闇動画25（ネタバレあり）

はじめに

「闇動画25」のレビューです。発売は2020年6月。もう今から3年程前になりました。と言ってもこれより新しいものはリリースされていませんが…。と言うわけで、以下のレビューは多くのネタバレがありますので、ご注意願います。

しるし（じわじわくる）

概要

今はなき、とあるキャンプ場。このキャンプ場がまだ営業を行っていた時に２組のカップルが残した映像である。メンツはトシアキとその彼女のユカリ。もう一組はタツオと彼女のミズキである。

小さなログハウスを管理人に案内された彼らは、思い思いに辺りを散策する。平日ということもあり他に客もいないので、ノビノビとした解放感を味わう彼ら。だがその過程で動物の死骸を発見してしまう。それは「キャトルミューティレーション」のように体にポッカリと穴が開いている異様なもの。またその傍らにはコールタールのようなベットリとした黒い液体がある。そればかりか、「ストーンサークル」のように円状に並べられた石群やそこに書かれた奇妙な文字なども発見する。さらに彼らは空に浮かぶ金属のような球状の物体をも発見。フラフラと浮かぶそれは急に姿を消し、その飛び方は俗に言うUFOそのものであった。

タツオはこれに興味を示し、ミズキと連れ立ってUFOが飛び去った方向の草むらに消えてしまう。トシアキ達はそれには興味を示さず、彼らを見送って別の場所を散策することになったが、河原でもう一体の死骸を見つけてしまう。先程と同様に穴が開いており、やはり黒い液体が地面ベットリと滴っている。ユカリはミズキの悲鳴のような声が聞こえたと訴えるが、トシアキには聞こえなかったようだ。タツオ達は帰り道に迷ったようで、しばらく待たされたものの、何事もなくログハウスに帰ってきた。だがユカリは彼らに言いようのない違和感を感じていた。

食事も終わり、これから寝ようかというときに外から「ピヨピヨピョピョ～」と昭和の特撮番組のようなテンプレなUFO飛行音が鳴り始め、強烈な光が窓の外から差し込んできた。トシアキは周囲が止めるのも聞かず、外に様子を見に行ってしまう。そして響き渡る彼の苦しそうなうめき声。心配で飛び出したユカリはそこで驚くべき光景を目にすることになる…。

感想（ネタバレ）

驚くべき光景とは…！

トシ君を宇宙人らしき生き物が触覚みたいなものを出してチューチュー吸っていた（笑）。ユカリさんは急いでログハウスに避難するものの、タツオたちの様子がおかしい。そう、彼女の感じていた違和感が的中することになります。なんとか宇宙人が偽装していたタツオ達の手から逃げ出す彼女ですが、その先で管理人に出くわします。その管理人も実は…。

まず笑ってしまうのが「ピヨピヨピョピョ～」というUFOの飛行音。概要に書いた通りテンプレにも程があるだろという感じです。また、中腰でトシアキの体液を吸う宇宙人の姿も可笑しくて、じわっときますね。

あの黒い液体は宇宙人のうんちなのでしょう(笑)。

宇宙人に乗っ取られた、あるいは偽装されたタツオ達や、管理人のメイクはお粗末で笑ってしまうレベル、UFOの映像はまあまあでしたが、もうちょっと遠くにあるような空気感が欲しかった。宇宙人の造形やそれに吸われるトシアキの様子は酒が入っていたら爆笑ものなのに、動物（多分タヌキとキツネ）の死骸の造形は驚くほどリアルで、そのギャップが面白かったですね。

魔窟番外編 記憶（少し怖い）

概要

超高級タワーマンションに両親と住むミハルと、その彼氏のエイジ。エイジが購入した廃墟の写真集を見て、ミハルはこの場所に行ったことがあるという記憶が呼び覚まされた。だが、元老人ホームのその建物にミハルと接点があろうはずがない。ただその近くに幼少期に住んでいたという事実はあった。

たまたまミハルの両親に出会ったエイジは、映像ドキュメントの課題として、その廃墟に彼女と向かいたい旨を彼らに伝えるが、年頃の娘との旅行に大反対されてしまう。仕方がないので両親に黙ってその廃墟を訪れる彼らだが、怒り心頭の父親からの電話がうるさいので携帯の電源を切ってしまった。

ミハルはその廃墟内で過去の記憶から建物の構造を言い当て、そこに彼女がいたことは確かなようだ。だが、その建物には先客がいた。年配の女性であるが、精神的なショックで声を出せず、話ができない。筆談で彼女の話を聞くと、昔誘拐された娘がいたというではないか。誘拐事件で身代金を払ったものの娘は帰ってこなかった。警察の調べではこの廃墟に犯人と娘がいた痕跡が残っていたそうだ。その娘が生きていれば丁度ミハルと同じ年頃だというのだ。

その女性はミハルに両親の写真を見せろと訴えてきた。スマホで両親の写真を見せると、思いがけないミハルの過去が暴き出される。

感想（ネタバレ）

まあご察しのとおり、ミハルはこの廃墟にいたことがあります。そして、彼女の両親はまさしくこの誘拐犯だったのです。身代金をせしめたミハルの両親は、今やタワーマンションに住むほど成功を収めていたわけです。

ミハルこそ、この年配の女性の娘かと思いきや実は違った、というのが面白かったですね。女性とのやり取りで、ミハルは完全に記憶が戻りました。警察へと促す女性を、ミハルは何を思ったのかコンクリブロックで撲殺してしまいます。ここでミハルの本性が明かされるのですが、その先の顛末と真相はぜひ本編をご覧ください。

意外な展開が面白かったですね。そりゃ両親怒って止めるわ。

でも、今までの魔窟シリーズの流れとは全く関係なさそうです。それがちょっと残念。

魔獣（少し怖い）

概要

廃校になった大規模な中学校校舎。建設業者の男性、自治体職員の男女３人で実地調査に訪れた。トイレを調査しているときに建設業者が「トイレの花子さんとか思い出しますね」と話を振ると、女性職員はこの学校でも化け物が出る、生徒や教師が消えるなどと言う噂があったことを語る。

そんなとき、上の階から何とも言えない動物のような唸り声が校内に響く。様子を見に行くと、廊下には緑色の液体が点々としており、その先の部屋には今まで見たこともない、まるでファンタジー世界の魔獣のような化け物の死骸らしきものが横たわっていた。

目の前の異形なものに何も説明のしようがない状況で、彼らは取り敢えず保健所にでも届けようということにしてその場を離れる。女性職員は子供の頃、この学校の学区だったが、霊感を持つ祖母にここへの入学を執拗に反対された、という話も聞ける。

仕事を続行する彼らだが、男性職員は体調を崩し階段に座り込んでしまった。仕方なく女性職員と調査を続行し一仕事終えた後、彼女と別れ、別の場所を回って戻ることにした建設業者の男性は、また怪物の唸り声を聞いてしまう。急いであの男性職員のところに戻ると…。

感想（ネタバレ）

彼らが化け物の声に気が付く前にもなんか唸り声してましたね。

結構不気味なシチュエーションだと思うのですけれども、不思議とあまり怖さが感じられませんでした。学校が割と新しくて汚れておらず。廊下も広いせいでしょうか。あと昼間というのもあるでしょう。誰もいない校舎という閑散とした雰囲気は悪くないのですが。

怪異の元凶がファンタジー過ぎるのも影響しているかもしれません。また、化け物自体は死んでいるのに、その性質が人に伝播してしまうというのも、なんだかピンとこなかったです。だったらこの学校、ゾンビランドみたいになってしまうでしょ。

死骸になった化け物がなんで死んだのかも分からない。もっとすごい奴がいたって事？

化け物の死骸は中々よくできていて、気持ち悪さがよく伝わるだけにちょっと惜しいなと思いました。　

感想まとめ

「闇動画25」はちょっと微妙でした。「魔窟シリーズ」の番外編があったのはうれしかったのですが、今までの心霊的な怪異と全く繋がりがなかったですので…。まあ、だから「番外編」なのでしょうけど。

意外と面白くて好きなのが「しるし」ですね。なんか後からじわっときます。

今回に限って予告、「闇動画○○、現在制作中」みたいなものがなく、あっさりブツッと終わってしまうのがどうにも寂しかったです。今現在、「闇動画25」から３年程経っていますが、続巻が出るような気配もないので、おそらくこれでおしまいなのでしょうね。

あと今回心霊的な要素が全くないように思えました。心霊は「心霊闇動画」に任せるわ、みたいな意思が感じられ、より一層終わった感がします。

さて、次は「心霊闇動画」でも観ますか。

あれいっぱい出てるんだよな～（2023年現在73巻）。先は長そうです。