闇動画20(ネタバレあり)

レビュー

はじめに

「闇動画20」のレビューです。今回も面白かったのですが、巻を重ねるにつれてガッツリとした心霊映像は少なめで、それよりも人間ドラマ的な怖さに比重を置いている感じがします。心霊的怖さは「心霊闇動画」に役割を譲っているのでしょうね。とは言ってもそんな要素が皆無という訳ではありません。

レビューは少しずつリアルタイムに近づいてきました。以下は多くのネタバレがありますので、ご注意願います。

死神(少し怖い)

概要

とある廃墟に男2人女2人のグループが訪れる。イクオ、タカシの男性2人、タカシが連れてきた女性カエデ、そしてイクオが連れて来たのは、行きつけのガールズバーに勤めるユミコといった面々。イクオとタカシはテレビ制作会社の社員で、番組に使用する予定の廃墟のロケハンに、懇意の女性を連れてきたと言った感じである。茶髪でフェミニンなファッションのユミコは、その装いに似合わず霊感があるという事で面白がって誘ったのだが、実はイクオが彼女に気があるという側面もあった。

昼間にロケハンを進める彼らだが、霊感のあるユミコはある部屋への入室を執拗に制止する。イクオは制止しきれず入室を許してしまうが、タカシに関しては体を張ってブロック。しかも「身に着けているものが……」と言うだけではっきりとした理由を言わない。その思わせぶりな態度にタカシはかなり気を悪くしてしまう。

この病院ではかつて患者が看護婦を噛み殺すという事件があったという噂を思い出し、この部屋がその現場だったのかもしれないとイクオ語るが、相変わらずユミコは何も言わない。

夜にも撮影する必要があるため車で待機する彼らだが、ユミコはタカシがすでに半分とり憑かれているので早めに退散したほうが良いとイクオに具申する。だが仕事でもあるため、そうは言っていられない。タカシも由美子に対してあからさまに不快感を訴え、男性同士険悪な雰囲気になってしまう。確かにいつもの彼とは様子が異なり、イクオは戸惑っているようだった。

夜を迎え、再度廃墟に浸入する一同。ユミコはタカシがおかしな行動(独り言を呟く、服を脱ぎだす、武器を手にする等)をし始めたらすぐに逃げ出すように忠告する。その後彼らを襲った恐怖とは……。

感想(ネタバレ)

その後のネタバレです。因みに登場人物の名前の表記の漢字が判らないときには、カタカナにすれば良いと今更ながらに気が付き、そうしています(笑)。

夜になってもあの部屋への侵入を拒まれたタカシは、案の定ブチ切れて服を脱ぎ始め、パンツ一丁になってしまいます。「身に着けているものが悪いんだったらこれでいいんだろ!」とでも言いたげです(パンツも脱ぐか?とも言ってましたねw)。概要では端折っていましたが、何故かイクオは護身用のナイフを持参してきており、昼間この部屋に忘れてきていたため、パンツ一丁のタカシがそのナイフを持って部屋から出てくるという状況になってしまいます。

この時点でイクオとユミコは一旦逃げ出しますが、置き去りにされたカエデの鋭い悲鳴を聞き、イクオだけが様子を見に行く羽目になります。その後、階段付近でいろいろあって3人は死んでしまうのですが、そこに無表情のユミコが静かに階段を下りてきて通り過ぎるところで映像は終わります。

語り部の映像提供者の女性の口からは、何日か後に3人が遺体で発見されたこと、あのユミコが実際にはガールズバーには勤めてなどおらず、携帯の履歴にも彼女と接触した痕跡も無く、謎の女性であること、イクオが語っていた病院の殺人事件などの事実も、噂すらも何もないことが判り、あのユミコが全ての元凶であると感じる、と語ってエピソードは終わります。

このエピソードを見た感想ですが、タカシのユミコに対するネチネチと理詰めで追及する口ぶりとか、対するユミコのはっきりとしない曖昧な態度とかに対する苛立ちとかが良く表現されているなと思いました。心霊的な事柄を、ましてやその現場ではっきりと言えないこともあるよね、と感じる視聴者(僕ですがw)からはタカシの態度はかなり不快に感じると思います。「こっちは仕事なんだから」とか言うけれども、「だったらそこに女連れてくるんじゃねえよ」と思いましたね(笑)。

そういう思いは劇中でイクオも感じていたようで、夜までの待機中にタバコ吸ってたタカシにポロっと投げかけてしまいますが、それに対して激高寸前のタカシに対して、「こいつちょっとおかしくなっているな」と実感させる演出になっています。

このような対立を自然に演出したユミコの思う壺、というところなのでしょうが、金髪に濃いめのメイク、ガーリーでフェミニンな装いのユミコが、この廃墟に棲む、人ならざる者とはとても思えず、こっちの世界の人間なのか、あっちの世界の死神なのか判別としないところが面白いなと思いました。

ネチッこくユミコを追求するタカシにちょっとムカついたものの、結構好きなエピソードです。

滑り台(怖い)

概要

公園で遊ぶカップル。トンネルタイプの滑り台(ホースと呼んでいた)から女性が下りてくる様子を撮ろうとしたら、そこから白目向いた生首が落ちてきた。驚いてカメラを逸らすとと、それはもう何処にも無い。滑り台の上では女性が寝そべっており、既に亡くなっていたそうである。撮影者の男性も数日後失踪してしまった。

感想(ネタバレ)

短いエピソードであっさり終わってしまいますが、かなりビックリさせられて怖いです。

洞窟(少し怖い)

概要

地質学教授、スズキと、鍾乳洞の撮影をしていたカメラマンのオノは、その撮影の帰り道の森の中で突然の地震に襲われ、地面が陥没してその直下の地下洞窟に転落してしまった。

スズキの携帯は壊れ、オノの携帯は行方不明、助けを呼ぶ手段がなくなってしまった彼らは途方に暮れてしまう。洞窟内には人工的な祠があったり、白装束の白骨遺体が見つかったりと、人が入った形跡があるが出口は見つからない。

湧き水はあるものの、食料がつきスズキは洞窟内で捕まえたネズミを食すなど、次第に理性を失ってしいく。何日間か後、教授の教え子らしき女性が助けに来るが、彼女も落盤で落ちて亡くなってしまい、2人は絶望の淵に立つ。

極限状態のスズキはこの女性の〇体まで〇してしまう。それに対して責めるオノに対して、自分には障害を持つ娘がおり、何としても生きて帰る必要があると訴えるスズキとのやり取りの最中、オノが隠し持っていたチョコレートが衣服からこぼれ落ちてしまった。これに激高したスズキとの揉み合いの最中、偶然無くしていたオノの携帯が見つかり、助けを呼ぶことができた。

教え子の〇ニバリズムの発覚を恐れたスズキは、オノを殺害し罪を全て彼に被せることにした。殺害に成功したスズキが安堵から慟哭していると、洞窟の奥から何かがやってくる……。

感想(ネタバレ)

ここからネタバレです。

洞窟の奥から四つん這いの人らしきものが猛スピードで画面を横切り、スズキの悲鳴と岩を打ち付けた様な衝撃音で映像は終わります。「地底人」と称され、この地域でかつて神として崇められていた土神信仰では、数人を洞窟に閉じ込めて最後まで生き残った1名を生贄にしていたという話が、テロップで表示されてエピソードは終わります。あまりにもご無体で、ちょっと気の毒。

障害を持つ娘のために何としても生きて帰りたいスズキ、キレイごとを言いながらも自分だけは助かろうとチョコレートを隠し持っていたオノとの人間同士のエゴのぶつかり合いが、ありがちと言えるものの面白く、見ごたえはありました。

最後の地底人ですが、猛スピードで横切る姿は、スローでも良くわからず、なんかとってもUMAっぽくて、これはこれで良かったとは思いますが、観る人によってはちょっと物足りなく感じてしまうかもしれません。

でもあの穴、なんか登れそうな気がするのは私だけでしょうか(笑)。 

感想まとめ

冒頭で述べたように、人間的な怖さを重点に置いて面白くはありますが、映像的な怖さはあまりなくなってきた感があります。真ん中のエピソード「滑り台」が例外で、これでバランスをとっていると感じますが、短い幕間の小エピソードなので、やはり全体的にビジュアル的な怖さは(いまさらですが)薄れてきていると感じます。

それでも話は面白いので、今後も視聴を続けたいと思います。

それでは。

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本ページの情報は2022年3月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。

コメント

  1. fd より:

    今回のエピソードは幽霊とかじゃなくて人間の心理的描写をついた怖さがありますね。結局生きている人間はたまた極限状態に陥った人間が一番怖いってか。

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