はじめに
「封印映像1 呪われた森」のレビューです。コメント欄でまっささんにリクエストをいただき、観てみることにしました。
この世には何らかの理由でお蔵入りになった所謂「封印映像」が多々存在する。その一部をここに紹介する、と言う触れ込みで、何となく「NotFound」に似たコンセプトですね。
このシリーズも最近(2020年)まで継続していた割と有名なシリーズで、「『ほんとにあった!呪いのビデオ』スタッフが新たに世に解き放つ、禁断の映像集」と銘打ち、その煽り文句どおりに、6巻までは「ほん呪」で活躍した児玉和土氏が監修。この巻と次の巻は岩澤宏樹氏が編集で参加しているそうです。
制作はアットエンタテインメントさんと言うところで、私にはなじみがないのですが、ホラー物はこのシリーズのみのようです。
ダンススタジオ(ちょっとだけ怖い)
概要
失踪してしまった女子高生。最後に訪れたであろうダンススタジオの監視カメラには、彼女が遭遇した奇怪な現象が記録されていた。
感想
都内のダンススタジオの監視カメラだそうです。若い女性が黙々と練習をしている光景ですが、彼女が休憩のためしゃがみます。映像では壁の3面が鏡貼りになっていて、3体の彼女の姿が写り込んでいますが、その鏡の中の1体だけが、この女性に向き直り、この女性の実体を凝視する、という不思議な光景。
突然BGM用のCDラジカセか何かから、ぐじゅぐじゅとした何とも言えない不気味なノイズ音が鳴り響き、それを合図にしたように、鏡の中の女性は立ち上がります。CDラジカセの様子を見に行く彼女がラジカセのスイッチをオフにした様子が鏡に映っています。
そのとき何かに気が付いた彼女の悲鳴が響き渡り、部屋の明かりが消えて画面は暗転してしまいます。映像はここで終わり、この女性は行方不明になってしまったそうです。
なおこのダンススタジオのあった辺りは、南千住の小塚原処刑場の跡地であったという事。
似たようなシチュが「ほん呪」にありましたね。そう「クラシックバレエ」と「鏡の中」を足して2で割ったようなエピソードです。恐怖度はあちらの方が上なのですが、ラジカセらしきものから流れる、不気味なノイズはまあまあ怖かったです。
ところで、CDもカセットテープも完全に過去のものですが、現代ではあのようなポータブル音楽デバイスは何といった良いのでしょうかね。あ、もうスマホで事足りるのか(笑)。
よつんばい(ちょい怖)
概要
バラエティ番組の軽薄なノリで街の噂を調査する女性番組アシスタント。夜に四つん這いの不気味な女性が走り回っている、という投稿ネタを聞いて回るが、ガセだったのか有力な証言が得られない。だが1人だけそれを見かけたという女性を見つけ、街はずれにある道祖神に触れて「何か」を3回唱えると狐に憑かれるという情報を得る。
早速夜になってからその道祖神に向かい、このレポーターは何を思ったのか、同行している女性ADにその「何か」を3回唱えさせ、次回ご期待くださいなどど抜かしている。
そして次の日の収録、別の取材中にこの女性レポーターの身に悲劇が訪れるのだが…。
感想
バラエティ番組のテンション高すぎるノリがうざいですね(笑)。てか自分やらずにADにやらせるとか鬼畜ですねこのリポーター。案の定、このレポーターには悲劇が訪れます。
後日別のレポートの収録中、このリポーターはカメラの後ろに何か見えたようで、そこをしきりに気にするので収録は何度も中断します。そして彼女は最後に恐怖に怯えた顔でカメラの後ろの方向に向かって指をさしますが、振り返っても何もありません。カメラが向き直るといつの間にかこのリポーターの片目には枝か何かが突き刺さってしまって苦しんでいるではありませんか。
この番組のスタッフは慌てて大騒ぎになりますが、痛みにもだえ苦しむレポーターは道路に飛び出し、カメラマンを巻き沿いにしてトラックに撥ねられ、画面は乱れて終わります。その後2人とも亡くなってしまったそうです。尚、枝の刺さったレポーターの横には黒い女性のような人影が見えました。
後にこのタイトルのスタッフがあの道祖神で呪文を唱えたADを探し出すと、彼女は引きこもりのようになってしまい、呆けて話を聞ける状態ではありませんでした。するとカメラの前で突然獣のように唸りながら四つん這いになってこちらに迫ってくるところでエピソードは終わります。
怖さ的にはまあまあですかね。最後であのADが本当に「四つん這いの女」になり、噂を再現してしまう存在になってしまったというのは面白いですね(気の毒)。そして、番組の為にペーペーの部下に危険なおまじないをやらせる、というパワハラにはちゃんと報いがあるというのも良い展開です。
でもこのレポーター役の女性の、あまりにもテンプレなわざとらしい演技が、ちょっと鼻につくんですよね。
スプーン女(少しグロ)
概要
とある投稿モノのプロデューサーの元に届いた映像。偽名なので映像の出どころの詳細は不明だが、今回のものはターゲットと決めた女性をストーキングして盗撮しているようなものだった。
この常連投稿者がある女性をターゲットにしていると、この女性に盗撮を悟られ、詰め寄られてしまう。だが以外にもこの女性は、金と引き換えに対面で撮影することを持ち掛けてくる。
投稿者が喜び勇んで撮影していると、何故か彼女の手には一本のスプーンが握られているのだが…。
感想
まあ想像できますよね。スプーンでこのストーカー君は目玉をえぐられてしまったようです。えぐるときの直接的な表現はありませんが、その目玉が地面に落ちて踏まれて潰れるところはバッチリ写っています。ちょいグロ程度ですが、あまり気持ちの良いものでもありません。
この投稿者、目玉えぐられても投稿してきたという事になりますが、ある意味根性ありますね(えぐられたのは片目だけです)。
てかこの女、キモ男の目玉えぐるためスプーン持ち歩いてるのかよ。
影整形(少し怖い)
概要
「影整形」という、聞いたこともない都市伝説のようなおまじないをした演劇部のJC達。翌日教室で演劇の練習をしていたら影が…。
彼女たちを写したスチール写真にも異変が起きていた。
感想
暗い部屋で、蝋燭に照らされた自分の影に呪文を唱えるとその影が浮かび上がり、影に整形したい願いを唱えると叶うと言うものでした。因みに中断すると、影にその部分を奪われるという儀式。
合宿でテンションが上がった彼女たちはそれを行うのですが、最初に目を大きくしたいという願いを持つ「あっちゃん」がトライ。影は浮かび上がらなかったのですが、空気を読まない顧問の突然の登場より、儀式は中断を余儀なくされたそうです(その際の映像はありません)。
翌日の練習で撮影をしていたあっちゃんのカメラには、2回にわたり黒い影が映り込み、彼女は倒れて救急車に運ばれ、その後学校をやめ、連絡がつかなくなってしまったとのこと。
当日合宿所で撮影した写メを後日確認すると、その写真のあっちゃんの両目は塗りつぶされたように消えてしまっていました。撮った直後はちゃんとあったのに。
儀式が不完全に終わってしまったので、あっちゃんは影に両目を奪われたのでしょうか。
まあまあ面白い話ですが、インパクトは弱いですね。ただし2回目の黒い影がちょっと怖いです。これがあっちゃんの影なんですかね。
JCの制服の着こなしが本当のJCみたいで、リアルでまぶしいです。ですが投稿者の眼鏡がファッショナブル過ぎて、そこだけが浮いていましたね(笑)。
呪われた森(ちょっと胸糞)
概要
グラビアアイドルにカメラを持たせ、一人で曰く付きの森の中歩かせるクズプロデューサー。案の定彼女の身に災厄が訪れる。
感想
禁忌の森への心霊ものの突撃ロケです。女の子は何かを感じて怯えており、それでも健気に頑張るのですが、ADのロケハン情報にあったご神体と称するものが見つかりません。取れ高が上がらないので彼女にカメラを持ってもらい、一人で行かせて怖がる様子を撮影させるとかこのプロデューサー鬼畜。
結局このグラビアアイドルは森の中で人事不省に陥り、ご神体と思われる祠の前で卒倒。病院に運ばれたもののすぐに事務所を辞めて行方知らずになってしまい、映像はお蔵入りになってしまいました。尚、彼女が撮った映像に女のような顔も写っていました。
一緒にロケに参加したメイクさんから、このグラビアアイドルに連絡が付くのですが、彼女はこの時に追った怪我が原因で片腕を失っていました。
映像を持ち込んだこのプロデューサーですが、女の子を一人で行かせることに周りのスタッフが「やり過ぎですよ」と反対する中、取れ高優先の態度で「(この企画がぽしゃったら)お前ら責任とれるのかよ!」と一人気を吐いていましたが、案の定ぽしゃった挙句、女の子は腕一本犠牲にしているんですけど、それに対する責任は取ったのでしょうかね、なんて思いました。
感想まとめ
残念ながらインパクト不足の感がありますね。発売が2010年ですから当時としては全体的にそつなくまとまっているとは思います。登場人物の胸糞感が際立っており、ちょっと不愉快な気持ちにもなります(特に「呪われた森」)。
「ほん呪」に「NotFound」のテイストをほんの少し混ぜたような感じを受けました。とは言っても、このシリーズも最近までリリースされてきましたから、後に面白くなってくることを期待します。
コメント
記念すべき第1巻。児玉さん時代は人間的な胸糞話が後期に比べて若干多いんですよね…次の監督からは若干減りましたが
実はダンススタジオ回、後に発売された「封印映像最恐スペシャル2」にて再調査&後日談があるんですよね。封印映像10まで見たら最恐スペシャル1と2を見てみると、一部の話の続きも見られて楽しいと思うので気が向いたら是非見てくれると嬉しいですw
そういえば最後の呪われた森で腕一本失くす羽目になったアイドルへのインタビューで使われた東屋ありますけど、昔心霊好き仲間の友人と一緒に見た時に「この場所知ってるな…」と言ってて、どこなのか尋ねたところ東京都杉並区にある「蚕糸の森公園」という公園の池のほとりにある東屋っぽいと言ってました。
その友人が後に実際行って写真を撮って見せてきたのですが、確かに同じ場所でした。
DVDは返却してしまったので、まだ確認は取れませんが記憶とストリートビューを比較するとここに間違いなさそうですね。
まさか封印映像でもロケ地が特定できるとは思っていませんでした。
情補ありがとうございます。
ああ児玉さんは胸糞話が多いんですか。
ちょっと覚悟しておきます。
封印映像は…1~5だけが児玉監督でしたっけ。そこまでは結構面白かったんですけどね
リアル志向だったほん呪の全盛期にリアリティ度外視のネタ重視で
当時は結構衝撃受けた記憶があります。不意に来るエロにも…w
ただそれ以降はほんとよく続いてるなと思うレベルで酷いです
20あたりから路線変更してさらに酷く…見続けるなら相当の覚悟が必要です
「闇動画」も初期だけ児玉氏だったんですがこちらはそれなりにクオリティを
保ててたんですが、とーんと出なくなっちゃいましたね。残念です
tasojisoさんこんにちは。
エロ…あるんですか(笑)。
うーんどれほどクオリティが下がるのか、ちょっと心配です。
今からがんが得ると、「闇動画」は結構よかったですね。
初めまして、コメント失礼いたします。
昔ニコニコのホラー百物語で見た「スプーン女」が記憶違いでノッファンだと勘違いしていて、探しても見つからなかったので今回この記事を読めて良かったです!
他のレビュー記事もいつも楽しく読ませていただいております、突然の乱文失礼いたしました。
72さん、コメントありがとうございます。
いろいろあって返信が遅れて申し訳ありません。
「スプーン女」確かにノッファンぽいですよね。