心霊玉手匣(ネタバレあり)

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心霊玉手匣
『ほんとにあった!呪いのビデオ』の岩澤宏樹監督による、まったく新しいスタイルの心霊ドキュメンタリー解禁! 今始まる、連鎖の恐怖体験…

はじめに

「心霊玉手匣」は、「ほんとにあった!呪いのビデオ」スタッフの中でも最も人気のある、岩澤宏樹氏が手がけた、「心霊ドキュメンタリー風」エンターテインメントです。ほん呪シリーズのレビューを終え、「さて次は何をみようかな」と思っていたのですが、ほん呪フォーマットに近い他のコンテンツを見る前に、前から気になっていた作品であり、ラインナップも5作と手頃なボリュームであるこの作品を見てみようと思い立ちました。

発売、製作元は古賀奏一郎氏が監督する「Not Found」シリーズの「AMUMO98」。ぶっちゃけ「ほん呪」以外の心霊ドキュメンタリーは初めてなので、期待と不安がいっぱいです(笑)。

掲示板

概要

自宅で先輩(綾野さん)と飲んでいた投稿者・添田さん。酒がなくなってしまったので、深夜ではあったが近所のコンビニに買い物に出る。道すがら町内の自治会か何かの掲示板に、男性の写真が貼ってあることに気がつく。

何者かのいたずらであろうか、その男性の写真は顔の部分が刃物のようなものでめちゃくちゃに削られていた。本来ならとても不気味な代物であるはずだが、酔った2人は下品にケタケタ笑いながら、「これやばくね?」みたいな会話をしてふざけあっている。

その際の映像に掲示板の後ろからこちらを覗き込んでいる女の顔が写り込んでいた。翌日には掲示板のその写真は無くなっていたそうである。

感想

まだまだ序盤で軽いジャブのような映像。ありきたりの写り方で、そんなに怖くはありません。

激突

概要

投稿者は女子高生の青木さん。暗い夜道を送りがてら、彼氏が青木さんを撮影しながら歩いている。するとその彼氏は突然何者かにぶつかって倒れ込んでしまう。電柱のような硬いものにぶつかったと訴える彼氏であるが、道の真ん中であり、そのようなものは何もなかった。取り落としたカメラには何者かが歩いて行く足、そして拾い上げたカメラは真っ白い不気味な女の姿を捉えていた。

感想

テンポよく進んでいきます。この手の映像に慣れていない方ならそこそこ怖いと感じるのではないでしょうか。なんか「ほんとにあった!呪いのビデオ74」から始まる「贈り物編」の白い顔に似ています。

霊がいるか調べる方法

概要

事務所でインタビューを受ける投稿者の久保山雅代さん。ここで本作品のスタッフ・上園貴弘、唐澤一路が登場する。弟(直樹さん)の会社から無断欠勤の知らせがあったが、彼に連絡が取れないという。雅代さんは部屋を調べるが部屋に彼はおらず、そこには携帯電話が残されていたが、壊れてしまっていた。だが装着されていたSDカードは無事であったので中を調べてみると、ある奇妙な動画が残されていたというのだ。それは、久保山さん自身が目をつぶり、その場でぐるぐる廻っているというもの。雅代さんがネットで調べると、それはネット上に流布されている「自宅に霊がいるか調べる方法」と呼ばれるものであった。

自宅に霊がいるか調べる方法

  1. 携帯電話を持って部屋の中心に立つ
  2. 携帯電話を録画モードにしして(カメラは外向き)目を閉じ、その場でゆっくり一回転。動画を保存する。
  3. 同じ要領でカメラを自分の顔が映るようにして、また回る。

動画に不可解なものが写っていればその部屋には霊が存在するという……

直樹さんとは連絡がつかなくなってしまったのは、丁度その動画を撮影した日から、なのだそうである。そしてその映像には、彼の背後に不気味な女の顔が二度にわたって写り込んでいた。

ここでこれら3本の動画は同じ地域で撮影されたものであり、そしてその動画の当事者はいずれも不可解な死、もしくは失踪してしまっていたことが明かされる。

添田さんの映像に一緒に映る先輩は、この映像が撮影された1ヶ月後に自宅で自然死しているのが見つかった。青木さんの彼氏は突然事故死してしまったそうで、目撃者の話によると自ら道路に飛び出して車に跳ねられたのだという。

感想

他に誰もいないはずの部屋で何者かの姿を捉えたら、それだけで霊がいるのはぐるぐる回らなくとも確定じゃん、とか言っちゃいけないんでしょうかね(笑)。まあ、こう言う儀式めいたことをすれば、普通は映らない霊が写りやすくなるのという解釈なのでしょうが。

映像はいわゆる「二度映る系」で、定番の二度目はめっちゃ近くにいるという定石を踏襲した、よくある感じでそんなに怖くはないです。そしてここまではほん呪フォーマットに乗っ取った投稿オムニバスとおもいきや、それぞれの映像に繋がりがあり、一つの物語になると言うことが示され始めます。ほん呪における岩澤最後の作品「ほん呪55」や「The MOVIE」のような構成ですね。

ここでほん呪で言う「演出補」、本作品では「スタッフ」と言う肩書きの上園、唐沢の2名が登場します。上園はコテコテの関西弁で基本タメ口で親分肌。唐沢はその子分といった感じで、おどおどした隠キャ系と2人ともかなりキャラが立っています(笑)。

八百比丘尼

概要

何処かの会社の社内報。「私の不思議体験」というコーナーで、ある社員の体験談が掲載されている。

最近、何かと街で見かける女性が、友人の家にあった古い写真の女性と瓜二つであった。その友人によると、父が撮った写真ではないかという。彼は「父の愛人か?」と冗談交じりに語る。父親はかなり以前に不慮の事故で亡くなっていたらしい。だがその写真はかなり古いものであり、街で見かける女性と同じ顔であるというのは、とても不思議でならない。

その社内報には古い写真が挟み込まれていたが、投稿者・貫井(ぬくい)さんによると、クローゼットの奥に挟まっていたのだという。おそらく前の住人が残したものであろう。その住人は、この社内報に寄稿した人物なのではないだろうか。

貫井さんがこのアパートに引っ越してきてから、家の周り、駅周辺などで妙な視線を感じるようになり、その視線の先にはこの写真の女性の姿があるというのだ。社内報の体験談と同じ現象を、彼も体験していることになる。そしてこの古い写真と同じ容姿であるということは、もしこの女性が同一人物であるとしたら、全く歳をとっていないことになる。それではまるで日本各地に伝承されている、「八百比丘尼」ではないか。スタッフの上園はコテコテの関西弁で貫井さんに指摘する。

そしてある日、貫井さんはこの女性が気になり尾行してみることにした。ただし、1人では怖いため、学校の友人の副島さんと先輩の遠野さんを引き連れてである。撮影しながら後を追う3人。問題の女性は足取りがおぼつかなく、どことなくこの世のものではない雰囲気を醸し出している。そして女性は、とある廃アパートに入り込んで行く。それは10年ほど前に殺人事件があったとかで、近所でも噂の建物であった。住人がいないそのアパートの廊下は真っ暗である。すると廊下の角から、若い女性がいきなり飛び出してきた。びっくりした3人であったが、例の女性とは明らかに異なる人物。この若い女性は、3人に構うことなく外へと姿を消した。問題の女性の行方の方が、より気になる彼らはさらに奥へと進むことにした。

すると、とある部屋のドアに鍵がかかっていないことがわかる。ためらいながらも興味本位から中に入る3人。中はなんとも言えない臭いが蔓延し、むせるほどであった。部屋にあるいくつもの椅子には、生ゴミのようなものが積み上げられ、そこに刃物が刺さっており、なんらかの儀式でも行った様相を呈していた。彼らはその異様な光景に圧倒される。すると、貫井さんのカメラは、開け放たれた窓の外に女が立っていることに気がつく。驚いたカメラが移動した部屋の中には、瞬間移動したかのように現れたその女を再び捉えてしまう。そして、四つん這いの女は、そのまま猛スピードでこちらに向かってくるではないか。彼らは絶叫しながら、部屋から飛び出したところで映像は終わる。

この映像を撮ってから、例の女が貫井さんの視界に現れることはなくなり、あの廃アパートも2ヶ月後くらい後に取り壊されてしまったそうである。だが、この時一緒だった友人の副島さんが失踪してしまう。失踪の1日前、副島さんから貫井さんにメールが届いていた。それは「今日あの女見たんだけど」という、その一文だけであった。スタッフの上園が例の社内報に寄稿していた人物について、その会社に問い合わせるが、この人物は20年前に失踪し、行方が分からないとのことであった。

だが、まだ手がかりは残されていた。実は、「霊がいるか調べる方法」でインタビューした久保山直樹さんの姉、雅代さんによると、あの映像の他に直樹さんと若い女性の2ショット写真がSDカードに残されていたのである。問題の映像と同じ日に撮影されたものであった。その写真の女性は、貫井さん達が廃アパートで出くわしたあの若い女性に似ており、何か関係があるのかもしれない。だが、姉の雅代さんは、弟に彼女がいたとは知らなかったという。実は、直樹さんの会社の同僚から、彼が「彼女代行サービス」にはまっているという情報を得た。

このサービス業者の所属女性キャストのプロフィールから、スタッフは直樹さんの写真の女性を突き止める。彼女の名は「両角奈緒(もろずみなお)」、通称「モロちゃん」。

感想

「八尾比丘尼(はっぴゃくびくに)」とは、また渋い伝承を引っ張ってきましたね。いや、僕はこういうの好きですけど。

八尾比丘尼の話を初めて知ったのは、恥ずかしながら漫画で、神話、伝説系では「諸星大二郎」と双璧をなす、「星野之宣」の「月夢」と言う作品。ヤングジャンプコミックス「妖女伝説」(絶版)がオリジナルで、その1巻に収められています。

↓ヤングジャンプコミックスのオリジナル版中古

「竹取物語」の老夫婦が、実はかぐや姫の不死の薬を飲んでしまっていて、おばあさんは尼僧となり、長生きするので八百比丘尼と呼ばれ、おじいさんは有り余る時間を利用してチャンスを伺い、日本人初の宇宙飛行士として、NASAの宇宙船で月までかぐや姫に会いに行く…と言うお話(ザックリ)。切ないラストが印象に残ります。

「妖女伝説」シリーズは他のエピソードも超絶面白いのでオススメですが、文庫になったり、似たようなテーマの他の作品を加えて再編集版になったりと、ちょっとややこしいです。下のアマゾンのリンク(ビッグコミックススペシャル版)ではこの「月夢」のラストを除く大部分が試し読みできるので、気の向いた方は読んで見てください(Kindle版をクリックして下さいネ)。

↓ビッグコミックススペシャル版

他にも八百比丘尼をモチーフにした作品はたくさんあると思います。手塚治虫の「火の鳥」でも扱っていたようですし(異形編)、最近はスマートフォン向けゲーム「FGO」の夏のイベントで「殺生院キアラ(水着)」の元ネタにもなっていました。

さて肝心の恐怖映像ですが、この作品では一番怖いものなっています。もともと「こちらに迫ってくる系」がより怖く感じる私なので、だいぶ評価は甘めだと思いますが、スピード感があって良いですね。

ボイストレーニング

概要

あの廃墟にいた「両角奈緒」の所属する、彼女代行サービスの元キャスト・亀山さんに話を聞くことができた。亀山さんは職場でモロちゃんと時々話をする間柄であったが、彼女から「最近何かおかしなことはないか?」と心配するように話しかけてきたことがあったという。

実は亀山さんは心当たりがあった。歌手を目指している彼女が通う、週一のボイストレーニングの最中に、部屋の外から突然激しい叫び声がしたのである。声の調子をモニターしているビデオカメラの映像にもその声がはっきりと捉えられていた。トレーナーと共に部屋の外に様子を見に行く亀山さんであったが、三脚に固定していたカメラはスタジオが無人になっているにも関わらず、ひとりでに倒れてしまう。その倒れたカメラには覗き込むような女の顔が写っていた。思えば防音が施されているスタジオで外の声が響くなどあり得ないことである。

亀山さんはその後から体の調子が悪くなり、声もよく出なくなってしまったそうである。その話をモロちゃんにすると、背中に手を当てて何かを払うような仕草をしてくれた。すると今までの体の重さが嘘のように払拭された。あのスタジオにいた悪霊を払ったと彼女は話してくれたそうだ。亀山さんによると、彼女は青森のイタコの末裔であると語ってくれており、両角奈緒・モロちゃんは何か除霊をする能力のようなものを受け継いでいるようである。

感想

霊能力者であるモロちゃんの正体が少しずつ分かってきますね。こちらの映像は前に比べると怖くはありません。ただし、スタジオの外から響く叫び声がステレオで、右から左に動いているのがはっきり分かったのが印象に残りました(ヘッドホン推奨)。外からの叫び声なら、右から左に動くわけありませんから、怪異は部屋の中にいたと言う事が示されているのでしょうか。

接触

概要

「霊視ができるとか怪しい」と胡散臭い目で「モロちゃん」を見るスタッフ・上園は彼女が何か知っていると思い、もう1人のスタッフ・唐澤に例の恋人代行を依頼し、モロちゃんから情報を聞き出すための潜入調査を強要する。当初は頑として断る唐沢であったが、上司的立場の上園の命令に抗いきれず、モロちゃんを指名することになった。最初は「好みではない」、「可愛いとも思えない」とか抜かしていた上園も彼女の魅力にメロメロになってしまう。1回5時間のデートで¥20,000以上するのに、何も情報を聞き出せず、カラオケで「タヒねぇ上園ぉ!」などと絶叫してしまい、後で嫌味を言われる唐沢。その後、すっかりはまった唐沢はモロちゃんとデートを重ねる。

何回目かのデートでモロちゃんからなんと、「プライベートで会わないか」との誘いを受けた。有頂天になる唐沢だが、その際の彼女の胸のあたり、映像ノイズの後に白い不気味な顔が浮かび上がったのである。その直後操作を一切していないにも関わらず、映像は突然切れてしまった。

そして唐沢は、彼女から小さな巾着に入ったお守りのようなものを受け取った。唐沢は不可解な映像の件とともに上園に報告すると、彼は無情にもそのお守りを奪い取り、ケツポケットに入れてしまう。面倒ごと押し付けたつもりだったのに、とても楽しそうな唐沢を羨ましく思っているのか、「感化され過ぎだ、きっちり情報を聞き出せ」と唐沢を叱責する上園であった。

だが次のデートの際、モロちゃんの様子がおかしく、暗い表情である。彼女は唐沢に同じゼミの同級生にいじめを受けていることを告白する。なんとか元気付けようと話しかける唐沢に、「遠くの温泉に行きたい」と要求するモロちゃん。唐沢は仕事を放棄し、彼女にとことん付き合う決心をしたようだ。

事務所にも戻らず、連絡もない唐沢を心配する上園と岩澤を尻目に、温泉宿でモロちゃんと2人きりの状況を堪能する唐沢。仕事を放棄したとはいえ、カメラだけはしっかりと回していたが、良心が咎めたのか連絡だけはして「電波が悪い」とかごまかし、追及をかわす彼であった。

感想

2番目に怖い映像の登場です。モロちゃんの胸のあたりの真っ白い顔。動物のようにも見える、無機質な顔が地味に怖いです。

さてこの節の見所は、最初は嫌がっていたのにモロちゃんにはまってしまう唐沢と、あまりに楽しそうな唐沢に憤懣やるかたない上園とのやりとりですね。特にモロちゃんの営業スマイルにメロメロの唐沢には笑いがこみ上げます。

ちなみにモロちゃんは私のタイプです(笑)。

黄泉戸喫(よもつへぐい)

概要

翌日、「八尾比丘尼」の投稿者貫井さんから連絡が入る。早速上園が駆けつけ話を聞くが、貫井さんは相当参っているようであった。三日ほど前から夢の中にあの女が出てくるのだという。その女は真っ白い風貌で、顔ににヒビが入っているという不気味な様子で、黒いゴミのようなものを彼に食べさせようとする。それはあの廃アパートにあった刃物の刺さった生ゴミを連想させる。必死に抵抗するが体が動かない。もう少しで口の中に入ろうかと言うタイミングで目が覚めたと言う。

神話にある「黄泉戸喫(よもつへぐい)」のように、夢の中でそれを口にしてしまったら、この世に帰ってこれないのではないか。そう感じた貫井さんは寝ることが怖くなってしまい、あの廃アパートに一緒に入った、先輩の遠野さんに付き添ってもらって一夜を明かすことにした。

だが夜中になると、ドアを外から激しく叩く音が鳴り響く。別に騒音を出しているわけでもないのに、どういうことであろうか。そして外から叩く音の他に失踪したはずの副島さんの声がする。「おい開けろって!」「返事くらいしろよ!」という大きな声が響く。だがこれは彼の声では無いと感じた貫井さんは、ドアを開けようとする遠野さんを必死で静止する。

やがてどうすべきか逡巡しているうちに、不意にドアを叩く音が止んでしまう。貫井さんは、外の様子を見るためにドアを開けようとする遠野さんを制止し、覗き窓からカメラで外の様子を伺う。すると画角の端からこちらを伺う見開いた女の目があった。恐れおののいた2人はまんじりともせず朝を迎えるが、遠野さんは逃げるように帰ってしまったという。今夜もあの女が来るかもしれない、とスタッフに助けを求める貫井さんであった。

感想

あのドアの叩き方と副島さんの声がしたら、彼が帰ってきたと思って思わず迎え入れてしまうのが普通の感覚だと思います。ですから、本能的に危機を察知した貫井さんが遠野さんを制止するやりとりに緊迫感があります。こんな状況に陥ったらもう先輩も後輩も無いわ!と言う会話もリアルで名演技だと思いましたね。

それだけに、ドアスコープに現れた女の顔の衝撃に拍車がかかる良い演出だと思います。

ただこの手の映像には慣れている僕にはどうって事ないものでした。それよりも、後輩が何に怯えているかを察しない、先輩の遠野さんの態度にイラっときましたね。

七人

概要

温泉地を散歩するモロちゃんと唐沢。流石にこれ以上の背信行為はやばいと感じたのか、彼はモロちゃんに全てを打ち明ける決心をする。

場面は変わって貫井さんの部屋、岩澤と上園は定点カメラを設置しネットワークで常時監視する体制を整える。何かあったらすぐに駆けつけると貫井さんを励まし、部屋を後にする2人。外廊下の照明が不規則に点滅、外は激しい雨が降り注ぎ、何やら不吉な予感を感じさせる。

ここから、温泉宿の唐沢と、貫井さん宅を監視する岩澤チームのシーンが交互に切り替わる演出となる。

部屋に戻り、隠しカメラも取り出して事の次第を打ち明ける唐沢に対し、タメ口になっただけではなく、今まで「唐沢くぅ〜ん」とか言っていたのに、いきなり「お前」呼ばわりするほど態度が豹変する両角奈緒。「だいたいわかっていた」と語る彼女も「自分も嘘をついていた」事を告白する。

「両角奈緒」は偽名で、実は大学生でもなく、なんとまだ高校1年生であった。もちろんいじめを受けていたことも嘘。元々霊感が強かったため、かつての顧客久保山さんに何か取り憑いていることを感じとり、久保山さんにまとわりつく不気味な女性の後を追って廃アパートで貫井さんたちに出くわしたようだ。その時は危険を感じて廃アパートを脱出した彼女であったが、後に再度そこを訪れて、七脚の椅子の上で儀式が執り行われてたことも把握していた。この儀式は7人の生贄が必要であるのだと彼女は解釈、20〜30年おきにこのような儀式を繰り返しているようだ、との見解も聞ける。

新たな顧客、唐沢の周りにも同じ女の気配を感じたため、一時的にでも災いから遠ざけるため、「あんたにその気があるわけじゃねえよ」と強調しつつも、一芝居打って温泉に連れ出したと言うのだ。唐沢に渡したお守りも、万が一の護身用に持たせたということがわかった。ここで唐沢は「犠牲者は7人」と言う言葉を思い出す。今までの犠牲者は掲示板に貼ってあった男性を含めて5人。と言うことは…「岩澤達が危ない!」と、唐沢は慌てて携帯を取り出す。

場面は貫井さん宅。雨は上がったものの、不吉な予感は相変わらず続いている。車の中で待機する岩澤達だが、歩道を歩くあの女が貫井さん宅の方角に歩いている姿を上園が発見する。一緒に追いかけようとする岩澤を、念のために制した上園は車を降り女の後を追う。すると案の定、貫井さんのアパートに入り込んで行くではないか。すぐにアパートに入る上園だが、エントランスにも廊下にも既に女の姿は無い。上園は、慌てて貫井さんの部屋に駆けつける。

一方、車でモニターしている岩澤は、貫井さんに事態を告げるのだが、貫井さんは眠ったように反応が無くなっていた。そこに唐沢から警告の電話が入るが、慌てた説明では事態を把握できないようで、貫井さんの一大事で電話を切ってしまい、警告は届かない。そしてモニターに映る貫井さんの部屋はノイズが走ったり、画面が白くなったりと異常な現象が起こり始める。激しく明滅する部屋、恐怖から逃れようと立ち上がり、カメラに助けを求める仕草の貫井さん。その直後、回線は切断され画面は真っ暗になってしまった。

画面は変わって上園のサブカメラ。部屋に入ると貫井さんの助けを求める声がする。毛布にくるまり怯える彼の視線の先、白い壁には蜘蛛の巣のような黒いシミのようなものが広がっていく。すぐにそれは消えてしまうが、部屋の照明は激しく明滅する。その直後、何かに弾き飛ばされるような衝撃で、上園は仰向けに倒れこんでしまう。強烈な衝撃から我に帰ると、部屋から貫井さんは消えていた。ワイヤレス回線は切れてしまっていた定点カメラだが、オフラインの映像は何もいないのに上園が吹っ飛ばされる様子を克明に記録していた。

回線が切断され、埒が明かない岩澤は車を飛び出す。すると路上で車に乗り込むあの女と貫井さんの姿があるではないか。貫井さんは操られたように自ら車に乗り込んでいる。岩澤はあわてて駆け寄るが、それを無視して車は発信する。路上で合流した上園と車で追いかけ、しばらくして行き止まりに追い詰める。だが、車には誰も乗っておらず、女も貫井さんもいない。車の中を探っているときに、なぜか突然屋根に衝撃音が走る。どういうわけか貫井さんが上から落ちてきたのだ。彼は意識を失っていたが、とりあえず外傷はないようだ。救急車を呼ぶが、貫井さんは何かをぶつぶつ呟くように口をパクパク動かすだけで硬く心を閉ざしてしまい、話ができる状態ではなくなってしまった。

後の調べでは、この車はレンタカーで、貫井さんが数日前に借りていたものであったことがわかった。レンタカー会社も返却期限が過ぎても連絡が取れず、困っていたと言う。スタッフに助けを求めたとき、既に彼は魔に取り憑かれていたのであろうか。

「つかおめーもさ、このお守り持っていたから助かったんだからな」と年端もいかない女子高生、モロちゃんに叱責されている上園。そう、あのときのお守りをケツボケットに入れっぱなしにしていたおかげで、上園は助かったのだ。胡散臭い目で見ていた後ろめたさからか、平謝りの上園。この期に及んであのデートサービスはまだやっているのかとの唐沢の問いに「オメーのおかげでクビにされたわ!」と一喝する彼女の様子を撮影していた岩澤に「おめーはもう撮んな!」と言いながら、カメラにパンチを浴びせるモロちゃんであった。

あの女が呪いを成就させたのかはわからない。これ以来、女は街から姿を消してしまったのである。

感想

モロちゃん良いねえ(笑)

貫井さん達を「なんかいたなぁ、薄汚え奴らが」とか、警告が届かなくてオロオロする唐沢に、「なるようにしかならねえよ」とか「寝て待て」とか、気っ風の良いこと。それまでは「唐沢くうぅ〜ん」とか言ってたのに(笑)。これがいわゆるギャップ萌えとか言うやつですかね。

でもモロちゃんは優しい娘なんですよ。赤の他人の唐沢の命を救うために、貞操の危機のリスクを顧みず、独身男性を温泉に誘っちゃうんですから。絶対隠キャなら勘違いして迫っちゃうでしょうね。もっともモロちゃんキックが飛び出すでしょうけど。唐沢がそんなことできるタマじゃ無いことを見透かしていたという設定のかもしれませんけどね。

あれ?

俺的には貫井さんどうでもよくなっているぞ。

感想まとめ

いやあ!面白かった。怖く無いけど。これは「ほん呪」のように「本物かもしれない」と真面目に見るものではなく、一歩引いた目線からドラマとして楽しむものですね。

後半は、モロちゃんと唐沢の絡みが面白くて純粋に楽しみましたが、これは狙ったものなのでしょうか。どうも違うような気がします。彼女のキャラが恐怖感覚を食ってしまい、心霊ドキュメンタリーとしては成功だったのか良くわからなくなってしまいました。面白かったから良いのですけどね。

今後どのような展開になるのか、ちょっと楽しみになってきましたので、後のシリーズを見続けようと思います。

最初はこの作品、「ほん呪」シリーズのフォーマットでレビューしようかどうか迷ったのですけど、結局このフォーマットで書いてしまったので、めちゃめちゃ長くなってしまいました。すみません(汗)。まさかの10,000字オーバーですが、上には上がありました。それは「ほんとにあった!呪いのビデオ55」で、11,900字ほどです。奇しくも岩澤氏の「ほん呪」最終作品でした。

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