登場した女性がイシオカカズミさんなのでしょうか?
もしかしたら「赤い丸」の映像の山に飛行機が墜落したのかもと思いました。
あとは「カラオケビデオ」の映像の最後に緑のノイズが出たのが「赤い丸」の映像を連想しました。
また、「カラオケビデオ」の藤波さんとイシオカカズミさんがおそらくほぼ同年代なのも気になりました。
それと「赤い丸」の写真に浮かんでいた顔と、最後の警告映像の顔には何か関係があるのでしょうか?
関係ないとは思いますが、「赤い丸」の映像からなんとなくダラを連想しました。
恐怖度でいえば、「カラオケビデオ」の警告映像は心霊現象は何も起きていないのにXXX十八番のノイズまみれの不気味な映像で怖かったです。
「私も乗る予定だった」は前巻の「タイパ」と同じ投稿者が怖いパターンでしたねw
長文失礼しました。