はじめに
「呪いの黙示録 第十章」のレビューです。「ほん呪」や「XXX」の隙間で、いつの間にかリリースされている今作、ニコニコも復活したし、今回は前回ほどのタイムラグなく視聴することができました。
平凡な闇(少し怖いが地味)
概要
若い女性2人組のライブストリーミング映像。生放送で2人はこの地にまつわる怪談(都市伝説?)を実証する。
住宅地のど真ん中に突然現れる森のような鬱蒼とした場所、その中に1本の道が通っている。雨の夜にこの道の真ん中に開いたままの傘を置き、目を瞑って「雨上がりを待ちましょう」を声をそろえて3回唱えると、何かか起こるらしい。
一見何も起こらなかったが、リアルタイムで観ていた視聴者からは何かを見たようなコメントが、続々と寄せられる。そして置いた傘がひとりでに動き出し、回転しながら投稿者2人に迫ってくるような動きを見せる。それを見て不気味に感じた彼女らは、直後道の奥に何かを見たらしい。悲鳴を上げてそこから逃げ出し、配信は終わってしまう。
映像では記念自撮りのフラッシュの光の奥に、確かに何者かの影が一瞬写り込んでいた。
このライブ配信以降、彼女らのアカウントは消えてしまったそうだ。
感想
よく見ると、住宅地の真ん中にちょっと緑があるだけで、森と言うには苦しい場所です。ただ光量不足で荒い映像は暗く、とても寂しい雰囲気が醸し出されて良い雰囲気です。
一瞬映し出された人影も、何かこちらに迫りつつある感じがして、うっすらと怖いのですが、ほんの一瞬で、通常再生ではまず判りません。ですが、ライブ映像の視聴者の反応が、怖い感じを盛り上げてはいます。雰囲気は良いですね。
ただ、写り込んだ人影も遠くて小さく、かなり地味に感じました。
(括弧)前編(怖くない)
概要
前回ディレクターで参加した平田は、もう心霊映像には関わらないつもりであったが、今回江益に召集されてしまった。
それは深刻な人手不足にあえぐアムモ98において、プロデューサーの小田が連れてきた、映像制作には全くの素人で、小田の釣り仲間でしかなく、小田に言わせると「とにかく勘が良い」という、謎のお墨付きのみで今回から加入した、葛生大雅(くずうたいが)が、全く頼りになりそうもないからであった。この葛生が注目した投稿が今回の調査対象であるのだが。
それは都内に住む会社員の女性、芝莉子さんからのもので、自宅に差出人不明の謎の郵便物が送られてくる、というもの。「わたしへ … あなたより」というヘッダーとフッターのみで中身が何も書かれていない便箋、中身のないUSBメモリ、何も入っていない額縁などであった。半年前程からこれらが送り続けられており、彼女には全く心当たりがなく、自身や肉親にも霊感などはない。
またこの事象が起こってから、自撮り写真の顔が歪んでしまったり、自分の声で電話がかかってきたり、その電話口では童謡「かっこう」を口ずさんでいたりと謎の現象も起こっていた。また、彼女はシングルマザーで、もうすぐ1歳になる子供がいるという。子供に影響を与えたくない、と相談してきたのだった。
全く手がかりもないので、取り敢えず小田の紹介で、霊能者(RAKUDA)に話を聞くが、具体的な話は一切聞けず「これは自分でやっている」とか要領を得ず、しかもとにかく態度言動が胡散臭くて、とても話にならなかった。
葛生の指摘した、莉子さん宅にかかってきた謎の電話内で歌われていた「かっこう」の歌詞に、本来のものと異なる「呼んでるよ川の方へ」というフレーズや、顔の歪んだ写真の撮られた墨田川近辺を取材するも進展はなく、やる気の感じられない葛生の態度から、一時スタッフ間に険悪な空気が流れる。
そんな折、墨田川近辺でベビーカーを押す莉子さんを発見、挨拶をするも、後に見返した映像で、このベビーカーには赤ちゃんなど乗っておらず、空であることが判明した。
え?
どゆこと?
感想
今回は真田さんがおらず、降板の説明もありません。どうしたのでしょうか。
葛生氏はいつも何か食っていて、服装から何からやる気の感じられない投げやりな雰囲気で、典型的な無能キャラを演じています。まあ、小田プロデューサーのただの釣り仲間ですからね(笑)。ただ、それだけに真田さんの降板が惜しまれます。ぜひ、葛生氏との掛け合いが見たかった(笑)。
そんなことはどうでも良いですが、ディレクター(の筈)の平田氏は今回は空気。江益さんだけが頑張っている印象を受けました。
さて、莉子さんが被っている怪現象、写真や自分の声の謎電話などの雰囲気は、まあまあ不気味ですね。写真の気持ち悪さは中々のもので、Youtubeのフェイクドキュメンタリー「Q」を豊富とさせます。あれ?ちょっと待って。「Q」には元々、この「呪いの黙示録」のディレクターだった寺内氏が参加していますが、今回の「呪いの黙示録」では影も形もないっすよ、完全にこのシリーズは止めちゃったのでしょうか。
それはともかく、序盤で子供がいると言いながらも、その片鱗が映像に全く出てこないので、ほんとに彼女に子供いるの?なんて思って観てましたけど、やっぱりいなかったんですね。
拝啓…(少し怖い)
概要
どこか東南アジアに留学している若い男性が、家族に現地での生活ぶりを報告する映像。留学先の友達に撮影してもらっているが、その人物がビデオを切り忘れてスーパーの商品棚ばかりが写っているシーンになってしまう。
商品棚の奥に、人の顔のようなものがあり、カメラが丁度向いたタイミングで目を見開き、めっちゃカメラ目線。一瞬で背景に溶け込んで消えてしまった。
この男性は、その後現地で高熱を発し、帰国。今も入院しているという。
感想
故郷の家族に送る手紙の「拝啓」と、映像に偶然写った「背景」をひっかけた、面白いタイトルですね。
宗教も生活環境も異なる外国での異質な怪異。日本の常識も何も通用せず、なんか容赦のない災いが及びそうで、何とも不気味です。
ただ、顔自体が一瞬で、しかも小さいので通常再生では何もわからず、怖さも小粒です。
Japanene Announcement(怖くない)
概要
いきなり以下のようなお詫びテロップ(抜粋、意訳)で始まる。
お詫び
今から流す映像は投稿者の実家の古いVHSテープにダビングされ、テレビ番組の合間に流れていたものだが、諸般の事情で放送された時期や背景の調査結果をここでは言えない。
映像だけ流すわ(察して)。
お花とか自然の背景に「日本広報」という意味不明なテロップ(本物なら「政府広報」だろ)。「<緊急>今すぐ大きな声で笑ってください」とか訳の分からないテロップ。ニコニコマークのアイコンが不気味。
「ご協力ありがとうございました」「思想の流出はわが国への冒涜であり○○の対象です」(○○は伏字)。「正当種の思想を国民の(手のアイコン)で保護しましょう」とか、全体主義っぽいテロップの後、再び「日本広報」(ただし「広」の字のみ逆さま。
全体的に意味不明。
感想
謎の組織による特定の人々にのみ流す広報映像が誤って流れた、あるいは政府による国民の洗脳っぽい感じを出した映像で、よくあるやつです。
ただ、前段のテロップ(詳しいことは言えない、察して)で、なんだか本物っぽい闇を垣間見たような雰囲気にさせられますね。
ま、ほんとの闇ならこんな形でも表に出るわけがないんですけど。
(括弧)後編(少し怖い)
概要
これは一体どういうことなのか、莉子さんに連絡を試みるもガン無視される。しかたなく、「週末に行くから」というメールを送って、莉子さん宅に突撃することに。
マンションのオートロックは開いたので、いるのだろうと部屋まで行くがインターホンに返事はない。部屋のドアが開いていたので恐る恐る入ってみるが、人の気配はない。ただし、部屋中ベビー用品が散乱していた。どうやら未使用のようだ。
すると、突然インターホンが鳴って、スタッフ一同びっくり。それは訪ねてきた莉子さんの妹、さおりさんであった。最初は警戒されたが事情を説明して話を聞くと、莉子さんと連絡がつかなくなったので直接訪ねてきたと言う。
さおりさんは実家近くで夫と2人暮らしだが、東京に出ていた姉の莉子さんには子供はおらず、1年前に会った時にもそんな様子はなかった。
これはいったいどういう事なのか。ひょっとしてあの胡散臭い霊能者、RAKUDAの言ったことは真実だったのかと、再び話を聞いてみると、莉子さんの子供は托卵のようなもので、モズがカッコウの子供を育てさせられているように、超自然的な何かを自らの子供のように育てている(真似事だが)のではないか、という見解。それは決して珍しい事ではなく、なんかよくあることらしい(思わせぶりな口調ではっきりとは言わない)。
そして、これを消し去ることはできず、別の誰かに継承する(托卵する)以外に解放される手段はないとか、身も蓋もない事を言われてしまう。
途方に暮れていると、さおりさんからメールが来る。急に「姉と連絡が取れました」「資料は処分してください」「姉は今は実家にいます」「ご迷惑おかけしました」「私に子供ができました」「お世話になりました」「それじゃ」と取り付く暇もなく電話を切られてしまった。
え?(それって本当に子供なの?)
思うところはあるものの、これにて調査は終了せざるを得なかった。やむなく莉子さんからの書類を処分していたところ、あの空だった筈のUSBメモリに、映像がいつの間にか保存されていることを、葛生が発見する。
以下のテロップでこの映像が紹介され、エピソードは終了する。
警告
この先の視聴は倫理的・道徳的な観点に置いて安全が担保されておりません。
ご自身の精神状況をご考慮の上自己責任でご覧ください。
映像の中身はご自身でお確かめください。
感想(ネタバレ)
まあ、そんなところだろうなぁという感じで見ていました。サブタイの「括弧」は「カッコウ」をもじったのですね。
托卵されて、架空の(あるいは霊的な何か)子供を育てていた莉子さんが、その存在を今度は妹のさおりさんに押し付けた(托卵した)という事なんでしょうね。
さおりさんの妊娠は本当なのか。彼女も架空の子供を育てるのか。でも今度は夫も居ますしねぇ、夫婦そろって騙すのは無理がありそう。もしくは、彼ら夫婦の本当の子供として転生するのか。それだと「偽物語」の「阿良々木月火」ちゃんみたいじゃんか(因みに「阿良々木月火」はホトトギスの怪異で、ホトトギスもウグイスに托卵します)。
さて、莉子さんはなにものかに托卵されて、架空の子供を育てている(フリ)のですが、心のどこかでこれに気が付いていたのかもしれません。投稿は助けを求めていたのでしょうか。また、例の手紙は、托卵によって、どこかあっちの世界に逝ってしまった未来の莉子さんからのメッセージだったのかもしれません。
莉子さんは実は付き合っていた男との間に子供ができたが、流産した、あるいは中絶を強要されて産むことが叶わなかった。その怨念や後悔の念、執着が架空の子供を作ってしまったとか、いろいろ妄想できたりします。
尚、最後の映像ですが、仰々しいテロップの割にはそんなに怖くありません。気持ちの良いものではさすがにありませんが、そんなにグロでもびっくり系でもありませんので、ご安心を。
ただ、ちょっと意味深な事を語っていますね。「ちゃんと受け取ってね」みたいな。誰に言っているのでしょうか。未来の自分?それとも…。
感想まとめ
いやメインエピソード結構長かったです。退屈じゃないんですけど、少し冗長のような。今回は恒例の食事シーンもないし、真田さんがいないのも痛いですね。彼女の存在、キャラクターがけっこうな清涼剤になっていたような気もします。
隙間エピソードはもうちょっと頑張ってほしい気がします。エピソード数も少ないし、単なる尺稼ぎになってしまって存在意義が問われそうです。
全体的には面白かったのですけど、いささかパンチ不足な気がしました。もう少し、怖がらせてほしいですね。
ところで、寺内さんは完全に降板なのでしょうか。
それでは。
コメント
お疲れ様です。真田さんはやはり降板なのでしょうか。二章、三章で夏休みをとっていたことがあったので長期休暇をとっているだけなら嬉しいのですが…。戻ってきてほしいです。
見つけたことがあって「Japanese Announcement」の「〇〇の対象です。」の伏字部分は「極刑」です。一瞬ですが表示される瞬間がありました。DVDで一時停止したら発見しました。
こんにちは。
XXX_ZEROの後に続けて十一章を観たので若干メンタルが削られてます。私の推しの(笑)真田姐さんがいない! 単に別件の取材で不在とかなら良いのですが……。
真田さんがいないのは本当に残念でしたね。
「そんなことはどうでもよい」などとレビュー内では書いていましたが、どうでもよくないですね(笑)。
XXX_ZERO先ほど観ました。
面白かったけど、ちょっと疲れましたね。