ほんとにあった!呪いのビデオ リング編(ネタバレあり)

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ほんとにあった!呪いのビデオ リング編
ほんとにあった!呪いのビデオ リング編

はじめに

「ほんとにあった!呪いのビデオ リング編」のレビューです。このリング編は別々の一般投稿をオムニバスで紹介するという通常シリーズとは異なり、1つのエピソードを深く掘り下げてゆくスタイルです。

この作品にはサブタイトルというものが無いので、以下のレビューの見出しは、「BROADWAY ONLINE SHOP」の当該ページの見出しを参考にして僕が勝手に作ったものです。

プロローグ

第1の投稿

2002年11月5日
製作委員会に1本の投稿映像が送られてくる。投稿者の村上さんに、レポーターの北川かおるがインタビューを行う。村上さんの自宅でささやかな誕生会。その誕生会に参加した友人の1人が焼身自殺をしてしまう。村上さんには自殺の動機は一切思い当たらないそうだ。後に彼が誕生会で撮ったビデオを確認してみると、低くしゃがれ声で「消えろ」と呟く音声が入っていた。

ここで問題の映像が紹介される。
地を這うような男の声で「消えろ」とはっきりと聞こえる。

第2の投稿

その後、製作委員会に新たな投稿映像が送られてくる。それは前述の村上さんの映像と酷似した内容であった。投稿者の藤井さんによると、ボーリング場で撮影した映像に、やはり「消えろ」という男の声が入っていた。映像に映る友人の1人が、動機もないのに自殺してしまった点も村上さんの映像と合致する。そればかりか撮影している日付が全く同じであるということもわかった。

ここで問題の映像が紹介される。
投稿者が見事ストライクをとり、ピースサインをカメラに向けた瞬間、地を這うような男の声で「消えろ」とはっきりと聞こえる。それは村上さんの映像の声と全く同一の声に聞こえる。

取材班は藤井さんと村上さんを引き合わせるが、互いに面識はなく、思い当たることもないという。

続々と投稿される映像・その共通点

製作委員会にはさらに同様の投稿が相次ぎ、その本数は合計15本にも及ぶ。これらには3つの共通点があった。

  1. 撮影日
  2. 「消えろ」という音声の混入
  3. 映像に映る人物が1人自殺してしまう

続々と送られてきた投稿映像。この呪いは全国で発生し、今も誰かが自殺してしまっているというのだろうか。そんな折、注目すべき投稿が現れた。それは撮影日と混入した音声は同一だが、まだ誰かが死んでいるわけではないというものであった。

新たな展開

下川さんの投稿

投稿者は下川智之さん。下川さんの父が別荘を買うというので、その下見の様子を撮影した映像に「消えろ」という声が入っていたというものであった。撮影日と音声が入っていた共通点はあるが、その映像に写っていた人物の誰かが自殺してしまうという事象だけは、このケースでは発生していなかった。

北川がこの件を下川さんに伝えようとするが、横田はそれを静止する。まだ調査を進めていない段階で無用の不安を与えないようにするという配慮からであった(でも目の前で内緒話されたら不審に思うよね)。北川は改めて映像に映っていた家族も、一緒に取材したい旨を伝えて出直すことになる。

第4の共通点

この下川さんの取材直後、彼よりも前に投稿してきた7番目の投稿者・安藤さんから再び連絡があった。安藤さんの映像に映っていた友人も自殺してしまっていたが、最初見たときには気がつかなかった、映像に写り込んだノイズに関してであった。安藤さんによると、このノイズに人影や顔が見えるというのだ。彼は持ち前の映像スキルでこれを発見したのだった。投稿された他の映像でも同様なノイズが見受けられる。つまり一連の投稿映像にはノイズの中に人影や顔が見えるという4つ目の共通点があったのだ。

これらのノイズ中の顔は非常に見づらいものだが、比較的見やすい村上さんの映像に映った顔が紹介される。縦方向に引き伸ばし、上下を逆に回転、コントラストを極端に調整すると、男のような顔がはっきりと映し出され(ねえよ)、そして下川さんの映像でも男の顔が確認できたのだ。この顔は全て同一人物のようにも見える(とは言ってなかったけどそう言うことでしょ)。

下川家への取材

スタッフは新たな新事実を伝えるため下川家へと向かう。下川智之さんの他、父・正幸さん、母・晴子さん一家に事の次第を伝え、ノイズ中の顔も見てもらう。そしてこのビデオ群のもう1つの共通点、映った人が自殺してしまう事象を説明する。

今までの和やかさは一変し、険悪な雰囲気になってしまう(北川もよせばいいのに絶対に、とか確実に自殺するとか、まだ死んでないとか言い出すので)。特に正幸さんは取材陣に対する嫌悪感を現し、「社会人として給料もらって仕事してるんだろ、ちゃんと手順を踏めよ」とか言われてしまい、これ以上の取材に消極的である。

ここで、下川さんの映像が紹介される。

別荘地とは思えない荒地で、意気揚々と説明する正幸さんだが、晴子さん、智之さんはなんだか気乗りのしない様子。「よくこんな土地買う気になれたね」という智之さんのセルフの直後「消えろ」と今までの投稿映像と同様のつぶやきが聞こえる。

現場に向かう一行

取材班は下川さん一家を伴い、撮影現場へと向かう。予想以上に早く着いてしまい、あたりはまだ真っ暗な状態。ここで正幸さんは別荘への思いを語るが、相変わらず息子の智之さんは気が乗らない様子であった。これといった収穫も得られない中、地元の図書館でこの辺りに存在する曰く付きのダムの存在が判明する。隣接するダム湖では一家心中の事件もあったようである。だがやはりこれ以上の情報も得られなかった。

骨折り損で徒労に終わった取材で、一家は釈然としない思いであった。これ以上付き合っていられないと今後の取材を拒否する正幸さんだが、智之さんは誰か死んでしまうかもしれない思いから、取材を継続してもらいたい様子。対立する親子は険悪な雰囲気にになってしまう。だがスタッフも今後の明確な取材方針を示せず、グダグダとした取材継続を求めることしかできなかった。

そんな中、智之さんは映像に映ったノイズの解析をした一般投稿者・安藤さんに不信感示す。そこで、翌日取材陣と共に安藤さん宅を訪問し、映像解析のプロセスを見て納得してもらうという方針が示された。

下川家の暴走

翌日、安藤さん宅に向かうことになったのだが、レポーターの北川が待ち合わせ場所に現れず、携帯でも連絡がつかない。やむなく下川さん宅に向かうスタッフだが、家には誰もいないようであった。玄関が施錠されていなかったので、万が一を考え侵入してしまう取材班。呼びかけにも誰も応じず、やはり無人のようであったが、なぜか北川のトートバッグが放置されており、事態が飲み込めないスタッフは困惑する。

そしてテーブルに置かれたメモを発見する。この家の祖父に宛てたメモで、「親戚の葬式に行っていると言っといてくれ」という内容であった(というかこの家には祖父がいたんだっけか。そう言えば一番最初の取材映像に爺さんがいたな)。次の瞬間この家の祖父・政文さんが姿を表す。政文さんは起床したばかりで、下川家が消えてしまった事情は何も知らなかった様子で要領を得ない。ちょうど良いタイミングで爺さんに電話がかかってくる。その受話器を奪い取る横田であったが、すぐに電話は切れてしまう。北川の携帯はさっきのバッグの中に入っており、靴も玄関に脱いだままであったことから、彼女は下川さん一家に拉致されてしまったのか。とりあえず、安藤さん宅に向かうスタッフであった。

車を走らせていると北川から連絡が入る。なんと下川さん一家と同行しており、東武特急スペーシアで栃木の安藤さん宅へ向かっているという。取材班を信用できない下川さん一家は北川を拉致って独自に安藤さんを訪れようとしたらしい(犯罪じゃ無いか?)。というか安藤さん宅の情報だって、その信頼に置けないスタッフの一員である、北川からのものじゃないか。取材陣と一緒に行こうが結果は大して変わらないし、大体取材の冒頭で「社会人らしくきちんと手順を踏め」とか言ってたじゃん、◯鹿なの?この一家。

途中下川家の乗った東武特急スペーシアに追い付き並走するシーンもあり。スタッフの誰かが「速く速く!」とか言ってるけど一般道じゃ特急電車に追いつくわけない。栃木のどこかに着いた下川一家だが、北川に案内させるも、車に乗せられて移動していただけの彼女に安藤宅がわかるわけがなく、その辺ぐるぐる回っただけで日が落ちてしまい、結局周辺の民宿で一夜を明かす羽目になったところに、隙を見て連絡した北川の情報から、取材班に居場所を捕捉されてしまう。

「何やってんだお前ら」みたいな横田と下川一家の押し問答の末に、改めて明日安藤宅に一緒に行くことになりましたとさ。

途中拉致された北川が、財布も持っていないのにビデオカメラはなぜか持っていて、特急のトイレで蝿を撮影して、「ここどこ?」「蝿のように自由に飛びたい」とかいうシーンが笑いを誘う(というか「北川」が「北側」と誤変換されてイラつくぜ、俺のMac)。

約束をブッチされたのに嫌な顔一つ見せず真摯な対応の安藤さんと、映像解析の結果にとりあえず納得する下川家

翌日、昨日の約束を反故にされたにも関わらず、嫌な顔一つ見せずに真摯な対応だが、本棚にある本が、「KGB格闘マニュアル」「SWATテクニック」「ザ・殺人術」「マリファナトリック」「スマートドラッグ」「フロイト」「ユング」「宇宙論入門」、とやたらマニアックな趣味を持つ安藤さんと下川一家は対面する。

部屋の正面には当時としては大画面のテレビと、スピーカーが前後左右いくつもあるサラウンドオーディオシステムが鎮座しているのに、肝心の映像解析に使うのは、なんだかチビっこい17インチCRTで、「そっちで見んのかーい!」と思わず突っ込みたくなる状況で披露される、安藤さんの解析スキルに下川一家はただただ恐縮するしかなかった(まあ当時はパソコンとTVを繋ぐのは一般的じゃなかったようで)。

解析結果に納得するしかなかった下川家は(´・ω・`)ショボーンとなってしまい、スタッフと黙々と飯を食っているところに、晴子さんの携帯にお祖父ちゃんの政文さんが倒れたという連絡が入る。まさか呪いの対象が政文さんに向かったのだろうか。「お祖父ちゃん写ってないから関係ないでしょ」と言う晴子さんの発言にちょっとホッとする下川一家であった。

謎の帽子の男

謎の男が映像に…

政文さんはピンピンしていた。もともと貧血気味だったらしく、ちょっと油断してぶっ倒れただけだったらしい。安堵するスタッフと下川一家であったが、政文さんが変なことを言い出す。

「あの帽子の方はどうされましたか」

へ?そんな人知りませんけど。政文さんによると、最初に下川家にカメラが入った時から緑色のボサッとした帽子の男が玄関の周りをうろうろしていたと言うのだ。実はカメラマン(監督の白石晃士さんじゃないの?)にも心当たりがあり、ちょろちょろ見かけていたようだ(早く言えよ)。

今までの取材テープを見直していると、その映像のそこかしこに帽子をかぶった謎の男が写り込んでいることがわかる。拉致された北側北川を追っている時や(´・ω・`)ショボーンとなった下川家と飯を食っている時の映像にも写り込んでいる。この神出鬼没さはとても生きている人間とは思えない。ぼーっと突っ立っているだけのこの男だが、一つだけ取材班を導くように歩いている姿の映像があった。

下川家とともにその場所へと向かう。そこは別荘予定地にほど近い一家心中があった言う、ダム湖であった。男が向かう方向の道はダム湖に沈んでおり、他にはどこにも行く場所がないはずである。すると崖の上にあの男が立っているのを北川が発見する。

追跡録…行き着いた廃墟

男が去ろうとするので急いで車に戻る一行。男がいたその場所に向かうも、到着する頃にはすでに誰もいなかった。だがその先を探りながら車を走らせると、トンネルのポータル部分にその男が立っているのを発見する。

急遽Uターンして戻るも男はいない。トンネルの脇に階段があり、一行はこの階段から山の奥へと追跡を開始する。導くように時々姿を表す男と取材班一行の攻防が続く。途中、大変ふくよかな横田がギブアップ。倒れこむ横田を晴子さんの付き添ってもらい、下川父子と北川、カメラマンの4人で追跡を続行。ついに大規模な廃墟群にたどり着くが、男の姿は完全に見失ってしまった。

あの帽子の男はここに誘い込んで、いったい何が言いたかったのであろうか。

その後…呪いのビデオは完成する

正幸さんの入院

2002年12月8日

取材班はある病院で潜入取材を試みる。あれからの調査にはなんの進展もなかったが、正幸さんが原因不明の病気で入院してしまったと言う知らせを受け取ったからだ。

これまでの映像を振り返ってみると、正幸さんの謎の病気の兆候はいくつかあった。スタッフとともに食事をしているシーンでは「味がしない」と訴えていたし、最初の現地取材では車の中で寝込んでしまう、何もない空間で虫を払う仕草を見せたりなどである。

スタッフが正幸さんの病室に向かうシーンでスタッフロールが始まり、物語の終わりが近いことが視聴者に示される。だが隠しカメラが見つかってしまったためか、智之さんに取材を拒否され、病院を追い出されてしまう。

「もうホント来ないでください」それが智之さんの最後の言葉であった。

正幸さんの遺言

ところが後日、智之さんから最後のビデオが送られてきた。それは父、正幸さんの遺言があったからだと言う。

正幸さんが亡くなっていた…

病室から飛び降りて亡くなってしまったと言う。

手紙には先日の非礼を詫びるとともに、やはりあの映像の呪いからは逃れられなかったことと、取材などはこれきりにして欲しいと行ったことが記されていた。映像には病床で横たわる、無表情な正幸さんの姿があった。

正幸さんはあの取材以降、目、鼻、味覚、触覚などあらゆる感覚に異常をきたし、入院することになってしまったと言う。そして、彼の遺言は以下のようなものであった。

「今回の取材ビデオは最後まで完成させてください」
「私たちと同じビデオを撮ってしまった人に、何かの役にたつかもしれないからと考えるからです」
「自分たちの行動すべてをありのまま見せてください」

正幸さんは最後、体のほとんどが役に立たなくなっていたのだと言う。そんな中、彼は病室の窓から転落してしまった。病状による事故なのか、病気を苦にしての自殺なのかは不明のままである。家族には自殺に思えてならないという。

無表情の正幸さんの顔のアップから、画面はノイズ混じりに暗くなり、例の映像の「きえろ」の声で暗転する。そして例の映像に映ったノイズの顔が大写しになる。

「皆さんもビデオカメラを回す以上は、いかなる事態が起こっても良い覚悟を決めてから、録画スイッチを押すことをお勧めする。」

というナレーションとともに作品は終了する。

感想

これは心霊ドキュメントというよりはドラマ、あるいはモキュメンタリーともいえる作品ですね。

ドラマとしてはそつなくできているのでしょうけれども、下川家の非常識なというか、不合理な行動に感情移入ができなかったです。特に下川家の親父・正幸さんのキャラが好きではなく、こんな人が上司だったら嫌だなあと思ってしまいました。でも家族には理解されなくても別荘への思い(夢)を語っている姿を見ているので、ちょっと気の毒だなあとも思ったり。

極め付けは息子の智之さんの顔で、「ほんとにあった!呪いのビデオ87」から登場した、問題児演出補・上田になんとなく似ているというのが、なおさら感情移入できなかった原因でもあります(智之さんにはなんの責任もないのですがw)。

あと肝心なシーンでなんだか砂目というか、フイルムの現像を失敗したように画像を荒らして(ノイズエフェクト?)、なおかつ彩度を落としてモノクロっぽく見せたり、コントラストが極端で、暗いところが真っ黒に潰れているとかの演出に終始イライラしました。「帽子の男がそこかしこに映っていた!」、「我々はその男を発見した!」というシーンで、画面が荒れ荒れなんですよ。ふざけています。ここでやっと「ああ、これはドラマなんだ。雰囲気重視なんだ」と気がつきました。

最後の廃墟群は秩父鉱山の社宅跡だそうです(Wikioedia)。ニッチツ鉱山社宅群で検索するといろいろ出てきます。

ダム湖の特定はできませんでしたが、一応帽子の男を探して車で入るトンネルはわかりました。埼玉県道73号秩父上名栗線の「寄国土(ゆすくど)トンネル」の南側から入っていきます。

運転する横田氏がじゃまで、トンネルポータル部がよくわかりませんが、獅子舞の持っているバチが確認できます。ただし、トンネルの出口がわかりませんでした。実は、帽子の男が立っていたトンネルの出口はこのトンネルではありません。映像は編集されているので、このトンネルの出口に男が立っていたように見えますが、全然違う場所です。

↑ほらね。全然違う。

最初はこの先の「赤石トンネル」の北川北側かなっとも思ったんですが…

似ているのですがちょっと異なるようです(トンネル脇に階段がない)。

因みにこの辺りに隣接するダムは「浦山ダム」。ダム湖は「秩父さくら湖」で、49戸の家屋が水没してしまったことは事実のようです。ですが、ニッチツ鉱山からは離れすぎています。

それにしても「リング編」の意味がわかりませんでしたね。まあ、あの「リング」にあやかったものなのでしょうけど。とは言いつつ、ツッコミながら結構楽しんで見れたような気もします。

ああ、映像について言うの忘れていた……怖くないです。

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