ほんとにあった! 呪いのビデオ 113(ネタバレ有り)

eye_catch_noro_113 ほん呪

はじめに

「ほんとにあった!呪いのビデオ113」が2025年9月5日にリリースされました。

いつも本レビューのアイキャッチ下に貼り付けている予告編ですが、前回Youtube以外での再生が禁止されてしまっていたのに今回はOKでした。意味わからん。

このレビューはネタバレ満載ですので、本タイトル未見の方はご注意のほどよろしくお願いいたします。

焼け跡(少し怖い)

概要

投稿者の男性が、暗い田舎道を歩きながらリアルタイムで動画を配信している。仕事帰りなのか、ビール片手に視聴者と雑談しつつの緩い配信だ。だが、ある地点に差しかかったとき、投稿者が「ちょっと怖いところだ」と口にし、さらに雨が降り始めたことで、それまで和やかだった空気は次第に不穏さを帯びていく。

投稿者によれば、この場所ではかつて女性の焼身自殺があったという。道には油のような染みが残り、異様な雰囲気を漂わせている。カメラが再び投稿者を映した瞬間、その背後に、つばの広い帽子をかぶった女性らしき影が暗がりの中に写り込んでいた。視聴者からは「後ろ!」「後ろに何かいた」といったコメントが相次ぐが、投稿者はよせばいいのに、その道を引き返してしまう。

そこには誰もいなかったのだが、アスファルトの路面には、焼け焦げた女性もののサンダルや、衣服の一部と思しき残骸が転がっている。異様な光景に息をのむ投稿者。カメラがそれらを映し出し、さらに右へとパンしたその先には――。

感想(ネタバレ)

右へとパンしたその先には――まあ、ご想像にお任せします。

「後ろ」と指摘されて振り返ると何かが起こる、というのはホラー映像の定番パターン。そのため正直、私自身はそれほど強い怖さは感じませんでした。ただ、初見の人が観れば思わずドキッとするかもしれません。暗い田舎道、雨音、そして淡々と続く配信との対比が効いていて、空気そのものにじわじわとした不気味さが漂っていました。

また、視聴者コメントが機械的な音声で読み上げられるのも印象的でした。抑揚のない声で「後ろ」と流れるだけで、何気ないやり取りなのに妙に不気味さが増していたように思います。

ラストに映り込んだ「もの」は定番の域を出ないのですが、そこに至るまでの雰囲気作りはとても良かったと思います。全体としては「強烈に怖い」というよりも、「雰囲気を味わう」タイプの映像でしたね。私はこういう空気感は好きです。

余談ですが、コメント音声で「うしろ」と繰り返されるたびに、昔ニコ動で話題になった、自宅配信中に不注意から大火事を起こしてしまったあの動画を思い出し、ついクスッとしてしまいました(笑いごとではないんですけど)。

旅客船(ちょっと怖いかも)

概要

かつての部活仲間による沖縄旅行の記録映像。大型フェリーに乗船し、雑魚寝部屋で撮影された日常の一幕には、仲間の女性の姿がどこか不可思議なかたちで映り込んだ。

続いて、三等客席を捉えた映像。椅子が並ぶ中、前の座席から女性の腕がだらんと後ろに伸びている様子が映っている。ただそれだけなのだが…。

感想(ネタバレ)

まず最初は雑魚寝部屋での映像。逆光でシルエットになっているうえ、小さくしか映っていないためインパクトは薄く、正直それほど怖くはありません。首がコロンと落ちてしまうのですが、このパターンは過去にもあり、「ほん呪45:逢魔時の怪」を思い起こさせます。

ところが次の三等客席の映像で、前の座席からだらんと伸びた女性の腕が映し出されます。この女性は、先ほど首が落ちるように映っていた人物だと説明されますが、実はこの時点ですでに不整脈で突然死していたとのこと。ということは、この真っ白い手は……。

((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

怖いやら、痛々しいやら、気の毒やら――何とも言えない感覚が残るシーンでした。そして、最初はインパクトの薄かった「首コロン」の場面が、後の展開を予兆していたようにも思え、中々に印象深いエピソードだったと感じます。

地下出口(少し怖い)

概要

とあるアーティストがMVに使用した地下駅を、聖地巡礼気分で訪れた投稿者。この駅はかつて国際的施設のターミナルとして多くの人で賑わっていたが、より便利な場所に新しい駅が整備されたことで、今では閑散とし、未使用のホームも残されたまま、まるで廃墟のような雰囲気を漂わせていた。

そこから施設へと伸びる500メートルもの終着点の見通せない長い連絡通路に足を踏み入れる。寂れた駅から続くその通路には人影がなく、歩くのは投稿者ひとりだけ。静まり返った空間をとぼとぼ進んでいると、どこからともなく人のうめき声のような、不気味な響きが狭い通路に反響した。

思わず振り返ったものの、背後には誰もいない。さらにもう一度振り返ると、奇妙なことに通路の入り口が近づいてきており、相当歩いたはずなのに、すぐそこに駅のコンコースが見えていた。投稿者はいったんコンコースへ戻って行き先を確かめる。特に異常はないように見えるが、拭えない違和感を抱えたまま、再び通路へと足を踏み入れていくのだった――。

感想(ネタバレ)

その後、投稿者は通路を走って進んでいきます。相当走ったはずなのに、振り返ると今度はコンコースが目の前に。恐怖に駆られた彼は「それなら先まで走り切ってやる」とばかりに猛ダッシュします。ところが前方には、またしてもさっきのコンコース。振り返れば、先ほど見たはずの先の見通せない長い通路の風景が広がっているのです。もはや恐ろしくて、この通路は使えない――そんな感じで映像は終わります。

結局、投稿者は別の経路を見つけ、そこから目的地にたどり着いたそうです。お化けや幽霊が出てくるわけではありませんが、陥ったシチュエーションそのものが不思議で怖さを感じさせます。

なかなか面白い構成ですが、初見で思い出したのはやはり話題になったゲーム『8番出口』でした。ちょうど映画版も最近公開されたばかりで、タイムリーというか狙ったようにも思えました。

映像の中で語られるところによれば、この場所には特に曰くはないとのこと。ただし、昭和で時間が止まったかのような退廃的な雰囲気の駅ゆえ、「怖い駅」として評判になり、奇妙な目撃談まで飛び出す始末です。映像は最後に「怪異を恐れる人々の念が、このような現象を引きずり込んでいるとでも…言うのだろうか…」という、いつもの言葉で締めくくられています。

ちなみに、ここは京成電鉄の「東成田駅」ですね。問題の通路は第2ターミナルへ抜けるもの。この駅はかつて「成田空港駅」を名乗っていましたが、当時の運輸省の方針(成田新幹線が本命だったため)により、旅客ターミナルまで1kmも離れていたため、バス連絡を余儀なくされた“悲劇の駅”です。廃ホームは、当時スカイライナー専用に使われていたホームだそうです。確かに閑散としていますが、現在も空港関係者の通勤利用が一日およそ2000人ほどあるそうですよ。

なお、映像で語られていた「別の通路」は実際には存在せず、現実には地上に出てターミナル間を行き来する連絡バスを利用するか、上り電車に乗って京成成田方面へ戻るしかないみたい。

因みにここで撮影されたMVとはこれ↓ですかね。

終・黙示録 前編(少し怖い)

概要

超々ざっくりあらすじ

不動産屋の芦名さんが持ち込んだのは、件(くだん)のお札で埋め尽くされた怪しい部屋の映像。住人女性は夜逃げして行方不明、部屋からは個人情報と不気味な死にざまを書いた紙片とVHSが見つかる。そこに書かれていた二人のうち一人は予言どおりに死亡、もう一人の羽成剛志は失踪中。で、その娘・澪さんに接触でき、父の奇行や残された怪しい映像が明かされる。しかも最近は家の周りに「日傘の女」が出没しているらしい。

調べると件は「コマエサマ」として祀られていたけど、像は40年前に盗まれていて、場所は例の部屋の近くだったりする。スタッフの藤本にも芦名と同じ痣が出始め、呪いが広がっているのでは…とざわつく中、事務所には血塗れのお札と剃刀が送りつけられる。極めつけは監視カメラに映った日傘の女。深夜に玄関先をうろつき、傘の内側にはお札びっしり。取材で実際に遭遇し、追いかけたら民家へ逃げ込み、そこも窓が札まみれ――。

ざっくり本編

日傘の女の自宅前で張り込んだスタッフは、母親らしき女性と接触。母によれば、黄色いお札で埋め尽くされた部屋は心を病んだ娘によるもので、引きこもってしまったという。とても手に負えず話を聞くことはできないが、娘には定期的に差出人不明の封筒が届いており、騒動の末その一部を入手することに成功する。

中には「筆冥会(仮称)」なる団体の文書があり、代表はあの行方不明の羽成剛志さんで、体調不良により後継者候補として娘の澪さんの名が挙げられ、監視を指示する内容が記されていた。スタッフが調査するも実態は掴めず、澪さんは一時避難し警察に相談することに。事務所には相変わらず血塗れのお札が届き、謎の圧力は強まっていく。

その後、日傘の女とみられる人物から澪さんへの謝罪と真相を語りたいという連絡が入る。リモート面談で彼女は「呪いを依頼した」「呪い返しを防ぐため護符で部屋を封じる決まり」「これに触れれば祟りが移る」と語り、さらに剛志さんは今も生存しているが体調を崩しており、団体の神事で「コマエサマ」の怒りに触れ組織が混乱、澪が後継者に選ばれたと告げた直後、叫び声を残して通話は途切れてしまう。間もなく彼女から映像が送られきて、ここでその内容が紹介される。

やがて専門家による古文書解析が完了。護符の禁忌や、七日間穢れていない護符を身につければ呪いが弱まってゆく旨が記されていた。だがこれを報告しても芦名さんは興味を示さず、調査終了を告げる。直後、事務所のドアには新たなメッセージの入った封筒が貼られていた。

続く

感想(ネタバレ)

また謎の団体かぁ~と、あきれつつもいきなり怒涛の展開です。結局「日傘の女」は指示されて澪さんを見張ってただけなんですね。そしてせっかく呪いの解除方法が判ったのに芦名さんの様子がおかしいのが気になります。

送られてきた映像は結構雰囲気があります。暗い田んぼの向こうに一反木綿のような白い浮遊物が幻想的に浮かんでいる様子は異世界に迷い込んだ感があって結構好きです。そのあと足元に手を伸ばして迫ってくるような姿の白い爺が登場するのですが、これ前回のエピソードで剛志さんの顔に近づいてきたあの爺でしょうかね。

秋の月(怖い)

概要

日が落ちるころ、満月が水面に映る美しい湖畔で幻想的な風景を撮影していた投稿者の映像。友人の横で少女が手招きをしている姿が一瞬映り込むのだが、その直後…。

感想(ネタバレ)

ある意味王道、ある意味ありがちな映像です。「おや?」と思って確かめても誰もいない、するとめっちゃ手前にバン!って感じです。ありがちな展開ではありますが、湖の水面に反射した満月が本当にきれい。そんな異世界感が幻想的で、映り込んだものの異様さが引き立ちます。

あと最後の顔、ちょっと怖いんですよ。

シリーズ監視カメラ・河川下とんねる(少し怖い)

概要

河川の下を潜り抜ける歩行者用トンネル。無機質なコンクリートがむき出しになった空間で、一見すると何の変哲もないが、深夜ともなれば人影は途絶え、ひどく心細い場所となる。

やがて、その監視カメラには、にわかには信じ難い光景が記録されていた――。

感想(ネタバレ)

まず手前の照明が消え、カメラ側は闇に包まれます。まだ明かりの残る奥の方に、小さな男の子のようなシルエットが現れます。深夜1時15分という時間帯に、子どもが歩いているはずもありません。その影はひょこひょことこちらに近づき、手前の暗がりへと消えてしまいました。直後、照明が復活しますが、そこには誰の姿もなく、乾いていたはずの路面は濡れ、水たまりまでできていました。

この近所では、嵐の夜に男の子が徘徊して行方不明となり、嵐が去った後、このトンネルで遺体が発見されたという事件があったとのこと。なぜそんな夜に外へ出てしまったのかは謎ですが、今もここをさまよっているのかと思うと、物悲しくも強く印象に残るエピソードでした。

あと、この子、よく見るとレインコート着ているようにも見えるんですよね。気が付いた時ちょっとぞっとしました。

Ghost(怖くない)

概要

「味がある」とかの理由で、ビンテージの中古レンズを装着して街撮りを楽しむ投稿者。カメラマンの夫ともに浅草近辺、隅田川の川辺で動画を撮影していたが、なんか変なものが映り込んでぎょっとする。

感想(ネタバレ)

突然画面いっぱいに無数の目玉が映り込み、投稿者は「きゃ!」と短い悲鳴を上げてしまいます。写り方は過去のエピソード「マーゴン」を思い起こさせました。目玉が人間と言うよりはマグロの目玉に見えてそれほどの怖さはありません。

終・黙示録 後編(少し怖い)

概要

ドアに貼られていた封筒には、羽成剛志さんの現在の顔写真と手紙が入っていた。やはり彼は生きていたのか。郵送ではなく直接貼られていたことから、例の団体の関係者がここまで足を運んだことは明らかで、スタッフは身の危険を感じて場所を移し、手紙を確認する。

差出人は澪さんの監視を指示した人物で、組織に属しながら個人的に真実を伝えたいと記されていた。さらに「神の力が顕現した映像」を澪さんに必ず見せるようにと書かれ、取引は一度きり、午前三時という条件が提示されていた。警察が介入すれば中止するとの警告も添えられていた。

澪さんに写真を見せると、それが父・剛志さんに間違いないと確認された。スタッフは取引に応じるべきか逡巡する。藤本や男鹿は「やっぱりやめよう」と弱気になり、美濃も当初は怖がっていた。だが彼は「逃げれば必ず後悔する」と強い思いをぶつけ、最終的に一行を奮い立たせる。そうして決断を固め、現場で紆余曲折の末に映像を手に入れる。

その映像には神事を執り行う剛志さんの姿が記録されていた。祭壇には盗まれた「コマエサマ」の像が鎮座し、やがて恐ろしい存在が顕現。剛志さんは倒れ込み、苦しむ様子が映し出されていた。映像は断続的に赤いノイズや激しい音声を挟み込み、異様な迫力を帯びていた。

この一件を境に澪さんは自宅を離れ、別の場所で暮らし始める。不審な団体や人物の影も消え、事務所への護符の嫌がらせも止んだ。そして、あのお札だらけだったアパートも、いつの間にか大量の護符がきれいさっぱり片づけられていた。

しかし、最初の投稿者・芦名さんとは連絡が取れなくなっていた。心配したスタッフが彼の自宅を訪ねると――。

感想(ネタバレ)

スパイみたいな取引場面は、それなりに面白かったですね。やり取りはなかなか緊迫感がありますので、ぜひ本編をご覧になってください。またここでは、大変ふくよかな男鹿氏が床を踏み抜くという、「ほん呪」伝統の笑いどころもあります。

苦労の末に手に入れた映像では、神事の途中で倒れ込んだ剛志さんのそばに「コマエサマ」らしき怒り狂った顔が現れ、祭壇の向こうには三本足の牛の足が映っていました。さらに赤いノイズが挟まるのですが、私にはそれが富士山の大噴火のようにも見えます。

最後に芦名さん宅を訪れると、やっぱりスタッフには塩対応。そして部屋の窓には黄色い護符がびっしり貼られていたのです。ん?、どゆこと?

今までこの団体は剛志さんを代表に据えてうまくやっていたのに、なぜいまさら急に「コマエサマ」はあれほど怒りだしたのでしょうか。ひょっとすると、老いさらばえた剛志さんでは次の予言は免れない。「早くなんとかしろ俺は知らねえよ」という警告なのかもしれません。

澪さんは結局、後継者になるつもりなのかどうか、そのあたりはまったく語られませんでしたが、普通なら絶対に嫌ですよね。また剛志さんの前任者が自動書記で残した予言の紙はどうなったのでしょうか。剛志さんは「溺れて死ぬ」運命だったはずですが、後継者になったことで猶予されたのでしょうか。

そして芦名さんは団体に取り込まれてしまったのか、それとも最初から関係者だったのか…気になる点が多く残りました。

感想まとめ

今回謎が多く、考察すべき要素があって、軽く「XXX」を思わせるように感じました。映像の怖さはやや中途半端で、もう少し直接的に恐怖を仕掛けてほしいところでした。特に「思わずビクッとする」ような映像が無かったのは、少し寂しく感じました。

とはいえ、決してつまらないわけではなく、むしろ王道ともいえる展開にはそれなりにワクワクさせられる部分もあり、そこはさすがだと思います。

一般投稿はやや地味でしたが、「旅客船」は印象的でした。映像の後半に写り込む白い手――それがすでに亡くなっていた方の手だったと後で知り、背筋がぞっとしました。全体にビビる映像は少なかったものの、この一点で強い余韻が残りました。「焼け跡」も雰囲気がありましたし、「地下出口」は鉄道好きの自分としては少し心躍る映像でした(笑)。

では。

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