戦慄怪奇ワールド コワすぎ! レビュー(ネタバレあり)

kowasugiworld レビュー

はじめに

「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!シリーズ」第10作目、「戦慄怪奇ワールド コワすぎ!」のネタバレを含むレビューおよび考察です。

約8年ぶりの新作で、シリーズを締めくくる作品となります。

概要(ネタバレ注意)

無軌道な若者たち3人、遥、絢音、大輝は幽霊が出ると噂のある廃墟施設に無断侵入。幽霊を撮影してSNSでバズる目的だった。誰が作ったとも知れない祭壇のような場所をめざす。室内ではラップ音のようなものが響き渡り恐る恐る探索を開始、そしてその祭壇にたどり着く。

だが遥はその祭壇を破壊し幽霊を挑発。すると血で濡れたような真っ赤な出で立ちの不気味な女が姿を表し、全力ダッシュで追い回され逃げ惑うことになる。この女はこの世のものとは思えないような神出鬼没さでいきなりカメラの前に瞬間移動しナタを振り回して襲いかかってきた。一同は這々の体でこの場をあとにした。

ここで撮った映像がバズるかと思いきや、不法侵入や破壊行為などの行為から即垢バンを食らってしまい、当ての外れた彼らは心霊プロデューサーの工藤のもとにこの映像を持ち込むのであった。

そしてコロナ禍の影響で倒産寸前の会社を抱える工藤、いつの間にかディレクターに出世した市川、カメラの田代の3人が8年ぶりに結集し、霊能者の鬼村伊三とともに、この「赤い女」の調査を開始するであったが…。

感想(ネタバレ)

正直なところ、「昼と夜」「過去と未来」を行き来する構成が、「コワすぎ!FILE-04【真相!トイレの花子さん】」を思わせ、少々既視感がありました。ロケ地も「カメラを止めるな!」の「芦山浄水場」だし、何から何まで焼き直しじゃん…と思っていたんですけど…。

しかし、遥と恋人の琴子の“過去の幻影”と思われていた場面――実際には工藤たちが過去へ飛ばされていたわけですが――で、ブラック工藤に襲われるシーンの後、鬼村伊三の師匠・珠世が颯爽と現れたあたりから、一気に作品の熱量が上がっていきました。

この珠世というキャラクターが、とにかく格好いい。まさにヒーロー然とした存在感で、カルト の「NEO」様を彷彿とさせます。さらに、現代的で洗練されたファッションや、圧倒的な頼もしさを備えた姉御肌のキャラクター性には、化物語シリーズの「臥煙伊豆湖」や、ダンダダンの「綾瀬星子」を連想しました。

しかも驚いたのが、この珠世を演じているのが、前作で儚げな蛇女・川野つぐ巳を演じていた桑名里瑛さんだということ。同じ人物とは思えないほど雰囲気が違っていて、「役者すげえ……」と感心してしまいました。

ストーリーそのものの面白さについては、ぜひ本編を観ていただきたいところですが、個人的に特に印象的だったのは、市川の戦闘力が妙に上がっていることです(笑)。工藤の暴力を軽々とかわしてカウンターを叩き込んだり、さらにはブラック工藤と一瞬ながら互角に渡り合ったりと、以前の市川からは想像できないレベルの成長ぶりで、妙な頼もしさがありました。

また、やんちゃな若者3人組それぞれが、思い出したくない過去を抱えているという描写も印象的でした。幽霊の精神攻撃によって、まず絢音のトラウマが音声として流れ込んでくる場面はかなり重苦しい雰囲気です。そして次は遥の過去が描かれるのかと思いきや、まさかの大輝の過去へ切り替わる展開には、不謹慎ながら少し笑ってしまいました。

もちろん、男性であってもそうした被害によって深く傷つくのは当然で、本来笑ってよい話ではありません。ただ、この作品はシリアスな題材を扱いながらも、どこか勢いとテンションで押し切ってしまう独特の空気感があり、そのアンバランスさが妙な面白さを生んでいるのだと思います。

さらに驚かされるのが、過去に遥と琴子が“ブラック工藤”に襲われていた、という衝撃的な展開です。このブラック工藤、どうやら工藤の内面に存在する悪性の象徴らしいのですが、その負の側面がドッペルゲンガーのように実体化し、好き放題暴れ回るという設定があまりにも無茶苦茶で、もはや理屈を超えています。

そして、そのブラック工藤に対峙する本来の工藤。最終的な解決方法が「暴力」なのも実にこのシリーズらしいのですが、正確にはブラック工藤を、妊娠していた琴子の“ジャンボ胎児”が食べてしまうという、とんでもない決着になります。文章にすると完全に狂っていますが、映像で観ると妙な説得力があるのが恐ろしいところです。

また、現代の世界線へ戻るため、珠世が皆に念を集中させる場面も最高でした。カメラへ向かって「これを見ているお前も念を送れ!」と言い出した瞬間には、思わず吹き出してしまいました。プリキュアの応援上映かよ(笑)。

というわけで、本作は「怖い作品」というより、むしろ“楽しい怪作”という印象が強い作品でした。もっとも、最終的にはブラック工藤を喰らったジャンボ胎児によって、結局世界が地獄のような状況に陥ることが示唆されるため、後味は決して明るくはないのですが……。

そして極めつけはエンドロール。まさか、あの幻の「コワすぎ音頭」まで披露されるとは思わず、最後の最後で完全に笑わされてしまいました。

いや~面白かった。

それでは。

コメント

  1. tasojiso より:

    お、ついに最新作まで網羅ですね!
    そうなんです。この作品、FILE4とカルトのほぼトレースなんですよ。
    良作2つの要素が揃ってるので中々楽しめたんですけど
    どうしても既視感が強くて…この既視感をカルトの方で感じてしまうと
    あのメチャクチャさを楽しむための作品が純粋に視聴できないかなと思い
    先に見てほしくて旧シリーズ後に薦めさせていただきました。

    今作は「超」ともまた違う次元の工藤、市川だと解釈しています。
    パラレルワールドの設定って便利な分、リスクもあると感じるんですよ。
    もしキャラクターが作中で死んだり、世界が滅んでも
    「パラレルワールドだしまた別次元で続けられるじゃん」で片付いちゃう。
    でもそれだともうハラハラする必要もないじゃないかと。
    それにファンが見たいのは飽くまで最初の世界の二人だったりもする。
    そういうところでちょっと冷めて離れちゃった人もいるのかなと。
    飽くまで私の見解ですけどねw またいつか復活してほしいですよね。

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