はじめに
「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!シリーズ」の第四作目、「戦慄怪奇ファイル コワすぎ! FILE-04【真相!トイレの花子さん】レビュー(ネタバレあり)」のネタバレを含むレビューと考察です。今回も意外な展開が楽しめます。
概要(ネタバレ注意)
少女たちのインタビューから始まる異変
まずはFile1からFile3までのダイジェストが流れ、物語は8月15日、少女二人の自室でのインタビューから始まる。取材に訪れたのは、ディレクターの工藤仁、アシスタントの市川美穂、カメラマンの田代正嗣。これまでとは異なり、投稿者側の生活空間から物語が立ち上がる構成だ。
投稿者は田村英里と山口奈々。二人は現在高校に通っておらず、時間を持て余す日々を送っているという。そんな折、懐かしい中学時代の話題から、すでに廃校となった母校へ肝試しに行こうという流れになった。校舎三階の女子トイレ、三番目の個室には「トイレの花子さん」の噂があった。奈々は在学中、このトイレで意識を失ったことがあるらしいが、当人はその記憶が曖昧だという。
忍び込んだ校舎。問題の個室は厳重にガムテープで封鎖されていた。二人は封印を解き、手前の個室から順にノックし、「花子さん、いますか」と呼びかける。そして例の個室を叩いた瞬間、ひとりでに扉が開き、便器の中から信じがたい“何か”が飛び出してきた。
予告された死のビジョン
さらに映像には続きがあった。翌日、二人は「コワすぎ!」シリーズのDVDを鑑賞していた。「昨日撮った映像のほうが怖い」「投稿しようか」「このおっさん怖い」「犯されそう」などと軽口を叩き合う。英里がトイレへ立ったあと、奈々はいたずら心でその様子を撮影しようとする。
しかし姿見から振り返った光景は、自室ではなく英里の自宅だった。そこでは英里がドアノブに紐をかけ、首を吊っていた。奈々が悲鳴を上げると、部屋は元に戻り、英里も何事もなかったかのように戻ってくる。恐怖に駆られた二人は映像を投稿する。
霊能者・真壁栞の登場
工藤は少女たちを安心させようとするが、「まだ死んでないし」「犯さないから」「手始めに市川から」など、昭和的で下品な冗談を飛ばしてしまう。だが市川の「私たちが必ず何とかする」という真摯な言葉や、過去作を視聴している二人にとって、工藤の粗暴さにはどこか頼もしさも感じているようだ。
今回、工藤は霊能者・真壁栞を招聘していた。真壁は工藤を見るなり「魂を置いてきている」と意味深に告げる。そして英里の事態は切迫しており、今日がタイムリミットだという。まず英里の家へ向かうが特に異常はない。次に廃校へ向かう。
真壁は「ここは向こう側と繋がりつつある場所」「花子さんは向こう側に触れてしまった」「向こう側の存在と結びつき、人間を襲い始めた」と語る。「向こう側ってなんだよ」と問う工藤に対し、「それを私が話すことは神に許されていない」とはぐらかす。そして「あなたは一つだけ気づいていることがあるはず」「そのことを私に話してくれたら、向こう側について答えましょう」と意味深に言い残すのだった。
時間と空間の崩壊
一同は問題のトイレへ向かう。突然、バタバタと足音が響く。真壁が陰陽師のように呪文を唱え、「えい!」と気合を入れた瞬間、天井から椅子が落ちてくる。椅子の周囲には、かつてFile2の廃墟で見たのと同様の赤黒い液体と花弁が散りばめられていた。
「すでに向こう側と繋がっている」「時間も空間もねじ曲がっている」「あいつらが来る」と真壁が叫ぶ。画面には「ここからはノーカットでお送りします」のテロップ。
階段を駆け上がるが、なぜか一階のまま。さらに上がると踊り場には自分たちの姿がある。混乱の中、突然周囲が暗転し、夜になっている。時間が跳躍したのだという。
だが気づけば英里の姿がない。奈々の携帯に英里の母親から電話が入り、英里が亡くなったことを知らされる。あの投稿映像は彼女の運命だったのか。
過去への跳躍と奈々の秘密
工藤は真壁に詰め寄る。「過去に行けるんだろう?あんたの本で読んだぞ」。真壁は「そのためには全員が行動をともにし、心を一つにする必要がある」と答える。失敗すれば時空の狭間に取り残される危険がある。それでも全員は覚悟を決める。
触手のような足を持つ異形の花子さんが現れ、全員で手を繋いで突進する。昼の学校へ戻るが、日時は8月14日。そして奈々が前日に単独で訪れていたことが判明する。工藤や市川にまで激しく問い詰められる奈々だが、かたくなに口を開こうとしない。
再び跳躍し、今度は8月15日19時。だが英里はすでに自死していた。
追い詰められた奈々はついに告白する。かつて英里をいじめ、あの個室に閉じ込めたこと。そこから現れた花子さんに首を絞められ、英里に助けられたこと。それ以来いじめはやめたが、謝罪できず罪悪感を抱えていた。前日に学校を訪れたのは、自分を身代わりにして英里を救おうとしたためだった。
最終決戦と帰還
真壁の導きで再び跳躍し、8月15日14時48分へ。踊り場で過去の自分たちと交錯し、英里以外が消える。生きている英理と再び会うことに成功したものの、花子さんが迫り、昼と夜が交錯する廊下を逃げ惑う。
やがて全員で突進し、あの世とこの世の狭間へ。精神世界の中で奈々と英里は本当の意味で和解する。そして真壁の呼びかけにより全員帰還に成功。時刻は8月15日15時06分。元の時空へ戻れたのだ。奈々は改めて英理へ謝罪し、英理もそれを受け入れ互いに友情を確かめ合う。
代償
安堵の空気が流れる中、真壁は静かに言う。「一度決まりかけた流れを変えた以上、代わりの誰かの命が失われるかもしれません」。
そして楽観する工藤が「例のことを話す」と口を開いた瞬間、天井から机が落下し、真壁を直撃する。頭部は砕け、即死。彼女の手には白い花弁が握られていた。
うなだれた工藤は、田代にカメラを止めるよう指示する。
そしてテロップが流れる。
「真壁栞さんの勇気ある行動を讃え、御冥福をお祈りします。」
感想(ネタバレ)
最初は、いまや古典ともいえる「トイレの花子さん」の話かと思って観ていました。ところが、物語は思いがけずタイムリープやタイムパラドックスといったSF的な展開へと広がっていきます。過去や未来の自分たちと接触するという設定も含め、まさに“斜め上”の展開で、いい意味で裏切られました。別の作品「闇動画14」の人気エピソード「死の円環」を思い起こさせます。
単なる学校怪談で終わらないところが本作の面白さだと思います。話の中心にあるのは、奈々の罪悪感と贖罪、そして英里との友情です。この軸がしっかりしているので、どれだけ話が大きくなっても物語がぶれず、精神世界での和解シーンも、素直に「よかった」と思える場面でした。
トイレの花子さんの造形も印象的でした。いわゆる定番の赤いスカートの少女像だけではなく、下半身がずもっとした触手になっている異形の存在として描かれています。このデザインはかなり意外でしたが、だからこそ不気味さが増していて、想像以上に怖さを感じました。都市伝説をそのままなぞるのではなく、以外な形で怖く再構築しているところは良いと思います。
キャラクター面では、市川の変化が印象に残りました。いつもは粗暴な工藤を冷静にフォローする立場ですが、口を閉ざす奈々に対して本気で怒る場面には驚きました。あの瞬間、市川は単なるサポート役ではなく、英里を救いたい当事者の一人になっていたのだと思います(単に工藤の粗暴さが移ったのかもしれませんがw)。
奈々が、忘れたふりをしているとは言え、かつてトラウマ級の体験をしたあのトイレに英里を誘った理由については、少し考えさせられました。単なる肝試しではなく、どこか自分の罪と向き合うためだったのでしょうか。英里に怒ってもらうことで、自分の中の罪悪感を清算したいという気持ちが、無意識にあったという演出意図かもしれません(怒ってもらいたかったって言ってたし)。
終盤の精神世界のシーンでは、緊迫した状況の中にもシリーズらしいユーモアがありました。コミカルな動きをする工藤や、置いていかれそうになる田代の声(ここでもカメラを離さないw)は少し笑ってしまいます。シリアスと軽さのバランスがうまく取れているのも、このシリーズの魅力だと思います。
ただ一つ残念だったのは、真壁の死が予告編でほぼネタバレだったことです。本編での突然の落下シーンは本来かなり衝撃的な場面だったはずなので、予告で知らずに観たかったという気持ちはあります。
工藤が気づいているものとは何か。あの液体と花弁は何を意味するのでしょうか。後の展開が楽しみです。
そう言えば今頃気がついたんですが、今回はあの呪術物は出ませんでしたね(笑)。
あ、スタッフロール後のびっくり演出は恒例になりましたね。
では。
コメント
えー…先生のシーン、予告編に入ってるんですね。そりゃ酷いわ。
どうせ見ること決まってるんで予告なんて見ないほうがいいっすよw
あの雑コラ最高ですよね。工藤の足の動きがwww
だんだん工藤に歯向かうようになる市川と
工藤イキる→直後に反撃されてビビるのパターンが最高なのです。
引き続きお楽しみください。