はじめに
「闇動画」のレビューです。「ほんとにあった!呪いのビデオ」シリーズの22巻〜41巻を担当した、児玉和土氏が監督を務め、同時代の演出補、永田明子氏がアシスタントで出演しています。
コメント欄で「ハコ」さんにお勧めいただいたことが、きっかけですが、Wikipediaによれば、「心霊・オカルト・グロテスク・暴力・狂気・猟奇的事件などのあらゆるタブーに挑戦」と書かれています。心霊以外はどちらかと言うと苦手なのですが、スピンオフで心霊に特化した「心霊闇動画」は観たいので、まず本家のこちらを視聴しようと思い立ちました。
オープニング
概要
まずオープニングで「洒落怖」というロゴらしきものが表示され、「www.sharekowa.net」というURLが表示されるが、2021年12月現在ではリンク切れである。
さらに「この作品には画面が乱れたりノイズが入ったりするし、心身の不調や変なことが起こっても知らん」という心霊ドキュメンタリー定番のテロップが「お断り」として表示されるが、最後に「真実についてはあなたが判断してください」なんてことを言われてしまう。その後、かなり凝ったOPと共にタイトルが表示される。
感想
定番テロップ後の「真実についてはあなたが判断してください」は関暁夫の「信じるか信じないかはあなた次第」みたいな言い方で、ちょっとずるい予防線だな、と思いましたが、先を観るにつれ、「ああ、なる程」と思いました。
公式サイトは「https://www.yamidouga.com/」に変更されているみたいですね。
晩夏の夜に誘う者(少し怖い:ちょいグロ)
概要
若い男女カップルが夜中の河原で花火を楽しんでいると、すぐ近くで石が転がる音がする。投稿者の男性がそちらにカメラを向けると、暗がりの中に少女のような人影が立っているが、目を離した隙に消えてしまった。さらに一言ずつ発する女の声がするので、よせばいいのに彼らがその方向に向かうと、そこに横たわる女性の遺体を発見してしまった。これらの断片的な声を分析すると、とある意味のある言葉になる。
この河原の上流ではホームレスの男性が自分の娘を虐待しているとの話があり、この男が重要参考人として警察に拘束されてしまうが、彼は取り調べの最中に隙を見て自殺してしまったため、詳細は不明である。だが、この辺りでは子供などの水死や行方不明のうわさが絶えなかった。ホームレスの男性が死んでからも事件は続いていたため、別の何者かのしわざだったのか。
感想
女性の遺体発見前に、「あなたの心身に影響を与えるかもしれないので、気が進まなかったら飛ばしてね」という「XXXシリーズ」みたいな警告が10秒のカウントダウン付きで表示されますが、それほどグロではありませんので、ご安心ください。それでもあまりいい気持ちはしませんけどね。
最初に少女の人影が写り込んだシーンは、かなり雰囲気がありましたし、一言ずつ発する女の声はちょっと不気味でした。ですが特に怖い映像と言うわけでもなく、遺体をばっちり写したインパクトだけのエピソードに感じました。
ここで最初のテロップの意味を何となく察しました。「あんまり本気にするなよ」ってことですかね。アシスタントの女性が「ほんとにあった!呪いのビデオ」でお馴染みの長田明子さんですね。
通りすがりの女(少し怖い)
概要
河原でバーベキューしたり、釣りしたりで楽しむ若者たち。だが彼らはその帰りに自動車事故に遭遇して大怪我を負ってしまう。彼らの車の中の映像では三度にわたり不気味な女の姿が写り込んでいた。最初は遠くにいた女は車を覗き込む位置まで近づいてきて、最後に写ったときには車の中にまで入り込んでいる。彼らはこの女の霊にとり憑かれて事故に遭ったとでもいうのだろうか。
感想
これは慣れていない方には結構怖く感じるのではないでしょうか。遠くに半透明の女がいるなっと思ったら、後部座席の窓近くにいきなり現れるのでちょっと驚きますし、次に車内にまで入り込んでドアップになりますしね。
墓参り代行(少し怖い)
概要
「何でも屋」でバイトしていた男性が投稿者。依頼を受け、店長と投稿者は山の中へ墓参りに出かける。この依頼が奇妙なのは、墓参りをする行程の全てをビデオカメラで記録することや、深夜の2時に実行すること、また、お参りの仕方に不可解で細かい指示があったことである。人気のない山の中にある、卒塔婆一本だけの奇妙な墓には結界のようなしめ縄で囲まれている。店長は依頼者の指示通りに墓参りをするが、それは墓参りと言うよりは何かの儀式のようであった。
すると一連の墓参りが終わったとたん、彼らが持参した懐中電灯の明かりが消えてしまう。赤外線モードにしたカメラの映像には地面に突っ伏した店長の姿があったが、声をかけても彼は突っ伏したままで反応がない。すると映像にノイズが走り、森の奥からいくつもの恐ろしいものが宙を飛び、投稿者に突進してきた。恐怖から彼はその場から逃げ出し、車に戻るのだが、そこには何故か先程地面に突っ伏した店長がおり、息をしていないようであった。携帯の電波が入る道までなんとか辿り着いて救急車を呼ぶが店長はすでに亡くなっていた。
あれは呪いの儀式だったのではないか。依頼にかこつけてその儀式をさせられた店長は呪い殺されたのではないか。そう言えば、いつも店長にDVされてふさぎ込みがちな奥さんが、この依頼に赴く彼を見送る際、妙に明るかったのだが…
依頼者の名前も連絡先もでたらめなものであった。
感想
森の奥からこちらに無数の首が迫ってくるのですが、残念ながら動きが遊園地のお化け屋敷レベルで、合成にも違和感があり、人によっては笑ってしまうことでしょう。それでもタイミングとスピード感がなかなか良く、僕は不覚にもちょっとびっくりしてしまい、意外と怖かったです。
すぐに蹴りまで入れてくる店長の人柄とかが、「これは恨まれることもあり得る」と感じさせたり、依頼者の細かい指示が不気味な儀式を連想させたり、カメラで撮影させるのはこの店長に確実に儀式を実行させるためではという解釈に納得させるものがあったりと、奇妙なお墓までの行程やその後が丁寧に描かれていて、なかなか興味深く見ることができました。
撮影者で投稿者でもある男性が、「本当にこんなとこ墓があるんすか」「なんか変じゃないすか」とかブーブー言ってるんですけど、「おい撮ってんだぞ」「お客さんにも事情があるんだ」と恫喝する店長になんか共感してしまったり。この店長、粗暴だけど依頼には誠実に対応してるんじゃないですかね(笑)。
店長を置いて逃げてきた筈なのに、何故か車で死んでいたってのもちょっと怖いですね。概要では端折りましたが、そこを覗き込む何者かの顔が写り込むのも、これは幽霊ではなく、生きている人間かも、と言う解釈も含めて良い感じです。
意外と好きなエピソードですね。
因みに呪術者からこんな話を聞いた、というインタビューで「ほんとにあった!呪いのビデオ」の元演出補、伊月肇氏も登場していました。
五目ならべ(怖くない)
概要
投稿者が幼少期の映像。妹と五目並べをしている光景だが、後ろの壁に女の顔が浮かび上がっている。
感想
壁から「うにょーん」と顔が盛り上がってきます。顔部分の解像度が、古い映像のそれと全く合致しておらず、違和感MAXでしたね。
復讐(怖くない:胸糞:少しグロ)
概要
ある清掃会社の男性が持ち込んだ映像。反社組織が良く入居しているマンションで、清掃の依頼を受けた部屋で見つけたものだそうだ。映像では反社組織員らしき男に、妊娠してお腹の大きい女性が暴力で脅され、薬のようなものを無理やり飲まされる。
男たちはあるおぞましい行為を女性に強要していたのだが、それは失敗に終わり、彼ら自身の手でそれを行ってしまったようだ。女性の遺体が風呂場に運び出された後、その場に残された〇〇の遺体から黒い影が浮かび上がり、風呂場の方に消えてしまう。そして男たちの悲鳴で映像は終わる。
投稿者は清掃した風呂場の写真を持ち込んでいた。風呂場には小さな赤い手形と足形が無数についていた。これは不幸にもこの世に生を受けるはずだった〇〇の復讐だったのであろうか。
感想
Google先生に怒られそうで、あんまりはっきり書けません(笑)。伏字の中身は、懐妊しているお腹の大きな女性、と言うワードからお察しください。きわめて凄惨な場面で、定番の警告テロップ(10秒のカウントダウン付き)も表示されますが、作り物感があり、それほどのグロではありませんのでご安心ください(人によるかもしれません)。
〇〇の復讐と言うのは新しいというか、あまり例をみませんが、屈強な反社の構成員を呪い殺すパワーがあるなら生前に何とかしろよ、とか身も蓋もないことを思っちゃいけませんかね。まあ、殺されたことによりその恨みから怨霊化して、パワーアップを果たしたと解釈しておきます。
とはいっても胸糞。一番怖いのは人間なのか、と思ってしまいますね。
感想まとめ
どうもグロや暴力等と言うタブーを破ったことにより、映像のインパクトが強い印象が感じられました。とはいってもそれほどリアルではないので。ちょっとほっとした一面もあります。ここはやり過ぎると不快感が先に立つので、難しいところですね。
反面、映像処理が拙いのか、作り物感が強く感じさせられるエピソードもあり、この辺はもう少し頑張ってほしい気がします。
ですが、「墓参り代行」は丁寧な描写と、今までにないアイデア(自分で呪われに行く羽目になる)が面白いと思いました。まだ、第1巻なので、今後いろいろと洗練されてくることを期待したいと思います。
あとこのタイトル、僕が借りたDVDだけなのか、最後のスタッフロールがありません。監督が児玉和土氏だというのも、Wikipediaの情報からです。作品の情報がある程度分かるスタッフロールは、ぜひ表示してほしいですね。
コメント
闇動画見返したいんですが古いやつはレンタル屋に無いんですよね
さらに闇動画は最近全くリリースされなくなったのでそのうちシリーズ一作も残さずレンタル屋から消えそうです
いっそのことXXXもですが現物買っても良いんですがちょっと今の時代にDVD買うのはなぁと気がひけてしまって と言っても投稿系作品でブルーレイ出てるの見たことないんですけどね…DVDBOXでも良いのでまとめてほしいものです
さて内容ですが自分もお気に入りは墓参り代行ですね 後から見直せば合成とか酷いんですが初見はなかなかびっくりしたのでずいぶん前に見たのにはっきり覚えてますね
復讐はまあうん…って感じですがこれは闇動画の色って感じですね ちらほら出てきたような気がします
グロいのが苦手とのことですが自分も苦手ですが闇動画はそんなに気にならないですね
正直チープなのはわかるんですがNot Foundの痛い系のが自分的にはよっぽどきついですね なんかこうギリギリリアルに遭遇してもおかしく無いレベルの内容なので想像して気持ち悪くなるというか…なのであれは見るのやめてしまいましたね
ハコさんこんばんは
>レンタル屋に無いんですよね…
闇動画は少し古いですからね。「TUTAYA宅配レンタル」なら在庫は豊富なんですが、今や月8枚¥2,000越えのプランしかなくお勧めしづらいですね。
「墓参り代行」は面白かったですね。映像はチープなんですがびっくりしてちょっと声出ました(笑)。
グロはそんなに得意ではないですが、それより暴力系が苦手です。
「Not Found」痛い系もあるんですか。それはいやだなぁ(笑)。
ちなみに墓参り代行の店長の車は初代ホンダオデッセイです。ちなみにこのオデッセイ、1996年型式で今じゃ滅多に見られない稀少なレア車です(笑)車マメ知識でした(_ _)
初代オデッセイだったのか。
「アダムスファミリー」のCMを覚えています。
年代までわかるの凄いな。
久しぶりにコメントします。
最近ほん呪レビュー以外も禁断動画など楽しく拝見させて頂いてます。自分高一の時この巻と2巻を試しに見たんですけど
『復讐』などの雰囲気が当時の自分には
ハードだったんで敬遠してたんですけど今はグロ耐性も多少は付いたので難なく見れるようにはなりました。
これとは別の作品なんですけど、封印映像という闇動画とほん呪を組み合わせたような作品があるのですがもしよかったらご覧になってみてください。
これも児玉監督と伝説の岩澤(勝手にそう思ってます笑)が初期に関わってたようなので
今手当たり次第見ています。所々芝居臭いですがwそれらも含めて楽しめるのではないかと。
そういえばこの手の作品て制作会社違っても監督などのスタッフが共通してるパターンがたまにありますよね。
今回も長々と失礼しました。
「復讐」はスナッフフィルムみたいな趣で正視に絶えないだろうなと覚悟して見たのですが、作り物感満載で逆の意味でホッとした記憶があります。
「封印映像」はちょっと気になってはいました。
次の視聴リストに加えようかと思います。
「闇動画」がようやく終わりが見えてきたところですが、「心霊闇動画」は70巻以上あるのですね。
生きているうちに全部観れるのだろうかとちょっと心配になってきました(笑)。
僕も心霊系の話や動画を見るのが好き、というか興味があり主さんのこちらの「わいのイッヌが~」ページを拝見させていただいております。お陰様で自分の知らなかった動画シリーズを発見したりどんな内容なのか把握でき、とても助かります。本当にありがとうございます。「ほんとにあった呪いのビデオ」の中古dvd購入から私は本格的に心霊動画を見るようになり主さんから知り得た「呪われた心霊動画xx」シリーズもほとんど配信動画から見ました。因にこちらの「闇動画」シリーズは無料配信されてないようですが主さんはどうやって見られたのでしょうか?とにもかくもこれからも私も霊に取りつかれないよう気を付けます。主さんも無理をなさいませんようこれからも頑張ってください。お節介かもしれませんが、何かありましたら力になりたいと思います。
中川さんこんばんは。
コメントありがとうございます。
楽しんでいただけているようで幸いです。
>「闇動画」シリーズは無料配信されてないようですが主さんはどうやって見られたのでしょうか?
「闇動画」はあまり配信されていないようですね。僕は宅配DVDレンタルの「ツタヤディスカス」で観ました。
月4枚の定額プランですが、返却期限がないのが魅力です。その代わり返さないと次が送られてきませんけど。
「ツタヤディスカス」は「ほん呪」他、心霊ドキュメンタリーものが充実していてお勧めです。
https://movie-tsutaya.tsite.jp/netdvd/dvd/top.do
あと、「UNEXT」でも配信しているようです。
それでは。