闇動画13(ネタバレあり)

yamidoga13 レビュー

はじめに

「闇動画13」のレビューです。前巻に引き続き、3本の中編のみの構成となります。今後はこのスタイルを続けるのでしょうね。

神社の怪(少し怖い)

概要

会社の研修旅行の下見をする投稿者の篠山さんと、その同僚の神崎さんとの男性2人は、ロケハンを終えて車で帰る途中に寂れた神社を発見し、よせばいいのに車を降りて、ビデオカメラで撮影しながら境内に入っていく。

後に解ったことだが、途中投稿者が立ちションベンをしに行った間、一時的にカメラを引き継いだ神崎さんは、何故か「うっひゃひゃ」とか笑いながら辺りを撮影していた。この時から彼はどこかおかしかったようだ。

篠山さんが戻り、神崎さんからカメラを受け取ってさらに奥に入っていくと、境内にワンピース姿の女性を見つける。女性は暗闇に消えていくが、その先の社付近には誰もいない。不思議に思いながらも辺りを散策する篠山さんだが、特に変わった様子はない。だが、神崎さんは気分が悪くなったようで、思わずその辺に戻してしまう。

神崎さんを休ませ、篠山さんがさらにあたりを探ると、社の裏付近で誰かが咳をする声が聞こえる。だが、声の主は神崎さんではなさそうだ。2人はこの場を立ち去ることにしたが、その途中、神崎さんが何度もしゃがみ込み、靴紐を直している。何度直してもすぐにほどけてしまい、彼の気分も一層すぐれないようだ。神崎さんをズームするカメラ。その顔のすぐ横に不気味な女の横顔が現れ、こちらに顔を向ける。その瞳は墨で塗りつぶしたように真っ黒であった。

女はすぐに消えてしまったが、神崎さんは道に倒れ込んでしまい、何とか担いで現地の病院に運び込んだが、医学的には何でもないのに彼は一ヵ月も入院する羽目になった。あの時何があったのかも彼は何も話してくれず、自分を避けるようにもなってしまい、その後篠山さんは会社を辞めてしまったので、どうなったのかは分からずじまいであった。

篠山さんは気になってその神社を再度訪れたが、そこは神社の跡地であり、鳥居や社は何年も前に既に存在していなかった。過去には神主の愛人がそこで変死し、発見されるという事件があったそうである。

感想

寂れた神社を見つけて車を停めた割には神社まで結構あるな、と思いました。というか街灯もあるし、社自体にも照明が完備されている。実はそんなに寂れていないんじゃないの?

神崎さんが最初に笑いながらその辺を撮影しているシーンで、彼の声が途中から女性の声に変わっているとか言うのだけれども、僕にはそうは感じられませんでした。確かにちょっと声は高くなるけど。

女性の幽霊の出方はなかなかインパクトがあります。何度も靴ひもがほどけてしまうのも良いですね。怖さが盛り上がります。でも、女の顔が目の周りだけ黒くてパンダみたい、と思ってしまいました。よく見るとパンダみたいに目の周りが黒いわけではなく、白目が無くて目だけが真っ黒と言った感じでかなり怖いはずなのですけど。途中までの雰囲気は良かったので惜しいです。

出会い系の女(怖い)

概要

AV監督である撮影者は、ドキュメント風AVの撮影のために、出会い系サイトで出会った女性と待ち合わせ、軽いノリの交渉でどこかにしけ込もうとすると、女性は自分の部屋に彼を招き入れた。部屋に付くとこの部屋は実は彼女の兄の部屋であると言われ、まさか美人局みたいなことになるまいな、と若干心配になるが、彼女は屈託も無く大丈夫と答える。

気を取り直し、軽いノリでこれがAVの撮影であることを女性に告げると、これまた軽いノリで彼女は撮影を承諾してくれた。だが話しているうちに女性の携帯に電話があり、彼女の兄が帰ってくると言うではないか。「あかん、今から一戦交えようってときにお兄ちゃんが帰ってくるのはまずいでしょ」と撮影者はうろたえるが、彼女は「だいじょぶだいじょぶぅ」とシャワーを浴びに行ってしまう。

「いや、いくら何でもまずいから」と、声をかけてからバスルームのドアを開ける撮影者。だが、シャワーを浴びているはずの彼女はいない。「ん?」と不審がる彼が浴槽に目を向けると…そこには……。

撮影者がバスルームから慌てて出ると、目の前に男と思しき人物が立っている。彼女の兄が帰ってきたのかと思った撮影者は、しどろもどろで状況を説明しようとするが満足に言葉が出ない。男は何も言わず部屋の奥に引っ込んでしまい、視界から消える。撮影者はそれを追うが誰もおらず、クローゼットがあるだけ。あの男がいるとすればこのクローゼットの中だろうか。

撮影者が恐る恐るクローゼットを開けると……。

後の調べでこの部屋の住人であった男性は既に行方不明であった。非合法の取引でトラブって消されたらしい、そして彼には妹がいたらしいのだが。

感想

「なんかカメラの動きがエロイ~」、「エッチなのはカメラだけどちゃうねんで~」とか、いろいろと会話がリアルと言うか、予備知識なしに冒頭だけ観たら絶対に実録物AVだと思うくらい、それっぽいです。まさかこのままおっぱじめるのかと思いましたよ(笑)。というかこの巻、R15指定なんですけど、ビジュアル的にエッチなシーンがあるわけではないですが、たぶんこのエピソードのせいでなんでしょうね。

途中から盗撮用のチビカメラから、ちゃんとしたカメラの映像に切り替わるような演出だったのに、画質が全然変わらない点は、ちょっと不自然かな、と思いました。

というわけで、今までちょっとエッチな感じだったのに、撮影者が「このまま裸を撮っちゃうよーん」と言いながらバスルームの扉を開けると様相が一変します。クローゼットから出てくるものもちょっと驚きましたが、バスルームの凄惨な有様と今までの雰囲気とのギャップがすごいです。

面白くて怖かったエピソードでしたね。結構好きかも。

窓の人影(怖い)

概要

映像提供者の男性が知り合いの建設会社の社長から手に入れたもの。解体前の潰れたリゾート施設の廃墟で発見されたものらしい。内容は無名の女性タレントを使った、低予算の心霊バラエティといった趣で、映像に写るのは女性タレントとディレクター、ADの男性2人の計3人である。

廃墟内を探索する3人だが、グダグダ進行でロケはなかなか進まない。ADから来てくれと声がしたので行ってみても呼んでないと言われたり、窓に黒い人影が立ってたり、その部屋の黒い染みが女の姿に変わったり、外で検証していたADが「後ろ!後ろ!」と叫んだあと悲鳴と共に消えたり、などと不可解な現象の連続でパニックになってしまう。

懐中電灯や機材の照明がすべて消えてしまい、辺りは漆黒の闇に包まれてしまった。カメラのフラッシュで辺りを照らして脱出を試みるが、焚くたびに長い髪の女が近づいてきて、最後に目の前に現れた女の姿とディレクターの鋭く長い悲鳴で映像は終わる。

この地には新たなリゾート施設が建設され、今も営業中だそうだ。

感想

意外と怖いです。特に女性タレントが部屋の隅の黒い染みを気にして何度もカメラの照明を当てて、3回目くらいに女の人影になるシーンや、検証のために外に出たADが2人に向かって「後ろ!(に何かいる)」と叫んだ後に悲鳴と共に消えてしまうシーンが怖かったですね。

フラッシュを焚くたびに何かが近づいてくる、というのもなかなか怖いですが、なんかどこかで似たようなものを見たような感じがします。

感想まとめ

今回も中編3本で集中して見れて良かったです。それぞれ20分前後と長いのですが、それを感じさせませんね。

「出会い系の女」の前半とクライマックスとのギャップの面白さ、「窓の人影」の影の女の禍禍しさが良かったです。特に女性タレントが気にして、カメラが何回も振り返るという構成が、怖さを盛り上げていると思いました。

一方「神社の怪」は幽霊の造形にもう一工夫欲しかったです。

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