はじめに
「闇動画5」のレビューです。今回も結構面白かったです。
イタズラ電話(怖い)
概要
事故があり幽霊が出ると噂の電話ボックスの、目立たないところに携帯電話をガムテで貼り、そこに電話をかけると、いかにも公衆電話が着信してベルが鳴っているような細工を施し、通行人を脅かすというイタズラを仕掛ける若者3人組。
最初は驚く通行人をケタケタ笑っていた彼らであったが、夜が更けるとめっきり人通りが少なくなり、だんだん飽きてしまった。もうそろそろ撤収しようかと投稿者が提案するが、グループの1人、若杉さんが、もう少し粘ろうとか言っている隙に、いつの間にかボックス内に女性がいるではないか。受話器を取り電話をかけている様子だが、唐突に若杉さんの携帯のバイブが鳴動する。着信元は「公衆電話」。若杉さんが電話に出ると相手は「見せてやる」とかなんとか言っていたらしい。まさかあの女がかけてきたのか?電話ボックスに目を向けると既に女はいない。
ちょっとビビった彼らは撤収することにして、電話ボックスに仕込んだ携帯を外しに向かう。携帯を引っぺがすと、今度は本当に公衆電話が鳴り出した。逡巡する彼らだが、覚悟を決めて若杉さんが受話器を取る。だが彼は無言のままである。その時、投稿者のカメラは、ボックスのガラスに写る不気味な顔を目撃してしまう。投稿者は慌てて道路を挟んだ車付近まで逃げ出すが、若杉さんは受話器を握ったままである。しばらくして彼は道路を渡って、とぼとぼこちらに歩いてくるが、いきなり猛スピードの車に跳ねられてしまう。
この車の運転手は彼ら共通の友人であったが、奇妙なことにこの時のことを何も覚えていないという。実はこの友人は若杉さんと共謀し、投稿者達に逆ドッキリを仕掛けようとしていた。後から駆けつけて幽霊の扮装をして脅かそうとしていたらしい。若杉さんが「もう少し粘ろう」と言い出していたのは彼を待っていたからかもしれない。
取材陣が現場で調査をすると、この電話ボックス周辺での事故や事件などは確認できず、そればかりか幽霊の噂など何も聞くことができなかった。あの噂は若杉さんの捏造だったのか。なら、写り込んだ女性の姿や顔、かかってきた電話はいったい何だったのだろうか。
若杉さんは大けがを負い、生活に支障きたすほどの障害を追ってしまった。
感想
結構怖いエピソードですね。仕掛けたイタズラがほんとの怪異を呼び込んでしまうというシチュは、今となってはよくあるパターンですが、ホントに車に跳ねられてしまうといったショッキングなシーンも相まって事態の深刻さが伝わってきます。また電話ボックスと言う、今となっては旧態依然とした設備も怖さが盛り上がります。
電話ボックスのガラスに写った女の顔も、鼻筋の造形がなんだかおかしく、この世のものとは思えないような奇妙な感じが良かったです。
迎える女(少し怖い)
概要
北陸地方の観光地の古民家の座敷に浴衣姿の女が座っていた。
感想
ほんの一瞬しか写っておらず、インパクトはありませんが、写り込んだ女性の表情がちょっと怖かったですね。
デリヘルの客(?)
概要
デリヘルの元従業員が持ち込んだ映像。プレイ中の映像を裏のルートに流すため、デリヘル嬢の許可を得てアクセサリーに仕込んだ隠しカメラの映像である。
映像内の男性客は不愛想で話が弾まない上に、シャワーの同行も拒否するなど、なんだか様子がおかしい。男が携帯にかかってきた電話に出るため席を外した時、デリヘル嬢は誤って彼の荷物を床にぶちまけてしまって、中に注射器などが入っていたことが判明し、身の危険を感じた彼女はバスルームにこもり店長にメールして助けを求める。
男性はバスルームのドアをこじ開けようとするが、その間に店長がホテルに到着したようだ。だが少しもめるような声がしただけで部屋は静かになってしまう。恐る恐るバスルームから出た彼女は、待ち構えていた男性客に組み伏せられ、注射を打たれてしまった。男は意識を失った彼女の股を開き、メスを取り出して彼女の〇部から何かを3つ切り取っていったようである。
しばらくして、部屋に取り残されていた彼女は病院に担ぎ込まれたが、その〇〇〇から〇〇や〇〇〇などが切り取られていたそうである。彼女は大怪我にも関わらず、翌日には病院を抜け出し行方不明。店長も行方不明になってしまった。
エピソードでは「この世の諸悪の根源は肉欲である」とし、信者に去勢を施し、全人類去勢化を目論むロシアのキリスト教教派を指摘するシーンがあるが、関連は不明である。
取材陣は、方々に手を回してこの店長の所在を突き止めるが、「人間じゃない」「監視カメラを見ればわかる」などと言うばかりで、取材には応じてもらえなかった。さらに手を回して手に入れたホテルの監視カメラには、この男性客の超能力のようなもので、吹っ飛ばされて追い出される店長の姿が写っていた。また、男性客の後ろに2つの大きな顔が覗いていた。
この男の正体については何もわからなかった。
感想
デリヘル嬢さんが気の毒で仕方ない、全く何てことしやがる。
エピソード内では、とある宗派を示唆していますが、その存在自体全く知りませんでした。ドストエフスキーの小説にしばしば登場するそうで、教養が試されますね(ドストエフスキーなんて一行も読んだことありませんw)。
宗教がらみと言うことで、前作の「栄光の手」も思い出されます。でもそんな宗派が秘かに暗躍しているとか、話がぶっ飛びすぎて恐怖と言う感情はまるでわきません。
因みにこの宗派、信者に去勢を行っていたら、子孫がいなくなるから信者も増えないじゃん、と思ってたら、ちゃんと(?)子供を産んだ後に去勢するのですね。どちらにしても私とは相容れない考えです。
漁港の眼(は?)
概要
漁港施設に置かれた冷凍マグロ群に人間の目のようなものが…
感想
TV局スタッフが撮影したとかいう話ですが、いきなりズームしたり、画面があっちこっちと揺れ動いて、とてもプロが撮ったとは思えません。
で、ごろんと転がった冷凍マグロの背にでっかい目があります。瞬きしています。
それだけです。
奇妙なキャンプ場(怖い)
概要
人気のない河原で、2組のカップルが楽しいキャンプに訪れる。河原の映像の隅には、壊れた石碑みたいなものが2つほど写り込んでいたが、当事者は気にする様子もない。その後、バーベキューで飲むワインのコルク栓を開けるために、駐車場に道具を取りに行った際に、木の傍らに佇む白装束の女性の姿をカメラは捉えていた。
バーベキューが終わり、テントの中ではいつしか怪談話になる。メンバーの女性がネットで事前に調べた事として、この河原で過去にひどい飢饉があって、沢山の人が死んだ話をすると、外からテントを激しくバンバン叩く音や気配がする。
男性2人が周りを探りに出ると、どこからか歌のような声が聞こえてきた以外には、特に怪しいものはなく、鹿などの野生動物のせいにしてテントに戻ることにした。ところが先ほど怪談話を振った女性がテントから姿を消してしまっていた。もう一人の女性によれば、今の今まで一緒だったはずだという。この女性をあちこち探し回り、最後にトイレを調べると、歯をむき出した口の大きい異形の何かが姿を現し、こちらに迫ってきた。撮影者たちが悲鳴をあげて逃げ出すところで映像は終わっている。
無我夢中で車に避難した彼らは、朝までいなくなった彼女を待ったが、戻ってくることはなかった。この女性は今も行方不明である。後から映像を確認すると、彼女がいなくなったテント内には黒い球のようなものが残されていたが、それが何なのか、何を意味するのかは一切不明であった。
取材班はその地に長く住む、地元の老人に話を聞いたが、過去に飢饉があったという話は一切無いという。このキャンプ場はその後閉鎖され、宗教法人が辺り一帯を買い取っている。そしてこの辺りの山ではその宗教の幹部が何人も行方不明になっていたり、異常な頻度で雷が落ちるなどの怪現象が起こっているそうだ。
今後も調査を続けるというテロップでエピソードは終わる。
感想
これもなかなか怖いエピソードです。特に最後の化け物(そうとしか言いようがない)の顔が怖いです。あからさまに作りものとしか思えないんですが、それでも怖い。作り物としては今まで見た中では一番怖いかも。口が顔の大部分を占めていて歯がむき出し。目は隠れているのか無いように見え、それがまた異様さを強調しています。それがビュン!と迫ってくるので、ちょっとびっくりしましたね。
このエピソードも女性が話を創作したのかもしれず、それが新たな怪異を呼び込んだようにもとれるようになっていて、最初のエピソード「イタズラ電話」通じるものがあります。でも石碑が流れ着いているようなので、これのせいかもしれません。
ほかに客が誰もいないという状況も怖さが引き立ちますね。
感想まとめ
今回も結構面白かったですね。映像的な怖さも洗練されてきたと思います。
「イタズラ電話」と「奇妙なキャンプ場」が特に良かったですね。反面「デリヘルの客」は私にはちょっと合わないと思いました。発端が心霊的なものでも犯罪がらみの話は私は苦手のようです。
また、隙間の短編エピソードが今回は振るわなかったですね。特にマグロがワーストエピソードです。
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