フェイクドキュメンタリーQ オレンジロビンソンの奇妙なブログ – Obscure(ネタバレあり)

フェイクドキュメンタリーQ

はじめに

「フェイクドキュメンタリーQ」7本目の「オレンジロビンソンの奇妙なブログ(Obscure)」を視聴しました。エピソードの長さは13分程ですが、あっという間に終わったと感じる程、興味深いものでした。

概要

2011年11月3日に更新の止まった個人ブログ、「オレンジロビンソンの日記」の最後の記事が冒頭に紹介される。自分の身にも何か起こるかもしれない、と不穏な内容の記事には、何の変哲もないどんよりとした曇り空の写真が掲載されているが、ブログ主はそこに気持ちの悪い顔が見えるという。

2009年から続くブログには、主が写真好きの男性であること、写真関係の専門学校に通い、先輩の会社で画像制作、レタッチなどのアルバイトを行っていることが綴られていた。だがある日その会社に気持ちの悪い写真を、ある家族が写った写真に合成してくれ、という奇妙な依頼が舞い込む。

創造性はおろか、その目的すら不可解な依頼に戸惑う主であるが、同じクライアントから同じような依頼が何度も何度も舞い込み、彼と彼の周りの環境は少しずつ変質してゆく。

感想(ネタバレ)

今回もYoutube上の動画タイトルと、タイトルコールのタイトルが異なります。テロップで表示されるタイトルは「或るブログ」です。

ブログによると、まず2010年11月15日におかしな依頼が舞い込みます。それは顔が不気味に変質した女性らしき顔写真を、別の家族写真になるべく大きく合成してほしいというものでした。

この顔写真が何とも言えない感じで、なんか顔の付近が崩れているというか、爛れてめくれ上がっているというか、全体的にぼけているのかブレているのか、はっきりとしたところが何もない、何とも言えず気持ちの悪いもの。

これを幸せそうな家族写真に合成するっていうのが気持ち悪くて意味不明。どちらの写真もいい感じに熟成された古さが恐怖を盛り上げます。

そしてこんな依頼が何度も何度もくる。東日本大震災の影響で仕事が激減する中でも、なんと5か月間で74枚もの依頼が来たそうで、主も気味悪がっている様子が伺えます。そしてバイト先の先輩は心労がたたり、事務所も畳むことになってしまいます。この先輩は。街のあちこちでこの不気味な女性の顔を見るようになってしまったとのことです。

事務所の最終日の記事は、最後の後かたずけの記事でしたが、例の依頼主からお礼のメールが届きます。「ありがとうございました」のメールには恐ろしい写真が多数添付されていました。

さて、エピソードは日記調のブログの記事が淡々と紹介されるだけで、インタビューとか取材とかそんなシーンは一切なく、サイトの内容をただなぞっているだけ。

ですがそれは、ネット上に確かに存在したこのブログが、このエピソードを見ている人たちにもクリック一つでたどり着けなくもない、そんな遠いようで身近にひっそりと存在していた…て感じがよく出ていて、うっすらと怖かったですね。

最後まで視聴した後、一番最初に紹介された記事の、曇り空に人の顔が見えるってのは、これはこの案件に関わった者だけが見る幻覚っていう感じなのでしょうかね。穴の開くほど見てもあの女の顔は見当たりません。でもなんか雲の形があの崩れた女の顔に見えてきそうで、ちょっと怖いんですけど(笑)。

まあ、誰かがこの家族に呪いをかけた、という事のなのでしょうか。でも誰なのでしょうか。まさかこの家族の誰かかもしれません。最後の写真は呪いが成就したという事なのでしょうね。ブログ主と先輩は図らずもこの呪いに加担することになってしまったという事なのでしょう。

今回の英語サブタイトル(Obscure)の意味が分からなくて調べたら「はっきりとしない、不明瞭な、曖昧な」と言う意味でした。なるほど、あの写真にぴったりです。

今回も楽しませていただきました。

ところで、冒頭の記事で「CS5導入!」と言う記事に懐かしさを感じましたね。「CS5」ってのは「Adobe Creative Suite」の略で、そのバージョンが「5」ってことです。「PhotoShop」や「Illustrator」などがパッケージされたソフトウエア群ですね。最終的に「CS6」までリリースされて。現在は完全サブスク化されて「Adobe Creative Cloud」略して「Adobe CC」に進化しています。

コメント

  1. Isaao より:

    写真のインパクトもさることながら、最初に提示されたブログの複線回収、そしてバックグラウンドが見えそうで見えない「余白」の描き方が絶妙で、「Q」屈指の傑作の一つだと思います。
    「Q」は後半から加速度的にレベルが上がっていき、7-12、Ex、シーズン2(暫定)は傑作ぞろいなのでお楽しみを

    • itton より:

      Isaaoさんこんばんは。

      >バックグラウンドが見えそうで見えない「余白」の描き方が絶妙

      まさにその通りですね。
      以降も傑作とのこと楽しみです。

  2. みっつ より:

    雲の写真、真ん中あたりは猫の顔に見えなくもなく
    女の顔に見えるのは右上の方ですかね。斜めに。
    (シミュラクラ現象の程度ですけれど)
    依頼の崩れまくった写真よりはよほど顔に見えるので、それとは違うんでしょうけどw

タイトルとURLをコピーしました