はじめに
「ほんとにあった!呪いのビデオ94」が先日(2021年10月6日)リリースされました。前巻の予告では9月前半だった筈なのですが、1か月遅れてしまいました。夏の変則2部作の完結(だと思いますが)ですが、既に涼しくなってしまいましたね。
以降ネタバレの山ですので、未見の方はご注意のほどよろしくお願いいたします。
卸売センター(怖い)
概要
卸売センター(安売りスーパー?)で投稿者の幼い息子が撮影した映像。店内で撮影して遊んでいた息子が「変なものが写った」と訴えてきたのだそうである。その際の映像は、陳列棚の隙間から見える人物が、ふとした隙に現れたり消えたりするもの。カメラがそこに注視していると……。
このスーパーでは棚が崩れて亡くなった人がいるそうである。
感想
カメラが注視すると、言うなれば視聴者も、それを追って棚の奥を注目していると……うん、まあ見ればわかります(笑)。ちょっとびっくりするかも。
撮影者の子供が悲鳴を上げるでもなく、「今の何?」って感じがとてもリアルでガチっぽいです。その割にはこの「何か」の造形が、お化け屋敷のそれみたいなわざとらしさがあり、いったいガチなのかフェイクなのか、ちょっとわからないところがあります。
でもインパクトは十分。つかみとしては申し分のないエピソードです。
ベランダにて(少し怖い)
概要
とってもきれいな物件の紹介ビデオ。5階以上の中層階で眺めがよく、そして明るく、広くて快適そうなリビングで、カメラは部屋の端から端までパンする。するとベランダの端に人影が写りこんでいた。その半透明の人影はベランダから飛び降りながら消えてしまう。
この物件は所謂「事故物件」ではなかったが、上の階で飛び降り自殺があり、この部屋のベランダに落ちて亡くなってしまったそうである。
感想
人影には首が無いのですが、自殺者はベランダに打ち付けられて首が潰れた、と言う話も聞けます。
飛び降りる瞬間と言えば、かつての秀作「ほん呪16:卒業旅行」を思い出しますが、あっちは「明日に向かってジャンプ!」と言う感じで片足で踏み出して飛びますが、こちらは両足をそろえて「今から落ちます」って覚悟を決めて落ちる感じがリアルでした。
それにしても、この部屋で自殺したわけじゃないから「事故物件」にならないとか、あんまりですよね。「告知事項無し」でも安心できない……なんて感じが、うっすらと怖い雰囲気を醸し出しています。
顔顔顔(少し怖い)
概要
差出人不明の謎の映像が「ほん呪で紹介してほしい」と言うメモと共に送られてきた。その映像の中身であるが、農家の物置みたいな小屋の中に、監禁されているような女性の姿が見受けられ、その女性の顔は異様なものがいくつも……。
「取って、取ってぇ!、取ってぇ!!」この女性は叫び声をあげる。扉を閉め、撮影者がその場を後にするシーンで映像は終わる。
感想
タイトルがまず不穏ですよね。これでネタバレしちゃっているようなもので、女性の顔がどうなっているのか、何を「取って」欲しいのか、未見の方でも大体わかると思います。
監禁されているような、と書きましたが、特に拘束されているわけではないようです。ただこの女性、ほぼ下着姿と言っても差し支えのないようなあられもない姿で、一部の人の琴線に触れるのでは、という映像となっており、ほん呪では珍しいと言えるかもしれません。
まあ、人面瘡が顔にできちゃった感じですかね。かなりよく出来ていました。特にその中の一つの目がカメラを追っているように見えるのは、芸が細かいなとも思いました。
続・おまじない 前編(怖くない)
概要
前々巻、「ほんとにあった! 呪いのビデオ 92」のエピソード「おまじない」で登場した、問題のある女性、河西(かさい)さんが事務所を訪ねてくる。彼女は男性地下アイドルの「推し」に付きまとい、迷惑行為やストーカーまがいの行為を繰り返すことで界隈では有名であり、彼女の「推し」にされたアイドルはこれによってファンを失い、活動がままならなくなってしまうそうである。
河西さんが持ち込んだ写真と映像は、彼女の顔の向かって右半分が、ひしゃげたり歪んだりするものであった。彼女の依頼に、正直関わり合いになりたくない製作委員会は、しぶしぶ調査を開始する。
だが……。
感想
河西さんが、すぐに何か判ると思って持ち込んで、「なんでわかんないのぉ」みたいな態度がちょっとイラっときます。いや、ほん呪はよろず心霊相談所じゃないし(笑)。何年かごとにスタッフも総入れ替えしてしまうので、心霊のエキスパートってわけでもないんですよね。ですが彼女、「ちょっと調査遅くないですか?」とか、けっこう図々しい文句は言っても、去り際にはきちんとした挨拶は欠かさなかったりとか、よくわかんないです。
顔が歪むとか、つい「XXX」シリーズを思い出しちゃいますけど、今回映像のクオリティは高いです。投稿映像に至ってはものすごい歪み方で、かなり不気味ですが、「顔が歪む」とか言う事象は正直慣れてしまいました。
河西さんの勤めているお店に取材に行って同僚にインタビューしたりするのですが、彼女はいったい何のお店に勤めているのですかね。こういう世界は疎くてトンとわかりませんが、なんか待機室に女の子が待機していて、選んだ女の子のとデートでもできるのでしょうか。エピソード内ではあえて言及していません。
地下アイドルの取材対象に前々回の清瀬さんがいたけど、「この前忘れろと言っちゃったし…」とかで、取材断念するシーンがおかしかった。そりゃそうだよな(笑)。
トリックアート(少し怖い)
概要
どこかの観光地にあるトリックアート展。鏡に囲まれた迷路のような展示の出口付近に、その場にそぐわない人物が写っていた。
感想
そこにいる単なるおばさんに見えました。よく見ると着物姿の老婆で、あのような場所ではあり得ないんですけどね。
投稿者の彼女の看護師が勤めていた病院の、既に亡くなっている入院患者に似ており、若い頃から糖尿病で失明してしまい、恋愛など望むべくもない状況だったことから、看護師の彼女から、彼氏とのデートのことなどを聞きたがり、「うらやましい」と語っていたという、ある意味切ない話も聞けます。その話のナレーションで、この写り込んだ老婆が目をつむっていることに気が付き、ちょっとぞっとしました。
教授の娘(少し怖い)
概要
とある大学のオンライン講義。教授がカメラに向かい講義を行っているが、しばらくすると彼の息子らしき子供が、講義中にもかかわらず後ろの扉を開けてしまう。この子は「パパ、あいちゃんは?」と女の子の名前を口にした。この教授には娘はいない筈なのだが。
開けた扉を閉めた後には、そこにいるはずのない何者かの姿が……。
感想
この息子さん、後に友達と遊びに行くと出かけたきり、行方不明になってしまったという話です。
扉を閉めたら壁のあたりに、土色の肌の髪の長い女の子が画面から見切れて立っています。写り方は教授の影になり、見えなくなったらもうそこにはいないという、よく言えば王道、悪く言えばありがちなものです。さほど怖くはありませんが、雰囲気が良いと感じ、この評価になりました。
お堅いはずの映像に子供が入ってきてしまったと言えば、どうしてもあの動画(BBCパパ)を思い出してしまい、怖くなくなってしまったのが残念。
梨狩り(怖くない)
概要
楽しい梨狩りに来た家族。レジャーシートを敷き、くつろいでいる風景に2度にわたり不気味な女性の姿が写り込んだ。1度目は背後の別の家族のシートに横たわる女性。2度目は子供を抱える父親の背後に寄り添うように写り込む。その女性の顔は鼻が欠損しているようにも見える。
この辺りには昔遊郭街があり、遊女たちは梅毒などの病気かかっても、まともに治療してもらえず、命を落とす者も少なくなかったそうである。
感想
これもよくある写り方。特に怖いと感じません。古い映像によく溶け込んでいるなとは思います。
続・おまじない 後編(長い)
概要
ライブ帰りに事故に遭ってしまった河西さん。この事故は映像で顔が歪む現象に、絶対関係があると確信していた彼女だが、一向に進まない調査に苛立ちも感じているようであった。
そんな折、以前一旦取材を断ってきた猿井さんという人物から連絡が入り、「河西被害者の会」と言うものが結成されていた事実が明るみに出る。その会には「ほん呪92:おまじない」の投稿者、清瀬さんもいた。彼らは結構マジで河西さんに対する呪いをかけていたことが分かり、しかも中心人物は清瀬さんだったのである。呪いを請け負う人物に大金を払って依頼したことを彼らは白状するが、その呪いは関係者以外に知られてしまうと効果が無くなると聞いていて、製作委員会に知られてしまった彼らは、幾分意気消沈気味であった。
調査結果を河西さんに伝えるが、清瀬さん達の事を全て話すわけにいかず、かといって「お前の招いた種じゃん」とはっきり言うわけにもいかず、とてつもなく歯切れの悪い報告に、彼女は不満のようであったが、呪いはもう効力を失ったことを何とか納得してもらう。だが河西さんが事務所を出てほっとしたのもつかの間、事務所の外で悲鳴が響き渡る。彼女は階段を踏み外し、顔の右側に大けがを負ってしまった。それはあの映像の歪みと同じ個所である。呪いは効力を失ったのではなかったのか。
その後、「河西被害者の会」のメンバーや猿井さんとは連絡が取れなくなる。そして、顔に大怪我を負った河西さんとリモートインタビューの映像にも異変が現れた。まだ呪いは続いているのだろうか。「おまじない」で写り込んだ女性は河西さんではなく、そもそも別の何かが原因なのか。
警告
これからご覧いただく映像はあなたの心身に深刻な霊障を引き起こす可能性がございます。気が進まない方は再生を止めてください。こちらでは一切の責任を負いかねます。
以上のテロップ(改行等修正)、10秒のカウントダウンの後、映像が紹介される。
激しいノイズと共に、河西さんの顔が一瞬歪み、向かって右半分が赤黒く潰れた顔が重なっていた。引き続き調査を進めるというナレーションでエピソードは終わる。
感想
長いです。驚きの40分コースです。
概要では伝えきれませんでしたが、「河西被害者の会」のメンバー同士やスタッフとのやり取りとかが、このエピソードのドラマ的な見どころになっています。猿井さんが「呪い」とか付き合いきれん、と彼らから距離を置いてしまったことが遠因で、この事を製作委員会にリークしてしまい、呪いはおじゃんになってしまった。彼は意図せず被害者の会の裏切り者になってしまうところが、興味深いストーリーですね。
でも一般的には冗長で退屈なものに感じてしまうかもしれません。また結局清瀬さんや河西さんへの怪異が被害者の会の呪いではなく、根本から異なるものだったのかもしれない、じゃあライブ会場に現れた女の姿は何なのよ、あれ?あの現象は呪いとか関係ないよな、とか理屈に合わない感じが、なんか「XXX」に似てきたな~と思いました。私が直近で「XXX」観まくっていたせいかもしれませんが。
久々の警告映像ですが、まあまあ気持ちの悪いものではあります。ですが、警告に値するほどのものとは感じませんでした。別に懇意にしている霊能者の見解があるわけでもないし、何故仰々しく警告するのかちょっとわかりません。河西さんへの怪異が「被害者の会」の呪いではなかった、という事は、彼女だけではなく、これに関わった全ての人、視聴者に降りかかる可能性がある、と言う感じを出したかったのでしょうか。ちょっとピンときませんでした。
余談ですが、河西さんが入院したという病院ですが、私がよく知っている病院だったので驚きました。妻が入院していた病院で、私も妻も一時期お世話になったところです。良い病院でしたよ。
2021年11月7日追記
このエピソード「続・おまじない 後編」ですが、DVDのチャプターメニューのサブタイトルが「続・おまじない 後編(1)」の次が、「続・おまじない 後編(2)」となるべきところ、前巻の最後のエピソードのサブタイトルと同じ、「邪魔・(2)」となってしまっていました。写り込んだあの女が河西さんではないとすると、「邪魔」のあの幽霊と何か繋がりあることを示唆しているのではないか…なんて解釈も面白いと思いました。おそらくは制作時におけるミスだとは思いますけどね。コメント欄にて「ほんとにあった!祝いのビデオ」さんに教えていただきました。
感想まとめ
正直、メインエピソードにはさほど期待はしていませんでしたので、がっかりとまではいかず、むしろ興味深く見ることができました。でも怖くはないですね。また、全くと言ってよいほど街中でも取材シーンがないと感じました。これはご時世で仕方がないです。
それより一般投稿が良かったですね。特に序盤の3エピソードが印象に残ります。ちょっとやり過ぎ感が感じられなくもないですが、映像のクオリティーは高いです。さすがほん呪。
ただ全体的にはやはり低調で地味な感じが否めず、印象に残るエピソードもフェイク臭が漂って、他の心霊モノには無い、「ガチがあるかもしれない」というほん呪の特徴が薄れてしまっているのが残念です。頑張ってくれ「ほん呪!」(ガチな映像は頑張ってどうにかできるものでもないですけど)。
今回のレビューは概要の記述をなるべく簡潔にすることを念頭におきましたが、いかがでしょうか。最近長すぎるな、と思っていたので。
コメント
今回94巻は顔の欠損をテーマにしているように感じました
言うなれば4巻病院編5巻学校編に続く欠損編とでも言いましょうか
まぁそんな事考えてないと思いますが
顔顔顔なんですがあれは合成やCGではなく特殊メイクではないかなーと思いました
オワカ―リ7世さんこんにちは
なるほどそう言われてみれば顔にまつわる話が多いですね。「卸売センター」は欠損していないにしても顔面血だらけですしね。
「顔顔顔」は特殊メイクだと僕も思うのですが、一番大きな眼が動くのがリアルで、どちらにしてもよく出来ています。
こんにちは。はじめまして。
私個人としては、怪我した河西さん
、1人また1人と消えていく被害者の会の面々、久々の最後のカウントダウンなので、顔顔顔に最終的に繋げてもらいたかったですねぇ。
河西さんも顔の左半分を怪我した訳ですし、顔顔顔の人面瘡が被害者の会のかけた呪いの完成形と言う話なら、92を見た誰かがほん呪スタッフを通じて河西さん、被害者の会への警告として送った。とかなら一捻りだったかなと。(92じゃ被害者の会が出ないから無理か)
卸売りセンターは、びっくりして思わず声出ました笑
あ、長々すみません。
シュポポポポンさん初めまして。
その呪いの完成形というアイデア、なかなか秀逸で良いですね。
卸売りセンターは油断していて僕も声が出ました(笑)。
はじめまして。
最近このサイトを見つけて、感想楽しく読ませてもらっています。
今回の三部作ですが、てっきり2作目の「邪魔」が最後に何か関係してくるのかと思ってたんですが、全く絡んで来なくてあれ…?って思っちゃいました。
「邪魔」のあの映っていた女性は何だったのか謎のままでしたし、「おまじない」も結局、アイドルの男性(名前忘れちゃいました)が見ていた河西さんが、実は河西さん本人じゃないんじゃないかとか、河西さんがやっていたおまじないというのは結局何だったのかとか、ほとんど解決できずに終わってしまいましたね…
ただ、苦しい予想なんですが、「邪魔」と「おまじない」の投稿映像に映っていたいた女性(もしあの男性が見ていた人が河西さんじゃなかった場合)ってもしかして同一人物だったりするのかな?なんて思っちゃってます。
これといった根拠はないんですが、今作を見終わった後何気なくチャプターを見てみると、最後の警告付き映像のチャプター名が、『邪魔:後編』になってたんで、もしかしたら…?なんて考えてました。
…誤植と言われればそれまでですが(笑)
ほんとにあった!祝いのビデオさん、こんばんは。
コメントが2回投稿してしまっているようなので重複したコメントは削除させていただきました。初めてのコメントの場合、私が承認しないと表示されないのです。
判りにくくてごめんなさい。
それはともかくとして、あの「邪魔」の幽霊が、「おまじない」の幽霊と同一のものではないかという考えはちょっとは頭の片隅にありました。でも「邪魔」の幽霊はなんだか地縛霊のようだし、さすがに違うかなと思っていたのです。
>映像のチャプター名が、『邪魔:後編』になってた…
ホントですか!
これは気が付きませんでした。だったらちょっとおもしろいかもしれませんね。残念ながらDVDはもう返却してしまったので、確認は少し時間がかかってしまいそうです。
コメントありがとうございました。
ほんとにあった!祝いのビデオさん、こんばんは。
本日やっと確認できました。
確かにチャプター名が「続・おまじない 後編」となるべきところ、「邪魔:後編」になっていました。
おそらくは、単なるミスなんでしょうけど、「邪魔」との繋がりを示唆したものと解釈するのも面白いですね。
「ほんとにあった!祝いのビデオ」
秀逸なハンドルネームですね。
失礼ながら、富士の樹海の木に落書きされた「祝ってやる」を思い出してしまいました(笑)。
返信ありがとうございます。
コメント重複の件はすみませんでした…
削除もしていただきありがとうございます。
ハンドルネームはもうすぐで作品のナンバリングが100を迎えそうなので、その記念を込めてのものなのですが、言われてみれば確かに樹海のあのネタも連想できますね(笑)
卸売のやつはまじまじ見てると、あんまり怖くなかったww。急に現れた時はビックリしましたけどw
虫さんさん。こんばんは・
油断しているとびっくりしますよね。
卸売りセンターは心霊映像のありがちな霊の登場バターンという感じでしたね。
初見だとビックリするでしょうが、「正彦○ね(絵馬のやつ)」や「桟橋の隙間から覗く顔」を履修していたおかげで免疫ができていました。
結構びっくりしました。
撮影した子供のリアクションがリアルでしたね。
「正彦○ね(絵馬のやつ)」はタイミングが絶妙で声が出ました(笑)。
はじめまして、こちらにコメント残させていただきます。最初の卸売センターですが、個人的には、何の棚が崩れてなくなったとは動画で言ってませんが、お酒売り場の棚が崩れて無くなったとか調味料売り場の棚が崩れたとしたら、血ではなくて、ウイスキーとかウスターソースにも思てしまいました。
知り合いの心霊系YouTuberより本呪見てる男さんこんにちは。
>ウイスキーとかウスターソースにも…
笑ってしまいました。
そうですね、調味料などの液体まみれになりますよね(笑)。