ほんとにあった!呪いのビデオ54(ネタバレあり)

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ほんとにあった!呪いのビデオ54
ほんとにあった!呪いのビデオ54

はじめに

「ほんとにあった!呪いのビデオ54」です。夏の三部作「失われた仔ども達」の完結編、さらに私まとめた「私的ベスト10」第6位の「タワーパーキング」が収録されています。

私は誰(かなり怖い)

概要

教室で友人を携帯で撮影する女子高生。友人が購入したばかりのスマートフォンでAIが肉声の質問に答えてくれるアプリに話しかけている。友人は「私は誰?」と遊び心で尋ねてみる。すると、スマートフォンからは「いいだけいこ」、と言う聞いたこともない名前が読み上げられた。ほんの一瞬固まる2人だが、気を取り直してもう一度「私は誰?」と聞いてみると、今度は「問題が起きたようです」と読み上げられ、先程の答えは帰ってこない。

投稿者はカメラの視線をスマートフォンから外し友人に向けると、その背後に髪の長い女性の首だけが浮いていた。あまりの驚きと恐怖で投稿者は撮影していた携帯を取り落とし、パニックでその場を逃げ出してしまう。床に落ちた携帯は下から友人を写し続けるが、黒い髪の毛を持つ、その何かは依然そこに存在していた。

友人も投稿者も「いいだけいこ」なる人物には心当たりがないそうなのだが。

感想

友人が持っていたのは「iPhone 4S」でしょうかね。AIアプリは「Siri」でしょう。日本語版が出たのが2012年ですから、まだ出たばっかりですね。そう、この頃はホームボタンを押して起動していました。懐かしいですね。心霊と電子機器は以外と親和性が高く、インターネット時代、AI時代を迎えても、それならではの怪談が生まれてくる事は興味深く、このエピソードもその最たるものでしょう。

そしてこのエピソードですが、シチュエーションや、映像的なインパクトが中々なものに仕上がっています。「私は誰?」なんて質問自体が、不穏な空気を漂わせますが、この写り込んだこの頭部と言うか頭がとても怖いんです。

毛量が半端なく、顔は目頭の窪みと鼻ぐらいしか見えない。また毛先が墨と筆で描いたようにすうっと消えていて、とてもこの世のものの感じがせず、非常に不気味で怖いものです。それが胴体や首すらなく、白い壁を背景に浮いている絵面は、ちょっとトラウマレベルです。

私がこれを見て以来、Siriに「私は誰?」なんて聞くことはできませんw(笑)。

見えぬ踏切(怖い)

概要

大学生の投稿者。現在入居している学生寮のロッカーの裏に1本のminiDVテープが落ちていた。そこに収録されていたのは、学生のような若者たちが夜中の街中をドライブしている光景であった。どうやら旅行帰りに道を間違えたようで、鉄道の高架下らしき、行き止まりに差し掛かってしまう。

引き返そうとしたとき、不意に踏切の警報音が近くで鳴り響く。鉄道線は高架化されており、踏切はすでに無い。電車が来るはずもなく、警報音が鳴り響く事などあるはずがないのである。ただならぬ事態に車内はパニックになる。だが、車は突然故障でもしたのか、動かすことができない様子である。すると、前方より黒い人影が何人も歩いてくる。さらにフロントガラス右下に黒い顔がニューっと姿を表す。画面は暗転し、まるで電車が通過するような轟音が鳴り響き、映像は終わる。

投稿者によると、この辺りは高架化前までは踏切があり、自殺者が絶えなかった曰く付きだったそうである。また、投稿者はこの映像の若者たちに心当たりはないそうである。彼らははたして無事なのであろうか。

感想

シチュエーションが興味深いですね。絶対に起こるはずのないことが起こって当惑する様子が緊迫感があって怖いです。警報音と電車の通過音だけでも怖いのに、なんか黒いやつらがわらわら寄ってくるし(彼らに見えているかはわからないのですが)、手前にでかい顔が出てくるし。現場が人里離れた場所ではなく、普通の住宅地なのも恐怖度が高いです。なんかその辺の近所でも起こりそうじゃないですか。

でも、とっとと車降りて逃げればいいじゃないかとも思いました。怖くて出れなかったのでしょうか。

霊界電話(少し怖い)

概要

投稿者が幼い頃に撮影されたホームムービー。当時住んでいた団地のママ友達と、その子供達が自宅に集っている。その何気ない映像の途中に不意に電話の通話を録音したような音声が流れる。

昔の映像を整理していた投稿者は、この奇妙な現象を発見し、両親に聞かせると、当時隣に住んでいた男性の声に似ていると言う。ただこの男性は年配で、この映像が撮影されていた頃には亡くなっていたはずだと言うのだが。

この男性は天涯孤独であったはずなのに、孫や親類が遊びにきたなどとの虚言をする癖があり、ボケが始まっているのかと、当時は思っていたが、この現象を目の当たりにして、あれは虚言では無く、普通の人には見えない何かが見えていたかもしれない、と投稿者の両親は語っていたそうである。

ここで映像が紹介される。

途中差し込まれる音声は

呼び出し音

男性:もしもし
男性:判別不能
男性:ゆりちゃんは今どこにいるの?
幼い子供:おはか

回線切断音

投稿者もその両親も「ゆりちゃん」という子に心当たりは無いそうである。

感想

映像的な怖さはありません。何故、電話の会話が映像に紛れ込んだのか理解不能な点と、幼い子供の「おはか」という回答が少し怖いですね。

このエピソードを見て私は「リチャード・マシスン」の「長距離電話」という短編小説を思い出しました。

ある老婆に夜な夜な電話がかかってくる。その電話の主は何も答えない。最初は憤慨していた彼女もだんだんと怖くなってくる。電話交換手に訴えても、嵐であちこち電話線が切れたりしているので混線だろう、とまじめに取り合ってくれない。ある夜、こちらの「もしもし」という声に「もしもし」と男性の声が返ってくる。故障でなはなく、かけてきた人間がいたことにさらなる恐怖を覚えた彼女は、電話線を調べてくれと電話局に懇願する。電話局の調査でその電話線は実は……

というお話。リチャード・マシスンはスピルバーグの出世作「激突!」や最近では「アイアムレジェンド」とかの原作や脚本を書いた人。アメリカのドラマ「トワイライトゾーン」の脚本も手がけました。昔ちょっと読んだことがあるのですよ。

「長距離電話」は「13のショック」という短編集に収められています。興味のある方はどうぞ。

Amazonへのリンク
リチャード・マシスン 13のショック (異色作家短篇集)

失われた仔ども達 後編(怖くない)

概要

製作委員会に送られてきた2本の投稿映像。投稿者達は映像を撮影する前に「聞くと幽霊が現れる」という怖い話を聞いていた。それはとある山村の因習にまつわるものであったが、スタッフは話の出所であると思われる、安倍さんの存在に行き着く。取材班は安倍さんが子供を出産し、闇に葬ったのでないか、怖い話はこの安倍さんの実体験が歪められて伝わったのではないかと推測していた。

そんな折、取材班の元に一通の手紙とミニDVデープが届けられる。手紙の送り主は草間さん。「本当にあった呪いのビデオ52」で、話の出所を探っていた際に取材した人物であった。この際草間さんは、話の出所はコインランドリーで偶然出会った女性に聞いたと証言していたが、これは嘘であり、実際には大学時代の友人の影山さんから聞いたと言う話であった。2本のテープのうち最初の1本がここで紹介される。

撮影は草間さんと思われる。この中で影山さんが例の怖い話をしているシーンで、なんと安倍さんのDVDに収録されていた、彼女の恋人と思しき男性が同席していた。この男性は奥本さんと言い、この映像の1年後に自殺していた、と手紙には記されていた。制作委員会の独自の調べでもこの事は裏付けられた。安倍さんは奥本さんから、あの話を聞いていたとの事であろう。

この映像を見たスタッフは、直ちに草間さんに連絡を入れたが、電話はすでに繋がらなかった。インタビューに同席していた会社の同僚、南條さんに連絡を取ると、なんと草間さんは妊娠していた妻への暴力で警察に逮捕されてしまったと言うではないか。草間さんの妻はその際に流産してしまったと言うのだ。

衝撃の事実にスタッフは動揺を隠しきれない。南條さんによると、夫婦仲は悪そうには見えなかったと言うのだが。草間さんからの郵便物は配達日が指定されており、彼はこの荷物を送ってから事件を起こした可能性がある。草間さんは一連の出来事の真相を知り、今回の行動に走ったのであろうか?

取材班は全てを知っているかもしれない影山さんを追う。

つづく

感想

取材のみで怖くはありません。草間さんは真相を知り、自らの手で妻に暴力を振るって流産させようとしたのでしょうか。それ奥さん気の毒だよ。それにしてもコインランドリーの一件が嘘であったという、なんじゃそりゃ案件。ヘッタクソな絵を晒して近所を駆け回った井ノ上の立場が…。

シリーズ監視カメラ・老人ホーム(怖くないけど)

概要

とある老人ホームの防犯カメラ。廊下に設置されたカメラはどこからともなく転がってきた、無人の車椅子を捉える。廊下の真ん中で停止したその車椅子に半透明の人影が立ち上がる様が映像ではっきりと確認できる。

感想

映像的には全然怖くないんですけど、雰囲気はありますね。特に老人ホームの職員が、なんの動揺も見せずに「またかよ」って感じで淡々と車椅子を片付けるシーンがちょっとだけぞっとします。つまり無人の車椅子がコロコロ廊下に出てくるなんてのが、このホームでは日常なんですね。

タワーパーキング(めちゃ怖い)

概要

投稿者の恋人がタワーパーキングを利用した際、車のダッシュボードにビデオカメラを置き忘れる。だが、このビデオカメラは車がタワーパーキングに駐車した後、ひとりでに電源が入り撮影を開始してしまった。フロントガラス越しに無機質なパーキングの内部が写し出される。徐々に車を乗せたパレットは地下に進み、周囲は暗くなっていく。剥き出しの鉄骨の影に子供の姿が現れ、パレットの動きとともに姿を消す。直ぐに黒っぽい、なんとも言えない不気味な顔が覗き込むように姿を表す。周囲が漆黒になっても目と鼻筋だけは光り、やがて消える。

投稿者によると、その日には他にも不可解なことが起こったそうである。まず、他の駐車場に車を停める際、後方確認のバックモニターに、子供が横ぎるのを見てしまった事。車を降りて確認するも子供などいない。また、高速の料金所で、職員が後部座席を見て微笑んでいたと言うのだ。車には自分と恋人しか、乗っていないのにもかかわらず、である。このような異変はこの日だけであった。この車はレンタカーであったので、この霊は自分達にではなく、この車に取り憑いていたのでは、と投稿者は語る。

感想

以前レビューしたものを再レビューしました。

ほんとにあった呪いのビデオ私的BEST10(ネタバレあり)タワーパーキング

なんかこれ、本当に怖くてあまり何度も見たくないんですよね(笑)。理屈じゃなく、なんとなくガチっぽくて。でも、このレビューを書くために3〜4回も見てしまいました。おかげでなんか調子悪いです(気分の問題)。

で、感想なんですけど、まず最初に出てくる子供が薄くて見逃しやすいです。そしてよく見ようとそこに視線を集中すると、黒いというか、色が濃いというか、なんとも言えない顔がニューっと出てくるのでちょっと心臓に悪い。で、目だけがギラギラしている…と言いたいところですが、結構鼻の頭もギラギラしていました。これ、暗い中、横からスリット状に光が当たっているのかとも思いました。鉄骨だらけの地下駐車場ならありえるでしょう。つまりそこには何者かが、確かに存在していたのではないでしょうか。

今はもういない…(怖くない)

概要

投稿者が友人ともに、とあるバーで撮影した映像。奥の棚のガラス扉に、手を伸ばし覗き込む半透明の黒い人影が写っていた。このバーは店長が失踪し、今はもうないと言う。このテナントは入れ替わりが激しいそうだ。

感想

後ろの陳列棚(ショーケース?)がガラス戸になっていて、その中から黒い人影が手を伸ばしています。「ほんとにあった!呪いのビデオ15」の「夜の買い物」に似ていますね。「めちゃ怖い」の後なので、すごくほっとします(笑)。

失われた仔ども達 続・後編(怖い)

概要

影山さんを追うスタッフだが、交友関係から案外容易く自宅を見つけ出す事ができた。その自宅マンションを訪れるも、不在だったので近所に車を停め張り込むことになる。その時元演出補、現在は修行中であるはずの菊池が姿を表す。人手が必要であると判断した井ノ上が菊池に連絡を取っていたらしい。岩澤には知らせず、彼の独断であったため、岩澤に叱責される井ノ上。だが、ありがたい援軍を岩澤は素直に歓迎する。

帰宅した影山さんに岩澤は何度も話を聞かせて欲しいと訴えるが、影山さんにはシラを切られ、拒否されてしまう。これ以上の調査は暗礁に乗り上げてしまい、己の無力さに舌を噛み締める岩澤であった。

ここで草間さんが送ってくれたもう一本のビデオテープの内容が紹介される。それは草間さんが撮影したのか、ある年配の男性に話を聞いた際のもので、どうやら隠し撮りのようである。この男性は影山さんの小学校時代の担任教師で、影山さんの家庭環境について話している。製作委員会はこの人物を特定し、特別に収録許可をもらっているとのナレーション。

  • 影山さんの母は若い頃に産んだ最初の子供が奇形児で、生後間もなく亡くなった。
  • 彼女は精神に異常をきたし、再び奇形児が生まれることを恐れて、2番目の子供(影山さん)を堕ろそうとした。
  • 彼が生まれてからも、何度も殺そうとした。
  • 父は止む無く母と子を別々にし、母親は精神病院送りになってしまった。
  • 影山さんの父は、震災がきっかけで亡くなっていた。
  • 母親は今どうしているかは、生死を含めて不明。

この話の内容は「本当にあった呪いのビデオ52」で紹介された、怖い話とよく似ている。この怖い話に登場する「娘」とは影山さんの母親なのではないだろうか?影山さんの母親は、彼女はもうこの世にはいないのかもしれない。

ここで前編で紹介された、草間さん達に怖い話を語る、影山さんの映像の続きが紹介される。

草間さん達に怖い話をする影山さん。影山さんは「母親から聞いた話」と語っているが、彼は母親とは物心ついてからは会っていないはずである。しばらくすると、映像は一瞬乱れ、影山さんの肩越しに髪の長い女性が姿を表す。その顔には胎児のような二つの顔が張り付いているようだ。その顔は不気味に笑っている。

「本当にあった呪いのビデオ52」で紹介した、東北地方のとある山村の因習にまつわる話。実はこの話は、ある箇所を意図的に隠していることを製作委員会は報告する。懇意にしている霊能者によると、この箇所を隠すことで、呪力がかなり弱まるのだと言う。これ以上の被害者を出さないための対処である。また、話が広まらないように、関係者への口止めをしている。

懸念材料として、投稿者外村さん夫妻に子供ができたことが挙げられる。製作委員会は、敢えて包み隠さずに調査結果を夫妻に報告する。彼らは戸惑いを隠しきれない様子であったが、どんな子が生まれようとも、その子を愛する覚悟と共に、産む決心をするメールが後日届いた。複雑な、とは言え、呪いを払拭するという気構えに敬意を示すようにそのメールを見つめるスタッフ達のシーンで、エピソードは終わる。

感想

まさかの菊池登場。修行は順調だそうです(笑)。特に目立った活躍はせず、単なる顔見せになってしまいました。次巻から復活するのでしょうか。

シラを切る影山氏の態度に少しイライラしました。ちょっとくらい話をしてもいいでしょうにとも思いましたが、自宅が判ったんだから、番号も判るでしょうし、電話でアポとるとかすればよかったのにね。

エピソード自体はまあまあ楽しめました。あの怖い話に、実は意図的に隠した部分があるというのが少し怖いですね。そして、最後の映像も、女性の満面の笑顔がかなり怖いです。

感想まとめ

3巻に渡ったメインエピソードは、長く複雑で正直うんざりしていましたが、最後は思ったよりも怖くて、面白かったですね。あくまでも「思ったよりも」ですが。

何と言っても「タワーパーキング」の怖さが強烈です。その他には「私は誰」、「見えぬ踏切」が好きなエピソードです。いずれも「いつもの教室」、「なんの変哲もない住宅地」で起こった怪異で、恐怖を身近に感じられると思います。

コメント

  1. みっつ より:

    『失われた仔ども達』、伝えられた恐怖話の「隠された箇所」ですが
    それは生まれてくる奇形児を殺して「食べた」というワードでは、という気がします。食糧難にあえぎ、障害のある女を殺して食べたくらいの村ですから、赤子をただ殺すわけもないと思えます。
    奇形児を殺して食べるという異常性、猟奇性は、もう放送倫理に抵触しそうです。だから隠したと。

    これがもし図星なら、『タワーパーキング』をなんとか乗り切ったittonさんも、このネタばらしで呪われてしまうかも……。

    それにしても、前巻で安部さんがわざわざ渡してきたDVD(赤子が一瞬だけ映る動画)は何だったのか不可解です。心霊映像でもないし。

    • itton より:

      >生まれてくる奇形児を殺して「食べた」

      なるほど。それはありえそうですね。もしそうなら僕にも呪いが…(笑)。

      >安部さんのDVDの謎

      私は堕胎したって言いたかったのか…ううむ…

      • みっつ より:

        >私は堕胎したって言いたかったのか

        話の流れからすると、安部さんは子どもを身ごもって中絶したのだろうと察せられますが
        同僚や隣人の目にも体型の変化がわかるくらいまで時期を経ていると、中絶はできなくなります。
        DVDに赤子が泣く姿が映っているので、子どもは中絶されたのではなく、密かに産み落とされたあと殺害されたと思われます。
        それがやはり奇形児だったから、という理由で。かつての村人たちの行いと同様に。
        その辺りがわかるような映像描写はタブーなので、ごく暗示的な最小限の映像になっているのかな、と。推測してみました。

        ところで、巻末の投稿映像募集の所に子どもの顔が映っているそうですね。私はレンタルした時見落としました。

        • itton より:

          ああそうか。あんだけお腹が大きかったら中絶は無理のようですね。やっぱり産んだのですね。

          >巻末の投稿映像募集の所に子どもの顔が映っているそうですね

          そうだったのですか。私はスカパー(ファミリー劇場)の録画で見ていたので知りませんでした。

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