はじめに
「ほんとにあった!呪いのビデオ97」がリリース(2022年7月6日)されました。色々と忙しく、発売日に観れなかったことと、許しがたいテロ事件があった影響で、予定よりもレビューが遅れてしまいました。安倍晋三元首相のご冥福をお祈りいたします。
以降多くのネタバレ含みますので、未見の方はご注意のほどよろしくお願いいたします。
盛り塩(めちゃ怖い)
概要
投稿者の女性は、越してきたばかりの部屋で聞こえる、妙な人の声に悩まされていた。その音は壁の向こうから聞こえるのだが、その壁は隣の部屋に面していない。両親が信じてくれないので、彼女は動画を撮影することにした。
彼女は生半可な知識で「盛り塩」を部屋のあちこちに置いたのだが、その後撮影した映像には恐ろしいものが写り込んでいた。
投稿者は実家に飛んで帰り、この部屋を引き払ってしまったそうである。
感想
きちんとお祓いをした後ではないと、「盛り塩」によって怪異を閉じ込めてしまう、と言う話はよく聞きますよね。なんだか納得してしまいます。
さて、久々の「めちゃ怖い」で、私は驚きの悲鳴をあげてしまいました。
まず、壁の向こうから聞こえる声ですね。「ぎょ!ぎょぎょ~」みたいな、赤ん坊とも動物ともつかない変な声は、不気味でこれだけでもけっこう怖いです。
その声と言うか音は、壁から聞こえるみたいなんですが、その裏はお隣さんの部屋に面していない様子が映像から分かります。そして天井を見上げると、人の顔のような赤黒い大きい染みが出現します。その顔は胎児、またはグレイ型宇宙人を連想されるようなもので、これ自体はそんなに怖くありません。でもそれが血を滴らせたように、一瞬で「パーン」と天井一面に広がるので、かなりビビりました。
今までにない新しい見せ方で、一見の価値はあると思います。
三段壁(少し怖い)
概要
投稿者の男性が、南紀白浜の海に面した観光地の洞窟、「三段壁」を訪れた際の映像。録画停止ボタンを押し忘れ、意図せず撮影してしまったのが今回の映像である。
荒々しい海に面した洞窟の柵から、恐ろしいものが顔をのぞかせていた。この辺りは自殺の名所が近く、遺体が流れ着くこともあるという。
感想
額に皴がはっきり出ており、目をぎょろつかせている顔は結構不気味ですね。録画停止ボタンを押し忘れたためか、画面が横になっており、一瞬上下関係が分からなくなりますが、下から這い出てくる感じです。ちょっと合成感が強いのが残念。
シリーズ・監視カメラ 非常階段(少し怖い)
概要
雑居ビルの非常階段。髪の長い女性のような黒い人影が浮かび上がる。その女性は「おつかれさま~」と言っているようなのだが……。
この女性はかつて在籍していた男性社員の不倫相手の女性に、佇まいがよく似ているそうである。当時女子大生であった女性は、よくこの非常階段で男性社員の退勤を待っていたそうである。この社員は突然会社を辞め、彼女との関係も終わったとの噂だったが、彼女は3年もの間この非常階段に通いつめ、来るはずもない男性を待ち続けていた……と言うのだが。
感想
「おつかれさま~」の「~」が長いんですよ。「おつかれさま~~~~ガガッピャピャッ(ノイズ音)」って感じで、次第に音がでかくなり、訳の分からないノイズ音になってしまうあたりに、なんか狂気を感じて少し怖いです。
3年もの間、この非常階段に通いつめるなんて切ない話ですね。
続・ナガレモノ 前編(怖くない)
概要
前巻までのざっくりあらすじ
投稿者の鎌田さんから、川で見つけた奇妙な木箱を見つけてほしいという依頼を受けたスタッフは調査を行い、何とかその木箱を見つける。中には人形と小動物の骨が入っていたが、一部の地域の風習である「流し雛」に似ていることが判明。だが鎌田さんはその後音信不通になってしまった。またその川の周りで子供の水難事故が多発しており、噂になっていることもわかる。その後の調査で川の上流で独自の流し雛を行っていた廃村があることが判明。スタッフは向かうことになった。
ざっくりあらすじ終わり
巨漢の男鹿と藤本とで廃村に向かい、途中の河原では流し雛の残骸を見つける。だが廃村に架かる橋は心もとなく、150㎏の体重を誇る男鹿では危険なため、藤本1人で村の奥に浸入。廃屋から連絡先が描かれた昔の電話帳と、顔が消されたセーラー服姿の「燈子」と言う名前の女性の写真を見つける。その写真の裏には「母になれなかった」と嘆くような文字が記載されていた。また河川敷で見つけたものと似たような木箱や未使用の流し雛も発見できた。
一方車で待機していた男鹿は、少し離れた川沿いで不審な女性を見かける。だが話を聞こうと車を降りたわずかな隙に消えてしまった。車に戻ると、先ほどの女性がすぐ傍に立っている姿が、車のサイドミラーにはっきりと写ってしまう。この女性は前巻において河川敷で見かけた人物と、佇まいが酷似していた。
感想
大変ふくよかな男鹿氏が、橋を踏み抜いてしまう恐れがあるとか、かつての「横田ブラザーズ」を思い起こさせます(笑)。でも男鹿氏を別行動させたおかげで、謎の女性の映像が撮れて、なおかつ前巻の河川敷で対岸にいた女性の伏線が回収されました。上手いねどうも。
一方物語のキーになりそうな、「燈子」と言う女性が浮上しますが、見つけた写真が「いったい何のために焼き増ししたの?」って感じで、ちょっと違和感を覚えました。だって中途半端な大きさの紙に中学の卒業アルバムみたいな角版の顔写真だけがあるんですよ。絶対このためだけにプリントアウトしただろって感じでした。
ただ、顔だけが引っ掻いたように消されているのは定番とは言えちょっと不気味です。この燈子さんが、河川敷や、男鹿氏の前に現れた女性なんですかね。
山道の車(怖い)
概要
心霊スポット巡りが趣味の投稿者は夜間、山道から少し外れたところで不審な車を見つけた。その車は雨風に晒されてかなり汚れており、長い間置き去りだった様子である。窓と言う窓は中から新聞紙で目貼りがされていて、車内は伺えない。車外には一足の靴が揃えて置いてあり、明らかに中で人が死んでるっぽい様相であった。カメラがフロントに回り込むと、そこには案の定………。
それを見て慌てて逃げ出す投稿者。だがそれを追いかけるように、車から人が下りてくるような気配を感じる。映像にも後ろでドアが閉まる音が記録されていた。さらに驚く投稿者。彼はすぐに警察に連絡して調べてもらったところ、車内のフロントシートから遺体が発見されたという。
感想
映像の車がホンダFitで、たぶん2代目。フロントガラスに、こちらに訴えるかけるような男の顔が写り込むのですが、ちょっと合成臭さがあります。ですが反面、放置された車の汚れ具合が、これまた実にリアルで、こんなの作ろうと思って作れるのかと考えると、ちょっとガチっぽいなと感じさせます。
車に内側から目貼りがなされている、傍らに靴が揃えて置いてある、この状況から中にご遺体が存在する可能性が極めて高いと思いますが、投稿者が「人いないよね、さすがに」とか言っているのに、「いやいやいや絶対いるでしょ!」と突っ込みたくなりました。僕なら靴を発見した時点で通報しますよ。
実際に写った幽霊よりもこの車の状況の方が怖いですね。こういうのは結構好きなエピソードです。
婚姻届(怖くない)
概要
喫茶店みたいなお店で婚姻届けを記入しているカップル。その様子を友人に撮影してもらった映像に、奇妙なものが写った。記入し終わった婚姻届けを広げてカメラの前に披露するのだが、その書類の上辺に………。
この撮影場所の近くで恋愛感情のもつれから飛び降り自殺してしまった女性がいることが分かった。
感想
まさか婚姻届けの書類の上から手が出てくるとは思わなかったんで、ちょっと意表を突かれました。ただ、映像があまりにもフェイク臭くて怖くはありません。
てっきり後ろの窓にでも写るのかと思っていました。実際に何か写っていましたが、これは店内の別のお客が反射して写っているだけでした。
秘密基地(少し怖い)
概要
子供たちが部屋の中で、段ボール製秘密基地を作り、遊んでいる光景。段ボールの隙間から覗く女の子の顔。さらに同じ女の子と思しき顔がもう一度……。
このマンションの近くでは、幼い少女の悲惨な交通事故があったそうである。
感想
最初は段ボールの隙間から女の子のような顔が覗きます。でもこれは幽霊と言うより普通の女の子にしか見えず、全く怖くありません。そのあと、赤い服の女の子の後ろから顔が覗きますが、こちらは目が白目でちょっと怖いです。
続・ナガレモノ 後編(怖くない)
概要
河川敷周辺で発生する子供の水難事故。前巻の取材で判明した母娘の事故の遺族である、佐々木さん夫婦への取材ができた。事故直前の娘の映像におかしな現象が起こったという話であった。
さらに廃村で撮影した電話帳から、かつての廃村の住人、村井さんに連絡を取ることに成功する。村井さんは写真の女性、燈子さんとも知り合いであった。彼女によると、燈子さんは33歳の若さで川で亡くなり、自殺と噂されていたことが分かった。燈子さんは若いころに両親を亡くし天涯孤独の身であったが、過疎化に悩む村の事情で、結婚して子を産まなければならないプレッシャーに悩まされていたようであった。
そして村井さんに連絡が取れなくなっていた鎌田さんが、既に廃村と燈子さんの話を聞きに来ていたことが判明する。スタッフは鎌田さん宅を訪れるが、不在のようであった。さらに前巻で取材に応じてくれていた鎌田さんの隣室は引き払われており。ここの子供が風呂場で溺死していたことが、他の住人からの情報で判明する。この不幸の連鎖はやはり噂されている川の呪いなのであろうか。
ここで佐々木さん夫婦が提供してくれた映像が紹介される。
楽しそうな誕生会の様子。映像ノイズと共に佐々木さんの娘、絵里さんの顔が変化し、彼女の声で……。
スタッフとの連絡を故意に断っていると思われる鎌田さん。村井さんから、村の事情に詳しかった坂神さんという人物に連絡している可能性が高いとの情報を得て、明日、坂神さんと鎌田さんが合うことが判り、スタッフはさっそく行動を開始する。
感想
前回の続きですが、今回の事象のキーパーソン、燈子さんが既に亡くなっており、村でプレッシャーを感じていたことが分かります。でも子供産めって言われても相手がいないとねぇ。無茶言うなよって感じですが、そのあたり別の男性との愛憎劇みたいな秘密が明かされるのでしょうか。
それとも村の子宝を祈願した風習が、実は逆効果で、それ自体が呪いになってしまい、燈子さんの村への恨みが加味されて、流し雛を流した下流に災いをもたらせているのでしょうか。
投稿者の鎌田さんが、スタッフとの連絡を絶って独自に暗躍している理由が不明ですね。何かに魅入られているのでしょうが。
ほん呪らしい王道展開ですが、次回の結末を見ないと何とも評価できません。来月に期待です。
映像自体は顔にノイズが走り、「きえろ」と言う声が入るだけで、怖くはありません。ノイズの入り方がちょっと気持ち悪いですけど。顔のノイズは前巻のものと同じ感じですね。それにしても下流の子供たちが犠牲になるとか、ちょっと酷い。
感想まとめ
久々に「ぎゃ!」と驚く映像(「盛り塩」)が観れて満足度が高いです。その他には「非常階段」、「山道の車」も雰囲気があって良かったですね。
メインエピソードは今のところはなんとも言えませんが、次巻を期待させるものではあります。
コメント
盛り塩で出てくる顔のインパクトがすごかったですね。
最近のほん呪はしっかり怖がらせに来てて好印象です。
ところでアフター6ジャンクションというライムスター宇多丸さんがやっているラジオにて、
ほん呪特集がやっていたのをご存じです?
Base Ball Bearの小出さんというバンドマンさんが解説されているのですが、
ほん呪ファンならではの視点で解説されていて非常に楽しかったのでオススメです!
肝心なこと書いてない…
ポットキャストで聞き逃し配信してますので、まだ聞かれてないようでしたらぜひ!
ポッドキャストで聴かせていただきました。いや~小出さんさすが「ほん呪」良く観ていますね。
怒涛の如く歴代シリーズの総括をトークされたのには舌を巻きました。
小出さんがほん呪好きなのは存じていましたが、ここまでとは脱帽です。
ですが、最新刊への解説とかもちっと聞きたかったですね。
「盛り塩」は久々のヒットですね。
思わず叫び声をあげて妻を怖がらせてしまいました(笑)。
だいたいほん呪って1本目と2本目そして最後から2番目にインパクト大きめな映像を持ってくる率が高いと思っているのですが、それにしても「盛り塩」は久々にヒット映像と感じました。
染みが現れて消えるとか徐々に広がっていくという映像はこれまでもいくつかあったけど、あんな一瞬でぶわっと天井一面に広がるのは新鮮でしたね。
「山道の車」はもうシチュエーションだけで満点あげたくなるような1本でしたけど、ガラスに現れた顔はサイズ的にちょっとデカすぎないか?って思っちゃいましたw
XXXシリーズにも似たシチュエーションの映像がありましたね(そちらは確かガラスの目張りに破れてる箇所があってそこから目が睨んでくるというものだったはず)。
そうなんですよね。たま~に1本目から結構インパクトあるのを持ってくることもあったと思いますが、だとしても久しぶり。
いや、完全になめてかかっていました。パーンと来たので完全にビビってしまいました(笑)。
「山道の車」はほんとに同感です。「XXX」のは結構街中だったような気がしますので、インパクト的にはこっちが完全に勝っていると思います。
逆に出てくる幽霊自体は「XXX」の方が若干怖かった気がします。
完全が多いですね(笑)。