闇動画10(ネタバレあり)

yamidoga10 レビュー

はじめに

「闇動画10」のレビューです。面白かったんですけど、ちょっとインパクトが落ちたかなと感じます。あと今回グロはありません。

浮気の現場(蛇が……)

概要

投稿者の同僚が妻の浮気を疑い、自分で調査を始めるが、それにかまけすぎて会社を解雇されてしまう。半年後、音信不通だった彼から証拠を掴んだという連絡が入るが、投稿者は半信半疑。すると後日その妻から同僚が失踪したとの連絡を受ける。彼の部屋を調べて今回の投稿映像が発見された。

映像は浮気現場と目される自宅の隠しカメラ。妻と真男が事に及んでいるところに同僚が駆け込み、真男に制裁を加える。その後は全員奥の寝室に行ってしまうので、何が行われているかは不明だが、そこから大きなオーブが出てきて、カメラに向かってくると同時に、巨大な白蛇が両側から出てきて映像は終わる。この日を境に元同僚は姿を消した。

だがそもそも妻はアリバイがあって、この時の映像に映ることは不可能であった。当然浮気などしていないし、当日彼女が帰宅した際に家には誰もおらず、荒らされてもいなかった。それどころか彼に浮気を疑われている事や、元同僚が会社を解雇されている事すら知らなかっという。

映像に写る妻らしき人物は誰なのか、謎の間男は何者なのか、一切が不明。彼の妻への強う疑念が幻を生み出してしまった……とでも言うのだろうか。

感想

なかなか複雑で面白いシチュエーションです。同僚は浮気を疑っているが、そもそもそんな事実は無く、そんな彼の疑念と何かが作用して、妻が好きそうな間男までも創り出してしまった。理屈に合わない奇妙な感覚に伴う、うすら寒い恐怖を醸し出す状況が展開される筈でした……蛇が出てくるまでは(笑)。

なんか登場する蛇が、子供のおもちゃをスケールアップしたみたいにチープで、これがすべてを台無しにしてしまっている感じがします。オーブだけで良かったんじゃないですかね。

黒い手(少し怖い)

概要

闇動画7」のエピソード「不在の視線、非在の視点」の投稿者より、行方不明になった上田さんを以前撮影した動画が、不気味に変化したとの連絡が入った。

映像内の上田さんの姿にノイズが入り、奇妙に歪んで、苦しむような彼の姿が、別に差し込まれている。「や・め・ろ・し・に・た・く・な・い」と言う、悲痛な音声が断片的に聞こえる。彼の体には誘い込むような真っ黒な手が纏わりついていた。

感想

まさかの続き物。

上田さんの姿が歪み、ノイズ音と共に聞こえる彼の悲痛の叫びは結構ボリューム注意です。断続的で何言っているのかは最初聞き取れませんでしたが、リプレイで理解できました。ちょっとだけ怖かったです。

映像内で投稿者が上田さんにかける最後の言葉が「彼女出来ないな」ってちょっとかわいそう。そりゃ彼女もできないうちに死にたくないでしょうよ!

腐臭(怖い)

概要

連続ひったくり事件のニュース映像を収録をしている女性レポーターと撮影スタッフ。インタビューすべき近所の人を探している最中、レポーターは不意に立ち止まり、何か様子を窺うようなそぶりを見せる。異様な匂いがしたというのだが、他のスタッフは何も感じていない。

気を取り直してレポートを続行するが、カメラがまわっている最中に彼女はいきなり倒れ込んでしまう。だが、カメラが辺りを見回しても誰もいない。何故か数十メートル先で倒れているレポーターをADが発見する。この女性レポーターに大事無かったが、彼女には多少の霊感があるそうで、それを裏付けるように背後の民家に人影が写り込んでいた。この民家は住人の男性が孤独死して以来、空き家の筈であった。

スタッフの聞き込みで、この民家のそばで怖い体験をした女子高生に話が聞けた。この女子高生の友人が、意中の人からの電話を受け取っている背後、丁度あの民家の軒先から、フラフラと不気味な男性が近づいてくる様子がスマホに捉えられていた。恐怖からその場を逃げ出す彼女だが、翌日からこの友人は駅のホームから転落死してしまったという。

感想

最初の映像は地味で大したことはない、と思わせといての2段構えで面白かったですね。

女子高生に迫る男性が、なんか痩せこけているというか、歩き方がちょっと変で、気持ち悪くて怖いです。顔も何だか崩れているし、こっち来るな!っての(笑)。

この巻で一番怖かったエピソードですね。

観光船(怖くない)

概要

観光船が港に着いたら甲板から半透明の人影が覗き込んでいた。

感想

箸休めエピソードです(奇しくも前巻と同じ位置で同じ感想w)。

ようすけくん(また蛇が…)

概要

投稿者の女性は奇妙な来訪者に悩まされていた。この来訪者の女性は精神に異常をきたしているようで、扉を開けるなり「ようすけくんいますか」と聞いてくる。投稿者はそのような名前に心当たりはないのだが、その旨を伝えても埒が明かず、意味不明なことを呟いていたり、稚拙な絵を見せられたりとなかなか帰らない。そのようなことが何日も続き、無視をしてもピンポン攻撃が延々と続く。

以前から相談を受けていた投稿者の兄は、出張の機会にこの部屋で迷惑な来訪者を待ち構えることにした。彼の強い調子の注意に、一瞬たじろいだ来訪者の女性だが、「ようすけくんみっけ」と呟くと玄関から出て行ってしまう。

ホッとしたのもつかの間、部屋の外でドスンと大きな音がする。投稿者は様子を見に玄関を出るが、特に何もない。だが、玄関扉には梵字のような奇妙なマークが円上に描かれていた。

部屋に戻ると投稿者の兄が床に倒れ、足をばたつかせて苦しんでいた。なんと真っ白で巨大な蛇が彼の口から中に入ろうとしており、彼は両手で必死にそれを防いでいるような光景であった。そして部屋の奥にはさっき玄関を出て行ったあの女性と思しき人影が立ちすくんでいる。驚いてそちらにカメラを向けるが、人影はすぐに消えてしまう。カメラを戻すと兄はぐったりとしており、蛇のようなものは既にどこにもなかった。

兄はその後全身麻痺になってしまい、動くことも話すこともできなくなってしまった。例の来訪者はマンションの屋上から飛び降りて亡くなっていたという。あのドスンと言う音は、あの女性が地面に激突する音だったのである。

感想

話が込み入って概要にまとめるのに困りました。この他に、精神疾患を持つ者に対して警察が及び腰だったりとか、投稿者が不在の時には来ないとか、この女性の親戚縁者が関わり合いになりたくないという態度で相手にしてもらえないとか、しつこいピンポン攻撃に対するイライラ感と、えも言われぬ恐怖が入り混じった状況とか、越してきたばかりで経済的に引っ越すこともままならないとか、現実的な恐怖と超自然的な畏怖がごっちゃになった感じとか、そういうのがトータルで絶望感を感じさせて、やるせないですね。

因みに全身麻痺になったお兄さんに双子の兄弟がいて、死産になったその子に彼らの両親は「ようすけ」と名付けるつもりだったとかの追加設定もあります。しかしこれでは投稿者もお兄さんも可哀そうでなりません。投稿者が部屋に戻るとき、兄のことを「お兄ちゃん」と呼んでいたのが切ない。

また、この精神疾患を持つ女性の演技が実にリアルと言うか、演技が素晴らしいというか、素晴らしすぎてイラっと来るほどでしたね。モザイクかかっているのに。

ここまでの凝った設定や、来訪者役の名演技、いろんな意味での無敵の人とのかかわりあいなど、現代社会に潜む盲点と、超自然的で訳の分からない気味の悪さがごっちゃになった恐怖を、うまく演出してきたのに…て自分でも何を言いたいのか、よくわからなくなってきましたが、とにかくまたおもちゃの蛇が出ます(笑)。

「浮気の現場」と同じような、子供のおもちゃのスケールアップ版の蛇で、雰囲気が台無しです(笑)。最初のエピソードと何か関連を感じさせるためか、または人知を超えた存在の象徴としての蛇なのでしょうが、もうちょっと造形は何とかならなかったのかな、と思いました。

感想まとめ

蛇はいらなかったんじゃないですかね。なんかこの蛇、造形が妙に可愛いんですよ(笑)。

それとも僕が知らないだけで、蛇をご神体にした神社か何かがあって、そういうやつの造形はこんな感じのが多いんでしょうかね。

とりあえず次巻に期待します。

では。

コメント

  1. sato より:

    最後のようすけくんで投稿者の兄がヘビに絡まれているところは爆笑しました。
    腐臭の2本目は結構良い映像なんですけどね…。
    結構好きなシリーズなだけに色々残念な巻です。

  2. antonescu より:

    投稿お疲れ様です。

    この巻はほんとに、蛇が出てくる理由が全く不明なのと、お兄さんの口に入ろうとしている蛇のシーンがあまりにも大根演技すぎるのが気になってしまって、なんかとっても残念だった印象が強かったです。
    旧作の方のXXXの10巻もなんか今一つだったし、10巻は何か変なジンクスでもあるんでしょうか・・・?

    これからも頑張ってください。 ^^) _旦~~

    • itton より:

      かもしれませんね。
      丁度10巻がだれてきて方向性を見直そうとする時期なんでしょうか。

      にしても「XXX10」はちょっと酷かった。

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