はじめに
「ほんとにあった!呪いのビデオ111」が2025年7月4日にリリースされました。毎度ながらこの時期、「呪われた心霊動画XXX」の新作と完全にバッティングしてしまいました。「XXX」の方は何度も見返したりの考察要素があるので、こちらのレビューを先に行います。
このレビューはネタバレ満載ですので、本タイトル未見の方はご注意のほどよろしくお願いいたします。
不審者(怖い)
概要
夜の公園。人影もまばらな中、スーツ姿の若い男性の前に、妙な男が立ちはだかり、ブツブツと文句のようなことを言っている。だが、その言葉はどこか不自然で、はっきりとは聞き取れない。スーツの男性は、その男にまったく気づいていないかのように無視を続けている。
この一部始終を目撃した投稿者カップルは、不審者だと感じ、興味本位で動画撮影を始める。だが突然、その男が振り返り、こちらをじっと睨みつけてくる。かなり離れていたはずなのに、なぜかこちらの存在に気づいたようだ。
ヤバいと感じた二人は慌ててその場を離れるが、公園の出口を探す途中、なんとさっきの男と思しき人物が先回りして立っていた。慌てて踵を返す投稿者。彼女はその男の姿を見ていないようで、戸惑っている様子だ。
ようやく広い道に出て安心したのも束の間……。
感想(ネタバレ)
遠くから「ううぉ〜」という声が近づいてきて、思わず振り返った投稿者の前に、不気味な顔が迫ってきます。「こちらに迫ってくる系」は苦手なので少し驚きました。
かつての傑作「疾走!」を思い出させます。得体の知れない声がだんだん大きくなり、正体不明の何かが近づいてくるという構成は非常に恐ろしく、その点で「疾走!」と共通しています。ただ、こちらは夜とは言え公園という公共の場であり、迫ってくる声もどこか弱々しく、インパクトは「疾走!」には及びません。
とはいえ、あの傑作がなければ、なかなか怖い映像だったと思います。つかみとしてはまずまずの出来だと思います。
リプレイ(かなり怖い)
概要
投稿者が父の遺品から見つけたDVD。どうやらとある医療施設の診療風景を記録したものらしいが、何のために撮影されたのかは映像からはわからない。設備や建物の様子から、かなり昔のものと思われる。
診療の様子を淡々と映しているだけのようだが、患者らしき少年の登場シーンが何度も“リプレイ”される。その少年の背後に……。
感想(ネタバレ)
投稿者の父は古い映像を管理する仕事に就いていたらしく、本人の口からも語られますが、具体的にどういう職種だったのかは不明。どうやらこの映像に直接関与していたわけではなく、偶然見つけてしまったような雰囲気です。遺品の奥深くにしまわれていたことからも、処分したくてもできなかった事情が感じられます。
映像では、巻き戻して再生するたびに、少年の背後に老婆のような不気味な存在が徐々に近づいてきます。おそらく元はVHSテープでしょうが、「再生するたびに近づいてくる」という演出は新鮮で、非常に興味深く、かつ怖いです。
この医療施設は歯科医院のようで、老婆も大きく口を開けており、かなりの恐怖感を演出しています。まさか「私の歯も診てぇ」ではないでしょうが(笑)。
節分(少し怖い)
概要
姉夫婦が不在のため、投稿者(女性)は幼い姪っ子と二人で節分の豆まきをすることに。姪っ子は手作りの鬼のお面を被り、「奥の部屋に隠れるから、出てきたら豆をまいてね」とかわいらしい提案をする。彼女が出てくるのを待っていると、扉を開けて入ってきた姪が、突然、火がついたように泣き出した。
その映像、姪の背後には……。
感想(ネタバレ)
まあ、ご想像の通りです。
投稿者はリアルタイムではその存在に気づかず、なぜ泣き出したのかわからない様子。後で映像を見返し、ようやく異変に気づいたようです。
「自分と姪だけしかいない」ちょっとだけ普段と違うシチュエーションが、恐怖を増幅させています。ただ、映像的なインパクトは前の2エピソードに比べると控えめでしたね。
黙示録 前編(少し怖い)
概要
血に染まった「件(くだん)」のお札のようなものが、7通目として制作委員会事務所に送りつけられる。冒頭で、その異常事態が演出補・男鹿氏の語りによって紹介される。
不動産営業の投稿者・芦名さんは、行政の空き家対策室の依頼を受け、とある古アパートの内見へ向かう。部屋は現状引き渡しで、がらんとしていて生活感もないが、一室だけは壁一面にお札が貼られ、異様な空間となっていた。
そのお札はすべて「件」と呼ばれる、人の顔と牛の体を持つ伝承上の存在が描かれている。「件」は災いを予言し、その後に死亡、予言が現実になるという縁起の悪い存在とされている。
不気味な雰囲気に飲まれた投稿者が、お札の一つをめくると、そこには……。
その後、芦名さんの体に痛々しい発疹や謎の痣などの異変が現れる。
部屋の持ち主は父親から相続しただけで詳細は知らず、15年間50代の女性が住んでいたが、20年前に突然夜逃げして以来、放置されているという。スタッフは調査のため部屋を訪れ、押し入れで古いビデオデッキと、「平成七年御神事」と書かれたVHSテープを発見する。
続く。
感想(ネタバレ)
いよいよ夏の三部作が始まりましたね。
冒頭の「件」の説明テロップ、不気味なお札、演出補の男鹿氏の「もうヤバいんじゃないですかね」というセリフ、藤本監督の「それ、もう見たくないから放っておいて!」的な態度、そして頭にケガをしている美濃演出補の姿。このあたりで既に只事ではない雰囲気が漂っています。期待が高まる導入です。
映像は雰囲気抜群。生活感のない空間ながら、絶妙なタイミングで入るラップ音、勝手に開くトイレのドア、真昼で明るいのに怖い。特にお札だらけの部屋では、風の巻き込む音(SEなのか実音か不明)が非常に効果的に恐怖を演出しています。
お札をめくったその先に「何か」がいる、という定番展開ですが、名エピソード「邪眼」を思い出させます。その後の映像ノイズも凄まじく、無数の顔のようなものが浮かんでいるのが確認できました。音声のノイズも不快で効果的です。
大変ふくよかな男鹿演出補が、「階段が危ないから車で待機」と言う恒例の笑いどころも。
匣(少し怖い)
概要
彼氏へのプレゼントとして、ヴィンテージの財布を古物商の通販で購入した投稿者。宅配便で荷物が届き、嬉々として箱を開けると、そこには信じがたいものが…。
感想(ネタバレ)
どうやら年代物の財布らしいのですが、通販で骨董品を買うのはやはり少し怖いですね。お察しの通り、箱の中から“こんにちは”してくるのは……まあ、ご想像通りのモノです。
眉間にしわを寄せて、苦しそうな表情なのが妙に生々しくて印象に残ります。
シリーズ監視カメラ・拝殿前(意外と怖い)
概要
賽銭泥棒対策として設置された防犯カメラの映像。深夜の拝殿前、木の陰から何者かが這い出してくる。そしてその直後……。
感想(ネタバレ)
木の陰からなんかが這ってくるのですよ。完全なシルエットですが、それが明らかに「人」だと分かるのが怖い。そこに注目していると、不意に激しい映像と音声ノイズとともに顔が出てくるので、かなりびっくりします。
また、背後から呪文のような声も聞こえてきます。小粒ながら、深夜の神社というロケーションも手伝って、意外と不気味で印象に残るエピソードでした。
砂丘(怖くない)
概要
鳥取砂丘で遊んでいたら日が暮れてきた。カメラを左にパンしたら……。
感想(ネタバレ)
左にパンしたら、老婆が映り込みます。
夕暮れの砂丘という風景は雰囲気があるものの、あまりにも「お化け屋敷の定番」的なテンプレ老女が唐突に現れるだけなので、怖さはあまり感じません。
黙示録 後編(少し怖い)
概要
部屋の調査は続く。
藤本は美濃にお札をめくらせたり、自分も一枚拝借したりと、大胆な行動に出る。そして天井裏で神棚を発見。その神棚にも件のお札が祀られていた。
ところが、押し入れの上段から藤本が転落。落下と同時に、赤い手形が描かれた不気味な紙が舞い落ちてくる。そこには「奉・駒右衛門ノ神(仮称)」と記されており、ある人物の住所・氏名、そして謎の呪文のような文言が確認できた。
直後、機材に激しいノイズが走り、この日の調査は中断を余儀なくされる。後日、映像を確認すると、不可解な存在が写り込んでいた。
赤い手形の紙から得た情報を元に、スタッフはまず群馬県の「佐野さん」の住所を訪ねるが、既に故人であることが判明。続いて、お札の部屋で発見されたVHS映像を専門家に見せたところ、「これはおそらく、自動書記によって霊的な啓示を受けた神主のような人物が、何かを書き記している映像ではないか」との見解が示された。
ここでその映像が紹介される。
一般的な白装束ではなく、黒い着物をまとった男性が、何かに憑かれたかのように筆を走らせる。そして書き終えた直後、静かに崩れ落ちる……。
さらに、紙に記されていたもう一人の人物「はなり(漢字不明)」さんの住所を訪ねて長野へ。
呼び鈴には反応がなかったが、去り際に門柱からこちらをうかがう若い女性の姿が確認される。近所の聞き込みによると、「はなり」さんは離婚後この地を離れ、行方不明。妻は既に亡くなっており、娘が現在この家に住んでいるらしい。
先ほどの女性が、はなりさんの娘なのだろうか……?
つづく。
感想(ネタバレ)
藤本氏が転落する直前、カメラに不気味な男性の姿が一瞬写っていました。初見では気づきにくいですが、リプレイで紹介されたその顔は、かなり怖いです。
また、激しい映像ノイズの中に浮かぶ無数の顔も、最初の投稿映像と同じ感じ。部屋で見つかった血の手形の謎文書に、どうやら何かしらの鍵があるようです。
「はなり」さんの娘との接触が次回予告されており、物語はますます気になる展開に。期待が膨らみます。
感想まとめ
一般投稿には程よく怖いエピソードが揃い、メインエピソードも今後の展開を期待させる内容で、全体としてはかなり楽しめました。
残念ながら、「思わず目を背けるほどの恐怖」とまではいきませんでしたが、これは「ほん呪」を観すぎて感覚がマヒしているせいかもしれません。一般の方が観れば、充分に怖いと思います。
何より、メインエピソードが今後どう展開していくのかが非常に気になります。来月が楽しみです。
では。
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