戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 劇場版・序章【真説・四谷怪談 お岩の呪い】(ネタバレあり)

kowasugi5 eye-catch レビュー

はじめに

「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!シリーズ」第5作目、『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!劇場版・序章【真説・四谷怪談 お岩の呪い】』のネタバレを含むレビューおよび考察です。

タイトルには「劇場版」の文字が躍っていますが、実際はまだ序章で、映画は次作になります(笑)。本来であれば「File5」といった形のナンバリングになりそうなところですが、今回からは番号表記が廃されています。

概要(ネタバレ注意)

再始動

真壁の死によって意気消沈していたスタッフたち。そんな中、工藤に呼び出され、久しぶりに市川と田代が集められる。しかし彼らは、かつて遭遇した「この世ではない異世界」での出来事を、なぜか誰一人として覚えていなかった。

工藤は、発売された「File4」の映像を観てすべてを思い出したと語る。その映像を確認した市川と田代も次第に記憶を取り戻し、命を救われていた工藤は市川に改めて礼を言う。

工藤は、夢の中で真壁から「両親の死と異世界は関係している」と告げられたという。ところがその直後、突如として真壁の亡霊が姿を現す。

凍りつく一同。そして工藤は迷いを振り切るように、「コワすぎ!」の再開を宣言する。


投稿映像 ――映画に写り込んだ“お岩の顔”

発端は、ある低予算の青春映画の撮影映像だった。女子高生役の女優の横に、まるで四谷怪談のお岩のような異様な顔が浮かび上がっていたのである。さらに、File4で工藤たちが突入した異世界のような空間まで映り込んでいた。

監督へのインタビューによると、本来お岩を扱う作品ではお祓いを行うのが慣習だが、今回はそれをしなかったという。そして、問題の顔のすぐ近くにいた女優・松井江見は撮影後に音信不通となり、作品は中断。ほかにも不可解な事件が相次いだと語られる。


松井江見の家で起きた異常

スタッフは松井の自宅へ向かうが、入口は新聞紙や紙片の貼り紙で封鎖されていた。その中には、File1に登場した呪術物を思わせる、なぐり書きのような奇妙な図形も混じっている。

工藤が「あの呪術物を持ってくればよかった」と呟くと、市川が強く反発し、場の空気が一気に険悪になる。そのやり取りを聞いていたかのように、家の中から松井の泣き叫ぶ声が響く。

やがて姿を現した松井は、右目を隠すように頭に布を巻き、「おまえが消えろ」「人殺し」などと意味不明の言葉を吐き続ける。激昂した工藤に反応するように、彼女は包丁を持って襲いかかってきた。完全に常軌を逸しており、話を聞ける状態ではなかった。


撮影現場での再現検証

次にスタッフは、投稿映像の撮影現場である住宅を訪れる。住人の女性は映画スタッフの一人で、撮影後に同居していた父親の病状が悪化したと語る。

検証のため、市川が霊の写った位置に立つと突然大きな衝撃音。その際の映像には、松井の姿とお岩のような顔がはっきりと映り込んでいた。さらに市川の右目付近に白い光が現れており、本人も左目に違和感を訴える。

急遽、於岩稲荷でのお祓いを行うが、その映像には市川の背中に顔のようなものまで映っていた。


「お岩さん」は作られた存在なのか

心霊研究家・吉田経人氏は、「四谷怪談はフィクションだが、人々の恐怖や想像が積み重なったことで現実化した可能性がある」と語る。さらに、この世に存在しないものを具現化する呪術があり、作者・鶴屋南北はそれを目的に作品を書いたという説まで紹介する。

もしそれが本当なら、今回の件は相当危険な領域に踏み込んでいることになる。対抗できる人物として紹介されたのが、浄霊師・宇龍院道玄だった。


浄霊師・宇龍院道玄

道玄は開口一番、工藤を「異常な因果を抱えた人間」と言い切り、市川については「何かが取り憑いている。ミミズのようなものが見える」と告げる。

報酬をもらうからにはやることはやる、と不遜な態度で依頼を引き受ける道玄。浄霊が始まると、周囲では矢継ぎ早に怪異現象が発生し現場は大混乱となる。彼によれば、「お岩さん」は単なる傀儡に過ぎず、その背後には“いにしえの神”と呼ぶべき存在がいるという。

市川は一時的に正気を取り戻すものの、憑依の核は残り、右目の状態はむしろ悪化していく。

完全に断つには、元凶である松井をどうにかするしかない。さらに、異世界にいる真壁が力を貸していることも確認される。


犬井からの遺言と強化呪具

また前後して事務所に「File1」に登場した呪術師・犬井からの荷物が届いていた。犬井はすでに自死しており、遺言に従って遺族から送られてきたものだった。

中には呪術物の力を増幅するズタ袋とメッセージ。世界に起こりつつある異変を悟り、命と引き換えに作った強化呪具を工藤に託すという内容だった。

袋に入れた呪術物は、中で増殖したかのようにもっさりとし、明らかに力を増しているようだった(動くしw)。


松井宅での決戦 ――再び異世界へ

市川の右目はさらに腫れ上がり、状況は切迫する。四人は強引に松井宅へ突入するが、そこでは松井が糞尿を垂れ流したまま狂気に囚われていた。

道玄が浄霊を始めた瞬間、異世界への扉が開き、市川が吸い込まれてしまう。止める道玄を振り切り、工藤と田代は呪術物を手に迷わず飛び込む。

異世界で、あのパワーアップした呪術物や異世界の真壁の助力を得て、辛うじて市川の救出に成功。市川の右目は元に戻り、前回は消えていた異世界での記憶も今回ははっきりと残っていた。


タタリ村 ――次なる舞台

後日、事務所で道玄に礼を伝えるスタッフ。そこで語られたのが、一度足を踏み入れると発狂するか死ぬとされる「タタリ村」の存在だった。鶴屋南北が幼少期を過ごし、呪術を学んだとされる土地。そこで得た術によって「四谷怪談」を広めたという話が残っている。

危険極まりない場所であるにもかかわらず、工藤はむしろ目を輝かせる。そして道玄の実力を認め、「次は一緒にやろうぜ」と言わんばかりに共闘を持ちかける形で映画版の制作を発表する。

より危険で、より深い闇へ。新たな仲間を得て、物語は次のステージへ踏み込んでいくことを予感させながら、一旦の幕を下ろす。

感想(ネタバレ)

序盤で「久しぶり」と言ってますが、リリースが前巻から1年以上空いているんですね。リアルタイム勢はこれで終わりなのかとヤキモキしていたことでしょう。

まず驚いたのは、前回私が「精神世界」と呼んでいた“異世界”での出来事を、スタッフの面々が誰も覚えていなかったことです。いやいや、DVDとして編集までしているのに忘れるはずがないだろう、と最初は思いました。一応、市川と田代は思い出したくないから意図的に情報を断っていた、という説明はなされますし、工藤は素材に触れる立場なのでそこで思い出した、という理屈にはなっていますが、やや強引な印象は否めません。

投稿映像に映った「お岩さん」らしき顔も、はっきりとは確認できないため、恐怖というよりは「何かいるかも?」程度。例によって登場する狂気の人物・松井も、気味の悪さは十分あるものの、純粋な怖さという意味ではそれほどでもありませんでした。

むしろ印象に残ったのは、松井宅で市川が工藤に反発した際、ついに工藤が手を出してしまう場面です。もともとのガラの悪さがむき出しになった感じで、ある意味いちばん恐ろしかったかもしれません(笑)。

撮影現場となった一般住宅は、ほどよく荒れていて非常に雰囲気が良いです。いかにも“何かありそう”な空気が漂っており、そこで起こる突然の衝撃音には素直に驚かされました。

今回の新キャラクターである浄霊師・宇龍院道玄は、工藤に匹敵するほどキャラが立っており、頼りがいのある存在として非常に良いポジションに収まっています。

そして本作最大の見せ場は、やはり道玄による浄霊シーンでしょう。次々と起こる怪異現象はベタではあるもののタイミングが絶妙で、王道の怖さがしっかり機能しています。特にカメラ担当の田代(白石監督なんですけどね)の驚き方が素晴らしく、演技のリアルさが臨場感を大きく引き上げています。「四谷怪談」の有名な「戸板返し」を思わせる派手な演出もあり、視覚的にも非常に印象的でした。市川の取り憑かれた演技も見応えがあります。

一方で、ストーリー自体は前回のような仕掛けやどんでん返しは少なく、かなり王道の展開です。安定感はあるものの、新鮮味という点ではやや物足りなさも感じました。

そんな中で個人的に最もテンションが上がったのは、犬井が遺した“パワーアップ用のズタ袋”です。思わず突っ込みたくなるアイテムですが、シリーズの文脈を考えると妙に熱い展開でもあります。

また、異世界に取り込まれた市川を工藤が助けに向かう場面では、いかにも青春映画のクライマックスのような感動的なBGMが流れ、二人の間に「信頼という名の絆」が芽生える――などという雰囲気だけはありますが、実際には全くそうは感じられず、思わず苦笑してしまいました。あのパワハラ気質では無理もないかもしれません(しかも今回は頭まで叩いていますし)。

ところで今回、なぜ松井が取り憑かれてしまったのかは最後までよく分かりません。その説明はほとんどなく、道玄が「もう手遅れ」といった趣旨の言葉を残すだけで、市川救出後には彼女の存在はすっかりフェードアウトしてしまいます。撮影場所そのものが原因とも考えにくいので、やはり映画制作の際にお祓いをしなかったことが関係しているのでしょうか。そういえば作中には、お岩さんを軽んじるような台本のセリフもあった気がしますが、それだけでここまでの事態になるのだとしたら少々気の毒です。ちなみに松井役の女優のクレジットは「中村でんじろう」となっており、「でんじろうって何だ?」と妙なところで気を取られてしまいました(実際は仲村唯さんという方のようです)。なお「中村傳次郎」は歌舞伎の名跡の一つらしく、そちらをもじった表記なのかもしれません。

ラストでは道玄が(おそらく)仲間として加わり、さらに大きな怪異へ挑む映画版制作が宣言されます。強力な新戦力の加入を思わせる終わり方で、今後への期待を十分に高めてくれる締めでした。

ちなみに今回は、あの花弁は登場しませんでした。

あ、スタッフロール後のびっくり演出はまだ健在ですので油断なさらないように(流石にもう驚かないぞw)。

では。

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