はじめに
柄にもなくまたまた映画レビューします。
映画「見える子ちゃん」は2025年6月に公開された邦画です。監督は「ほんとにあった! 呪いのビデオ」で初期監督、現在に至るまでナレーションとして本ブログでお馴染みの中村義洋氏。主演:四谷みこ役は多数の映画ドラマに出演され、最近では朝ドラ「あんぱん」にも出演された原菜乃華さんです。アニメ好きの私としては「すずめの戸締まり」の主演:岩戸鈴芽役が印象に残っています。
6月に公開されたこの映画、Amazon Primeで配信が開始されたこともあり、とても評判が良いので観てみることにしました。
概要(ネタバレ注意)
普通のJK、四谷みこはある日突然霊が見えるようになった。街中のそこかしこに存在する霊に反応してしまうと、なんかこっちに憑いてきてしまうので怖くて仕方がない。反応すれば自分に憑いてくると知り、YouTubeで見た霊能者の助言どおり、全力スルーでやり過ごすことを決意する。
そんなある日、親友の百合川ハナに霊が取り憑いてしまう。食欲が異常に増し、次第に体調を崩していくハナ。心配するみこの様子を見た同級生の霊感少女・二暮堂ユリアと、生徒会長の権藤明生は、彼女の特別な力に気づき、アドバイスを与えようと近づくが、みこは「見えてませんよ~」としらを切る。
みこは自らの機転と知恵で一時はハナに取り憑いた霊を払うことに成功するが、妊娠中の担任・荒井先生の入院を機に赴任してきた遠野善に、新たな凶悪な霊が憑いていることを知る。
その影響で再び花の体調が悪化してしまう中、みこはユリア、明生と協力して親友に取り憑いたこの霊を払うべく奔走するのだが…。
感想(ネタバレ注意)
実はこの作品は漫画が原作で、4年前にはアニメ化もされています。
主人公の四谷みこ、百合川ハナ、二暮堂ユリアは原作にも登場しますが、生徒会長の男子・権藤明生は映画オリジナルのキャラクターです。
設定は原作から大きく改変されており、映画向けに再構成されています。
それでも1時間30分という尺の中にうまくまとめられていて、全体の構成バランスがとても良いと感じました。
また決定的に異なるのは、みこが見える「怪異」の描かれ方です。
原作ではおどろおどろしい化け物のような存在ですが、実写版では人間の形をした幽霊として描かれています。これは実写化として非常に適切な判断だと思いました。実写でCGモンスターを多用すると、どうしてもチープになりがちですからね。そして「ほん呪」を手がけた中村監督らしく、幽霊たちの造形がどこかぼんやりと儚く、それでいて確かな存在感を放っており、とても印象的でした。
作品全体のトーンとしては、どちらかといえばホラーコメディ寄り。驚かせるようなびっくりドンキーな場面は少ないので、ホラーが苦手な方でも安心して観られると思います。
そしてこの映画の最大の魅力は、なんといってもストーリーの大どんでん返しです。原作にもあった、少し切なくなる仕掛けに加え、「そう来たか!」と唸らせる展開があり、とても満足感がありました。
エンディングの清涼感も含め、ホラーでありながら温かみを感じる、完成度の高い作品だと思いました。
ここからはネタバレ
みこのお父さんが、実はすでに亡くなっており、彼女にだけ見えていた幽霊だった──。
この点はアニメ版を観て知っていたので、映画冒頭の伏線にもすぐ気づきました。
しかし、そこからさらにもう一つ仕掛けられた“もう一段上のどんでん返し”には驚かされました。
教室のシーンを見て「女子校なのかな」と思っていたところに、生徒会長の男子・明生君が登場。その時は「ああ、男女校(共学ではなく男子クラスと女子クラスが別に存在するタイプ、建物が別の場合もある)なのか」と思っていたのですが…。
体育館での生徒会長の「おい男子!女子クラスと一緒だからって浮かれるな!」というセリフを挟むあたりも芸が細かい。あの男子たち、すべて…。
それでは。
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