はじめに
「ほんとにあった!呪いのビデオ115」のネタバレを含むレビューおよび考察です。
「ほんとにあった!呪いのビデオ115」が、2026年4月3日にリリースされました。前巻からスタッフ体制は美濃君中心に移行したはずなのに、予告編を観ると藤本氏や男鹿さん、それどころか木勢さんまで復活しています……いったいどういうことなのでしょうか?
この経緯については、本編を観ていく中で明らかになります。
このレビューはネタバレ満載ですので、本タイトル未見の方はご注意のほどよろしくお願いいたします。
不審車両(怖い)
概要
若い男性グループが廃墟に探検に訪れた際、その近辺に停まっていた不審な軽自動車を発見する。すべての窓には内側から目隠しが施されており、車内の様子をうかがい知ることはできない。
だが、ドアには鍵がかかっていなかった。興味本位で中を覗き込むと、大量の残留物が散乱し、吐き気を催すような臭気が充満していた。残留物の中には酒類の空き缶や薬のようなもの、さらには不穏な言葉が書き込まれた問診票のようなものも見つかり、不気味な様相を呈してきたその時――。
感想(ネタバレ)
いつの間にか車の持ち主が近くまで来ていたようで、突然、窓越しに現れ、金属バットを振りかざして投稿者たちに襲いかかってきたため、一同は逃げまどいます。撮影者は驚いて転倒してしまいますが、その際、車の底部に横たわる女の顔が一瞬映り込みます。
当初は金属バットを持った男性のほうが幽霊なのかと思い、かなり肝を冷やしましたが、これは後に生身の人間であることが判明します。一方、女の顔は一瞬のため、初見では「何かいる」程度にしか認識できませんでしたが、リプレイで拡大されると、目に黒目のない不気味な顔で、かなり恐ろしい印象です。
なお、その後、投稿者一行は熱を出して寝込んだそうです。
知覚ノイズ(少し怖い)
概要
製作委員会の事務所。藤本と男鹿のもとに、しばらく現場を離れていた木勢まりあが訪れる。
数々の心霊取材を重ねる中で心療内科を受診していた彼女は、その病院の医師から、奇妙なものが映り込んだDVDを託されるのだが……。
感想(ネタバレ)
心霊ものの仕事で精神が不安定になったにもかかわらず、心療内科の医師から怪しいDVDを託されるというのが、何とも言えないところです(笑)。それは「自律訓練法全体プログラム」という映像で、精神をリラックスさせる目的のものらしく、ある患者に貸し出したところ、返却された際に奇妙な映像が追加されていたとのことです。なお、その患者は後に自殺したそうです。
ビデオテープならまだしも、DVDにこのようなものを紛れ込ませることができるのか疑問に感じますが、実際にそのDVDには、ノイズとも判別しがたい不可解な映像が紛れ込んでいます。この時点では何を意味するのかまったく分かりませんが、本編をすべて見終えた後に改めて見直すと、「あれ?」と思わされる箇所が一か所存在します。
曰くの岩浜(少し怖い)
概要
とある岩浜で磯釣りを楽しむ夫婦。帰り支度を終えたその時、遠くに直立した二人の人影を発見する。今にも海に飛び込みそうなその人影に向かって大声で呼びかけるも反応はない。案の定、その人影は海へと飛び込んでしまうのだが……。
感想(ネタバレ)
「やばい!飛び込んだ!」といった様子で、目撃した夫婦は警察に連絡しようとしますが、その直後、たった今飛び込んだはずの男女が再び立っているのが一瞬映ります。あれ?と思う間もなく、投稿者夫婦は何者かに足をつかまれたかのように岩場へ倒れ込み、旦那のアクションカメラが、妻の足にしがみつく女の姿を捉えてしまいます。
一瞬の出来事なので、妻の足に現れた幽霊自体はそれほど怖くはありません。ただ、飛び込んだ人影は本当に飛び込んだように見えるのが妙にリアルで、そこが恐ろしいポイントです。しっかりと水しぶきも上がっていましたしね。もっとも、ズームが効かないため小さくしか映っていないのは少し残念なところです。
なお、この岩場では20年ほど前に夫婦の心中事件があり、夫だけが助かったという出来事があったそうです。
作業現場にて(ほんのちょっと怖い)
概要
とある工場の監視カメラ映像。作業員の二人が何やら揉めているようで、一人がもう一人に掴みかかっている。倒れ込んだ男性は失神している様子だが、その直後、画面にノイズが走り……。
感想
作業員同士の喧嘩のあと、倒れ込んだ従業員に向かって歩いてくる人影が映り込んでいます。側にいた別の作業員も、どこか苦しそうな様子です。なお、喧嘩相手の男はすぐにその場を離れ、どこかへ行ってしまいました(笑)。その後、他の作業員も体調を崩してしまったそうです。
人影は二つ確認できますね。ここで終わりかと思いきや、この喧嘩の原因となった八神という男性とは、その後連絡が取れなくなったとのことです。同郷の社員の証言によれば、彼は陰でいろいろと噂されていた人物だったようです。
さらにスタッフは、この八神という人物から話を聞こうと、彼の実家へ向かいます。不在だったため張り込みを行い、接触を試みます。
発狂(怖い)
概要
投稿者は若い男性の馬場さん。深夜の山中、車内での映像である。かかってきた迷惑な詐欺電話をからかっていた友人を撮影していたところ、突然、車をノックするような音が外から聞こえてくる。撮影者の馬場さんは車から降りて確認するが、周囲に人の気配はない。
しかし、車のドアには泥が付着しており、そこから濡れたような跡が道の奥へと続いている。彼はその跡を追って歩き出すのだが……。
感想(ネタバレ)
馬場さんが濡れた跡をたどって進んでいくと、画面に女性の足のようなものが映り込みます。一瞬驚く馬場さん。しかし、それはすぐに消えてしまいます。再び歩き出すと、今度は再度その足が映り込みます。カメラを上に向けても、足の上には何もなく、やはりすぐに消えてしまいます。
ところが三度目、今度は至近距離に不気味な女の顔が現れます。恐怖のあまり彼はその場に倒れ込み、発狂したかのように暴れ回ります。そこへ友人が駆け寄ったところで、映像は途切れます。なお、馬場さん本人はこの時の記憶があまり残っていないそうです。
これはなかなか怖いですね。足が徐々に近づいてくる演出も不気味ですし、特に女の顔が強烈です。白目だけの目に、前髪ぱっつんの造形。……あれ、これって「不審車両」に出てきた女と同じでは?
馬場さんは心当たりとして、15年前に青年団の集まりで見せられた「見たら死ぬ動画」の影響ではないかと語ります。内容は、心中に失敗して生き残った夫が、妻の骨壺から骨を食べた後に首を吊るというもの。その映像は、男性が自殺した廃屋で、骨壺の女性の元交際相手が発見し、持ち帰ったとされています。そして、この元交際相手もまた自殺したという話です。
……ん? 心中? 夫だけが生き残った?
場面は変わり、八神さんの自宅を張り込んでいたスタッフ。しかし、帰宅した八神さんは極めて粗暴な態度で、とても話を聞ける状況ではありません。事務所に戻ったスタッフが映像を精査すると、「不審車両」に登場した金属バットの男が八神さんではないかと気づきます。さらに車のナンバーも一致。車内にあった作業着の会社名も「作業現場にて」と一致していました。ただし、「不審車両」の撮影場所と八神さんの自宅はかなり離れており、違和感も残ります。ここにきて、各エピソードのつながりが徐々に見え始めてきます。
しかしこのあたりから、エピソード同士の切れ目が曖昧になってきて、「これは『発狂』のエピソードだよな……? なんだかいつもの、いわゆるメインエピソードの取材のようになっているぞ」と戸惑いました。自分はレビューを書く際、「概要」は常体、「感想」は丁寧語(です・ます調)で分けているため、この構成は少し困ります(笑)。
閑話休題。そんな折、藤本氏の体調が悪化し、一時的に現場を離れることになってしまいました。以降は男鹿氏と美濃氏の二人で取材を続行することになります。
さらに映像を精査すると、「不審車両」の車内に残されていた、不穏な言葉が書き込まれた問診票のようなものが、心療内科の認知療法で使用される「ワークシート」であることが判明します。そして「発狂」の馬場さんの名前もそこに記されており、彼と八神さんが中学の同級生であることが明らかになります。
そのほかにも恨み言とともに数名の名前が記されており、その中の一人である米山さんという女性の存在に行き着きます。しかし、米山さんはすでに自殺して亡くなっていることが判明。彼女が勤務していた居酒屋の元従業員に話を聞くと、彼女が自殺するような人物には見えなかったこと、そして同じ居酒屋で八神さんと同僚関係にあり、過去に八神さんと警察沙汰のトラブルを起こしていたことが明らかになります。
招く者(ほんのちょっと怖い)
概要
女性従業員の送別会のあと、道で談笑したり記念写真を撮ったりしていると、遠くからこちらを見つめる不気味な白い人影が現れます。不気味に感じた一行は場所を移して再び話し込んでいましたが、そのうちの一人の女性がふらりと路地裏へ歩き出してしまいます。
心ここにあらずといった様子で、明らかに様子がおかしい。心配になって声をかけながら後をついていくと……。
感想
米山さんはぼんやりとした様子で路地裏へ歩き出し、それを別の女性が追いかけます。すると突然、上から脚立が落下し、一歩間違えば直撃していたかもしれない状況に。かなりの衝撃音に思わず驚かされます。脚立が落ちてくるその瞬間、彼女の目の前には白い男性のような人影が映り込んでいました。
この人影ですが、通常生成では全く判りません。リプレイの静止画像ではかなりはっきり映っているのですけどね。何故かそんなに怖くはないです。むしろ脚立のほうがびっくりさせられて怖いです(笑)。
この米山さんへの嫌がらせとして、八神さんからLINEで送られてきた「これから自殺する」と記された場所、美濃氏はそれが「曰くの岩浜」の場所であることに気づきます。ですが説明をしている最中、今度は男鹿氏が突然激しく咳き込み、そのまま倒れてしまいます。
この結果、動けるスタッフは美濃氏のみとなり、調査は中断。「ほんとにあった!呪いのビデオ114」の発売が迫っていたこともあり、プロデューサーの岩村氏は美濃氏を急遽演出(監督)に抜擢。別スタッフを手配し、既に調査済みの投稿映像で「114」を発売する運びとなりました。藤本氏や男鹿氏が急に不在となった背景には、こうした事情(という設定)があったわけです。なお、両名の復帰は約2か月後だったとのことです。
復帰した藤本氏と男鹿氏は、「不審車両」の現場となった廃墟近くで、犬の散歩をしていた女性から話を聞くことに成功し、これまでの事象との関連性が徐々に明確になっていきます。さらに美濃氏は、「見たら死ぬ動画」を最初に発見した人物――心中した妻の元交際相手――の知人である大植さんを探し出します。
大植さんによれば、その人物は七森さんといい、動画を発見してほどなく自殺したといいます。「あの映像を見たから死んだ」という噂が広まっているとのことです。七森さんは女性関係に問題があり、元交際相手を脅迫するなどの行為もあった人物だったそうです。例の夫が自殺する際に場所をメールで知らせており、そこへ七森さんが赴いたことで、あの動画を発見したという経緯です。
そして大植さんから、七森さんとスノーボード旅行に出かけた際の映像が提供されます。
夜行バス(怖くない)
概要
深夜バスに乗り込み、楽しそうにはしゃぐ若い男性たち。ようやく席に落ち着いたかと思った矢先、一人の男性の首に……。
感想(ネタバレ)
緑のジャージ姿の七森(ここからは呼び捨てで失礼w)の首に、半透明の白い手が締めつけるように絡みつきます。ただ、やや合成感が強く、正直そこまで怖さは感じません。動きとのシンクロも甘く見えます。
というか、この男はなかなかに鬼畜です。こう言ってはなんですが、死ぬのも自業自得では……と思ってしまいます。加えて、映像自体が微妙なわりにリプレイが多すぎる。さすがに何度も見せられなくても理解できます。
大植さんの協力により、当時のmixiに七森が妻と交際していた頃の日記が残っていたことが判明します。そこに掲載されていた薬の袋の写真から、その病院が木勢さんの通っている病院と同一であることも分かります。エピソード「知覚ノイズ」との関連もここで浮かび上がってきます。
「ほんとにあった!呪いのビデオ114」は美濃の手によって完成し、その後、「見たら死ぬ動画」を見つけたという連絡が馬場さんから届きます。事務所に持参する予定とのことでしたが、八神さんと接触したと思われる映像だけが届き、馬場さん本人は現れません。
その後、馬場さんから音声が不明瞭な電話が入ります。最後に低くくぐもった声で「ありがとうございます」「死にます」とだけは聞き取ることができました。同時に位置情報付きのLINEも届きますが、その場所は、かつて夫婦が自殺したあの岩場でした。
スタッフは急行しますが、現地に馬場さんの姿はありません。車内には外付けハードディスクだけが残されていました。警察にも通報しますが、馬場さんはそのまま行方不明となってしまいます。
観たら死ぬ動画(少し怖い)
概要
ここで、藤本が製作委員会を離れることが報告される。そして、HDDに収められていた「見ると死ぬ動画」が極めて危険であるとの警告文とカウントダウンの後、その映像が紹介される。
暗い部屋の中、男性が骨壺から遺骨を取り出し、それを口にしてしまう。その後、踏み台代わりの椅子を持ち込み、カメラの前で首を吊ったようである。というのも、映像には男性の足しか映っていないためだ。長時間苦しむ様子は記録されておらず、途中でカットされているようにも見える。
ただ、その男性の足の間から……。
感想(ネタバレ)
これ以上野暮は言いません。足と足の間にご注目ください。
尚、馬場さんは亡くなった事がわかります。
感想まとめ
全体としては非常に満足度の高い一本でした。各エピソードのクオリティも安定しており、終盤に向けて徐々に全体像が浮かび上がってくる構成は見応えがあります。
ただし、エピソードとエピソードの合間に、いわゆるメインエピソード的な取材パートがシームレスに差し込まれていく構成には、序盤は少し戸惑いました。とはいえ、これはすべてのエピソードが一本の線でつながっていく構造ゆえであり、理解が進むにつれてむしろ没入感を高める仕掛けとして機能していると感じます。過去の名作「ほんとにあった!呪いのビデオ55」を彷彿とさせる、シリーズでも屈指の“連関型”の作りと言えるでしょう。
一方で、「55」と比較すると、個々のエピソード単体での恐怖のインパクトはやや控えめに感じられます。しかし本作の恐怖は、単発の“驚かせ”ではなく、全体を貫く怨念の質にあります。心中に至った夫婦――とりわけ妻の抱く強烈な恨みが、形を変えながら各所に滲み出てくる構図は非常に印象的です。本来であれば、恨みの矛先は七森一人に向かうべきですが、その感情は次第に制御を失い、関係の薄い人間にまで無差別に災厄をもたらしていく。この理不尽さこそが、本作の核となる恐怖であり、後味の悪さを含めて非常に“らしい”仕上がりだと感じました。
気になる点としては、八神という存在の扱いです。彼がどのような経緯で取り憑かれたのか、あるいはなぜ彼を媒介として呪いが拡散していくのかについては、明確な説明がなく、やや消化不良に感じました。もともと問題の多い人物として描かれているため、“受け皿”として機能したとも解釈できますが、もう一歩踏み込んだ補足があれば、全体の説得力はさらに高まったのではないでしょうか。
中学時代に八神さんは馬場さんたちからいじめを受けていたのではとも感じました。その恨みが呼応したのかもしれない、なんて想像しました。
本作は、藤本監督にとって一区切りとなる作品でもあります。前作では事実上のサイレント降板のような印象を受けていたため、こうして明確な形で締めくくられたことには素直に安心しました。とはいえ、「108」の時と同様、観る側としては少々やきもきさせられるのも事実です(笑)。なお、男鹿氏については特に言及がなく動向は不明ですが、おそらく今後は「ほんとにあった!呪いのビデオ114」の体制へと移行していくのでしょう。
総じて、シリーズの流れを踏まえた上でも、節目にふさわしい完成度の高い一本でした。藤本監督、男鹿さん、木勢さん本当にお疲れさまでした。最後を飾るに相応しい作品だったと思います。
それでは。
コメント
まさかの13年ぶりに55巻的な1つの結末に収束するエピソード群が観られるとは思わなくて胸が熱かったです。
各映像のインパクトは正直55巻の方が強かったように思いましたけど呪いの詳細は今回の方が怖くて好みでした。
映像のサブタイトルの出方もだいたい30巻~60巻台でよくあった縦長のボヤっとした明朝体で「あーこれこれ!」って思いました。
映像群で一番好きなのは「発狂」です。
パッケージ写真にいそうな顔がそのまま本編に現れたようでかなりビックリでした…!
夜の屋外の投稿映像系で個人的にいつも気にする箇所があって、それは撮影者が持っているライトの光り方です。
ほん呪の夜間映像の歴史はライトの歴史でもあると思っていて…
・旧式の豆電球型ライト→オレンジっぽい光で広範囲をぼんやり、中心だけ極端に明るく照らす(光の中心が輪っかのような模様になりがち?)
↓
・旧式のLEDライト→白っぽい光で広範囲をぼんやり、中心だけ極端に明るく照らす(ただしLEDの指向性のせいか豆電球よりかは照らせる範囲が少し狭い/スマホのライトもだいたいこれと一緒)
↓
・最近増えてる高輝度LED+半球レンズ使用型のライト(今回の「発狂」もおそらくこれ)→ぼんやりゾーンがなくスポットライトのように狭めの範囲を均一に明るく照らすので光と闇の境目が極端
・・・とまあだいたいこんな感じに光の照り方が変化していってるんです。
発狂タイプのライトだと明るい部分ばかり注意が向いて暗闇に目が慣れにくいので光の外から何が飛び出してくるか直前まで気づかないところがあると思っていてこれは今だからこそ生まれた怖さなのかもしれません。