はじめに
「闇動画19」のレビューです。今回も面白かったのですが、少しあっさり目な感じがします。
わりと古い作品ですが、以下のレビューは多くのネタバレがありますので、ご注意願います。
特殊な仕事(少し怖い)
概要
フリーライターがある特殊な仕事の現場に潜入し、記事にするつもりだった隠しカメラによる映像。
上司である江藤に同行し、とあるマンションの一室に入ると、ダイニングには血を流した若い男の〇体が転がっていた。
部屋にいた依頼主の男は、江藤に一瞥することも無く下の部屋にいるとだけ呟き、出て行ってしまう。江藤は〇体の存在に動揺することもなく、撮影者に指示を出し手慣れた様子。どうやら特殊な仕事とは秘密裏に〇体を処理するものであるらしいことがわかる。
被害者の男をブルーシートに移す際に、撮影者はヘマをして転んでしまう。だがそれをきっかけに江藤はこの男の口に含まされた薬物らしき包みを発見してしまう。何を思ったのか彼は、撮影者に遺体をバスルームに運ばせ、その腹をカッターナイフで掻っ捌く。そこには薬物の包みが大量に隠されていた。
その時、間の悪いことに部屋の主が忘れた携帯を取りに来てしまう。腹の中にあった薬物を窃取しようとしたことがばれてしまい、窮地に陥ってしまった江藤は思いがけない行動に出る………。
感想(ネタバレ)
その後のネタバレですが、江藤(漢字は推測)はヤ〇ザみたいな依頼主を殺してしまいます。被害者の腹を掻っ捌いたのもヤ〇ザを殺したのもカッターナイフ。それはもう速攻で鮮やかな手口。薬物を発見した一獲千金のチャンスに即座に判断、バレたらバレたで誰かに連絡される前にと、これまた超早い判断力で、「只物じゃないなこいつ」と思いました。とは言っても、このヤ〇ザを殺しても、この後絶対他の構成員に追い詰められる運命ですから、この時点でもう詰んでいるんですけどね。そんなリスクを負わなくても、〇体を搬出した後でゆっくり処理すればいいと思うのですけど迂闊ですよね。
その江藤も、撮影者が「ヒーヒー」言って震える手で警察に電話しようとしている間にバスルームであっさり殺されてしまいます。首には被害者のものらしき腸が巻き付いており、ある筈の〇体がありません。どゆこと?
すると洗面所の鏡に何者かが通り過ぎるのが見えます。驚く撮影者。隠しカメラがどこに仕込んであったのかわかりませんが、動揺した彼の心臓の鼓動音がはっきりと聞こえ、緊迫感があります(ヘッドホン推奨)。彼は逃げ出すチャンスがあったのに、あの殺されたヤ〇ザと同じように携帯を忘れたためにいったん引き返すことになります。その撮影者の目の前に現れたのは、腹から腸が飛び出した被害者の姿。それが迫ってくるところで映像は終わります。
何というか裏の世界で起きた心霊現象は闇から闇に葬られることもあるかもね、というお話。設定がリアルなのか、そうでないのか判別としない感じで絵空事感がありましたが、かなり面白かったです。
霊能者(少し怖い)
概要
ホラーDVDをリリースしている映像制作会社が保管していた撮影素材を編集したもの。
霊能者「竜水」の宣伝を兼ねた企画で、ディレクター黒田達は曰く付きの心霊スポット施設に乗り込む。かつて建設会社だったというビルでは経営不振から社長が自殺しており、その霊が出るという噂であった。
竜水氏とその娘と称する若い女性、彩芽(あやめ)と黒田3人でその建物に入る。中ではちょっとした不思議な現象が起こってテンションが上がった黒田が勢い立ち、竜水の指示に従わず2階に駆け上がったりする。
竜水はこの場所は危険で、明るいうちに退散したほうが良い、ここでの取材はやめたほうが良いと忠告するが、黒田は納得しない。もう絶対に入るなと言われているにも関わらず、昼飯食っている竜水の目を盗み、建物に無断で入り込む。いつの間にか入ってきた彩芽と出くわしてビックリする一幕の後、彼女から父は霊感など無い、実は死んだ母が除霊していた、自分にも霊感があるなどの事情を、黒田も同僚に出世され、功を焦っている心情を吐露する。
テンションの低い彩芽に対して、父の仕事の手伝いなどする必要はないのではないか、霊感が無いことも暴露してしまえばよいなど、吐き捨てる黒田に対して、「私は怖いんです」とか「あの人おかしい、変態なんです」とか、霊現象などよりこっちの題材の方が面白いんじゃね、と視聴者に感じさせるような思わせぶりなセリフを残して彼女は部屋から去っていく。それを追いかけて建物の外に出ると、出口では竜水が仁王立ちしていた。
彼は明らかに憤慨している様子。自分の忠告を無視したばかりか、数時間も待ちぼうけを食らっていたというのだ。黒田からすれば10分くらいしか経っていないのにも関わらず、外はもう日が暮れてきており、夕日が空を赤く染めている。さらにここでの取材はやめようといっていたのに、夜に建物に入るという。彼によると黒田が勝手な行動をしたせいで、中に入って何とかしなければならない事態に状況が変わったからだという事であった。
撮影はやめとけと言う条件に黒田はしぶしぶ従うが、隠しカメラ仕込んで彼の目を欺く。再び3人で建物に入るのだが、そこで待っていた信じられない事態とは……。
感想(ネタバレ)
竜水、黒田、彩芽全ての漢字は推測です。彩芽さんは「あやめ」なのか「あゆみ」なのかちょっとよくわかりませんでした。
功を焦っている黒田の心情と霊能者の立場からそれを抑制する竜水氏とのやり取り、娘と称する彩芽さんと父との確執などの人間ドラマが面白かったですね。特に父に対して「あの人変態なんです」とか言われてしまうと結構美人の彩芽さんに典型的なオヤジキャラの竜水氏がいったいどんな変態プレイをしていたのかとそっちの方が気になります(笑)。
てかどこまで本当かわからないんですけどね。というのもこの彩芽さん、実はこの地に棲む幽霊なんです。死んだ人間という意味の幽霊かどうかもわかりません。この地に昔から棲む人ならざるものなんですから。さらに黒田は3人で入ったと思っていますが、竜水氏には見えていません。「俺とお前の2人しかいなかったやろ」と言われて黒田は戸惑ってしまいます。そう言えば竜水氏は「後ろに何かついてきている」と述べるシーンがありますがその後ろには彩芽さんがいたし、彼女と竜水氏は一言も会話をしていません。また彩芽さんにノイズが走るシーンもありました。なるほど。
建物内での不思議な出来事は本編を見てもらえばわかりますが、彩芽さんが竜水氏の娘だと騙されていた黒田に除霊を邪魔されて、結局竜水氏も黒田も悪霊にやられてしまいます。彩芽さんが語っていた父親との確執や秘密も、ここに彼らをおびき寄せるための巧妙な罠だったのですね。なかなか面白かったと思います。
ですが最後に出てきた彩芽さんの化け物じみた造形はちょっといただけません。遊園地のお化け屋敷レベルです。惜しい。
浮気相手(怖くない)
概要
頭にウェアラブルカメラを仕込んで恋人の秋江を驚かせる健治。これはそのカメラの映像である。
だが彼らの話を聞いていると秋江は友人の敏夫の妻であるらしく、この場所は秋江、敏夫夫婦の家。健治も恵理子という彼女がいて、所謂W不倫関係のようであった。また、冗談めかした調子だが、敏夫を殺すという物騒な話もしている。だが夜まで帰らないはずの敏夫が突然帰ってきた。慌てて隠れる健治だがすぐに見つかってしまい、彼と口論になる。
だが敏夫の話を聞いていると上司のパワハラのストレスからのDVという秋江の話は嘘であることが判る。だが不審に思う暇も無く、秋江は後ろから消火器で敏夫の頭を強打し殺してしまう。警察を呼ぼうとして携帯を取る健治だが、ナイフを持った秋江に制止されているタイミングで今度は恵理子が乗り込んできた。
2人は何とか恵理子をやり過ごすが、結局健治は秋江に刺し殺されてしまうことに。
秋江は「うまくいった」と何者かに電話。そして敏夫の亡骸を健治の傍まで運び、警察への電話では2人が喧嘩して相打ちになったと説明する。
感想(ネタバレ)
例によって健治、秋江、敏夫、恵理子の漢字は推測、というか仮に漢字を当てただけです。ひらがなにすると文章が読み取りづらいと僕が感じるからです(文章がへたくそだからかもw)。
さて、感想ですが、こんな雑な細工で警察を騙せるわけないじゃん、と思いました。ただ、秋江をそそのかしたのは敏夫の上司である可能性がありますね(急な体調不良でゴルフが中止になったとか言ってたし)。
トリプル不倫の人間ドラマはそれなりに面白かったです。
あとは、
- 敏夫は「トイレットペーパーの替えが無い」とか言ってたが、ちゃんとお尻を拭けたのかな(笑)
- 敏夫を消火器で殴るときの「コン!コン!コン!」とした乾いた音
- 緊迫した場面での健治の携帯の「ちゃ、ちゃらちゃ~ん」といったおちゃらけた着信音
- 恵理子の電話に出た健治の「『よしひと』の家で新しいネタの打ち合わせ」って芸人だったのかよ
- 敏夫の死体を運ぶとき、秋江の持ち方が悪ったらしく、「どこ持って…くっそ重い」という健治のセリフ
などがちょっとツボに入りました(笑)。
感想まとめ
今回はちょっと低調な感じがしました。「特殊な仕事」と「浮気相手」に関しては人が簡単に死に過ぎ、とも思いました。人の死を簡単に扱っている、という意味ではなく、カッターナイフやあんなちゃちな果物ナイフみたいなものであっさり人が殺せるものだろうか、という意味です。特に「浮気相手」ではちょっと一刺しで大した抵抗もされず殺しているのに違和感。そりゃ昼ドラでも簡単に人が死んでいるけど限度がありますよ。
ドラマ自体は面白かったのにここが残念です。
それでは。
コメント
個人的な感想ですが、最後の浮気相手のエピソード、多分秋江逮捕されたと思いますよ。確かに細工が雑もそうですが、極めつけは映像が残っていることですよね。しかも秋江は最後まで気づいていないことですし。第一製作委員会に投稿される時点で3人以外の第三者に渡っているはずですし…
そりゃそうですね(笑)。
それにしても頭にカメラ付けたままなのに、撮影されていることに気がつかないのも迂闊すぎる(笑)。