はじめに
「ほんとにあった!呪いのビデオ117」のネタバレを含むレビューおよび考察です。美濃体制が徐々に構築されてきましたね。
今巻、一般投稿が結構怖かった印象です。
このレビューはネタバレ満載ですので、本タイトル未見の方はご注意のほどよろしくお願いいたします。
啓発コマーシャル(怖い)
概要
2000年代初頭、実際に発生した交通事故を題材に、交通安全を啓発するCMが企画された。今回投稿されたのは、その制作過程で広告代理店の下請け業者によって作られた、クライアント提出用の模擬映像、いわゆるビデオコンテである。
撮影時や編集作業中には、特に異常は確認されていなかったという。ところが撮影後、ダビングされたすべてのテープに、本来映り込むはずのない不可解な現象が記録されていた。
今回、その映像の一部を隠すことを条件に、使用の許諾を得ることができた。
感想(ネタバレ)
自分の子供が事故に遭い、亡くなってしまったと思われる電話を受け、うなだれる母親。そのすぐそばにある姿見に、ノイズとともに突然男の顔が出現し、歯を見せながら高らかに笑っているという奇妙な映像です。
不鮮明ながらも、白い歯を見せ、のけぞるように笑っている男の姿が確認できます。さらに強烈なのが、その出現と同時に響く笑い声です。映像だけでも十分に不気味なのですが、耳にはっきりと届くその笑い声が加わることで、異様さとインパクトが一気に増しています。
類似の事故が実際にあったとしても、この映像自体はフィクションです。それにもかかわらず、なぜこの男がここまで楽しそうに笑っているのか、その意味がまるで分かりません。だからこそ余計に怖いのです。
たまたま通りかかった邪悪な霊が、このシチュエーションを見て「ざまあみろ」と嘲笑っているのでしょうか。そう想像してしまうと、その悪意に恐怖と嫌悪を感じざるを得ず、気持ち悪いというか、悍ましいというか……。
最初のエピソードとして、つかみは十分すぎます。
信心(怖い)
概要
投稿者の男性から寄せられた、今から30年ほど前に祖母の家で撮影されたという映像。そこには、当時は気づかれていなかった異様な存在が写り込んでいた。
投稿者が父親に当時のことを尋ねたところ、この映像が撮影される数年前、母親が乳がんを患ったことをきっかけに、とある新興宗教へ入信していたことが分かった。母親はやがて全財産を教団にお布施し、集団生活を始めてしまったため、両親は離婚に至ったという。
その後間もなく、母親は亡くなってしまったそうだ。
感想(ネタバレ)
まず、半開きになった部屋のガラス引き戸から手が見えます。ここまでなら大したことはないのですが、その後、そのガラス戸越しに、目を異様に光らせた女性が上から覗き込んでいるのです。これは結構怖いですね。
このガラス戸ですが、ガラスが嵌まる部分が3段に分かれていて、下2段はいわゆる昭和の「型板ガラス」。模様があしらわれた、曇りガラスのように向こう側がよく見えないタイプです。ところが、上1段だけは普通の透明ガラスという、このシチュエーションのために用意されたんじゃないかと思うほど、いやらしい構造(笑)。そこから覗いてくるんですよ(背が高いですよね)。しかも、目がピカッと光っている。結構怖いです。
というか、なんでこんなにいやらしい構造なんだよ(笑)。そして、なんで半開きなんだよ(笑)。
それはともかく、この幼少期の投稿者をあやしている女性(撮影者)は誰なんでしょうか。おばあちゃん? にしては、声が若い気がします。
あと、幼い投稿者が「まんま」を連呼する場面があるのですが、これ、母親が近くにいることを感じ取って「ママ」と言っていると解釈できなくもないかな、なんて思いました。
続・Backrooms -前編-(少し怖い)
前巻までのあらすじ
投稿者の藤田暁美さんと姉の梨香子さんが実家で見つけたのは、失踪した兄・秀陽さんが残していた映像だった。そこには、かつて曾祖母が暮らしていた家での不可解な様子が記録されていた。
その後、同じ場所を撮影した別の投稿映像の送り主を介して、スタッフは現在この家を所有する花森さんと接触。そして調査の結果、秀陽さんの失踪をきっかけに長く疎遠となっていた父親へとつながっていく。
概要
スタッフは藤田姉妹の父親・有島則孝が暮らす場所を特定し、彼女たちと引き合わせる。しかし父親は激高し、姉妹との接触を激しく拒絶する。
その一方で、同行していた叔母・有島裕子さんから、あの家にまつわるさまざまな情報を得ることができた。さらに叔母から、藤田家より以前にこの家を所有していた「今津正嗣」が書き残した日記が提供される。
その記述から、庭にはかつて「離れ」が実在し、精神に異常をきたした家族の一人・平三をそこで隔離していたことが判明する。当時、このような隔離は合法だったという。
スタッフは日記の中で塗りつぶされていた箇所の解析を専門家に依頼するが、その結果を待つ最中、暁美さんが独断で「探しに行く」とだけ言い残し、F邸へ向かってしまう。
その後、スタッフがF邸に到着すると、暁美さんは庭先に倒れていた。そしてここで、彼女がF邸内部で撮影していた映像が紹介される。
そこには、信じがたいものが記録されていた。
感想(ネタバレ)
もっと父親との一悶着や再取材があるのかと思っていましたが、結局、美濃君が怒られただけでした。殴られたかどうかは定かではありませんが、彼が床に倒されたとき、それを冷静に見つめる宮田さんの姿と、非情にも閉まっていく入口のドアのシーンには、思わず笑ってしまいました。
さて、なぜか鍵が開いていたF邸内部の映像ですが、いきなり男の子が飛び出してきたときは、かなりびっくりしました。どこかから出てくる様子もなく、突然、画角の下から姿を現すので、「お前、いったいどこから出てきたんだよ!」という感じです。
そして、庭の真ん中でこちらを向いて立っている姿。どことなく色味がなく、生気が感じられず、輪郭もはっきりしない。さらに首が少し傾いているその姿は、かなり不気味でした。
覆う(怖い)
概要
現在は空き家となっている、投稿者の女性の祖母宅から見つかったビデオテープ。そこには、誕生日を祝う母子の姿が記録されていた。
ところが、子供がバースデーケーキの蝋燭を吹き消そうとした瞬間、母親の顔に無数の手のようなものが覆いかぶさり、画面は真っ暗になってしまう。続いて、何かが倒れるような音や子供の泣き声、さらに女性の笑い声にも聞こえる声が響き、激しいノイズとともに映像は唐突に途切れる。
映像に写る家族は、現在行方不明となっている投稿者の遠い親戚である可能性があるという。その一家には事故や病気などの不幸が相次ぎ、やがて一家離散に至ったとされている。
感想
撮影しているのは父親なんですかね。まあ、どちらにしても、極めて縁起でもないというか、不穏すぎる映像です。実際に何が起こったのかまでは分からず、真っ暗な画面の中で何かが蠢いているようにも感じられて、かなり気持ちの悪い映像ではあります。
ただ、母親の顔を覆う手については、少し合成っぽく感じました。モニター側で画面を明るくすると分かるのですが、母親たちが写っている映像の黒さと、手の部分の黒さが一致していないように見えるんですね。
怖さのある映像だけに、その点はちょっと惜しい気がしました。
界隈(怖い)
概要
かつては多くの人でにぎわっていたものの、今ではすっかり寂れてしまった歓楽街。その一角にある廃ビルのような場所には、薬物などに溺れ、自暴自棄になった若者たちがたむろしていたという。
投稿者も一時期、その場所をたびたび訪れており、あるとき何を思ったのか、その場の様子を撮影していた。
しかし、その映像には、理屈では説明のつかない衝撃的なものが写り込んでいた。
感想(ネタバレ)
よく状況が分からないのですが、廃ビル内の一室で、若い女性が男性に何かを懇願しています。しかし、それが叶わないようで、撮影している投稿者の手を引っ張ったり、床を這いつくばったり、さらには血を流したりしています。もっとも、画面はモザイクだらけなので、細かい状況まではよく分かりません。
その後、カメラがどこかへパンすると、画面はほとんど真っ暗になります。何かが蠢いているのか、単にピントが合っていないのか判然としませんが、暗闇の中には人間の瞳のようなものも見えます。
そして再び明るい方へカメラが向けられると、そこには3人の人影が、まるで首を吊ったかのような状態で宙にぶら下がっているのです。
ここまでわずか10秒足らず。投稿者も「えっ?」という感じで動揺し、恐ろしくなったのか、その場から逃げ出そうとするところで映像は終了します。
実際に3人があの場所で命を絶ったのかどうかについては、特に説明はありません。ただ、映像としてはかなり不気味な雰囲気があります。
もし本当にあの3人が亡くなっていたのだとしたら、その直前まで目の前で起きていた出来事はいったい何だったのでしょうか。もしかすると、彼らが亡くなる直前の幻影のようなものを見ていたのでしょうか。
謝意(少し怖い)
概要
投稿者の母親が、自宅でまだ赤ん坊だった息子の姿を撮影した映像。一見すると、親子の日常を収めた微笑ましい一場面に見える。
しかし、その背後には、本来そこにいるはずのない何かが写り込んでいた。
スタッフの調べでこの家には曰くがあり、かつて夫がDVで妻と子を殺害する事件があったという。
感想
ちなみに、この映像に写っている赤ちゃんが投稿者自身なのかどうかについては、特に言及がありません。まあ、おそらくそうなんでしょうけど。
内容としては非常にシンプルなエピソードです。襖の向こうにある別の部屋で、女性が土下座するように床へうつ伏せになっており、そこから徐々に起き上がるようなしぐさを見せます。
あまりにも自然に写り込んでいるので、最初は普通に誰かがそこにいるのだと思ってしまいます。しかし、その女性はやがてふわっと消えてしまい、そこで初めて、この世の者ではないことが分かります。
しかも、なんとなくこちらを見ているようにも感じられて、ちょっと怖いですね。
ところで、サブタイトルの「謝意」にはどんな意味が込められているのでしょうか。「謝意」といえば、感謝やお詫びの気持ちを表す言葉ですが、この映像とどう結びつくのか、少し気になります。
続・Backrooms -後編-(少し怖い)
概要
幸い暁美さんは救急車で搬送されたものの、大事には至らず翌日には退院することができた。姉の梨香子さんは、単独でF邸へ向かった妹の行動に憤りを見せる。一方の暁美さんは、事態を打開する手がかりを求めるあまり、焦燥感を募らせていたようだ。また、F邸で目撃した少年について、かつての兄・秀陽さんに似ていたとも語る。
演出補の宮田は、相次ぐ心霊的な現象に危機感を抱き、これ以上調査を続けるべきか葛藤していた。そんな中、新たな演出補として米屋匠真が加入する。
やがて、「今津正嗣」の日記について依頼していた調査結果が報告された。筆跡鑑定から、この日記は途中で書き手が変わっていることが判明。さらに、解読された内容を手がかりに、スタッフは戦争体験の語り部である島本さんという年配の男性にたどり着く。日記に登場する「ハツ」という女性は島本さんの母親であり、途中から日記を書き継いでいたのもハツさんだった。
島本さんの証言と日記の記述から、F邸を有島家が所有する以前、この土地に暮らしていた今津家の壮絶な過去が明らかになる。屋敷の庭にはやはり「離れ」が存在し、精神に異常をきたしていた今津平三がそこへ隔離されていた。
戦争末期、空襲の際に機銃掃射を受けた平三は、正嗣の目の前で一本の指を残して死亡。その後、今津一家も集団自決したとみられている。唯一生き残った長女のタキコは平三の指と正嗣の日記を発見。家財を整理した後、陸軍病院の同僚だったハツさんの口利きによって「下原アパートメント」へ移り住んだという。その後、空き家となったF邸を有島家が買い取ったようだ。
これまで起きてきた不可解な現象は、平三の無念によるものなのか。スタッフはF邸でその魂を鎮めるための祈祷を執り行い、ひとまず調査に区切りをつける。
しかし、新たな事実が判明する。タキコさんが移り住んだ下原アパートメントは現在「コーポ下原」となっており、ネット上では「事故物件のデパート」と呼ばれていたのだ。
さらにスタッフは、この建物の管理会社の職員から一本の不可解な映像を入手する。そこには、再び信じがたいものが記録されていた。
その映像を見た宮田は、かつてF邸で秀陽さんが不可解な場所へ迷い込んだ際の映像と酷似していることに気づく。物語は新たな謎を残したまま、幕を閉じる。
感想(ネタバレ)
いや、長かったですね。お疲れ様です。過去の今津家にまつわる話はかなり衝撃的でしたが、とにかく情報量が多くてお腹いっぱいです。上の概要も、もしかするとどこか間違っているかもしれません。
人知れず埋もれていた衝撃的な過去が徐々に明らかになっていく展開は、とても興味深く面白かったです。ただ、スタッフがどうやって島本さんにたどり着いたのかについては、あまり説明がありません。日記の中に、公開できない固有名詞などの手がかりが残されていたのでしょうか。
最後に登場する管理会社提供の映像では、部屋を訪れた清掃スタッフが押し入れを開けると、お札や人形、マネキンの頭などがびっしりと詰め込まれていて、まずそこでちょっとビビります。それでも仕事なので粛々と片づけを進めていると、カメラ担当がその押し入れにカメラを向けた瞬間、何本もの手や足が這い出すように現れます。
ちょっと怖いですけど、もう慣れました(笑)。
ここはタキコさんが住んでいた部屋なのでしょうか。いや、島本さんのお母さんと同世代の人物と考えると、さすがにそれはなさそうです。となると、この部屋に住んでいた人はいったい誰だったのでしょうか。
また、この映像を見た瞬間、「ああ、秀陽さんが迷い込んだ空間はここだったんだな」と、すぐにピンときました。
感想まとめ
メインエピソード、面白かったですね。
今回かなり情報量の多い内容でしたが、過去の出来事が少しずつ掘り起こされ、現在起きている怪異とつながっていく展開は見応えがありました。平三さんの境遇には同情を禁じえませんが、だからといって周囲の人間に恨みを募らせすぎな気もします。ご無体にも程があるでしょう。
もっとも、これまでの流れを見る限り、すべてを平三さんの無念だけで片づけてしまうには、まだ何か引っかかる部分もあります。背後にはさらに別の存在というか、もっとラスボス的な災いが潜んでいそうな気配もありますね。今回で一区切りついたように見せつつ、きっちり次へ引っ張ってくるあたりも含めて、次巻が楽しみです。
そして今回は、一般投稿のエピソードもなかなか怖かったです。怪異そのものの造形だけでなく、出現のさせ方やタイミングがうまく、短い映像でも印象に残るものが多かったように思います。
中でも「啓発コマーシャル」「信心」「謝意」は特に良かったです。それぞれ怖さの方向性は違いますが、映像を見終わったあとにも妙な気持ち悪さが残るタイプでした。
ただ、こちらが『ほん呪』を見慣れすぎてしまったせいなのか、のけぞるほどの恐怖にまで届く一本はありませんでした。そこは少し残念です。
とはいえ、メインも一般投稿も安定して楽しめた一巻でした。
それでは。
コメント
投稿お疲れ様です!
今回は一般投稿にも力が入っていましたね。
最初の「啓発コマーシャル」は映像自体も不穏な雰囲気なのにそこに不気味な霊と声が入っているのは怖すぎました。
「信心」は最初は何が映っているかわかりませんでしたが、リプレイで映った女の表情がかなり怖かったです。
メインエピソードの「Backrooms」もかなり凝っていましたね。
終わり方からして次も続きそうですが、どのような展開になるのか予測できません。
呪いの元凶は突き止めてしまったようですし、これからは何を解き明かすのでしょうか?
例の日記にたどり着く過程が割とスムーズだったので、あの日記すらミスリードで他に元凶がいるのか、それとも秀陽さんの消息を本格的に追うのとあの父親との和解をメインに描くのでしょうか?