封印映像5 ラブホテルの怨念(ネタバレあり)

fuin5 レビュー

はじめに

「封印映像5 ラブホテルの怨念」のネタバレを含むレビューと考察です。前巻に引き続き、極めて真面目に作られた印象があります。最初比較的低調な感がありましたが、最終エピソードはなかなか怖かったです。

ドッキリ(少し怖い)

概要

とある廃校で、大学生たちが撮影した映像。サークルの新入生である女子にドッキリを仕掛け、怖がる様子をカメラに収めようという企みだった。

先回りして彼女を驚かせようとした2年生の男子だったが、彼女は別の「何か」に襲われ、悲鳴を上げて逃げ出してしまう。驚かすはずだった彼がその場に取り残されていると、近くに不審な人影を発見する。その後を追った先で、彼はこの世ならざるものに遭遇してしまうのだった。

一方、もう一人の3年生男子は玄関で待機していたが、怯えて戻ってきた女子に激しく罵られて戸惑う。直後、先ほどの2年生男子もパニック状態で戻ってきて「何かいる!先輩、何か仕込みました?」と訴える。2人は真相を確かめるため、ドッキリの現場へと向かう。そこには誰もいないように見えたが、カメラが「恐ろしいもの」を捉えていたことに、この時の彼らはまだ気が付いていなかった。

感想(ネタバレ)

この廃校では、彼らが訪れたまさにそのタイミングで殺人事件が起こり、遺体が遺棄されていたことが判明します。そして、容疑者はまだ捕まっていないそうです。

本作の不可解な状況を時系列で整理してみると、以下のような流れになるのではないでしょうか。

  1. 殺人事件の当事者である男女が、最初に廃校へ到着する。
  2. 男女間の何らかのもつれにより、男が女を殺害。
  3. その直後、大学生たちが後輩女子を驚かせるための仕込み(火のついたろうそくや、持ち帰らせるための不気味な人形の設置など)をするために廃校へ到着。
  4. 犯人の男は、教室内などの物陰に潜伏。
  5. 大学生グループが入り口(玄関)に陣取ってしまったため、犯人は身動きが取れずそのまま潜み続ける。
  6. 仕掛け通りに女子学生が一人でやってきたため、犯人が彼女を襲うが、彼女は逃走。
  7. そのタイミングで、仕掛け人の2年生男子が登場。
  8. 2年生男子は、殺されたばかりの「女性の幽霊(出来立てのほやほや)」に遭遇し、パニックになって逃げ出す。
  9. その後、男子2人が女子学生の落としたカメラを回収するために現場へ戻ってくる。
  10. 潜んでいた犯人は、彼らが自分に気づいていないため、そのまま息を潜めてやり過ごす。

このように整理してみると、「幽霊だけでなく、実は生身の凶悪犯も潜んでおり、すぐ近くに遺体があったかもしれない」という、二重の恐ろしさを持ったエピソードであることが浮かび上がってきます。

彼らは図らずも、発生したばかりの殺人事件の現場に居合わせてしまったということになりますが、冷静にこの時系列を考えると、少々無理があるようにも思えます。広い校内ですから、犯人にはいくらでも逃げるチャンスがあったでしょうに。なぜリスクを冒してまで、大学生たちのすぐ近くに潜み続けたのかという点には、疑問が残ります。

とはいえ、演出面は良かったと思います。曇りガラス越しに横切る女の影や、カメラのライトに照らされた「目のない女の幽霊」の顔が不意に超クローズアップされるシークエンスは、非常に不気味な雰囲気が出ていたと思います。

反面、映像に捉えられた犯人の姿があまりにも暗く、よく見えなかった点が少し物足りず、残念に感じられました。

家族の肖像(少し怖い)

概要

美大で「家族の肖像」という課題が課せられた。投稿者の女性は、同級生の宮田君と組んでこれに取り掛かったが、彼が実家で撮影した映像には、おかしなものが映り込んでいた。

宮田君の家族構成は父、母、そして引きこもりだという兄の4人。宮田君はこの兄を撮影しようと試みるが、あからさまに拒絶され、軽い暴力まで振るわれてしまう。しかし、激しく拒む兄の部屋の押し入れの天袋に、不気味な女の顔が一瞬だけ映り込んでいるのをカメラは捉えていた。

その後、撮影をした宮田君は突然大学を辞めてしまう。不審に思った投稿者がツテを頼り、彼の地元の友人から話を聞くと、なんと宮田君の兄が父親を刺すという事件を起こしていたことが判明する。幸いにも父親は大事に至らなかったそうだが、問題はその動機だった。兄は統合失調症を患っていたものの、元々はおとなしい性格だったはずが、あの映像が撮影された前後から急激に凶暴化していたという。

実は、宮田君の父親は絵画の心得があり、ある日一枚の絵を購入して居間に飾っていた。兄の様子がおかしくなったのはまさにその頃からで、何かを察した父親がその絵を庭で焼却しようとしたところ、兄が激昂して父親を刺してしまった、というのが事件の真相であった。この事件以来、兄は精神病院に入院することになる。

本編の映像にはその絵のほんの一部しか映っておらず、全体がどのようなモチーフだったのかは不明である。ただ、宮田君の友人によると、その絵がどのような作品だったのかについて、宮田君自身は頑なに黙して語ろうとしなかったそうだ。

感想(ネタバレ)

映像を見てまず気になったのは、宮田君の両親が、いわゆる「テンプレ的なしょぼくれた中年夫婦」すぎるという点でした。特に父親の佇まいは、すでに身なりなどどうでもよくなっているかのように見えます。襟元がだらしなくヨレヨレになった白いインナーなど、そのしょぼくれ具合からは、かつて絵画の心得があったインテリ層のようにはとても感じられず、リアリティに欠ける気がしてしまいました(人のことは言えませんが……)。

また、引きこもりのお兄さんも、キモイ感じでフィギュアを愛でている割には、オタク的な要素がそれ以外に見当たりません。部屋が散らかっているだけで、フィギュアを飾る棚もなければ、推しのポスターやタペストリーが貼ってあるわけでもなく、こちらも少し不自然さを覚えました。普通はもっと飾ったり貼ったりするものではないでしょうか(笑)。ちなみに、彼が愛でていたフィギュアが『涼宮ハルヒの憂鬱』の「朝比奈みくる」というあたりに、非常に時代を感じて懐かしくなりました(鶴屋さんもいたか?)。

そんな演出面の粗さはありつつも、天袋に現れる女の顔はなかなかの恐怖度です。どこかモノクロ調で無表情、そして黒目がちなその姿は、心霊映像としては定番の演出ながら「怖いものはやっぱり怖い」と素直に思わされる迫力がありました。

そして、事件の元凶である肝心の絵画がほとんど見えない点については、評価が分かれるところかもしれません。宮田君が頑なに黙して語らないことで、こちらの想像力が掻き立てられ、不気味な余韻が漂うという良さはあります。ただ、個人的には「もう少しだけでも、その呪われた絵画の片鱗を覗かせてくれても良かったのでは」と、少し物足りなさも残る結末でした。

初詣(少し怖い)

概要

とある出版社に、一台の壊れたビデオカメラが届けられた。それは北関東の神社で発見されたものだという。中のテープは無事だったが、投稿者が添えたメモには「見ないほうがよかった」と記されていたそうである。

そこに記録されていたのは、若いカップルが大みそかに深夜ドライブを楽しんでいる映像である。2人は車の中で賑やかに新年を迎える。その後、適当に通りかかった寂れた神社を見つけ、初詣としゃれ込むことにした。しかし、静まり返った誰もいない暗い境内の先の林で、彼らは遭遇してはならない恐ろしいものを目撃してしまい、取り返しのつかない悲劇が訪れる。

感想(ネタバレ)

深夜の神社で彼らが目撃してしまったもの、それはなんと「丑の刻参り」の現場でした。何もめでたい新年の夜にわざわざそんなことをしなくても……と思ってしまいますが、案の定、藁人形を打ち付けていた女に気づかれてしまいます。

ここからの展開がとにかく凄惨です。逃げるカップルを追ってきた女は、まず彼氏ともみ合いになり、あっさりと彼を殺害してしまいます。そして、彼氏が落としたカメラを拾い上げ、なんと自ら撮影しながら、逃げた彼女の方を追いかけるのです。なんとか車まで辿り着いたものの、車のキーがなくて途方に暮れる彼女も、無慈悲に女に捕まってしまい……。

なんか似たようなエピソードが「ほんとにあった!呪いのビデオ」にもありましたね(「ほん呪37:呪いのわら人形」)。

こちらは追いつかれてやられてしまうのですが、彼氏の方はおそらく死んでる、彼女の方も明らかに……という、かなり絶望的な結末を迎えます。ただ、大変申し訳ないのですが、純粋な恐怖度としては『ほん呪』のあっちのエピソードの方が数段上だったな、というのが正直な感想です。

というのも、この呪いの女、いくら何でも人を殺すスピードが早すぎます(笑)。まるでプロの暗殺者かと思うほどの鮮やかな速攻でした。生身の人間が素手(釘とトンカチはあったか)で、必死に抵抗している人間をあんなに簡単に殺せるわけがないのでは……と思わずツッコミを入れたくなってしまいます。

映像としてはまあまあショッキングな展開ではあるものの、オカルト的な怖さという点では、少し微妙に感じてしまうエピソードでした。

廃ビル(少し怖い)

概要

関西地区の廃ビルを管理する者から霊能者に送られてきた映像。

廃ビルに侵入した若い男性3人。その映像には冒頭から不可解なものが写り込んでいた。雑然と荒らされた室内。壁にかけられた大型の鏡には男性らの姿とは他に、水の中に滴った墨汁のような何とも言えない渦のような黒い影が蠢いている。彼らはそれに気が付いた様子もない

「10階に来い」

そう記されたいたずら書きに従い階段を上っていく。10階まで来ると今度は

「屋上に来い」

だが屋上にはこれと言った異変はなかった。階段を降り始める若者たち。すると階段側の扉の郵便受けからl真っ黒な人影の瞳がこちらを凝視しているのをカメラが捉える。その直後画面が渦のように黒く歪み、ノイズだらけになると突然映像は終わってしまった。

映像提供者によるとビル内にカメラだけが取り残されていたという。映像提供者は取材には一切応じず、ただ「処分してくれ」と言うだけであった。

感想(ネタバレ)

郵便受けから覗く顔や視線は定番中の定番、テンプレ過ぎるわ!と思いつつも、遠めでもしっかりと存在感があるので、思わずぎょっとする怖さはありますね。

映像が終わる前の歪み方もなかなか生々しくて不気味でした。

ラブホテルの怨念(かなり怖い)

概要

あるラブホテルの客室に、ビデオカメラとテープが取り残されていた。これを発見して視聴した元従業員は、素人モノのAVでも撮影するつもりだったのではないかと語る。発見当時、室内にはカメラの他に荷物が置き去りにされており、そればかりか、ベッドには大きな血痕が残されていたという。

映像に映っていたのは、出会い系サイトで知り合ったとみられる男女。2人は水着グラビアの撮影という名目でホテルの一室に入るが、男性側は密かに隠し撮りを続け、何やら良からぬ企みを持っている様子であった。案の定、男性は女性の隙を突いて睡眠薬入りの飲み物を飲ませ、彼女が眠っている間に不適切な映像を撮影しようと画策する。女性が「浴室で何かを見た」と怯える一幕もあったが、その時点では特に異変は見当たらない。その後、男性はまんまと薬入りの飲み物を女性に飲ませることに成功する。

眠ってしまった女性をベッドに横たわらせると、服を乱して撮影を開始。上半身はインナーだけになり、パンツが見えないくらいに微妙に捲れ上がったスカート。無防備な姿の女性をなめるように映し出す男の口からは、今にも「ぐふふ」と下卑た笑い声が漏れ聞こえてきそうだった。

その直後、浴室の方から物音がしたかと思うと、その中からトイレットペーパーが転がってきた。それはまるで広げられたカーペットのように、浴室から帯を描いて這い出てくる。その先の浴室の床には血の手形が残されていた。

すると、薬で意識を失っていたはずの女性が唐突に上半身を起こし、大口を開けて抑揚のない叫び声を上げ始める。白目を見開き、ひたすら絶叫し続けるその姿は異様そのものであった。やがて彼女の叫び声は低く濁り、男性の唸り声のような不気味な響きへと変化していく。異変を察知して振り返ったカメラには…。

感想(ネタバレ)

カメラの前に突如として現れたのは、真っ黒な女の姿でした。目や鼻、口といったパーツははっきりとしないのですが、シルエットは確実に女のもので、かなりの不気味さを放っています。どことなく、前のエピソード(廃ビル)に登場した黒い人影を彷彿とさせるものがあり、2つの事件に何か関連性があるのだろうかと想像が膨らみます。

その後、この部屋ではかつて風俗嬢が殺害される事件があったという、心霊ドキュメンタリーではお決まりの背景が明かされるのですが、本作の見どころはここからでした。ただのオカルト話では終わらせない仕掛けが用意されています。

実は別ルートから、同じ部屋、かつ同時刻に撮影されたと思われる隠し撮り映像が見つかるのです。部屋に仕掛けられた定点カメラの映像なのですが、男が黒い幽霊に遭遇するシーンから少し異なるものとなっており、途中でまるであの「黒い女の幽霊」自身の主観であるかのような視点へと切り替わるのです。

そこで男は「何か」に襲われるのですが、その際の男の顔、というよりも周囲の空間そのものが激しく歪んでいくビジュアルは相当なインパクトがあり、なかなか怖かったです。それと同時に響き渡る男の激しい絶叫も、恐怖を一層引き立てていました。そしてノイズと共に元の定点視点へと戻ると、ベッドには赤黒い血溜まりだけが残され、2人の姿は消え去っているという、この一連の場面遷移の演出にはちょとだけ鳥肌が立ちました。

前エピソードでも見られた「人間がどこか異空間に取り込まれてしまったかのような感じ」が今作にも感じられ、これら2つのエピソードは何か繋がっているのではないか、という思いを感じさせましたね。

感想まとめ

全体の総評として、本作は前半こそ少し低調な印象がありましたが、最後を飾るラブホテルのエピソードは、それを補って余りあるほどのインパクトがありました。怪異の去った後、ベッドに残されたあの生々しく不気味な赤黒い血溜まりのビジュアルは、今作の中でも群を抜いて恐ろしく、印象に残ります。

それにしても、前巻に引き続き、なぜか最終エピソードに少しHな要素が絡んでくるのは、もしかして今後のシリーズの「お約束」や定型になっていくのでしょうか(笑)。

また、個人的にとても気になったのは、ひとつ前のエピソードである「廃ビル」と、この最終エピソード「ラブホテル」の怪異に、どことなく共通するものを感じた点です。「人間が忽然と姿を消し、まるで異空間に取り込まれてしまったかのような結末」を迎えるという現象の不条理さはよく似ており、裏で何かが繋がっているのではないか……という妄想が膨らみます。

ただ、怪異の現象そのものは似ていても、それぞれの映像が纏っている空気感や雰囲気は少し異なる部分もあるため、ちょっと自信のない考察ではあります。

はたしてこれは単なる演出の類似なのか、それともシリーズを通して描かれる巨大な怪異の系譜なのか。この謎の答えを求めて、次巻以降のエピソードも期待を胸に追い続けていきたいと思います。。

それでは。

コメント

  1. Baobhan-Sith より:

    お久しぶりです、封印映像のレビュー何気期待していましたw最近ホラーでもどうにもならないレベルのえげつない暑さが続いているので、どうかお気をつけを…

    児玉監督時代ではこの巻が一番クオリティ高いと思っています。なお廃ビル回は最恐スペシャルにて軽い後日談がありまして、ittonさんも見落としていると思われる現象について深掘りされていたり…
    ラブホの怨念回は、(自称)封印映像シリーズをかなり見極めてきた私でも全編中トップクラスに怖いと思うほどです。人気だったからか似たエピソードを収録した一話がのちに劇場版にて公開されています。

    来月頭には封印映像の85が公開されますが、再来月にはXXXZEROの7が来ますね。ホラードキュメンタリー界隈がまだ活気付いてる?ようで何よりですw

タイトルとURLをコピーしました