闇動画21(ネタバレあり)

yamidoga21 レビュー

はじめに

「闇動画21」のレビューです。発売は2019年1月。レビューはかなりリアルタイムに近づいてきました。以下は多くのネタバレがありますので、ご注意願います。

自殺を止める(ほんの少し怖い)

概要

Youtubeかなんかに動画をUPしようと、芸人の卵みたいなチャラい感じの男性(タッ君)とその彼女(ミユキ)とで、自殺者が多発するという大規模な公園に訪れ、自殺しそうな人を見つけて突撃インタビューを敢行するという不謹慎な企画。

そう都合よく自殺志願者など現れそうにないと思いきや、なんかそんなオーラを纏っているサラリーマン風の男性とすれ違う。彼らはこの男性に目を付け、ふざけた調子でしつこくインタビューを試みるが、男性は迷惑そうなうすら笑いを浮かべ、走って逃げ出してしまった。そして男性を追いかける過程でタッ君はミユキとはぐれてしまう。公園内に響き渡ったミユキらしき悲鳴を聞きつけ、タッ君とミユキは再開できたが、あの男性は見つからないので家に帰ることになった。

家に帰って「今日は大収穫」と、ミユキと締めの動画を撮影している最中に、玄関のチャイムが鳴る。「こんな時間に誰だろう」とタッ君がカメラを持って玄関に向かうと……。

感想(ネタバレ)

ここからネタバレです。

玄関にいたのは何とミユキさん。「なんで(公園から)置いてったのよ!」と憤慨していますが、彼女とは今まで2階で一緒だった筈なのでタッ君は混乱する。玄関先のミユキと一緒に二階に上がると、「誰だったの?」怪訝そうな表情のミユキがやっぱりいる。玄関から上がってきたミユキに「ほら!」と説明しようと振り返った直後には、2階のミユキはいなくなっており「あれ?」とか思っているうちに、階段を上がってきたもう一人のミユキも消えてしまいます。「あれ?あれ??」とうろたえているうちに、今度は鴨居で首吊っている自分の姿が表れるではありませんか。それもすぐに消えてしまい、映像は終わります。

語り部の映像提供者の話では、次の日にあの公園で首を吊っているミユキさんが発見され、撮影者のタッ君も、後日自分の部屋で首を吊って亡くなってしまったという話が聞けます。

これはあれですね、ふざけた企画が公園に巣食う自殺者の霊達の怒りを買ってしまったんですね。自殺志願者を救いたいなんて表面上では言ってましたが、あんな態度では本当の志願者も気を悪くしてしまうでしょうよ、と思いましたね。

部屋で起こる不思議な現象は悪くないんですけど、それほどの恐怖は感じません。

因みにここは葛飾区北部の都立公園、「水元公園」ですね。↓下のストリートビューは映像冒頭の広場みたいなところです。

水元公園には「電話ボックスの女性の霊」とか「10番トイレの噂」とか「首なしライダー」とかの噂が有名です。特に首なしライダーについては、道に張られたロープでバイクの少年が転倒し、亡くなっている実際の事件が過去にあったためか、それと関連してもっともらしく語られていました。ただ首つり自殺の多発はあまり聞いたことがありません。

303(怖くない)

概要

心霊番組のロケハンにと映像会社AD2人が、呪われていると噂のとある旅館の303号室に泊まる。夜になってこの部屋で就寝しているとADの1人が妙な気配に目を覚ましカメラで記録する。

するともうひとりのADが起きており、ドア際で誰かと会話している。旅館の女将に布団を貸してくれとか頼まれたらしく、彼が押入れをあけると誰かに引っ張られたようにその中に消えてしまった。撮影者が慌てて押入れを確認しても、布団があるだけで誰もいない。女将の話ではそもそも彼らの部屋には訪れてなどいないそうである。

このADは今も行方不明である。

感想

隙間の小粒エピソードです。男性ADの一人が特に抵抗することも無く押入れの中に消えてしまいます。

廃小学校(少し怖い)

概要

冒頭で煽り運転に立腹した男性とのいざこざのシーン。若者グループ3人の一人、運転していたテツヤはこの男性と喧嘩になりノックアウトしてしまった。

男をほったらかして肝試しに向かったのは、廃校になった元小学校の建物であった。この小学校では男子生徒が理科室で先生を殺害し、自分も自殺していしまうという事件があった。この男性教師は男子生徒に性的なイタズラをしていたらしいのだが、この教師の幽霊が出るとの噂であった。

ところが無人の校舎だった筈が、この建物を見回る初老の男性に見つかってしまう。「外山マサハル」を名乗るこの男性は、叱責され神妙になった彼らを見て警察への通報を見逃してくれることになった。ダメ元で噂の理科室の噂の件を訪ねると、彼は「それは理科室じゃない」と案内してくれる。

だがその間にどこからともなく無数の赤ん坊の泣き声がし始めた。「またか」みたいなことを言って外山は走って立ち去ってしまうが、「外山」とネーミングされた懐中電灯を残して消えてしまう。彼を探し、当ても無く校舎を徘徊する彼らだが、撮影者を残し仲間は次々と消えてしまう……。

感想(ネタバレ)

ここからネタバレです。

この小学校の下に貧しい村があり、貧困で育てられない赤ん坊を街の薬屋に売ってしまった。この薬屋は赤ん坊の心臓から、万病に効くとの触れ込みの薬を調合して儲けていたという、この土地の負の歴史が映像提供者のフリーライターから聞けます。

最初に消えたトオルは階段で呆けており、それを見つけた撮影者の目の前でテツヤが悲鳴をあげて屋上から転落していきます。直後、トオルが呆けたまま口から泡を吹いて倒れてしまったところで、タイミング悪く冒頭で揉めてノックアウトした男がやってきます。その男こそ町内会で見回りをしている男性だったらしく、警察を呼ぼうとしたため撮影者は彼を再びノックアウトしてしまいます。

その時、またしても赤ん坊の泣き声が聞こえてきため、恐怖に駆られた撮影者は急いで車に戻りますが、その車のバックミラーにあの初老の男性「外山マサハル」が写ってこちらを見ている、そのシーンで映像は終わります。

実は教師を殺害してしまった男子生徒の名前が「外山マサハル」であり、この外山君は赤ん坊の心臓から薬を作って儲けていた薬屋の子だった。そしてあの初老の男性の顔は、殺された教師の顔にそっくりだったという因縁話がフリーライターの男性から語られます。

色々とごちゃごちゃして判りにくい荒唐無稽な設定、最初の煽り運転からの揉め事のシーンいるの?とか、そのチェックシャツの男が町内会で見回りに来た感じに見えない、とか、ちょっとしたツッコミどころはありますね。

ただ、廃墟とまでは言えない(照明も付く)学校のガランとした空虚で冷たい雰囲気とか、GoProの臨場感あふれる映像とか、映像の最後でバックミラーに写る外山さんに撮影者が気づいていないところで映像が終わってしまうところなんかは余韻があって良かったと思います。

感想まとめ

前巻に引き続き心霊的な怖さではなく、地域や人間の抱える業みたいなテーマは悪くないんですが、少しパワーダウンは否めませんでした。

話は面白く無くはないんですが、少し低調な感じでしたね。次に期待します。

それでは。

コメント

  1. fd より:

    どうでもいいですけど最初の自○を止めるにて撮影者のたっくん、ジャンポケの斎藤に似てるw

  2. fd より:

    ちなみに次の22巻ではいよいよお待ちかねの魔窟シリーズの第三弾です。舞台は昼のステージとなっており新たな霊が登場します。

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