映画・オカルト(ネタバレ)

occult-eyecatch 映画レビュー

はじめに

柄にもなくまたまた映画レビューします。

映画「オカルト」は2009年3月に公開された邦画で、POV・モキュメンタリーの手法を取り入れた、ホラーフェイクドキュメンタリーです。

監督は「ほんとにあった! 呪いのビデオ」で「THE MOVIE」「THE MOVIE2」「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」、最近では「近畿地方のある場所について」などを、手掛けた白石晃士氏です。

「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」の最終章を観る前に、この作品の視聴をお勧めいただき、観てみることにしました。

概要(ネタバレ注意)

3年前、断崖に架かる観光地「妙ヶ崎」の吊り橋付近で、無差別の通り魔事件が発生する。死者2名、重傷者1名。現場には偶然その場に居合わせた観光客の映像が残されており、犯人は犯行直後にそのまま崖下へ飛び降り自殺している。

この事件に興味を持った白石は、自らカメラを回し取材を開始する。調べていくうちに浮かび上がってきたのは、あの場にいた人間たちが単なる偶然ではなく、「予感」や「お告げ」のようなものに導かれて集まっていた可能性だった。

唯一の生存者・江野は、犯人に刻印のような奇妙な模様の傷を負わされている。さらに彼は「次は君の番だ」という言葉をかけられたと証言する。事件後の江野はネットカフェを転々とする困窮した生活を送りながら、UFOの目撃や、自ら“奇跡”と呼ぶ微妙な現象を頻繁に体験するようになっていた。

白石はこの男に強い興味を抱き、寝場所を提供する代わりに密着取材を行うことになる。やがて江野は、あの言葉を「次はお前がやるのだ」という“使命”として受け取っていることが明らかになる。どうやら彼は、何かを起こそうとしている。

一方で白石は、ネット上で見かけた漫画家の絵柄に違和感を覚える。それはかつて自分が訪れた「九頭呂岩」を連想させるものだった。現地を再訪すると、そこには江野の傷と同じ文様が刻まれた岩を発見してしまう。さらに専門家の話から、それが大災害の実行を示唆する“神の印”である可能性が示される。

ここに来て、白石は江野が大規模なテロを計画しているのではないかと確信する。止めなければならない。そう考え説得を試みるが、江野の周囲で起こる“奇跡”の連続を目の当たりにするうちに、次第に考えが揺らいでいく。

やがて白石は、江野の背後にある得体の知れない“何か”を感じ取り、彼に共感し、協力者の立場へと踏み込んでしまう。

奇妙な連帯感すら生まれた二人は、渋谷のスクランブル交差点で別れの時を迎えるのだが…。

感想(ネタバレ注意)

テロは見事(?)に成功。2人を怪しんで後をつけてきた女性アシスタントもろとも、多数の市民を巻き添えに、渋谷駅周辺を爆風が蹂躙します。白石氏は、当時そこに設置してあった東急5000系の陰に身を隠して一命を取り留めますが、共謀罪に問われ、そのまま長期間塀の中で過ごすことに。

出所後、当時のプロデューサーとともに焼肉店で食事をしていると、どこからともなく江野に託したビデオカメラが落ちてきます。そこに記録されていたのは、地獄に落ちた江野が他の犠牲者たちとともに、あちらの世界で苦しみながら助けを求める姿。そんな衝撃的な映像をもって、本作は幕を閉じます。

江野は次第に態度が大きくなっていき、この性格ではネットカフェ生活に陥るのも無理はないと感じさせます。また、微妙だった超常現象が徐々にエスカレートしていく様子や、それを間近で見続けるうちに、止めようとしていたはずのテロ(あるいは儀式)に白石が共感してしまうくだりなど、少しずつ邪悪な何かに侵食されていく過程に、じわじわとした薄ら寒さを覚えます。全体として非常に面白く、しっかり楽しめました。

派手なオカルトではなく、
「信じてしまった人間がどこまで行ってしまうのか」
を描いた一本と言えそうです。

少し気になった点として、本作には「未知との遭遇」へのオマージュを感じました。何らかの啓示を受けて「妙ヶ崎」に集められる人々の構図や、「九頭呂岩」はまさにデビルズタワーを想起させます。ただし、あちらが“友好的な宇宙人との接触”であるのに対し、こちらは“邪悪な大いなる何か”との関わりという決定的な違いがありますが。

さらに言えば、彼らが犯行前に観ていた映画も「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」。スピルバーグ作品を踏まえたメタ的な仕掛けとして見ると、より興味深いポイントです。

また、「コワすぎ!シリーズ」と世界観が重なる部分も見受けられます。ミミズのような怪異の存在や、“あちら側”の空間描写などは特に顕著で、「コワすぎ!最終章」とどのように繋がっていくのか、今から楽しみですね。

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