心霊玉手匣 其の弐(ネタバレあり)

eye_catch_tama2 レビュー
心霊玉手匣 其の二
『ほんとにあった!呪いのビデオ』の岩澤宏樹監督による、まったく新しいスタイルの心霊ドキュメンタリー第2弾!

はじめに

「心霊玉手匣 其の弐」のレビューです。前作が結構面白かったので、今作も期待してしまいますね。モロちゃんは活躍するのでしょうか。

歪む時間

概要

投稿者・藤巻慎吾さん。彼女と地方に旅行に出かけた際、宿泊先の旅館で夜、酔い覚ましに付近を散歩している際に撮影された映像。宿の周りは人っ子一人おらず、墓地の近くの橋を渡っているときに何故か片方だけ脱ぎ捨てられたように落ちている靴を見つける。鶴巻さんは「これもしかして自殺じゃ無いか?」と、同行している彼女を少し脅かして怖がらせようと話しかける。その時彼らは、誰もいないはずなのに大勢の走る足音が迫ってきたり、その靴が空中に持ち上がったり、挙げ句の果てには目の前に女の幽霊らしきものに遭遇したりと、恐ろしい体験をしてしまう。

しかし奇妙な体験はそれだけではなかった。這々の体で宿に戻ると、すでに空が白み始めていたのだ。旅館の従業員に時間を聞くと、もう朝の6時だというではないか。散歩に出て、橋にたどり着いた時刻は夜の9時くらいであったことを確認しているし、旅館から橋までは10分もかからないはず。携帯を見るとその時刻は夜の9時30分のままであった。

ここで映像が紹介される。橋の先に片方の靴を発見する鶴巻さん。すると、何人もの足音がこちらに迫ってくる。その足音に驚いた2人は、譲るように道の端に逃げてしまう。すると先ほどの片方の靴は、ひとりでに空中に持ち上がり、静かに着地してしまう。恐怖に怯える鶴巻さん達だが、さらに女のうなり声のような声が聞こえ、その方向には不気味な女が立ちすくんでいた。

感想

こちらに迫ってくる、大勢の足音はまあまあ不気味で怖いですね。ましてや靴が持ち上がったり、女のうめき声が聞こえたりと、実際にこんなものに出くわしたらパニックになりそうです。挙げ句の果てには女の幽霊の姿。その場にいたら多分腰抜かします(笑)。

時間がすっ飛んでしまうというのも良くある話ですが、理屈に合わない不思議な感じは嫌いじゃないですね。欲を言えば、空が白み始めた映像も欲しいところですが、あんな体験をした後で、そんな映像があったらかえって不自然ですかね。

ただ、恐怖映像としてはそこそこです。まあこの作品に映像の怖さはさほど求めていませんが、田舎の夜の静けさといった雰囲気は良く出ており、掴みとしては良いのではないでしょうか。

気配

概要

投稿者の女性、押切美渚さんは部屋で感じる何者かの気配に悩まされていた。最近、不可解な夢を見るようになり、男か女かもわからないが、その人物が仕切りに何かを訴えかけてくるのだという。その夢から覚めると、つい先ほどまで側に人がいたような気配を感じるのだというのだ。

押切さんは、部屋に定点カメラを仕掛けて見ることにした。その映像には、寝ている彼女の側を徘徊し、立ち止まっては見下ろしているような黒い人影がはっきりと写っていた。

感想

怖いというものではありませんが、気持ちの悪い人影が確認できます。部屋にもオーブが飛びまくっていますね。

週末の音

概要

投稿者は伊集院紫穂さん。週末に友人を呼び、深夜まで飲んでいたのだが、同棲している彼氏の部屋から、ピーという連続した音がする。その彼は出かけているはずである。その音はTV放送終了後の、カラーバーで鳴るテストトーンであった。テレビのスイッチが入っていたのであるが、そのテレビの電源を落としても、しばらくするとまた音が鳴り始める。不思議な現象に恐怖する2人。その際に友人が撮影した映像、ドアを閉める際にその先の暗がりに男の顔があった。

なんとその顔は、不在のはずの伊集院さんの彼氏の顔であった。ちょうどのその時間、彼は別のところにおり、同時刻に不思議な体験をしていたのである。

感想

これもありがち、そんなに怖くはないです。ただ恐怖からなのか、お互いに人のせいにして非難しまくっている会話にイラっときましたね。

終末の音

概要

伊集院さんの彼氏、土保(つちやす)弘人さんは大学の探検サークルに所属しており、とある廃林道に出かけていた。もともと廃道や廃線を探索するのが趣味であったそうである。その廃林道の適当なところにキャンプしていた土保さんと友人の坂崎さんは、外からなにやら不気味な音がすることに気がつく。

気になる2人はテントを出て外の様子を見に行く。その音はどこからともなく響き渡る、不気味なもので、インタビューに答える坂崎さんは、ネットで良く見聞きする、「終末の音」のようであったと語る。「終末の音」は「アポカリックサウンド」とも呼ばれ、世界各地で収録されたと称するものがインターネット上にいくつも存在する。

しばらく音の行方を探っていると、土保さんが何かを見つけたように「なにかいる」と呟くが、坂崎さんには何も見えない。そして土保さんは「おい!」と呼びかけるような声を発したかと思うと、全力疾走でその方向に走り去ってしまう。人家も明かりも何もない暗がりに消えてしまった土保さんを、必死で追いかける坂崎さんは、やがて宙に浮いた、とてつもなく明るい光球のようなものを見上げて立ちすくんでいる彼を発見する。

不気味な「終末の音」は相変わらず鳴り響いている。光球は土保さんの目と鼻の先にあり、今にも触れそうな近さ。すると光球の明るさが突然増し、終末の音も大きく響き渡った瞬間、画面は真っ白な明るさで覆われ、撮影していた坂崎さんは何かの衝撃を受けて倒れ込んでしまう。光球は消えてしまい、元の漆黒の中にヘタリ込む土保さんの口からは、イカ墨のような真っ黒な正体不明の液体が流れ出していた。

この事件で土保さんは怪我もせず、なんとか無事だったようだが、伊集院さんによると、普段は普通なのにスイッチが入ると「僕は光の中に生命の根源を見た」などど意味不明な言動を、時々繰り返すようになったのだという。そんな話をスタッフ・上園が伊集院さんに聞いているときに、土保さんが帰宅したので、彼に詳しい話を聞いて見る。

上園は、馴れ馴れしく土保さんを「ツッチー」などど気安く呼び、インタビューを開始する。土保さんは「光に包まれたとき、自分の魂が肉体から離れ、全ての存在の生と死を体験した」、「全ての存在、人間、動物、植物、微生物に至るまで、輪廻というか、生死そのものの根源を体験した」などど「本気で言ってます?」と上園に聞き返される程のかなりぶっ飛んだ言動。自宅に姿を現したのは、「輪廻し終わった後に自宅に飛ばし、彼女にちょっとしたイタズラのつもりだった」、「あの光に超能力を授けられた」とか抜かし始める。かなり呆れた態度の上園に「信じていないのなら、この後密着取材で確かめて見るといい」と彼は提案する。

「ツッチー」への密着取材を行うかどうかを話し合っているときに、「気配」の投稿者、押切さんが訪ねてくる。

感想

「終末の音」というオカルトワードを初めて耳にして新鮮でした。Youtubeで検索したら結構出てきましたね。どれもかなりの音量でちょっとビビりました。いやいやあんな音聞いたら本当にこの世の終わりかと思いますよ。

ただこの作品のそれは、かなり地味でインパクトに欠けます。最初見たときはバックグラウンドに流される、効果音(SE)と区別がつかなかったほどです。「えっ?これSEと違うの?」と思ってしまいました。

メッセージ

概要

押切さんは、前回の取材の後から、目眩や吐き気などの体調不良に悩まされていた。病院で検査をしてもらうと、原因は不明だがメニエール病の兆候があるそう。そして検査入院を終えた際に、友人からの退院祝いとしてもらった「メッセージベア」に不可解な音声、「おねがい、助けて」と言う言葉が吹き込まれていた。友人たちは退院を祝うメッセージを吹き込んだはずだったにもかかわらずである。退院祝いのささやかなパーティの様子を撮影した映像に、このメッセージベアの不可解な音声に気がつくシーンで、後ろのガラス戸に不気味な顔が写り込んでいることが確認できる。

何者かに取り憑かれているのではないかと心配する彼女であるが、心当たりは全くない。そこで、スタッフ・上園はとある人物に電話で連絡をとり、相手を拝み倒して事務所に来てもらうことになる。その相手は前回の「心霊玉手匣」に登場した霊感女子高生、モロちゃんこと両角奈緒(仮名)であった。モロちゃんは呼び出されてあからさまに不機嫌な様子だが、上園に懇願されてしぶしぶ霊視を引き受ける。その結果は「2体いる」、「生き霊でも死霊でもないその中間の存在」、「とりあえず用心しとけ」という、そして「私にもわからない」「なんかヤバい気がする」という霊視結果に、なにやら不穏な雰囲気が漂う。

感想

ついにモロちゃん登場、いやぁ態度悪すぎ(笑)。でもちゃんと霊視してくれるあたり、根はいい子なんですね(笑)。

メッセージベアにこんなのが入っていたら当事者はさぞかし怖いでしょうが、これは作ろうと思えばいくらでもできるので怖い感じはしません。写り込んだ顔も地味です。

自称超能力者

概要

「ツッチー」の密着取材を始めるスタッフだが、まったく超能力は発揮してくれない。「ゴミで人類が滅びたら困るじゃないですか」と申し訳程度に家の周りを掃除したり、部屋で携帯ゲームをしているだけ。しびれを切らした上園が「何かやってくれません?」と訴えるが、過去に曲げたスプーンを見せたり、ESPカードをやって見ても外しまくる。「あらゆる存在に生まれ変わった」、「全てに感謝する」、とか熱く語るだけの土保さんにあきれ返る上園達は取材を一旦取りやめて様子を見ることにしたようだ。

場面は変わり、坂崎さんのインタビュー映像。服装から前回のインタビューの続きのようだ。土保さんの取材の7日後、林道での土保さんの映像を大学の探検部に見せたところ、そこに行ってみたいと言い出した後輩が現れた。そこで、坂崎さんは、土保さんも誘い、後輩の3人で再び現場を訪れることにしたそうである。

その際の映像、車で現場に向かう一行であったが、終始軽いのノリの後輩と対照的に、後部座席に座る土保さんはぼーっとしており、口数も少ない。彼は道すがら、「喉が渇いたので自動販売機によって欲しい」と訴える。運転していた後輩はこの言葉に従い、夜道で人気のない自動販売機のそばに車を止める。ペットボトルの飲み物を自販機から買い求めた土保さんが帰ってくるのだが、車の正面に立ちすくんでしまう。何かをしゃべっているようだが聞こえない。「何をしているんだ?」と不審がる、撮影者、坂崎さんと後輩の目の前で土保さんは霧のように消えてしまう。思わぬ事態に絶句する2人。目の前で起きた現象を信じられない2人は慌てて車から降り、辺りを窺うのだが土保さんはおろか、人っ子一人いない。路上にはたった今、彼が買ったはずのペットボトルが転がっているのみであった。

坂崎さん達はしばらくの間、周りを探したのだが彼は見つからず、土保さんの実家に電話するがつながらない。恋人の伊集院さんの連絡をとると、泣いている彼女から彼が亡くなっているとの衝撃の事実が伝えられる。彼女は警察から、近所の公園で縊死している土保さんが発見された、と言う知らせを受け取ったばかりであったのである。その死亡推定時刻は、坂崎さん達の目の前で土保さんが忽然と消えてしまった時刻と同じであった。一緒に車に乗っていた土保さんは幻であったのか、分身、ドッペルゲンガーのようなものであったのか。だが、土保さんのバッグは車に残されていた。謎は深まるばかりである。

そして、伊集院さんの元には土安さんのものと思われる、上園宛の茶封筒に入ったSDカードが残されていた。

感想

そんなことになるだろうな、と思って見ていました。ただ、土保さんが消えるシーンで、持っていたペットボトルがボトっと落ちるあたりは芸が細かいな、と思いました。

遺言

概要

そのSDカードに残されていたのは、スタッフ宛の遺言のようなものであった。「この映像をみている頃には自分はこの世にいない」、「ネクスト精神、サードステージの段階に昇華する」みたいなことと、能力を目の前で披露できないことを詫びる内容で、「皆さんの前でこの能力を必ず見せる」、「また会おう」みたいなことを宣言して終わる。その映像にブロックノイズが混じり、モノクロの女性の顔が浮かび上がる。驚いたことにその顔は「気配」の投稿者・押切さんのようにも見える。

この土保さんの最後の映像を押切さんにもみてもらう。実は、押切さんのインタビュー時にも土保さんの映像と同様のブロックノイズが発生していた。だが、彼女は土保さんと会ったこともなく、何も思い当たることはない。事務所でそんなやりとりをしている最中、突然押切さんは黒い液体を口から戻してしまう。テーブルに吐かれた黒い液体に何か人の顔が一瞬映り込み、撮影していた岩澤は驚き、仰け反ってしまう。これは土安さんが林道で撮影されたあの映像と同様の現象である。やはりこれらには何かのつながりがあるのではないか、そう感じたスタッフは、土安さんが強く光る物体と出会った、あの廃林道へ、押切さんとともに向かうことにした。

感想

またまた女性の顔が映り込みます。この辺りでこの顔ひょっとして同一人物か?と気がつきますね。

証拠

概要

スタッフは押切さんを連れてあの廃林道に車で向かう。車内にはどうやって説き伏せたのか、霊感女子校生、両角奈緒も同乗していた。何かあった時に霊視してもらうために、同行してもらうことにしたのだが、彼女は不満たらたらな態度でスタッフに悪態をつく。

彼らは廃林道の入り口にたどり着くが、そこはタイガーロープで厳重に封鎖されていた。こんなものは勝手に突破すれば良いと息巻く上園だが、彼以外は明らかにためらっている。モロちゃんも何もかを感じているのか「行かない方がいい」と警告する。結局もう少し調べてみようと言うことになり、たまたま通りかかった地元に人に話を聞くことができた。

あのロープの先の林道は理由ははっきりわからないのだが、かなり古い時代からの禁足地なのだと言う。20年ほど前に禁則を破って侵入した地元の若者が精神に異常をきたしてしまった事件があったことを語ってくれた。その若者の家族は人知れず姿を消してしまったそうである。スタッフはこの禁足地に関して調査してみるものの、伝説や因縁めいたものは発見できなかった。

とりえず近隣のビジネスホテルで今後の方針を協議するものの、封鎖を突破して林道に入るべきと主張する上園と、やめたほうが良いと主張する唐沢の意見が平行線をたどるばかりであった。この状況下、押切さんはさらに体調を崩してしまい、部屋に戻って横になることになり、席を外す。その後、肝心の岩澤がカメラを回すだけで何もジャッジを下さないため、不毛の話し合いが延々と続く中、モロちゃんのリュックにくくりつけてある、あの例のお守りがひとりでに「ピョコン、ピョコン」と弾くように2回ほど動くのをその場の全員が目撃する。「嫌な気がする」とモロちゃんが押切さんの部屋に駆けつけるともぬけの殻。携帯も部屋に置いたままであり、宿の周りにはコンビニもないため外出する理由が思いつかない。まさかと言う思いでスタッフは例の廃林道に車を走らせるのであった。

すると林道の入り口近くの橋には押切さんのピンクのスニーカーが片方だけ落ちている。やはり彼女はここに来ていたのだ。ここで岩澤のカメラに白い何者かが迫ってくる姿を一瞬捉えていた。気が付いた岩澤は四方を見渡すが何もない。他のスタッフは構わず先に走っていってしまった。

ここで唐突に「歪む時間」の藤巻さんへのインタビューシーンに切り替わる。ここで藤巻さんの映像の橋と取材陣が訪れた林道の入り口の橋が同一の場所であることが明かされる。そして藤巻さんの映像で落ちていたあの靴は、押切さんの靴と同一に見えるではないか。藤巻さんがこの地を訪れたのが2月の上旬、スタッフがここを訪れたのは3月の上旬である。この1ヶ月の差はどう考えれば良いのであろうか。

場面は再び押切さんを追うスタッフのシーンに切り替わる。大義名分を得た上園はためらうことなく封鎖されたタイガーロープのバリケードを撤去、「これで俺たちを遮るものは何もない!」とかカッコつけて先に進み、暫く行った先に倒れている押切さんを発見する。だが彼女は息をしていない。必死に心臓マッサージと人工呼吸を繰り返し、蘇生を試みる上園とモロちゃん。

その甲斐もあって押切さんは息を吹き返すが、スタッフが安堵するのもつかの間、懸命に介抱した上園を蹴飛ばし、何事もなかった様子でむっくりと立ち上がって開口一番「また会えたな」とのセリフ。そして「これが証拠だ!」と叫んで何処へ走り去ってしまう。目が点になったスタッフ一同はあわてて跡を追うが、完全に見失ってしまう。押切さんを見失った場所で岩澤は気がつく。そこは土保さんがあの光球に出会った場所であったことを。そして気がつけば、あの「終末の音」が漆黒の森で不気味に鳴り響いていたのであった。

押切さんの男性のような言動。それは「証拠をいつか見せる」、そう語っていた土保さんが乗り移ったとでも言うのだろうか。

感想

「なんで私が行かなきゃなんねえんだよ!」のモロちゃん再登場のシーンや、唐沢が装備バッチリで、まだ昼間なのにヘッドランプまで装着しているところとか、笑いを誘いますね。上園の「これで俺たちを遮るものは何もない!」と言うのかアホかとも思いましたけどね。いちいち破壊しなくとも脇から普通に通れそうだったし、なんなら下をくぐることもできたのにね。ところでバリケードは後でちゃんと元どおりに直したんでしょうかね。

土保さんも「これが証拠だ!」じゃねえよ、ちゃんと説明しろよ。「ども、土保です」って言ってくれないと(笑)。というか証拠見せるためだけに押切さんの肉体乗っ取っちゃうって、ほぼ殺人に近いじゃねえか、ふざけんなよ。そりゃ押切さんも化けて出るわ、と思いました。

輪廻

概要

スタッフは20年ほど前に、この廃林道に足を踏み入れて精神に異常をきたしてしまったと言う、笠浜信幸さんの親戚と言う男性に話を聞くことができた。

この男性、松井さんによると、笠浜さん一家が姿を消す直前に会って話を聞いていた。その両親は信幸さんが山から帰って来て別人になってしまったと語っていたと言う。信幸さんは彼でない名前を語り、超能力を使うと言うのだ。そして、夜な夜な信幸さんの生き霊が彼の前に現れ、「元に戻せ」と訴え出て、酷く暴れてしまうのだそうである。松井さんは笠浜さん一家が失踪してしまった後、無人になってしまったその家に荷物整理に行った際に、古い8mmビデオテープを発見する。そこには信じられないものが記録されていた。

ここでそのテープの映像が紹介される。

映像(1)

ベッドに縛り付けられた笠浜信幸さんらしき男性を写す定点カメラ。苦しそうにもがくが、ローブに阻まれ起き上がることができない。暴れまくる彼を制止するために両親がやむなくとった対策だと思われる。だが、しばらくすると、ノイズとともに信幸さんは忽然と消えてしまう。

映像(2)

異常に気がついた信幸さんの父親らしき男性の視点の映像。彼の名を呼びながら階段を駆け上がり、先ほどの部屋に駆けつける様子が記録されている。だがベッドには拘束したロープがだけが残され、もぬけの殻である。気配を感じたのか、カメラが上に向くと、宙に浮き、手を伸ばす信幸さんの姿。驚いたカメラが乱れて映像は終わる。

インタビューをしていた上園は、信幸さんが語っていた、その別人の名前を覚えていないか、と尋ねる。松井さんはよく覚えていないとは言いつつも、「つち」という言葉で始まる名前であったと言うではないか。まさかこれは「土保さん」なのではないか。

次のシーンでは藤巻さんへのインタビューシーンにもどる。藤巻さんは気になっていることとして、自分が橋で見た女性の幽霊が押切さんのように感じる、と言うことであった。数々の映像に映る、女性の顔は、時空を超えて助けを求める、押切さんの姿だったのではないか。あのメッセージベアに吹き込まれた声も…

「おねがい…助けて」

感想

「歪む時間」の映像は、時空が歪んでしまい、未来の出来事を垣間見たと言うことなのですね。バタバタと走ってくる足音は、スタッフ達が押切さんを追う足音、宙に浮いたスニーカーは上園が持ち上げた様子なのでしょう。それにしては高く持ち上がりすぎかと思いますが。

信幸さんの映像はなかなか不気味でした。ベッドに縛り付けていたのなら、姿が消えた際にもっとロープがだらっとしてなければおかしいのでははないか?とか言うのは別にして、目が爛々と光り、宙に浮いている信幸さんの姿は、映像の劣化具合と相まってそれなりに怖かったですね。

ですが感想としては「押切さん、かわいそう」しか出てきませんね。神出鬼没に時空を超え、人から人へ輪廻転成を繰り返す、得体の知れない何者かの恐怖を醸し出そうとしたのでしょうが、理不尽さしか感じません。

感想まとめ

一番最初のインタビューが、実は時系列的には一番最後の話でした、という演出は、結構凝っていて面白かったです。

ですが、今回の話は茶番感に溢れすぎていて、ちょっとしらけてしまいました。特に押切さんを乗っ取った土保さんが「これが証拠だ!」とか叫ぶシーン。やはり女性が男性を演じるのには無理がありますよ。宝塚みたいになってしまうんですもの。

また惜しかったのが「終末の音」。もっと派手に流しても良かったのではないかと思いました。地味すぎて、「そう言えばそんな設定もあったな」くらいに感じません。あれは結構怖い雰囲気を盛り上げそうですからね。

上園、唐沢、モロちゃんのキャラ付けは結構楽しいので次回に期待します。

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