はじめに
「心霊盂蘭盆8」のレビューです。「心霊盂蘭盆」のレビューはほぼ1年ぶりとなります。興味がなかったわけではなく単に忙しかったからです、すみません。
今回はタイトルに「劇場版」を冠しており当時人気が出てきたことが伺えますね。このタイトルはAmazon Primeで見放題とはなっておらず、DVDを取り寄せました。
怨念授(ちょっと怖い)
概要
投稿者へのインタビューの前にディレクターの松本の咳が酷くなってしまい、インタビューの継続ができなくなってしまう。その後はアシスタントの舞城モアサが務めることになる。
投稿者は若い男性の佐倉彰さん。当時新婚だった佐倉さんは最近妊娠した妻・志津子さんを連れ立って妻の実家近所の神社に安産祈願に訪れる。山間の神社はのどかな風景が広がっているが、訪れる人の姿もなく彼ら以外には人っ子ひとりいない。
お参りを済ませ帰途につく2人だが、志津子さんはさっきまで持っていたスマホ(iPhone)を紛失してしまう。たまたま持っていたiPadの「探す」アプリでスマホの位置を検索すると先程の神社の階段付近だ。サウンドをオンにして音を頼りにあたりを見回すと、志津子さんの背後に恐ろしいものが映り込み、その後…。
感想(ネタバレ)
志津子さんの背後から、腕を回している血だらけの女の姿が一瞬映り込みます。直後、彼女は苦しみ倒れ込んでしまいます。顔は赤い斑点で覆われ爛れたようになってしまっています。慌てて病院に担ぎ込んだそうですが、診察時には治ってしまい原因不明。
ですが、不幸にも後の羊水検査ではお腹の子に障害(ダウン症)があることが判り、やむなく堕ろす事になってしまったようです。どうも堕胎は旦那さんの意向らしく、奥さんは生みたがっていたようです。それが原因か志津子さんは精神を病み「ステラの娘」という謎の宗教団体に入れ込み、そこに入り浸って帰ってこなくなります。友人の協力で、その団体から志津子さんを連れ戻すことには成功するのですが、しばらくして彼女は自ら命を絶ってしまったそうです。
この神社は水子供養で有名でしたが、階段で妊娠した女性が転び流産、そのショックで自殺するという事件が発生、それ以来この女性の怨霊が出るという噂がたち、この神社は寂れてしまったという事が判明します。
ネタバレ概要が長くなってしまいました。ここから感想です。
相変わらずの派手派手のインパクト幽霊が序盤から冴え渡りますね。派手すぎて怖さが半減と言いたいところですが、タイミングが良くちょっとぎょっとさせます。
iOSの「探す」アプリの機能を駆使して無くしたiPhoneを探すシーンは面白かったですが、ストーリーとは関係なく、特に伏線にもなっていません。ただし、無くしたデバイスの音を鳴らせるのですが、その機械的で無機質なアラーム音が、恐怖を盛り上げるのに一役買っていたと思いました。因みに私は自宅でiPhoneの在り処がわからなくなってしまった際に、この機能をよく使います(笑)。
呪厄の感染(少し怖い)
概要
投稿者はサラリーマン風の三上雅彦さん。結婚後子供が生まれたばかりの頃、雅彦さん妻・沙織さんは越してきた団地のママ友グループの一人、玉井晶子さんと仲良くなる。だがその人物は、とある宗教団体に属し、さりげななく勧誘してくるので気をつけるように、と他のママ友から警告されてしまう。
警戒した三上さん夫婦は隠しカメラを設置し、玉井さんとの会話を撮影することにした。案の定、彼女は自分の身の上話(障害児を抱え追い詰められた)を交えながら、さり気なくなにかに誘ってくるような口調。ここで「ステラの娘」という団体の名前を出し、「これひょっとして勧誘?」と話を振ってみると、玉井さんは否定しつつも少しずつ声が大きくなり、感極まってくると同時に嫌な咳が止まらなくなり、思わず流しに向かって戻すような仕草を見せる。
だが、沙織さんが駆け寄ると彼女は煙のように消えてしまう。狼狽する沙織さんはカメラを持って辺りを探ると…。
感想(ネタバレ)
するとなにかに足を掴まれたのか、沙織さんは倒れ込んでしまいます。その目前に血で赤黒く染まり爛れたような顔がそこにあったのです。すぐにそれは消えてしまい、流しに向かうとそこは血だらけ。どこからともなく赤ん坊のなく声が響き渡り、映像はそこで終わってしまいます。
心配になった沙織さんが、玉井さんの部屋に赴き確認しますが、玉井さんはその部屋におり、自室からを出ていないと言い張ったそうです。玉井さんはその後突然引っ越してしまい、姿を消してしまいました。
その後、三上さんのお子さんは全身蕁麻疹のような赤い斑点がでる症状が出てしまいましたが、原因は不明。後に亡くなってしまったことで、沙織さんはショックで鬱状態になり、今も回復していないとのこと。近所への聞き込みで玉井さんの子供も不幸により亡くなっており、宗教団体のようなセミナーに参加していた言う話が近所で聞けます。
ここから感想です。前エピソードを上回る派手派手幽霊(生霊?)登場。あまりにもインパクト重視のそのビジュアルに、思わず笑ってしまいそうなものですが、なかなかにグロテスクで、前回同様タイミングも絶妙で、かなりびっくりしますね。火の付いたような赤ん坊の鳴き声も恐怖をもり立てます。思ったよりも良かったです。
ステラの娘(少し怖い)
概要
当時フリーターだった江尻拓真さん。居酒屋で働いていたがそのバイト仲間・安藤竣平さんは、Youtuberのような活動をしており、江崎さんはその動画編集の手伝いをしていた。江尻さんは同じ店で新しく入った女性・戸川さんが、ある宗教団体に属していることを知り、その宗教団体の話を聞いて動画のネタにしようと思ったらしい。
同じ団体に所属する女性・広瀬さんとともに戸川さんと食事の際に隠し撮りをして、根掘り葉掘り話を聞く安藤さん。話を聞くと「ステラの娘」は聖書などをテキストに話を聞く勉強会のようなものらしい。安藤さんは興味を持ったふりをしてその団体に潜入しようと試みるが、迂闊ににも隠し撮りしていたカメラを取り落とし、彼女らに見られてしまう。その行為を咎められた彼は、追求を逃れるためにその場から逃げ出してしまう。やっと追跡をまいた彼は、鬱蒼とした森の中にいることに気がつく。
すると近くで大音量の赤ん坊の鳴き声があたりに響き渡るのだが…。
感想
木の根本に産着に包まれた赤ん坊のようなものが、捨てられたようにそこにあります。安藤さんが産着をめくると、そこ血だらけの赤ん坊がおり、彼が驚いて声を上げ後退りすると鳴き声がピタリと止んでしまいます。その場を立ち去ろうと左を向くと、少し離れたところに黒い不気味な人影。再び赤ん坊の火のついたような鳴き声。左に向き直ると先程の木の横に赤ん坊を抱いた黒い服の不気味な女が立っており、ここで映像は終わります。
その後彼は体調を崩し、激しい咳が止まらなくなったそうです。医療機関でも原因はわからず長期入院の末肺炎で亡くなってしまいました。彼から映像を見せられた江尻さんは、その映像をお祓いに出したが効果はなかったそうです。江尻さんは戸川さんとはあまり関わりはなかったそうですが、その後結婚した知らせは受け取り、式の2次会にも招待されたが出席はできなかったそうです。
ここから感想です。今回は派手さは少し控えめですが、シチュエーションでかなりびっくりします。特に赤ん坊を抱いた黒い女のシーンは雰囲気があり、なかなか怖いですね。一時停止でみると、役者さんがそれっぽく立っているようにしか見えず、そんなに怖くないはずなんですが。
あと作り物だとわかっていても赤ん坊がちょっと怖いです。
救済者(怖くない)
概要
取材班は「ステラの娘」の参加者に取材し、その主催者である仙川さん(通称:おっちゃん)へのインタビューをすることができた。彼の経営するバーで話を聞くのだが、相変わらずディレクターの松本は、嫌な咳をし始めている。
話を聞く限り、若干の胡散臭さはあるものの、この団体は思ったよりまともで、宗教団体ですらなく、宗教に関する単なる勉強会の域を出ないものであることが感じられる。
ただ圧倒的に参加者の女性が多く、それを揶揄する噂が絶えなかったこと。参加者の女性の一人が精神を病み、駆け込んできたたことがあって、旦那が怒鳴り込んできたりした後、彼女が自死してしまったことがあった。
その後参加者に不幸がたてつづきに起こり、呪われていると噂される事態にもなったこともあって転居を余儀なくなされたとの話。自分の下に女性が集まってきたのは、自分になにか救いを求めてきていたのではと自己分析を語る。
咳が止まらない松本に対して「良くない、お祓いをしたほうが良いのでは」とアドバイス。不幸にあった女性たちはこのような嫌な咳をしていたのだそうだ。
感想
ここで「ステラの娘」自体は思ったよりもまともで、宗教団体ではなく、単にこの男性の話を聞きに来ただけという性質が示唆されるものの、やっぱり怪しくて胡散臭い(笑)。
そもそも「ステラの娘」なんぞ、いかにもな名前付けておいて、単なるおっさんの家に30人もの女性が集まってくるなんてことは異常で、近所に揶揄されても仕方がないでしょう。宗教にいくら詳しくても、そういう社会の機微も禄にわからないのかよ、とか思ってしまいますね。あまつさえ、たとえ本人の希望とはいえ若い女性を匿って同居するのはいかがなものでしょうか。
でもまあ、この集まりで変な儀式を行ったとか、呪いをかけたとかはなさそうです。
インタビュー終了後、ディレクターの松本に対し「その咳は良くない、お祓いをした方が良い、不幸が訪れた女性たちはみんなそんな咳をしていた」と笑みを浮かべて彼に語る仙川さんの言葉が、薄っすらと怖かったですね。
水蛭子祟り(怖くない)
概要
これまでの話は全て「ステラの娘」に関わった女性たちの話であるが、今度はこれらの女性の夫の立場からのインタビューになる。
神原さんは「ステラの娘」に家庭を壊されたと訴え、そこに入り浸る妻を連れ戻そうとしたが、交渉中に転居され、妻もろとも行方不明になってしまい、1年後くらいに妻が肺炎でなくなったとの知らせを受けてしまう。
水谷さんは亡き親友の妹が同じような境遇に遭い、「ステラの娘」から無理やり連れ出したが、その後自殺してしまったという話をする。彼女は妊娠後にお腹の子に障害(ダウン症)が発見され、夫の意向で堕胎した後にこの団体に入り浸ったそうで、夫によると安産祈願に訪れた神社で奇妙な映像が撮れてしまったことや、そして別の日に友人たちと集まったホームビデオにも奇妙な現象が記録されてしまったことを話し、警告テロップの後にこの映像が紹介される。
最後に令和に入ってもディレクター松本の咳が未だ続いていることが示されタイトルは終わる(タイトルの発売日は2019年)。
感想
水谷さんの亡き親友の妹とは、最初のエピソードの佐倉彰さんの妻、志津子さんですね。
最初にあの神社で転んで流産した女の呪いで志津子さんの胎児が呪いを受け、望まない堕胎によって精神を病み、「ステラの娘」に救いを求めて駆け込んだところ、この関係者に呪いが伝播して数々の悲劇が感染したということでしょうか。みんな嫌な咳をして肺炎でなくなっていますが、呪いを受けてしまう条件が妊娠した女性かと思いきや、隠し撮りした安藤さんや、ディレクター松本にも伝播してしまうのがわからないですね。
紹介される映像は、志津子さんの顔に赤い斑点が浮かび上がり、後ろから2本の手が回り込んでいるというもので、ノイズとともに現れるその顔はやはり派手派手でわかりやすく怖いものです。でもまあ、もったいぶった警告テロップの割には…、という感じで、ちょっと食傷気味ではありました。ただ、幸せいっぱいな筈のシチュエーションでのこの顔は、理不尽さが際立ってなんとも言えない感情が沸き立ちます。気の毒としか言いようがないですね。
感想まとめ
結局「ステラの娘」は呪いには直接関係なく、志津子さんがたまたまそこに持ち込んでしまったということでしょうか。それとも僕が気付かないなにか伏線が隠れていたでしょうか。
全体の流れとして、少しづつ関連性が明らかになる構成は次第に盛り上がってきて面白かったと思います。エピソード「ステラの娘」の赤ん坊を抱いた不気味な女性が突然出てくるのが一番怖かったですね。
相変わらずの派手な演出にかなり楽しませていただきました。
今回はアシスタントの「舞城モアサ」さんが大活躍でしたね。このタイトルとはあまり関係ありませんが、彼女は以前「あいのり」にも出演されていたタレントさんだそうで、現在3人のお子さんのママです。因みに旦那さんはかなりのイケメンです(笑)。
それでは。
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