呪いの黙示録 第四章(ネタバレあり)

mokushiroku4 レビュー

はじめに

「呪いの黙示録 第四章」のレビューですが、これ、意外(失礼)と面白かったです。

顔(怖くない)

概要

投稿者は外から何者かが部屋の中を覗いている感覚に苛まれていた。そしてついにその姿をスマホで捉えることに成功したのが、今回の映像である。

真っ暗な向かいの家の門柱から、何者かが顔を出しているのだが妻には見えない。思わず部屋を飛び出し様子を見に行く投稿者だが、既に誰もいなかった。映像には戻り際、家の入口あたりに佇む人影を捉えていた。さらに自分たちの部屋の暗がりにも何者かの姿があった。

感想

暗くて本当にわかりにくいです。家の入口あたりに佇む人影は全然わかりませんが、部屋の中にもいたというのはちょっと怖いですね。ただ、映像的にはどおってことはありません。

一瞬、妻の脇にはっきり写っている顔に戦慄しましたが、これはお母さんに抱っこされている息子ちゃんでした(笑)。

予定中止(怖くないけど)

概要

若い男性グループの古い映像。キャンプに出掛けるはずだったのに、思いがけない大雪で中止を余儀なくされ、所在なげに部屋でだべっている様子である。

その中の一人の男性の肩に、女性のような手が乗っかっている。再びカメラがその男性に向くと、その手はすべるように背中側に消えていく。

感想

まあ肩に手が乗ってるなんて今更なんですが、今回は肩の線に沿うように徐々に手が隠れていく様が気持ち悪くてちょっと新鮮でした。

ボツネタ(少し怖い)

概要

制作デスクの江益が7年前に「Notfound ~ネットから削除された禁断動画」宛に投稿されてボツになったネタを持ち込んでくる。「シャリシャリ」と鳴る不気味な物音と、部屋の片隅に黒い影が蠢く、投稿者の実家で撮影された映像であった。投稿者は母の遺品のこっくりさんの文字盤を見つけており、それに関連するのではと感じていた。

「Notfound」のディレクター古賀によると、当時ホラーで「こっくりさん」を扱った作品がとても多かったということがあり、地味なテーマなのでボツにしたということであった。「こっくりさん」などは手垢のついたありきたりなもの、という見解の島田はそれを聞いて大きく頷いている。だが寺内はとりあえず投稿者に取材を行い、状況次第では取り上げるという方針を固める。

投稿者に中々連絡が付かない中、「島田君XXXに移籍したい問題」が江益によってまたぶり返され、今回久しぶりに復帰した真田怜臣が不快感を示すといったやり取りが展開された後、ようやく投稿者の女性、里田沙織さんからメールが届いて事態が進展する。

沙織さんは、亡くなった母の遺品から「こっくりさん」の文字盤のような紙が見つかり、母の友人の井田さんが、母から「こっくりさん」の話を聞いていないか、と聞かれ彼女が気にしていたこと、文字盤を井田さんが預かりたいと申し出たので渡してしまったことを関連付け、この現象や母の死が「こっくりさん」と関係しているのではないかと感じていた。だが、母の文字盤を渡してしまった井田さんは、既に転居しており行方が分からない。心霊商法など色々と推理を巡らせたり、この事象は単品ネタがいいとか、この業界に染まりすぎの真田、島田両名に江益が苦言を呈する一幕も展開される。

事態が進展しない中、あの映像を里田さんと一緒に撮影していた友人から、別の映像が送られてくる。それは、「Notfound」への投稿後に友人が単独で撮影したもので、死んだはずの里田さんの母親、君江さんが、各部屋数か所に何体も同時にも現れるというものであった。

感想

最初の投稿映像は、部屋の隅に黒い影がホワホワしているだけで、怖くもなんともありません。この影は、水の中に墨汁を垂らしたみたいなもので、「監視カメラ」にも似たようなのが登場していましたね。

一方、里田さんの友人が撮影した映像は、50代くらいの女性があっちにもこっちにもいるというもので、撮影者の驚き具合も臨場感があり、まあまあ不気味なものです。なんでこっちも「ノッファン(Notfoundの愛称)」に投稿しなかったのだ。これなら古賀氏も採用したかもしれないじゃん、とか思いました(笑)。

古賀氏の「当時こっくりさんモノが乱立していたリスト」に「繰繰れ! コックリさん」があったことに懐かしさを覚えました。てか、あれはホラーじゃないでしょ(笑)。

夏休み(怖くない)

概要

夏休み、母親と男の子の何気ないリビングの風景。母親の足元には裸の何者かが這いつくばっていた。

感想

なんとも小粒なエピソード。映像もぱっと見では全く気づけないので、恐怖感もありません。

こっくりさん(怖い)

概要

色々調べた挙句、君江さん、井田さんの中学時代の友人、川戸さんへのインタビューに成功。彼女らが中学生時代は全国的にこっくりさんブームがあり、君江さんもそれを行っていたという。川戸さんは井田さんの連絡先を知っていたが、取材は断られてしまった。また君江さんは亡くなる直前に、友人の「シラヤマ」さんが死んだと泣いていたという事や、夫は沙織さんが生まれた直後に失踪していた事も明らかになった。さらに川戸さんは、井田さんと君江さんが写る中学生当時の写真も見せてくれた。それは君江さんに黒い影が纏わりつくもので、その影は映像に写り込んだ影に酷似している。

島田はここまで調べたので、短編エピソードで発表することを寺内に提案するが、寺内は「『黙示録』もいつまで続けられるかわからないから」とか、身も蓋も無いことを言って、取材を続行することに決めるのだが、井田さんに会えないのでは調査は進まない。第一章のときは熱い思いを抱いていたのに、今回は冷めた感じで早々に諦めてしまうの島田の態度に不満げな真田が彼を叱責し、沙織さんに井田さんを説得してもらうというアイデアを引き出させる一コマの後、井田さんがこれに応じたことで、話を聞くことができた。

実は君江さんはこっくりさんにめちゃめちゃ嵌っており、一人でこっくりさんを呼び出しては、ありとあらゆる決断をそのお告げに従っていたという。それは結婚相手や娘の名前までにも及んでおり、夫の雄太さんから井田さんが相談を受けていたほどである。そのいつも呼び出していた霊が「シラヤマ」さんだというのだ。

その相談の際に雄太さんが持ってきた映像がここで紹介される。あの文字盤の上の10円硬貨が、手も触れていないのに高速で移動している。沙織さんの投稿映像の「シャリシャリ」と聞こえた音は、この文字盤を縦横無尽に動く10円硬貨の擦れる音だったのだ。「何をしているんだ」との夫の声に、若かりし頃の君江さんが答える。それは「この子の名前を決めてもらう」であった。この時君江さんはお腹に沙織さんを宿していたのである。振り向いた君江さんの顔は、風化したように不気味に崩れており、雄太さんの驚いた声で映像は終わる。

井田さんが文字盤を預かったのは、これを用いて自ら「シラヤマ」を呼び出し、君江さんの人生を弄んだ意図を問いただそうとしたためであったが、井田さんの問いかけに答えるものはいなかった。彼女はこっくりさんのことを沙織さんに訪ね、彼女が知らなくとも良い事柄を赤裸々にしてしまった事を後悔していた。自分の名前や存在自体すら、その「シラヤマ」の意思が介在していることに、複雑な心境の沙織さん。そしてスタッフは無力感を感じつつ神妙な面持ちでいる他なかった。

感想

「こっくりさん」は私が小学生高学年の頃でしたね。「うしろの百太郎」も人気で一大心霊ブームだった事が思い出されます。

当時僕のクラスで、ふざけて「こっくりさん」を馬鹿にする発言を繰り返した男子がいて、その子の顔がだんだん狐っぽく変化して(そのように見えただけかも)、クラス全員震え上がったことがありました。なんとかせねばと子供たちだけで思案を重ね、クラス全員が学校の近くに集まり、1人の霊感女子が「こっくりさん」ならぬ「女神様」にお告げを請うというカオスが展開され、そのお告げが「この場でみんなで遊ぶ」という、訳の分からないものであったのですが、その場の雰囲気に呑まれて男女入り乱れてドロケイで遊びまくって呪いを回避したという、今となっては懐かしい思い出です。僕自身は半信半疑であったものの、普段絡めない女子と遊べて、心の中では「こっくりさん、女神様、GJ!」と呟いていたという、遥か昔の記憶が蘇りました。ただし、遥か昔すぎて事実誤認や妄想が入り混じっている可能性は大ですが(笑)。

まあそれはともかく、文字盤(実はただの紙片)上を超高速で動き回る10円硬貨、「この子の名前、決めてもらってるの♥(ハート)」という君江さんの、なんだかアニメのようで芝居がかった萌え声が、結構不気味でした。先の映像で「シャリシャリ」言ってた音はこれだったんだ、と判明したところでゾッとさせられます。

さらに振り返ったときの、風化した人形みたいな君江さんの顔に、舐めてかかっていた私はかなりびっくりしてしてしまい、結構怖かったです。

先の映像を振り返ると、君江さんはあの家で未だこっくりさんをやり続けているのでしょうか。完全に「シラヤマ」に依存してしまっていた母親、まさか父を選択したのも、自分の名前もこの「シラヤマ」のお告げに従っていたのだ、と分かった沙織さんの心情は、察するに余り有ります。

どうでもいいですが、中学時代の井田さん達の写真、井田さんが妙に可愛いと感じてしまったのは私だけでしょうか(笑)。因みに隣の君江さんも可愛かったのですが、他の写真から切り抜いてPhotoShopで合成した感がありありで、ちょっと萌えませんでした(笑)。

現在の井田さんは……年相応でした。

感想まとめ

という訳で、寺内氏の「黙示録も続くかどうかわからない」というメタ発言から察するに、このシリーズ、この巻で最後かもしれません。ただこの第四章は結構面白かったので、今後も続けて欲しい気がしますね……と思ったらAmazonに第五章の情報がありました。発売は4月7日のようですね。

しかし、この巻でも引き合いに出された「Notfoundシリーズ」はどうなんですかね。46巻もあるから躊躇してしまうのですけど、人気もあるみたいなので、押さえておく必要があるかも、なんて感じています。

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