Not Found 外伝 いま、霊に会いにゆきます (ネタバレあり)

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はじめに

「Not Found外伝 いま霊に会いにゆきます」のレビューです。通常の「Not Found」シリーズと異なり投稿映像はありません。1本のモキュメンタリー、心霊ドラマ的な作品となります。

ちょっと古い作品なので今更なのですが、一応ネタバレ注意でございます。

概要

古賀ディレクターは会社から「2週間で『NotFound』の外伝を作れ、もう発売日とパッケージのデザインは決まっている。怖いやつ作れよ」という無茶ぶりをされる。なんとか企画をでっちあげるため、ネットで霊体験を募集したところ、「私は幽霊です」と自称する山田という人物からメールが届いた。いかにも胡散臭いのだが、他にネタもないのでその男性に会ってみることにする。

だが山田という人物はやたらと金にがめつく、廃ラブホテルに住んでいる、どう見てもただのホームレス。また、幽霊を自称するのに生前のことや死んだときのことなどをはっきりと覚えていない、携帯を持っている、プリンを美味しそうに食べる、雑誌からアイドルの写真を切り抜いてスクラップしている等、とても幽霊には思えない。山田は道すがら童謡のような歌を口ずさむが、聞いたこともないような歌である。古賀だけはその歌になんとなく聞き覚えがあるようだが、どうしても思い出せなかった。当然山田自身もこの曲の出自は記憶に無いようであった。

これでは作品にならないと懸念を示す杉本だが、納期を理由に半ば強引に取材を進める古賀の、ヤラセも厭わない態度は、最近は激務で寝る暇もないとはいえ、いつもと様子が異なっているようにも見えた。山田の幽霊の演技(?)にダメ出しをする古賀の態度はきつく、互いに険悪になってしまったが、杉本の指摘に我に返った古賀が謝罪、彼を飲みに誘ったりして和解するという一幕も。

だが撮影時には異常のなかったはずの取材テープに謎のノイズが混入し、使い物にならない事が編集時に判明する。なんとか再撮を山田に依頼するも、契約書をきちんとチェックしていなかった古賀と杉本の不手際で、都度払いの契約を盾に、前回の出演料の支払いを要求する山田との交渉が決裂し、以降、彼とは連絡が取れなくなってしまう。

止む無く山田に会うため、彼の住んでいた廃ラブホテルを再び訪れるが、やはりいない。だがそこには山田の使っていたスマホが落ちていた。その中には何かのメロディの口笛を吹く、彼らしき人物が撮影したと思われる1本の映像が残されていたが、それは彼が口ずさんでいたあのメロディと同じもの。ここで古賀はこの曲が地元のバス会社のテーマソングであることを思い出す。古賀は小中学校でこのバス会社になじみがあったため、知っていたのであった。

さらに映像には鉈を持った山田の傍らに、血だらけの女性が横たわっているという続きがあった。これを見た杉本は息を吞むが、古賀は「こんなのたいしたことない」とショッキングな映像を意に返さない。だが取材映像に異常があった時から嫌な感覚に苛まれていたカメラ担当の秋本は、恐怖から仕事を放棄し、この場から逃げ出してしまう。

とにかく唯一の手掛かりであるそのバス会社を訪ねてみると、駐車場はただの原っぱになっていた。付近の住人に話を聞くと、この会社は死傷者を出した事故が原因で倒産しており、その事故の運転手が山田という人物であったことが判明する。彼は世間からの非難に耐え切れず、妻子を殺害して自殺してしまっていたという。なんとあの山田は本当に幽霊だったとでも…言うのであろうか…。

古賀は「良いネタができた」と今は空き家になっている、彼が生前に妻子と住んでいた家に車で向かうのだが、様子が少しおかしい。そして彼は、杉本の制止にもかかわらず、あのバス会社のテーマソングを歌いだすのである…。

惨劇があったという山田の家に到着した古賀と杉本は、この後驚くべき事象に対峙することになる…。

感想(ネタバレ)

サブタイトルからして「いま、会いにゆきます」のもじりだったせいか、全く期待しておらず、視聴が「めんどくさ」とさえ思っていましたが、意外や意外、とても面白かったです。むしろ今までで一番面白かったのではないかと思えるほどです。むろんこの「Not Found」シリーズを正直微妙だと思いつつも(失礼)視聴を続けていたからこそで、古賀氏や杉本さんのキャラクターを理解している事が前提なのですが。

前半はほぼギャグパートで、特に山田幽霊の演技がへたくそすぎて、古賀氏が若干キレてしまうあたりが笑いのツボでしたね。酒が入っていたら爆笑ものでしょう。

最初は山田氏がプリンをパクパク食べてたり、アイドルの写真を雑誌から切り抜いてスクラップブック作ってたり、出がけにお湯を入れて放置して、でろでろに伸びたカップ麺食ってたりと、ただの変なおっさんホームレスにしか見えないのが、次第に幽霊らしくなっていくのだろうなあ、と思って見ていました。ですが連絡が取れなくなったときから急にその存在が消えてしまい、彼が本当にこの世のものではなくなってしまったかのようなギャップが面白いと思いました。

そして古賀氏が明らかにおかしくなり、前のシーンを振り返ってみると「山田に会った直後から少し変だったんじゃないか?」と気が付き、ああやっぱり山田は幽霊で、冒頭から古賀氏はその影響を受けていたのか、と思わせる構成も良かったです。

終盤で山田に乗っ取られた古賀氏が鉈を振り回すのですが、その時古賀氏は杉本を認識しておらず、山田の妻の名前を連呼して追いかけまわすのはちょっと怖かったですね。因みにこの時本当に幽霊っぽい山田幽霊も登場します。これもちょっとびっくりしました。

さてこのように、一歩間違えば事件になりかねなかったことで、古賀氏と杉本さんが山田氏の映像をお蔵入りにするという会話をするのですが、実際にはこのタイトルは発売されており(今観てるw)、お蔵入りにはなっていないわけで、完全フィクションなのか、フェイクドキュメンタリーなのかが曖昧になってしまっているのが残念です。この会話から完全フィクションだと解釈するのが妥当なのでしょうけど。

最後に山田幽霊ロケのOKテイクと思しき映像が流れます。隠れていた山田幽霊が鉈を持ってこちらに迫ってくるのですが、いかにもその鉈を振り下ろそうというところで映像は止め絵になり、終了します。取材シーンでの間抜けな幽霊とは打って変わった表情は中々にそれっぽいのですが、完全フィクションと謳われていない以上、あれ?映像はノイズが走って使えなくなったんじゃなかったの?と思い、ちょっと混乱しました。フェイクドキュメンタリーを貫くなら、HDDから復旧した映像が発掘できたみたいな説明があればよかったのにとも思いましたね。

それでは。

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