呪いの黙示録 第二章(ネタバレあり)

mokushiroku2 レビュー

はじめに

「呪いの黙示録 第二章」のレビューです。「闇動画」と代わりばんこでレビューするつもりでしたが、「闇動画」のDVDは来年にならないとTUTAYAから送られてこないことと、このタイトルは「アムモ98ホラー劇場」で配信されているために、鑑賞がたやすく、こちらのレビューが先となりました。

笑い声の女(怖い)

概要

女子高生2人組がトイレで騒いでいる。鍵がかかり扉が閉まっているトイレの個室から、女性の泣き声がするのである。何かあったのかとノックしてみると、その声はケタケタと笑い出す。異様な現象に、彼女らは教室に戻って友人をさらに2人呼び、思い切ってトイレを調べるが、個室の上から覗いても誰もいなかった。

ならさっきの泣き声や笑い声は誰の声だったのか。怖がって遠巻きに見ていると、トイレのカギが開く音とともに扉がひとりでに開きだす。恐る恐る調べに行くとやはり誰もいない……と思いきや、顔が歪んだ女生徒らしき人物が一瞬姿を現す。恐怖に駆られた彼女らは、そこから逃げ出し教室に戻る。ホッとしたのもつかの間、一人の女生徒がケタケタ笑い出してしまう。それはあのトイレでの笑い方にそっくりであった。

この笑い出した女生徒はそのことは何も覚えていないそうだ。トイレでの歪んだ顔は、別の女生徒の顔によく似ているが、その子にはなにも影響がなかった。他の子たちは学校を休みがちになってしまったそうだが、コロナ禍でそもそも会えない日が続き、その後どうなっているか定かではない。

感想

前回ちょっと青臭い主張で熱い思いを印象付けた島田氏は続投ですが、それを諫める常識人の真田氏は夏季休暇中とのことで登場しないことが、後のエピソードで明かされます。

最初は怖いもの見たさからなのか、面白がってはしゃいでいた女生徒たちが、不気味な現象に徐々に怯えていきます。今まで声が聞こえていたのにそこに誰もいない。じゃあ個室のカギは誰がかけたんだよ、とこれだけでも実際に体験したら怖いでしょうね。個室のカギが「バーン」と、でかい音立てて開いたかと思うと、ドアがす~っと開いていく過程は結構良い感じです。

写り込んだ人影も、登場するタイミングが良くてドキッとしましたね。顔は歪んでいるというよりは、向かって左の眼が福笑いのように回転してついている感じで、落ち着いてみればそれほど怖くはありません。ただ、この顔が登場する1人の子に似ているということ、その子には何も異常が出ていないことから、この子が元凶なのでは、と勝手に想像できるところが面白いですね。

つかみとしてはまあまあでした。

アダルトビデオの現場(少し怖い)

概要

ラブホテルでのインディーズアダルトビデオの撮影風景。何十年も前の古い映像である。

女優さんが鏡を覗き込むと、そこにいるはずのない男の姿が写っていた。この女優は後に別のラブホで突然死してしまうが、原因は不明である。

感想

結構バッチリ写っています。場にそぐわない異質感があり、女優さんが鏡を覗き込むと、その男も向き直るのが結構怖い映像ですね。

謎のラジオ放送(怖くない)

概要

アシスタントディレクター島田が持ち込んだカセットテープの音声。とあるラジオ番組を録音したものだが、番組内容から1982年ごろの古いものであった。今回は制作デスクの女性、江間凛がスタッフに加わり、調査が始まる。そのテープの内容はラジオ番組の途中に、不気味な男性の呻き声が入り込んだというもので、映像提供者が当時、車で通勤する途中の山道で夜8時頃、周波数に関わらずよく入ってきていたという。

大まかな場所しかわからないため、とりあえずその場所に取材に向かうスタッフ。道中の聞き込みで似たような放送への混入を経験した近所の女性、満井さんにインタビューできた。彼女は20年ほど前に聞いたということであったが、それ以外でも近所で撮れたオーブや人影、人の顔が写った心霊写真も見せてもらうことができた。この近辺での心霊現象はよくある話らしく、彼女は特に気にしていないようだった。

スタッフは山中でラジオ放送が受信できる場所を何とか見つけ出し、夜半まで車で待機。しばらくしてどこにもチューニングしていない筈のラジオからノイズ音が突然混入する。音がよく入る場所を探って山中に分け入ってゆくスタッフ達だが、呻き声のようなものも聞こえ始めた。そして花や線香が手向けられた場所に行きつく。線香は火が残っており、手向けた人物はまだ近くにいるかもしれない。

すると、突然ノイズが止み、江間の携帯に着信が入る。

エピソード「奇祭」に続く。

感想

まず、地元の女性、満井さんの心霊写真が意外と怖いですね。かなり太いオレンジ色の光の柱みたいなものとか、叫んだような顔とか、禍禍しい黒い霞とか。満井さんがこんなの慣れっこみたいに平然としていることに、この地の不穏な感じが想像できます。

また、ノイズを拾ってから山中に分け入って行くときの、新アシスタント、江間氏の怖がり方がとても自然で緊迫感がありました。

車で待機しているとき、寺内監督が車を離れた間に、実はリアル志向の島田氏が「呪われた心霊動画XXX」チームへの移籍を希望しているというやり取りも展開されます(笑)。

カップル(怖い)

概要

1996年に撮影された非常に古いビデオテープ。提供者によれば自宅で古いテープを整理して発見したが、このテープの存在や映像に写る男女に一切心当たりがないという。

同棲していると思しき一室で、若い男女がいちゃついている映像だが、男性の背後に口を開けた女の頭が宙に浮かんでいる。

感想

これ、なかなか怖いです。大きく口を開けた女の造形が怖い。あまり何度も見たくありませんね。

このタイトルはまだ2巻ですが、あまり映像的な怖さは求めていないのかな、と感じていましたが、ここでビジュアル的にも怖い映像をもってきて、ちょっと感心しました。

前レビューでも述べましたが、古い映像とうまく溶け込んでいますね。それとも新規に撮った映像を古く見せる技術が進歩したのでしょうか(フェイクだとしたらって話です)。

奇祭(少し怖い)

概要

恐怖に駆られた江間が電話に出ると、相手は昼間にインタビューした満井さんの夫であった。妻から「心霊ドキュメンタリーの制作」と聞いて、スタッフらに話したいことがあるらしい。この夫にファミレスに呼び出されると、開口一番「大丈夫ですか?」と尋ねられる。なんでも以前にも心霊ドキュメンタリーの取材が来た人たちが、危ない目に遭っていたので、心配されたようだ。そしてこの男性から、この地の禁忌に触れる風習について教えてもらう。

それはこの地で日本神話に起源に持つ風習が変容し、子供が生まれるたびに人身御供を本当に捧げてしまい、燃やすという祭りが近代まで続いていたという、信じられない話であった。自分は別の村から婿に入ったが、妻の家族は代々そこに住んでいた。今は亡き義父の遺品にその祭りを記録したテープが残っているかもしれないから、明日取りに来るように言われる。

ホテルに戻る途中で謎の車に尾行されたり、ホテルに着いたら着いたで江間がスタッフ全員を集め、「島田君『XXX』に移籍したい問題」を語り合うといった茶番劇も展開される。

翌日スタッフは「そんなもんねえよ」、と訝しがる奥さんを尻目に未確認テープの山を受け取る。そして帰京するスタッフの車に、鎌を持った男が「何しに来やがった」と脅しにくる一悶着も展開される。どうやら、満井さん(夫)は村の「殺人を伴う祭り」をビラとか配って糾弾する活動をしていたらしい。「そんなのデマ」「迷惑している」と言う話だったが、スタッフはシラを切って逃亡に成功する。

帰京後、大量のテープを確認していたら、結婚式の映像で上書きし損ねた、祭りの様子を記録した映像を発見してしまった。映像では本当に人が燃やされてる、しかも生きたまま。赤子を火に掲げて成長を祈願しているような様子も見受けられる。

ここで、江間が祭りの記録された日付に注目する。それは江間がLINE交換していた、満井さん(妻)のプロフィール画面にある、彼女の生年月日に一致するではないか。そしてこの地域で失踪してしまった旅行者の新聞記事も見つかった。その日付も一致する。

と言うことは…あのラジオに入り込んだ呻き声は……まさか……。

感想

「んなわけあるかい!」と思いつつ、前にも書いたことがありますが、神話などが源流の村の奇習とか奇祭とかが、結構好きなテーマなので面白かったですね。突っ込みどころは無数にありますが、楽しめました。

それにしても、子供が生まれるたびに人身御供捧げていたのでは村の人口増えないじゃん、と思いました(笑)。だからと言って常に外から人身御供を供給していたら周りの村が黙っちゃいないのではないかと。まあ野暮なのでこのくらいにしておきます。

江間氏がスタッフ全員を自分の部屋に集めて、「島田君が『XXX』に移籍したい問題」を語り合うシーンには吹き出してしまいました。今じゃなくともよくね?

因みに祭りの映像はそれほどでもないのでご安心を。結婚式の映像で上書きされかかっていたってのは、かなりそれっぽくて、芸が細かいなと思いました。

感想まとめ

「心霊が見たいのに僕らの取材映像が必要ですかね」という、身も蓋も無い島田氏に対し、「それもわかるけど、心霊に対峙した時の我々の姿を見せることが僕のスタイルで、それこそがこのタイトルの軸だ」「このタイトルで君がどう感じるか、それがドキュメンタリーだ」みたいなことを言ってた気がします(超意訳です)。

「XXX」が人気を得る中、このタイトル「呪いの黙示録」に対するセルフアンチテーゼ、メタ発言みたいなやり取りを差し込んでくるあたり、斜め上路線の「監視カメラ」を作った寺内氏らしいのかも知れないなんて、思ったりします。そんな偉そうなこと言える程、彼の作品を見ているわけでもないのですけどね。

メインストーリーはある意味王道で楽しめましたが、文句を言ってくる村人が一人だけだったり、祭りの映像が若干しょぼかったように感じたりしましたが、そこは脳内変換が効いて面白く見れました。また、今後島田君がどんな感じに変化するのかもちょっと楽しみです。

それでは皆様良いお年を。

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