呪いの黙示録 第十二章(ネタバレあり)

レビュー

はじめに

「呪いの黙示録 第十二章」のレビューです。発売日は2025年6月6日で、「ほん呪」や「XXX」の隙間にリリースされるのは、レビューする者にとってはありがたいです。「アムモ98ホラー劇場」での公開は、リリース当日の18:00でした。

目撃者(怖くない)

概要

近所の外猫が喧嘩しているらしく、ニャーニャーうるさいので、外に出てその様子を撮影しようとしたが、猫は一匹しかおらず、喧嘩と言うよりは何かを警戒して怯えているようであった。

すると、猫が「ニャー(怒)」と警戒している先(たぶん)に、ありえないものが映り込んでいた。

感想

唸っている猫ちゃんの姿はありません。写っているのかもしれませんが暗くて全然わかりません。

マンションのガラス張り玄関のドアを外から撮影しているのですが、この床に生首みたいなものが転がっています。カメラがブレた、ほんの一瞬しか映っていないのであまり怖くはないです。

呪患 前編(怖くない)

概要

依頼者は若い女性、松下由奈さん。友人のツテで相談を受けた真田が、今回からこのシリーズに参加する監督の山崎とともに彼女の地元に取材に向かう。

この「A町」では原因不明の奇病が蔓延していた。由奈さんの近所の男性、日立司さんも、この病気に罹患し、苦しんでいるので調査してほしいというもの。提供された映像では、司さんが布団の中で激しく咳こんで苦しみ、何か液体を吐瀉している様子が判る。

病気の心当たりはないのだが、この奇病に侵されるのはダムに沈んだ「X村」出身の者ばかりであると言う。由那さんもこの村にかつて住んでおり、村の歴史を知る彼女の祖父、松下幸三さんに話を聞く。

幸三さんは詳しくその経緯を説明してくれて、彼も当初はダム建設に反対していたことが判る。だが、奇病に関する話になると急にそっけなくなり、そそくさと席を外してしまった。

由奈さんはその村時代からの親友をこの奇病で亡くしており、これ以上悲劇を繰り返したくはないとの思いがあったことを告白。その親友、ひかりさんからの遺品を、何かの参考にと取材班に託してくれた。

奇病の患者を診た地元医師、豊田さんに話を聞くと、症状は「肺水腫」。だがそれとも言い切れない症状(唸り声、奇行)も見受けられ、そもそも肺水腫は伝染するようなものではなく、特定の出身者に発生するのは奇妙であるとの見解であった。

映像の撮影者、日立茜さんへの取材では、やはり司さんの病気の原因は不明で、治療の効果もない。映像で吐瀉しているのは大量の水であることが判った。彼女は他に何かを話したそうであったが、そのやり取りの最中、江益の目の前に正体不明の水がしたたり落ちてくる。

天井には染みがあったが、上は2階で雨漏りは考えにくい。そしてなんと上には今も司さんがいるというではないか。案内してもらうと司さんは何やら聞き取れない声で唸り声をあげていた。彼は苦しみだしたので取材は中断してしまう。また、由奈さんから預かったひかりさんの遺品を心霊鑑定に出すも、これは空振りであった。

町で蔓延するこの病はいったい何なのか。呪いの一種なのか。
取材陣の見解も歯切れが悪くならざるを得ない。

そんな折、日立茜さんより司さんが亡くなったとの知らせが入る。

感想

これと言った心霊めいた映像ではなく、ただ年配の男性が咳き込んで吐瀉しているだけの映像です。とはいえ、薄暗い和室で部屋の明かりもなく、外からの光でシルエットになっていて、そこはかとない不気味さは感じます。さらにこの男性はとっても辛そうで、見ているこっちも苦しくなってきそうです。障子の変な模様が気になったのですが、これはこの男性が吐瀉した後のようで、妙にリアルだなと思いました。

実はこの映像、冒頭で紹介されるのですが、真田さん宛の由那さんからのメールを、江益たちが盗み見してるんですよ。葛生が「無断で見て怒られませんかね」と言っているのに、江益さんは「いいって、どうせやることないし(直前にかかわった案件が没になったとの説明あり)、これで真田さんを手伝う体にしよ♥」みたいなやり取りしてたんですよね。案の定「無断で見たのかい」と電話口で真田さんにお叱りを受けるも、江益さんは葛生氏のせいにした、という笑いどころがあります。

てか真田さんが復活して良かったですね。やはり彼女の存在がメリハリを生みます。一方今回から加わった監督の山崎氏の存在は、ほぼ空気です。

メリー(ちょっとだけ怖い)

概要

2013年から、毎年8月になるとあちこちにアップされる謎の映像。数時間以内に投稿主に削除されてしまうそうだが、正体不明でマニアの間では曰くつきと言われている。ここで映像が紹介される。

渓谷でクリスマスツリーの着ぐるみ着た人物が拙く踊る。激しいノイズ音とともに、苦しみ叫ぶような男性の「メリー!クリスマァス」声がオーバーラップして聞こえる。大量の文字化けテロップ、「探しています」「あなたは信じますか」とのテロップ後に、子供たちを不審者から避難する場所を示した「みてるん君」の貼り紙と、大きなテルテル坊主で映像は終わる。

感想

かなり不気味な雰囲気を醸し出していますが、分けがわかりません。なんとなく「フェイクドキュメンタリーQ」を思い起こさせますね。「トラホンピータ」思い出した(笑)。

最後に年間何万人も行方不明者が出てる旨のテロップが表示されますが、その関連性も今一ピンときません。

収集日(ほんのちょっとだけ怖い)

概要

収集所のゴミ袋の一つが勝手に動いてゴミ山から「ぼろん」と転げ落ちる。この袋の中に生首っぽいものが透けて見え、下から謎の液体が滲みだす。この辺りではかつてバラバラ死体遺棄事件があったそうである。

感想

半透明ゴミ袋の中に人の顔が見えるらしいのですが、よくわかんないです。血みたいのが染み出してきますが、この後どうなったのでしょうか。朝になると血は消えていたってこと?となると血だまりが消えた瞬間の映像があるはずですが…。

呪患 後編(まさか…)

概要

亡くなった司さんの遺体を検分した豊田さんによると、死因は肺水腫による呼吸困難であろうとの見解だったが、あくまで個人的な見解との前置で、「まるで溺死したようにも見えた」と言う、驚くべき発言があった。

そして茜さんがスタッフに見せたいものがあると、事務所を訪れることになる。それは司さんの書き残したノートで、そこには殴り書きで様々な文章が書き連ねられており、それはある人物の裏切りに対する怨嗟の叫びであった。所々ノートは千切れて欠損しており、最後の方は血とも感じられる赤い字でその人物「松下」の名前が何ページにもわたり、記されていた。

茜さんによると、松下幸三さんが工事関係者から賄賂のようなものを受け取り、ダム反対派の切り崩しを図ったというという噂が広まったそうで、病状が始まったのは彼がこの噂を聞いてからだ、と言うのである。

スタッフは「X村」の呪いの次のターゲットは幸三さんではないかとの懸念から、この噂の話を由那さんにも伝え、呪いを解くために除霊してもらうことを提案する。

だがこれ以降、由那さんと連絡が取れなくなってしまう。幸三さん宅に向かうも、けんもほろろで相手にしてもらえない。家には由那さんもいるようであったが、幸三さんはしらを切り、追い返されてしまった。

完全に取材に行き詰ったスタッフ。だが数日後由那さんから預かったひかるさんの遺品に異変が起きていた。中の物品が水がしたたり落ちるほどびっしょり濡れていたのである。

急遽真田が由那さんの携帯にかけると、出たのは幸三さんであった。携帯のビデオ通話からは、女性の叫び苦しむ声が漏れ聞こえる。

そして映し出されたその先には……。

感想(ネタバレ)

まあ、なんか予想がついてしまいましたけれども、呪いの次のターゲットは幸三さんではなかったということです。

これはいったい誰の呪いなのかと思い、僕はこの呪いの元は幸三さんなのではないかと想像しました。実際に賄賂を受け取って反対組織の切り崩しを行ったかどうかに関わらず、噂が広まった時点で幸三さんは元村人から恨まれてしまった。呪う動機はあったかもしれないです。

それにしても元の村民全員対象にするというのは逆恨みにもほどがありますが、これほどの効果には幸三さん自身予想外だったのかもしれません。

不気味に感じるのは「水」の存在。まるでダムに沈んだ村そのものと運命を共にする感じがします。罹患した彼らはだんだん水の底に沈んでいくのです。肺水腫ではなく、徐々に溺れていくのです。これはちょっと怖いですね。

最後、真田さんが「もう見ていられない」とばかりにスマホを投げだし、思わず涙ぐむシーンが印象に残りましたね。

で、今気が付いたんですが、この呪いが発動するキーは、幸三さんの賄賂の噂を聞いてしまう事、条件はかつての「X村」の住人、なのではないか、と感じました。つまり……ということは!。

感想まとめ

今回も地味ながらストーリーは面白かったです。ですが隙間に差し込まれる単発エピソードがとても微妙なのも相変わらずで…、これはもうなくてもいいんじゃないですかね。

ダムに沈んだ村とか使い古されたネタですが、別に恐ろしい禁忌が隠されていた、とか「お前!あの祠壊したのか!」みたいな展開はなく、ただただ理不尽な呪いと言う現象、慈悲も何もない、ただそれだけのみが、近代的な町で粛々と進行してゆく、と言うのは面白く怖かったと思います。

真田さんが復帰し、冒頭で失礼をかましてしまった葛生氏と一触即発…と思いきや、恒例の食事シーンで何故か釣りの話題で意気投合してて拍子抜け。それにしても葛生氏がアジとか小物専門なのに対して、真田さんの「宮古島でキハダマグロ」にはその格の違いを見せられて、笑わさせていただきました(笑)。

それでは。

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