映画・きさらぎ駅(ネタバレ)

きさらぎ駅アイキャッチ 映画レビュー

はじめに

柄にもなくまたまた映画レビューします。

映画「きさらぎ駅」は2022年6月に公開された邦画です。監督・永江二朗氏はテレビやホラー映画で活躍している方のようです。この秋に「リゾートバイト」と言う、サイトに投稿されて話題になったホラーものが公開予定です。主演堤春奈役は今回が初主演の恒松祐里さんだそうです。ごめんなさい、芸能関係疎くて両方とも知りませんでした(笑)。出演者で知っているのは「サトエリ」こと佐藤江梨子さんだけです。

都市伝説としての「きさらぎ駅」はかなり好きなんですよね。深夜の無人駅にたった一人降り立つというシチュエーションだけでうすら寒い恐怖が漂います。ちょうど「ほんとにあった!呪いのビデオ75」の良エピソード、「無人駅」も連想してしまいます。

去年公開されたこの映画、Amazon Prime Videoで配信が開始されたこともあり、当時評判も悪くなかったようなので観てみることにしました。

概要(ネタバレ注意)

民俗学を研究する女子大学生、堤春奈は現代の神隠し「きさらぎ駅」の都市伝説を卒論のテーマに据え、その伝説の元になった失踪事件からの、唯一の生還者であるとされる人物に取材をするべく、葉山純子宅を訪れる。

インタビューで葉山純子は遠州鉄道、新浜松駅発の終電に乗り込んだ5人の男女(若者3人組、酔ったサラリーマン、JK)と共に、本来あるはずのない無人駅「きさらぎ駅」に降り立ち、数々の奇妙な体験をする。異世界としか思えないその場所で、恐ろしい存在に追い立てられ、からくも脱出に成功した彼女であったが、誠実で最後まで自分の身を案じてくれた女子高生、宮崎明日香を気にかけ、自分だけが脱出してしまったことに、今でも贖罪の念を抱いていた。

春奈は純子の話を聞き、ある重要な点に気が付く。それは異世界エレベーターの都市伝説。純子は激務による疲労から電車内で寝過ごしてしまい、新浜松ー西鹿島間を1往復していたのである。図らずも彼女が、この異世界エレベーターの伝説を模した行動をとってしまった事が、異世界に迷い込んだ原因ではないだろうか。

春奈はまさかとは思いながらも、葉山宅を後にしたその足で新浜松ー西鹿島間を往復し、西鹿島行最終電車に乗り込んでみる。そして遠州鉄道にはないはずのトンネルを抜けると、純子の話と同様に車内には男女5人。その中には宮崎明日香と思しき女子高生もいる。電車がある駅に停止し、降り立ってみると、その古びた駅名標には「きさらぎ」という文字があった。春奈もまた異世界に迷い込んでしまったのである。

その後、葉山純子の証言通りに物事が進んでゆく。彼ら5人は迷い込んだ人が現れるたびに、この世界の円環に捕らわれているとでもいうのか。春奈の異世界からの脱出劇が始まる。

感想(ネタバレ注意)

見てまず感じたことは「あ、昼間なんだ」です(笑)。そう、トンネル抜けると昼間になっちゃうんです。元になった「きさらぎ駅」の話は夜だったはず(そもそも最終列車だし)。ここでちょっと違和感がありましたね。まあ、夜だと撮影がいろいろ大変だという事もあるし、周りの様子が見えにくいですからね。

次は、トンネル抜けると電車までもが変わっていること。遠州鉄道1000形から上田電鉄1000系に変わっています。しかも上田電鉄1000系は1編成しかいない「まるまどりーむ号Mimaki」。「まるまどりーむ」は昔、上田交通時代の電車モハ5250形電車にちなみます。戸袋窓の丸っこい意匠から「丸窓電車」として親しまれていました。

上田交通5250形
昔の5250形:元祖丸窓電車 こっちのほうが良かったがそれは無理

その後ろの「Mimaki」ってなんやねんって感じですが、車体のラッピングフィルムの施工に協力した大判インクジェットプリンターメーカー「ミマキエンジニアリング」の「Mimaki」からです。なお、上田電鉄1000系は元東急1000系で池上線とか走っていたやつです。

異世界なのに、東急から譲渡された電車とか…しかも「まるまどりーむ号Mimaki」とか…(笑)とか言っちゃいけないんでしょうね。

その他には伊佐貫トンネルが信越本線碓氷峠の廃線跡だったり、トンネルを抜けた先が熊野平信号場跡だったりと鉄分が豊富でした(笑)。こんなこと一般の方から見ればどうでもよい事でしたね。失礼しました。

因みに「きさらぎ駅」自体は、上田電鉄の八木沢駅がロケ地です。

熊ノ平信号所跡から望む旧トンネル
熊ノ平信号所跡:伊佐貫トンネルを抜けたところ

さて、この作品の世界の「きさらぎ駅」は、どうも我々が知っている2chスレのそれとは異なっているようです。葉山純子が失踪して7年後に保護された事件の後の都市伝説を言うらしく、この世界でもスレは投下されたようなのですが、ハンドルネーム「はすみ」と葉山純子が同一人物なのかがハッキリしません。はすみ=葉山だとすると、彼女のモノローグ内でもひっきりなしに携帯で投稿していたことになるのですが、そんなシーンが無いんですよね(そんな余裕なさそう)。

また、葉山純子の他に5人同時失踪していることになるはずなのですが、オープニングでの新聞記事を見る限り、葉山純子失踪事件と他の5人の失踪はこの世間では関連付けていないようです。「3人同時失踪」という記事がありますが、これは若者3人のことでしょうね。

作品内の奇妙な事象はショッキングと呼べるほど物はなく、ホラー慣れした人にとっては鼻で笑うレベルで、いかにも低予算を感じさせるお粗末のもので、ちょっとがっかりです。また1人称視点が多いのですが、主人公の視点を感じるというよりは、むしろゲームプレイを見ている感じがして効果的だったかはちょっと疑問でした。

ですが、この映画の狙いは個々の怪現象よりは、堤春奈がどのように脱出しようとするのか、葉山純子の真の狙いは、といったストーリー展開のちょっとしたギミックにあります。そして最後の最後に意外な人物が「きさらぎ駅」に迷い込むことになりますが、これ以上の説明は超ネタバレになってしまうので、本編をご覧になってください。

ストーリーのギミックはまあまあと言った感じでしょうか。でも葉山純子は「異世界エレベーター」的な行為で「きさらぎ駅」に迷い込んだとして、他の5人はどうして迷い込んでしまったのでしょうか。たまたま同じ電車に乗っていたからでしょうか。でも、もっと他にも乗っている人がいたような。つか、堤春奈の場合はどう説明するのか。全然違う人がいっぱい乗り込んでいたじゃん、という疑問もわきます。

つまらなかったとまでは言いませんが、深夜の無人駅にたった一人迷い込んだ雰囲気を期待していたせいか、かなり肩透かしを食らいました。

それにしても「サトエリ」さんは、いい感じに年を重ねましたね。主役の恒松祐里さんも熱演していましたが、宮崎明日香役の本田望結さんがなかなかの好演で、印象に残りました。

では。

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