はじめに
「呪いの黙示録 第三章」のレビューです。
実は今年に入ってから、ニコ動の「アムモ98ホラー劇場」が最新作も基本料金だけで観れるようになった為、だいぶ視聴が楽になりました。ただしニコ動プレミアム会員にならないと画質が悪かったり、レジューム再生が出来ないのが玉にキズですけど。
生き人形遊び(ちょっと怖い)
概要
投稿者の女性、久保山さんは、友人の西原さんの交霊術の一種「生き人形遊び」に付き合うことになった。彼女の指示に従って儀式の間は部屋を退出し、30分後に戻ると部屋の隅でプルプル震えている彼女を発見する。それ以来、快活で明るい性格だったはずの彼女は見る影もなく、別人のようになってしまったという。
その様子を記録した定点カメラには儀式と共に鳴り出す激しいラップ音や、部屋の端に女の姿が浮かび上がったり、儀式に使った人形が浮かび上がったりと心霊現象が目白押しであった。思わぬ事態に西原さん震えあがる。何者かに引きずられ、人形が画面からフレームアウトし、カメラが倒れたところで映像は終わる。その瞬間不気味な顔も写り込んでいた。
感想
最初はよくある感じで新鮮味を感じないエピソードだなと思いましたが、ラップ音の音量やタイミングで雰囲気が意外と怖かったです。つかみとしてまあまあです。
祟られる山道(少し怖い)
概要
相変わらずスタッフの島田はリアル志向であり、取材光景など心霊ドキュメンタリーに不要であると考えていた。一方江益は、そのようなシーンもアリなのではと感じており、今回、寺内の代わりにディレクターを務める「ウンノヨウジ」氏も、スタッフが心霊現象に直面した時の恐怖を、余すことなく伝えるべきとの意見を持っている。相変わらずカメラ担当の福田は空気である。
そんな折、事務所宛に「まだ世間に知られていない、必ず心霊現象が起こる場所があるから取材に来い」と言うメールが届く。送り主の柿田氏は、今すぐにでも現地に取材しに来い、と何やら焦っていたが、準備を整え、現地入りするのに2日かかってしまった。
その場所は何の変哲もない林道の行き止まりであったが、地面に刺さった4本の怪しげな角材の1本を島田が抜いてしまった後に、真昼間にもかかわらず車の窓に手形いくつも付くという心霊現象に見舞われる。
車を出すと「来るのが遅いので俺はもうお終いだ」と言う内容の柿田さんのメールが来ていたことに、島田が遅ればせながら気が付く。江益が柿田さんの携帯に連絡を試みると、彼の兄と名乗る人物から柿田さんが昨日亡くなったことを伝えられた。
感想
今回の監督(ディレクター)は寺内康太郎氏ではないんですね。「心霊マスターテープ」で忙しかったのかな?
王道の展開がスピーディーに続くのが印象的です。手形が車の窓に「バン!バン!」と音を立てて付くのが意外と怖い。これどうやって撮影したのでしょうか?
後編に続きます。
公園(怖い)
概要
酒に酔った女性2人が帰宅するも飲み足らなかったのかコンビニでお酒を買って公園の東屋みたいなところで酒盛りをしている。後ろのトイレのドアがひとりでに開いたり閉まったりしていることに撮影者が気が付くがもう一人は意に介しない。
するとそのドアに白い服装の女性が立っていることに気が付く。その女性は必死の形相で彼女らに猛スピードで迫ってきた。
撮影者が悲鳴をあげて逃げ惑うところで映像は終わるが、その後もう一人の女性は事故に遭い入院してしまったとのことである。ここではかつて女性が乱暴され、自殺してしまったという出来事があった。
感想
このタイトルでは一番怖かったエピソードですね。今までに何度も書いていますが、僕はこちらに迫ってくる系が苦手と言うか、とっても怖く感じてしまうので、それだけで評価が上がります。
残念なのがこの迫ってくる幽霊が、生身の人間っぽい感じがしてしまうことで、ここはもうちょっとおどろおどろしさと言うか、異世界感というか、この世のものじゃない感じが、あとほんの少しあったら良いな思いました。直前にドアがひとりでに開いたり閉まったりして雰囲気は盛り上がるのですが。
それでもタイミングとスピード感は良かったです。いきなり加速します(笑)。
体育館の幽霊(怖くない)
概要
ある中学校の体育館での部活風景。30年前程前の古い映像だが、体育館の高い窓に人影が写ったり、キャットウォークに人影が写ったりしている。この体育館では幽霊を見るものが後を絶たないそうである。
感想
古い映像が不気味な感じを醸し出してはいますが、箸休めみたいな小粒なエピソードです。ホッと一息入れましょう。
黒星(少し怖い)
概要
島田の腕には黒い痣ができていた。どうやら取材陣はこの地域の禁忌に触れてしまったようである。今まで協力的な態度だった柿田さんの兄は、この痣を見るなり「黒星!」と呟き、「もう関わるな」と言う捨て台詞を残し去ってしまう。そして亡くなった柿田さんに現れていた、写真の顔にノイズが走り歪んでしまう現象が、島田にも発生していたのである。
この地で若者8人のうち4人が遭難して亡くなるという出来事があったことも判明した。呪いによるストレスに苛まれる島田に対し、それ以上にリアル志向で割り切ったウンノ監督の非情な態度に、江益が異を唱えるスタッフ同士のやり取りが展開された後、柿田さんの友人からもたらされた情報の廃屋へと取材陣は向かう。
そこには既に「ヒューとドロドロ」と言うふざけた名前のユーチューバーの若者2人組がいた。彼らはこの廃屋について何かを知っているようであったが、思わせぶりな態度を示すだけで、明日開設するチャンネルを見ろと言うばかりであった。
家の周りを探索していると、今まで空気だったカメラの福田が、森の奥に3つの黒い人影を発見する。そして4人目の影がいきなり目の前に現れ、彼らは慌ててその場を逃げ出す。林道まで降りると、先ほどのユーチューバーがたむろしていた。相変わらず思わせぶりで自分たちのチャンネルの宣伝しかしない彼らだが、島田に肩を触れられたのをきっかけに1人が倒れこみ、何も言わずに足早に去っていく。
彼らがいた場所では島田が前日抜いてしまった角材がまた抜かれていた。取材陣は角材を元に戻し、ここで遭難して亡くなったとされる4人の若者たちのために線香を手向け合掌する。帰り道、島田の痣が何故か消えていた。
翌日、あのユーチューバーのチャンネル「ヒュードロドロチャンネル」が開設され、動画がアップされていた。かつてこの廃屋で、行き過ぎた学生運動に感化された若者たちによる、同志への集団リンチ事件があり、4人亡くなっていることを面白おかしくレポートしたものであった。どこから手に入れたのか、不謹慎にもその際のリンチ映像まで公開してしまっている。
学生らは総括の際、リンチの対象に「黒星」と称した印をつけ、ターゲットにしていた。ターゲットに手加減をしようものなら、その人物は次のターゲットに選ばれ「黒星」を継承させられてしまう。柿田さんはその印である「黒星」をスタッフの誰かに継承させようとしていたのか。そして島田の黒星が消えたということは、あのユーチューバーにそれが継承されてしまった恐れがある。
島田は彼らに連絡しようと「ヒュードロドロチャンネル」からコンタクトを試みるが、動画アップの数十分後しか経っていないのにも関わらず、コンテンツは跡形もなく消えていた。やはり彼らに黒星が継承され、呪われてしまったのか。なぜこの地域では、集団リンチを単なる遭難ということにして事件を隠蔽したのか。何もかも謎のままである。
感想
いろいろと盛りだくさんで疲れました。まさか「山岳ベース事件」の「総括」と言うワードが今頃出てくるとは思わなかったので面喰いました。「山岳ベース事件」はWikipediaとか参照してください。凄惨かつ理不尽な事件で、とても「ヒュードロドロチャンネル」のようにふざけた調子で題材にするようなものでありません。
余談ですが私、「あさま山荘事件」を生放送で見ました。さすがに当時はその意味も解らないちびっ子でしたが、とんでもないことが起こったと子供ながらに思いましたね。あの頃は過激な学生運動が盛んで、大学って怖いところ、行きたくねぇ、なんて思ってしまったものです。
それはさておき、このエピソードは普段リアル志向でクールな姿勢だった島田君が、いざ自分に怪異が降りかかると恐怖のストレスに耐え切れずトイレで戻してしまったり、「僕死んじゃうんですかね」としおしおになってしまったりと、心霊に対する覚悟が甘かったことを突き付けられる一面がありましたね。それでも閃いて自分を江益に撮影させ、自分の身に降りかかった現象を確認させるあたりは、まだプロ根性が残っていたとも言えます。それに対して島田以上にクール、と言うよりはドライで割り切った、ある意味残酷なウンノ氏との対比が興味深いドラマになっていて、意外と面白かったと思います。
総括っぽいリンチの映像は、TVドラマのような感じで心霊現象が写っているわけでもなく、怖いというようなものではありません。「ヒュードロドロチャンネル」の2人はバラエティ番組の芸人さんみたいなノリが鼻につき、動画の作り方も題材に対しておふざけが過ぎるもので、実際にこんなものが公開されたら今なら炎上しそうです。
なんとこのチャンネルは今もYouTubeに実在しています。動画は1本も登録されていませんけれども。2022年3月3日現在、チャンネル登録者14人です(そのうちの1人は私w)。
感想まとめ
島田君の成長物語みたいになってしまったメインエピソードですが、意外と面白く観れました。ただ、学生運動とか今の若い人たちにとっては遥か昔の出来事なんでしょうけど、私にとっては時代が近すぎて素直に恐怖を感じられませんでしたね。
今後どんな展開になるのか。寺内氏は戻ってくるのか。注視させていただきます。
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