ほんとにあった!呪いのビデオ47(ネタバレあり)

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ほんとにあった!呪いのビデオ47
ほんとにあった!呪いのビデオ47

はじめに

「ほんとにあった!呪いのビデオ47」です。夏の3部作(当時)である「死返編」が始まります。また、割と有名な「廃墟の演奏会」が収められています。

泥人形(かなり怖い)

概要

山間部の温泉旅館に泊まった女性3人組。夜になりトランプに興ずる彼女達であったが、突然携帯電話の着信音が鳴る。1人の女性がテーブルに置いた自分の携帯を確認すると、発信元の電話番号はこの場にいる、もう1人の女性のものであった。彼女の携帯は同じテーブルに置き去りになっているので手元にはなく、発信などしようが無いはずであった。いぶかしながらも電話に出てみる女性。受話器からの声に当惑している。だがその様子を撮影した映像は、この女性の背後に泥をかぶったような灰色の浴衣を着た、少年と思しき姿を捉えていた。撮影者はファインダー越しにそれを認め、パニックに陥るところで映像は終わる。

電話を取った女性によると、電話口では子供の泣き叫ぶ声が聞こえたという。この温泉宿の近くには石碑が置かれていた。それはこの付近で、口減らしの為に殺された子供を慰霊するものであったという。

感想

この温泉宿の部屋が、いい感じに鄙びて熟成されており、なかなか良い雰囲気を醸し出しています。触ってもいない、ましてや離れたところにある携帯から着信したというのが、目新しくも不思議な感じをよく出していると思います。ぜひ、その携帯の発信履歴もチェックして欲しかった。

浴衣姿の子供姿はかなり不気味。顔が無表情、と言うよりはっきりとわからないところが怖いですね。目も何だか黒いし。慣れていない人にはとても怖い映像では無いでしょうか。つかみはまずまずです。

マヨヒガ(少し怖い)

概要

投稿者の塩谷さんは友人とそのバイト仲間4人で温泉に旅行に出かけた。友人のバイト仲間の1人である梶原さんの運転での帰り道、一行は彼の提案により、近道をするために幹線道路から外れた山道に迷い込んでしまった。その道すがら、辺鄙な道には似つかわしくない大きなお屋敷とも呼べる廃屋をたまたま見つけ、興味本位から探検することになる。

これといって何事もなかったのだが、塩谷さんが後に映像を確認したところ、梶原さんの背後に見知らぬ女性が立っていることを発見する。メンバーの中には女性はいなかったし、廃屋には他に誰もいないはずであった。塩谷さんは、廃屋からの帰り道でファミレスに寄った際、そこの店員は1人分多い5つの水を持ってきたことを思い出した。その水は梶原さんの横、誰もいない席に置かれたのである。

気になった塩谷さんは、友人を通して梶原さんの様子を聞こうと連絡を取るが、彼はバイトをやめてしまったという話であった。スタッフは、バイト仲間の三宅さんに話を聞くことに。彼によると、カラオケボックスのバイトで、掃除からなかなか戻ってこない梶原さんの様子を見に行くと、誰もいない部屋で誰かと楽しく話をしている様子だったそうである。そして数日後バイトを辞め、実家に帰ってしまった。家族によると精神に異常をきたしているので休ませているとのこと。お見舞いに行くと梶原さんは問いかけに反応せず、終始ブツブツと「約束…」とつぶやいていたそうである。

梶原さんの家族には取材を断られてしまったので、制作委員会スタッフは塩谷さんんと共に、その廃墟を訪れてみることにした。だが、塩谷さんの記憶にある道を行けども、廃墟は一向に見つからなかった。地元の人に聞き込むが、屋敷の廃墟の存在を知っているものは皆無であった。だが、1人だけ「ありもしない廃墟」の噂があると語ってくれた。それは廃墟を見つけるも、後日訪れようとしても2度と見つけることができないという、噂話とも伝承ともつかない話であった。スタッフは柳田國男の「東野物語」に「マヨイガ」という似た話を見つける。ここで映像が紹介され、確かに梶原さんの背後に女性が写り込んでいることがわかる。

感想

まずその現場に2度とたどり着けない、という話が前にもありましたね。こういう話の異世界に迷い込んだという感じは結構好きです。ただ、廃墟を探している取材で残雪に取られ、車がスタックしてしまうのですが、スノータイヤかチェーンをつけて後日再チャレンジしてみればいいじゃんか、と思いました。

どこかの駐車場で岩澤氏が記念写真を撮られているのが印象的でした。「ほんとにあった!呪いのビデオ」も47ともなれば固定ファンが発生するのですね(私もそのうちの1人ですが)。あと周辺への聞き込みで、岩澤氏が犬を飼っているお宅を訪れた際、この犬が「なんですか〜」といった感じで、近づいてくるのに、それをガン無視して頭ごなしに家人を呼ぶので、犬が怒って吠え掛かるシーン。犬が「俺を無視するな!(女の子かもしれないけど)」と言わんばかりで、とても可愛く、笑ってしまいました。

映像ですがそれなりに不気味で怖いです。ただはっきりと写りすぎている感じもしますね。廃墟の床の穴を映すシーンがあるのですが、その穴に何か写っている感じもします。暗すぎてよくわからないのですけど。

シリーズ監視カメラ・公衆トイレ(怖くない)

概要

都市部の公衆トイレ付近の監視カメラ。女子トイレの照明が明滅し、苦しみもがくような影が映し出される。このトイレでは過去に女性の焼身自殺があったそうである。

感想

影が写っているだけ。これは怖くないです。

漫才の練習(少し怖い)

概要

大学生が学園祭で披露する漫才の練習をする風景。突然大音量のノイズが走り画面がフリーズ。極めて短い周期で同じ画面が繰り返される。それが終わると向かって左のボケ役の男性の体が透け、その後ろに不気味な男の姿が現れる。その男は手をゆっくり前に出し、ボケ役の男性の体を掴もうしているようにも見える。その後通常の映像に戻り、左の男性のボケで映像は終わる。

この男性は、一人暮らしの部屋で突然死しているのが発見されたそうである。

感想

フリーズして、短い周期で同じ画面が繰り返されるシーン。音量に注意で、ノイズ音が「ビビビビッ!」と走ってちょっとびっくりします。体の透け方がなんか気持ち悪く、ノイズ音のショックと相まって少し怖かったですね。

漫才自体は寒いものでしたが、最後のボケで終わってしまいます。そのボケにツッコむところまでは、映像を続けてやれよ!とは思いました。

心の闇(不気味)

概要

ゴルフの打ちっ放しの練習をしている風景。投稿者と会社の同僚で訪れたそうだ。フォームをチェックするための映像だが、同僚の男性の頭が極めて細く歪み、まるで木の枝のように異様にひしゃげてしまっている。投稿者は驚いて録画を止めてしまう。

この同僚の男性は後にノイローゼから首吊り自殺を試み、一命はとりとめたものの、障害から植物状態になってしまったという。この映像が撮られた時点で、何か心の闇を抱え込んでいたのであろうか。

感想

ひしゃげ方がとても異様で、怖くは無いのですが不気味です。どこかのレビューサイトで「盆栽」と表現されていたのには、なるほど、と思いました。しかし、同僚の女性がスカートで打ちっ放しにくるのが、なんかエロくてあざといなっと思ったのは僕だけでしょうか。

それにしてもフォームを見るためとか称してカメラを横にするのはやめろ。かえって見にくいわ。

廃墟の演奏会(めちゃ怖い)

概要

投稿者がサイトで知り合った仲間と廃墟探検に訪れた際、子供部屋と思しき場所でビデオテープを発見する。もともと廃墟好きであった投稿者は、普段は廃墟のものを触れたり、持って帰ることなどしないのだが、その時だけはなぜか気になり、持って帰ってきてしまったという。

後日テープを確認すると、幼い女の子のピアノ発表会の様子が収められており、女の子に近く女性の姿と、椅子の影から覗く女性の顔が写っていたという。また、これ以来、投稿者が電話をすると、相手側から女性のささやき声がすると訴えられるようになったそうだ。

ここで映像が紹介される。

幼い女の子が発表会でピアノを弾いている。舞台袖から、ロングドレスをまとった半透明の女性が姿を現し、女の子に近づいて行く。撮影者はこれに気がついたのであろうか、その女性の全身が見えるか見えないかと言うところで、観客の後ろ姿に隠れて、ステージが映らないカットに変わってしまう。数秒後にまたカットが変わり、空いている前席の座面が写っている。椅子は簡易なタイプで、背もたれと座面の間が空いており、その前の観客の足やまわりの床が見えている。録画状態のまま膝の上にでも置いた感じである。

他の演奏が続いている中、奇妙にも全く別の演奏が被って聞こえてくる。さらに、なにやらぼそぼそと呟く声が聞こえ始め、椅子の横から髪をだらんとさせた女の顔のみが姿を表す。

スタッフの調べによると、その廃墟には若い夫婦とその娘である女の子が住んでいたが、この子は精神を病んだのか、幻聴が聞こえるようになってしまい、自ら耳をはさみで突いて、亡くなってしまったそうである。

感想

何故その廃墟や探索の際の映像なり、その時撮った写真なりを取材しないのだ、と冷静になった今では思いますが、そんなことはどうでもよくなる程、インパクトがあり、かなり怖い映像です。

肝心の我が子(おそらくは)の演奏のシーンを、途中でぶった切ってしまっているのは、この子の後ろに近づく女の姿を、撮影者も認識してしまっていたのでは、と想像しました。その後、椅子の後ろを延々と撮影し続けているのは、隣の椅子の上にでもカメラを放置してしまったからでは無いでしょうか。

女がロングドレスを着ている点、放置した(と思われる)ビデオカメラに別の演奏らしき音が聞こえる点から、この女性もピアノを演奏する人物ではないか。ピアノ演奏会に何かの未練か、いわれがあるのでは無いかと感じさせます。女の顔は、登場の仕方といい、この世のものでは無い感が全開なのに、髪の毛だけは物理法則に従って、だらんと垂れ下がっているのがとても怖いですね。似たような登場をする話が過去にありましたね。

この女の正体や、廃墟に住んでいた家族の運命など、詳しい背景が一切不明なのも怖い。このようにわからないことが多いため、いろいろ想像できる方が、実は怖いのでは無いだろうか…などど本呪メインエピソード全否定な意見にたどり着いてしまいそうです。いやメインエピソードもあった方が良いと思っていますけれども。

死返(まかるがえし)(少し怖い)

概要

制作委員会に2本の映像が投稿される。1本は鈴川さんという女性からのもので、もう1本は差出人が記載されておらず、封筒にメモリカードが無造作に封入されているものであった。鈴川さんの映像は水族館で友人を撮影したものであるが、差出人不明の映像はどうやら鈴川さんの映像と同時に撮られたもので、この映像に映る彼女の友人が撮ったものであると思われた。

それぞれの映像には双方ともに異様なものが写り込んでいたが、とりあえず制作委員会スタッフは鈴川さんに話を聞くことにした。彼女の話によると、この映像は友人の斉木さんと都内の水族館に訪れた時のもので、この帰りにレストランで食事をしていると、斉木さんが電話をかけるために中座し、そのまま行方不明になってしまったということであった。斉木さんの職業は商業派遣モデルであり、この少し前に仕事で嫌なことをされたと語っていたそうだ。ただし、彼女は「いやなこと」の内容については、具体的には何も語ってくれなかった。

スタッフは斉木さんが撮影したと思われる、差出人不明の映像を鈴川さんに見せるも驚くばかりで、その封筒に押されていた消印の地名にも心当たりはないとの答えが返ってきた。ただ、斉木さんが所属していたモデル事務所の情報が得られたので、その事務所に取材を行う。事務所も斉木さんの失踪に驚いていた。直前に派遣の依頼を受けたのは男性ということはわかったが、これ以上派遣元の情報を得ることは、個人情報保護の観点からできなかった。ただし、派遣されたスタジオの情報を得ることはでき、そのスタジオに赴く。スタジオでも使った人の情報は明かせないとのことであったが、そのスタジオを調査する許可は得ることができた。菊池がここで、映像に映っていたものと同じソファを発見し、この映像の不可思議な場面はここでの出来事であることの確証が得られた。

ここで、鈴川さんの映像が紹介される。水族館で楽しげな様子の斉木さん。大水槽でクラゲが登場するあたりで、突然、例のスタジオと思しき場面に切り替わり、ソファで斉木さんがうなだれている。その背後の鏡に老婆のような不気味な姿が鏡に写っており、こちらを振り向く。本来はこのように鏡に映る場合、老婆と撮影機材が手前になければおかしい。

新たな手掛かりが得られないスタッフであったが、スタジオの従業員のアルバイト、米田さんから電話がある。それは、斉木さんが派遣された際の奇妙な出来事であった。本来はこのようなことを外部に話すことはできないのだが、と前置きする米田さんであったが、あまりにも気になるので連絡を取ることにしたとのことであった。

斉木さんを派遣してもらい、スタジオを借りたのは田沼さんという男性で、以前にもこのスタジオを借りた事があり、自主映画制作のためと称していたそうである。だが、今回は終了の連絡をよこさないばかりか、片付けもせずに帰ってしまったようであった。スタジオは荒れ放題であり、カエルの死骸や血のような液体が散乱していたそうだ。不気味なことにカエルの死骸は全て足がなかったそうである。このような行為は規約違反であるため、電話をするも、全く無関係な人にかかってしまい、登録した電話番号や住所など個人情報は全て虚偽であった。

ここで、差出人不明のもう1つの映像が紹介される。水族館での楽しげな様子は、鈴川さんの映像と同じである。鈴川さんが写っており、彼女達の会話から、同じ場面に撮影されたものである事がわかる。鈴川さんの映像に起こった異変と全く同じタイミングで、強烈なノイズ音とともに老婆らしき顔が大写しになる。その老婆の眼窩には目玉らしきものが見当たらない。そして、

「おまえの…からだにしよう」

とつぶやき、映像は水族館の様子に戻る。

田沼氏は斉木さんに何をしたのだろう、何らかの呪術的なな儀式でも行ったのであろうか。制作委員会は調査を続ける。

つづく

感想

今回のメインエピソードは珍しく、前・後編に分かれていません。前・後編に分ける理由は心霊現象の映像を紹介するまでの調査や、インタビューなどの工程で視聴者が飽きてしまうのを防ぐためと理解していましたが、今回は面白いので分けないで行こう、と思ったのか、それともどうせ3部作なのだから1巻あたりのボリュームを抑えた、からなのでしょうか。今回は一気に畳み掛けて間延びせず、良かったと思います。

どうやら斉木さんに謎の儀式を行い、その体を老婆が乗っ取ろうとしているという意図が感じられ、なかなかの不気味さが伝わってきて、ストーリー的に面白いものに仕上がっていると思います。互いに写しあった映像に全く同じタイミングで別々に怪奇映像が記録されてしまう点も斬新です。ですが肝心の老婆がただの特殊メイクにしか見えないのが残念。もう少しこの世のものでは無い感が欲しいところです。このあたりの違和感を感じずに済めば、なかなか怖い映像だと思います。

感想まとめ

今回は展開がスピーディーに感じられ、メインエピソードは前・後編分かれていないせいもあり、飽きずに見れて良かったと思います。ただ逆にあっさり終わってしまった感もあり、このあたりのバランスは難しいですね。

印象に残ったエピソードは、「泥人形」、「マヨイガ」、そしてなんといっても「廃墟の演奏会」ですね。

コメント

  1. みっつ より:

    『マヨヒガ』、大筋は憶えていても細かいとこは忘れていたのですが、かつての「責任」の次は「約束」か、という感じです。「迷い家」と書くのでしょうかね。

    『廃墟の演奏会』は、いやーなビデオでしたね。。好きですけど(笑)
    こんなもの拾ってきて家のビデオデッキで見てしまったら、真夜中にほん呪観てる自分でも卒倒しますわ。

  2. itton より:

    「責任」ありましたね。階段に映る女性がチラッとしか写らないのが、かえって雰囲気出て好きなエピソードです。あと、廃墟の落書きのダジャレが妙に印象残ってしまっています。

    「廃墟の演奏会」。僕もこれをガチで体験したら腰抜かします(笑)。

    • みっつ より:

      「人生山あり谷間あり」の落書きが好きでした(笑)

      廃墟で拾ってきたビデオつながりで言うと、もしそれが『クラシックバレエ』(part41)だったら、読経の所で「なんだ、作り物かよ」と感じると思うんですよね。このエピソードもかなり好きなんですが、最後の読経さえなければ…と(´~`)
      さらについでですが、最近あの『不気味な女』について「最後の声で冷める」いう感想を見ました。その意見、もっともだと思うし、自分もあの声は機械で変調した人工的なものに聞こえます。けれど、あれは手前で視聴をストップしたくなるくらい、あの異様な声で恐怖が増幅されダメ押しされるので、やっぱり最高傑作だと思います。「恐怖と笑いは紙一重」とはこちらのレビューでも言われますが、難しさも醍醐味も紙一重の所にあるなと感じます。

      • itton より:

        >もしそれが『クラシックバレエ』(part41)だったら、読経の所で「なんだ、作り物かよ」と感じると思うんですよね。

        なるほど確かに。ただ僕の場合、読経の部分が記憶にインプットされていなかったんですね。レビューで見直して読経を思い出したくらいですから。つまりあのエピソードでの読経は、僕に取っては蛇足であったということになりますね。

        不気味な女の変な声は蛇足だったのかもしれませんが、僕にとっても、みっつさんと同じく、恐怖の後押しになりました。人の感じ方は様々ですね。

      • itton より:

        ちなみに好きなダジャレは「イカがイカッタ」です(笑)。次点は「ふとんがふっとんだ」。

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