はじめに
「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!シリーズ」の第二作目、「戦慄怪奇ファイル コワすぎ! FILE-02【震える幽霊】」のネタバレを含むレビューと考察です。
前巻はディレクター・工藤の傍若無人ぶりに度肝を抜かれましたが、今回はさらにパワーアップしています。そればかりか今タイトルの怪異自体も中々ぶっ飛んでいましたね(笑)。そしてぶっ飛んではいるものの恐怖度は上がっております。
あ、予め言っておきますが、視聴の際には音量注意です。そして最後まで油断は禁物です(笑)。
尚、以下の見出しは公式なものではなく、僕が勝手に付けたものです。
概要(ネタバレ)
投稿映像
ディレクター・工藤のもとに、再び一本の投稿映像が届いた。
舞台は、どこかの古い公共施設と思しき鉄筋コンクリート造りの廃墟。天井は崩れ落ち、長年放置されてきたことが一目で分かる荒廃ぶりだ。そこに肝試しと称して訪れた若い男女四人が、騒ぎながら探索を進めていく。
しかし異変はすぐに訪れる。どこからともなく「チーン」というお鈴のような音が断続的に響き始め、さらに重い足音のような「ドンドン」という響きも加わる。ふざけ半分だった空気は一変し、女性の一人はパニック寸前に追い込まれる。
やがて三階の端の行き止まりに追い込まれ、問題の部屋を覗いた瞬間、女性のシルエットのような小刻みに震える人影がこちらへ向かってくる。一同は大混乱に陥り、そこで映像は終わる。
調査開始 ― 震える幽霊を追う
映像を見た工藤は市川に宣言する。
「この震える幽霊を撮る」
スタッフは投稿者の高木、倉田、上村を伴い現地へ向かう。発案者だった真野夕子は連絡が取れず不参加だった。彼女が「絶対出る」と言い出したという。
日暮れ迫る廃墟。三階へ向かう途中で物が倒れる大音響にみんなびっくり、視聴者もびっくり。再び鳴るお鈴。怯える上村がうるさくて本当にうざい(笑)。足音の聞こえた地点で工藤は大声で威嚇するが反応はない。
「つまんねえ幽霊だな」
その瞬間、天井から赤黒い謎の液体が滴り落ちる。強烈な異臭を放つそれには、なぜか白い花弁が混じっていた。
問題の部屋ではライトが消え、方位磁石が回転するなど怪現象が続発する。工藤は前巻で使用した「異界の鬼を呼び寄せる髪の毛の呪術物」を投げ込むという暴挙に出る。抗議する市川を蹴り飛ばす場面まで発生する。
投稿者たちが奇声を上げ苦しみだすが、霊と呪いが打ち消し合う効果を狙い、例の呪術物を彼らの喉元にねじ込み、さらに全員をぶん殴るというさらなる暴挙に出る。結果的に事態は収束した。
一同は撤収となるが、震える幽霊の決定的映像を撮れなかったことに工藤は不満げである。
失踪 ― 夕子の部屋での遭遇
帰路、高木は夕子から叫び声の留守電が入っていたことに気付く。尋常ではない様子に、急遽彼女の部屋へ向かう。
ちゃぶ台には用意された食事があり、茶碗に箸が突き刺さっている以外は異常がない。だが突然の停電。徐々に大きくなる異様なビープ音。
そして――あの震える幽霊がカメラの前に現れる。その人影は倉田を指差しているように見えた。
隠された映像
後日、倉田が事務所を訪れる。実は投稿映像には続きがあった。
倉田は上村と交際しながら夕子とも関係を持っていたという。削除された映像には夕子との私的な場面が含まれていた。その最中、夕子は突然絶叫し、姿見には謎の女性の姿が浮かび上がる。
夕子は呪文のように唱えていた。
「ひじりの…おかに…たつ」
真野夕子という存在
スタッフは夕子の素性を調査する。判明した事実は次の通り。
・施設出身で身寄りがない
・バイセクシャルで複数の男女と関係
・風俗勤務歴
・スカイツリーへの異様な執着があり、その空に何かを見ると言っていた
・人知を超えた性的魅力
工藤は高木と倉田を呼び出し、激しい恫喝で証言を引き出す。夕子は「スカイツリーから大地の膨大なエネルギーが放出されている」と語り、「自分は遠くから来た」「人間ではない」とも言っていたという。
浮遊したという証言写真も存在する。そこでも彼女は口に花をくわえていた。それは廃墟で降った花弁と同じ種類の花だった。
「先生」の存在
夕子が通っていたスカイツリー近くの店の証言により、壮年男性「先生」の存在が浮上する。
市川がインタビューを試みるが、
「連れてってくれる」
「そのために作った娘」
「そのために作った鬼」
意味不明な言葉ばかりで要領を得ない。ツリーへ向けて両手を掲げる奇行も目立つ。さらに彼が、あの廃墟の設計者だったことが判明する。「革命的建築だった」と語っていたという。
修復した廃墟映像には、その先生の姿も映り込んでいた。
歩道橋の対峙
スカイツリーを望む歩道橋。工藤は高木と倉田を仕込み、先生を挟み撃ちにする。
「呼んでいるよ……ひじり」
手をかざした瞬間、二人は昏倒する。再び鳴るお鈴の音。
工藤は例の呪術物をすべて装着し突撃する。しかし歩道橋に駆け上がると、先生と倉田はこつ然と消えている。
「なんでだ!」と狼狽する工藤の前に――あの存在が現れる。
工藤もまた気を失う。彼の手には、あの花が添えられていた。
消失と修復映像
結果は以下の通り。
・倉田失踪
・高木は当時の記憶を失う
・夕子と先生も行方不明
・工藤は昏睡状態
しかし工藤は一時的に意識を取り戻し、
「このシリーズはまだやるぞ!」
と息巻いていたという。
歩道橋のノイズを修復すると、先生と倉田が空へ浮かび上がり、フレームアウトしていく様子が記録されていた。そして黒い背景に浮かぶ、無機質な女性の顔。
ここで本作は幕を閉じる。
感想
今回は正直、かなり考察が難しく感じました。
結局、真野夕子は何者なのでしょうか。宇宙人なのでしょうか。それとも先生のほうが異質な存在なのでしょうか。夕子は先生に“作られた”ホムンクルスのような存在なのかとも思いましたが、感情もあるように見えますし、単なる人工生命体とは思えません。完全に人間でもなく、かといって完全な怪異でもない。その曖昧さが、このエピソードをより不気味にしているように感じます。
物語の作りとして面白いのは、前半はあくまでよくある廃墟探検モノに見せている点です。夕子も最初はモブの一人にしか見えません。しかし後半になるにつれて、彼女が物語の中心にいたことが明らかになり、気がつけば話はSFのようなスケールに広がっていきます。このジャンルのすり替わり方がとても新鮮で、印象的な構成だと思いました。
夕子の異質さは、性的な描写の部分でも強く表れています。彼女との行為が「光が見える」「闇が見える」と語られるのは明らかに普通ではありません。単なる色気ではなく、人外の存在に触れているかのような描き方です。夢魔のような存在を連想しましたが、それ以上に「別の場所へ連れて行く存在」という印象を受けました。快楽が入り口で、その先に何か別の世界があるようにも思えます。
では、先生と夕子の目的は何だったのでしょうか。夕子は明らかに投稿者たちを廃墟へ誘っています。だとすれば目的は「連れて行く」ことだったのかもしれません。倉田が消えたのは選ばれたからなのか、それとも条件に当てはまっただけなのかよくわかりません。
「ひじりのおかにたつ」という言葉もよくわからん。「聖(ひじり)」は聖人や特別な存在を意味します。「丘に立つ」という表現は、物理的な高さだけでなく、位相が一段上がることを示しているようにも思えます。
また廃墟で気持ちの悪い液体とともに落ちてきたり、夕子が咥えていたり、最後に工藤の手に添えられていた花弁ですが、これも何を意味するのかさっぱり判りませんね。どうもこの花「スイセン」のようですが、花言葉は「自己愛」「自惚れ」「気高さ」「神秘」など、関係があるようなないような。因みに毒があるらしいですよ。
スカイツリー上空に浮かぶ存在のシーンは、今回の最大の見せ場です。最初は夕子が浮いているように見えますが、その後に同じ存在が複数体、円を描くように現れます。神々しさを感じる一方で、「なんだこれは」という妙な可笑しさもあります。この荘厳さと脱力感が同時に来る感覚は、シリーズらしい味わいです。ただの恐怖ではなく、少し笑ってしまう違和感があるのが面白いところです。たくさん出てくるので、ひょっとしたら夕子は複数いたのかもしれませんね。
また、夕子が施設出身で天涯孤独だったと判ったとき、工藤がボソッと「俺と同じだ」とつぶやく場面は印象的でした。後のなにかの伏線になるのでしょうか。
そして工藤節(超弩級スーパーパワハラ)も、今回はかなりエスカレートしています。普通なら不快になりそうな行為も、彼の場合は振り切れすぎていて、もはや様式美のようで、その無茶苦茶さが逆にシリーズの味になっています。
結局、あの震える幽霊の存在が何だったのか…ちょっと判りません。いやほんと何よ(笑)。でもこの幽霊の登場の仕方や造形はなかなか怖かったですね。ほん呪初期の「大学校舎にて」を思い出しました。
次も楽しみです。
では。
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