はじめに
「心霊盂蘭盆2」のレビューです。前作「心霊盂蘭盆」が、結構面白かったので期待したいところですが、どうでしょうか。
後ろに立つ少女（少し怖い）
概要
未解決の犯罪事件を取り扱ったTV番組。結局お蔵入りになった映像だが、事件のあった商店街でのロケ映像に不可解な現象が起こった。
小学生の女の子が何者かに刺されて亡くなってしまったという事件現場の商店街は、シャッターが閉まり、昼間なのにもかかわらず閑散としている。そこでレポーターの女性が収録を行うのだが、トラブルが連続してなかなか進まない。音声スタッフが「キーン」という音が入ると訴える。
そんなやり取りの間、レポーターの女性は体調が悪くなってしまいその場でしゃがみこんでしまう…。
感想
しゃがみこんだ女性は血のようなものを吐いたと思ったらいきなりカメラに叫び声をあげて襲い掛かり、嚙みついたのかスタッフの一人が流血する事態に。すると映像ノイズの後、先程のレポートの場面が差し込まれ、その背後に黒っぽい少女が立っており、すぐにレポーターの肩越しに痛ましい表情の顔が現れます。
なかなかショッキングで怖い映像ですね。ですがそれよりもシャッター商店街の陰鬱とした雰囲気が気持ち悪いです。わざと画質を落としているのか全てが不鮮明で、このスタッフの中に照明さんはいないのかと思えるほどに暗い雰囲気なのが印象に残ります。
尚、音声さんが訴える「キーン」という音は映像に入っていないのか確認できませんでした。
消えた女屍（怖いけど伽椰子）
概要
久しぶりに地元に帰ってきた川上さんは、友人の笹岡さんと飲み明かすが、もう一人の旧友、吉田さんに会いにいこう、と言う話になった。吉田さんには事前に連絡が付かなかったが、取り敢えず彼の部屋に行ってみると、部屋の明かりがついており、鍵もかかっていなかったので、彼らは酒の勢いで部屋に勝手に侵入してしまう。
中に誰もいなかったが、吉田さんの生活の跡があり、今にも帰ってきそうだった。そしてバスルーム付近から音がする。川上さんはカメラ片手に様子を見に行くと照明の落ちたバスルームは血だらけで、浴槽には若い女と思しき亡骸があった。
驚いた川上さんが笹岡さんにその件を伝えるのだが、全く信じない彼は川上さんからカメラを引き継ぎバスルームへと向かう。だが、そこには何もない。その時吉田さんが帰ってきた。
吉田さんは旧友2人との再会を喜ぶこともなく、憤慨した様子で川上さんに詰め寄って胸ぐらをつかみ、抵抗する川上さんともみ合いになってしまう。すると「キーン」と言う異音が部屋に響き渡り、いきなりブレーカーが落ち部屋は真っ暗になってしまった。
映像では判らないが、真っ暗な中吉田さんは部屋を飛び出してしまい、川上さんがすぐに追いかけたそうである。だが、笹岡さんは足に違和感でもあったのか、その場にしゃがみこんでしまい、一人部屋に取り残された形になったらしい。灯りが復活すると、彼の足はまるで何者かに激しく掴まれたような、真っ赤な腫れがあった。
そして玄関から異音が聞こえる。笹岡さんがその方向にカメラを向けると…。
この部屋は所謂事故物件ではなかったが、近隣の踏切で女子高生が電車に撥ねられる、痛ましい事故があったそうだ。
感想
笹岡さんがカメラを向けたその先には、這いつくばってこちらに近づいてくる女の姿がありました。ストップモーションみたいにノイズが走るたび動きが高速になるアレ（この映像技法はなんて言うんですかね）に近い感じです。
このタイトルでは一番怖いものに仕上がっているエピソードでしょう。慣れていない方は相当怖いのではないでしょうか。でも、これってあれですよね。「呪怨」の「伽椰子」みたいで二番煎じみたいな感じがして、僕としてはそんなに怖くなかったです（ま、僕「呪怨」はVシネマ版しか観ていないんですけど）。
また女の姿もとても女子高生には見えないんですよね。女子高生関係ないんじゃないでしょうか（ガチだったとしたらって話ですよ）。
因みにこの女の幽霊を撮った笹岡さんはすぐに亡くなってしまい、吉田さんは精神を病んでしまったそうです。このエピソード、最初吉田さんが女性を殺めたのかと思いましたよ。また、カメラの主が途中で川上さんから笹岡さんに代わるので、ちょっと混乱もしました（笑）。
呪詛中継（怖くない）
概要
Youtubeか何かの個人チャンネルで、恨みを晴らすために呪いの儀式の実況中継を見ていた投稿者は、その映像を録画していた。
その配信者はバイト先の先輩を呪い殺そうとしていたのだが、色々と準備不足でぐだぐだ。材料が足りなくて儀式は中途半端で終わってしまう。配信者は思い付きで、儀式に使ったぬいぐるみと写真を相手の部屋の郵便受けに押し込み行くが、その帰り道で肩に白い手が乗ったりして視聴者に指摘される場面もあった。その後林の中で吐血して倒れ込んだところで映像は終わる。
噂ではその後死んだらしい。
感想
呪いをかけるにしても段取りがなっていないというか、とにかく行動が思い付きで覚悟もない。そんなだから呪い返しの憂き目に遭ってしまうのでしょう。彼の仕事ぶりもこんな感じだったのかと想像すると、ちょっと呪われた先輩に同情します。
そんなに怖くはないですが、そこに至る雰囲気は良く、エピソードとしては面白かったです。
バグ（少し怖い）
概要
当時流行っていた「アイスバケツチャレンジ」を行うために、夜近所の河原にきた投稿者と友人。すると撮影中にどこからともなく携帯の着信音が鳴る。あたりを探ると草むらの中にガラケーが落ちていた。豪胆な友人は躊躇なくその携帯電話を拾い上げ電話に出てしまうが、何を言っているのか聞き取れなかった。そしてその友人の後ろに女の顔が写る。投稿者に指摘されて、友人は後ろを確認するが当然誰もいない。カメラの電池がいきなり消耗して映像は終わってしまうが、拾った携帯は彼が川に投げ捨てたそうである。
その後数日でこの友人は亡くなってしまった。死の直前彼が投稿した「自撮り変顔アプリ」の映像では、明らかにアプリの機能ではない感じで顔が醜く歪み、一瞬ミイラのような不気味な顔に変わっていた。
感想
「アイスバケツチャレンジ」ありましたね。でもあれって氷水じゃなかったでしたっけ。今回河原に向かったのは、その水を川から調達するというなんだか臭そうなチャレンジです（実際エピ内でも臭いって言ってましたｗ）。
河原に落ちていた携帯が鳴るって怖そうですが、これを落とした人が電話していると感じて思わず出てしまいそうで怖いですね。
河原で後ろに現れる女の顔はさほど怖くないのですが、「自撮り変顔アプリ」で一瞬変貌する友人の顔はちょっと怖かったです。
憑きもの筋の呪縛（少し怖い）
概要
自立支援センターの支援カウンセラースタッフだった投稿者が、かつての同僚が残した映像を投稿する。この男性スタッフのカウンセラーは、支援活動の資料として、ある30代の引きこもりの男性のカウンセリングの様子を記録したものである。
支援の一環でこの男性を散歩に連れ出すカウンセラー。だが、不意に雨が降り出し、帰ることになったものの、男性は久しぶりの外出で疲れてしまったのかなかなか進まない。自然あふれる田舎道は、日が落ちてだんだん暗くなっていく。
そして目を離した隙に男性がいなくなってしまう。不気味な鳥居をくぐり、あたりを探るカウンセラー。急速に日が落ち、辺りは真っ暗になってゆく。鳥居の先にはお堂のようなものがあったが、中には何も祀られていないようで、がらんとしている。すると男性が赤いドレスのようなものを片手に持ち、フラフラと姿を現した。なぜこんなものを拾ったのか、意味の分からないカウンセラーは、このドレスを男性の手から奪ってその辺に捨ててしまう。
そして男性は先程のお堂を指差す。そちらに目を向けると、さっきまで何もなかったはずのお堂の中にキツネの面を被り、赤いものを纏った何かが祀られている。不気味に思ったカウンセラーは、男性とともに急いでその場を後にした。だが、男性は一向に歩みを早めようとはしてくれない。しかも彼はそんな中でまた忽然と消えてしまう。
今度は本当に消えてしまったようで道には男性のシャツやズボン、下着までが点在している。そして橋の下らしき場所であの赤いドレスを着た男性がしゃがみこみ、何かをしているようなのだが…。
感想
赤いドレスを着た男性は何か肉片のようなものを食べていました。カウンセラーがたじろぐと、すぐにまた消えてしまい、そこには食べ散らかした肉片、そして脱ぎ捨てられたドレスと、あのお堂にあったキツネの面が残されていました。スタッフは逃げ出して映像は終わります。
投稿者によると、このカウンセラーはこの件がトラウマとなり職場を退職。引きこもりの男性がどうなったかは全く分からないそうで、スタッフが取材に家に行ってみても、既に転居して別の人が住んでいました。地元に人からこの男性の家系は狐憑きの家系で代々呪われているという話が聞けます。
まあ、とにかく田舎特有の自然の暗さとか、陰鬱な感じでしたね。引きこもり男性のなんというか、はっきりとしゃべらない、感情を押し殺したような態度や動きが停滞感を産んでおり、観ていてちょっとイラつきます。てか、カウンセラーも久しぶりの外出なのに、どこまで連れ出しているんだよ。早く帰ろうよ！って思いました。
男性が女性のドレス着てしゃがみこんで、変な肉片食ってるとか、いろんな意味でちょっとキモくて、不快でした（笑）。
お堂にいつの間にか赤いドレス着たキツネの面が現れるところは少し怖かったです。
感想まとめ
今回も結構面白かったです。ただ全体に画面が暗く、ちょっと気持ち悪かったですね。それを狙ったのかもしれませんが、だとすると成功していることになるのかな。
特に生理的に気持ち悪かったのが最後のエピソードの「憑きもの筋の呪縛」ですね。映像の主もなんか吐いてましたし。「後ろに立つ少女」も言いようのない気持ち悪さがありました（こっちも吐いてたｗ）。
怖さ的には「消えた女屍（なんて読むのだ「きえたじょし」？）と、「バグ」ですかね。
前巻よりもパワーが若干落ちた気がしますが、次に期待です。
それでは。
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