「放送局に届いたある映像」 Tape.8 音声案内(YouTube版)

放送局に届いたある映像アイキャッチ画像 レビュー

はじめに

放送局に届いたある映像」は、CSチャンネル「メ~テレNEXT(旧エンタメ~テレ)」で制作された、心霊ドキュメンタリー風のドラマ(モキュメンタリー)番組です。完全なフィクションであり、番組の最後にもその旨がしっかりと明示されています。

今回ご紹介するのは、その第8回。「Tape.8 音声案内」です。

前回は15分近くと少しボリュームがありましたが、今回10分弱の尺に戻りました。音声のみですが、かなり不気味な雰囲気のあるエピソードとなっております。

概要

またしても放送局宛てに不審な郵便物が届く。しかし、今回は消印が薄れて判別不能になっており、どこから投函されたものなのかは分からなかった。

送られてきた媒体は、映像を記録したビデオではなく、一本の「マイクロカセットテープ」だった。レーベルには、手書きで「49-4290」とだけ書かれている。この数字は、「Tape.1」の映像の最後に現れたあの番号と大部分が一致していた。リサーチにより、現在は使用されていないものの、その市外局番が長野県某市のものであることが判明する。相変わらず何を手伝っているのか、視聴者にはよくわからない麦田を交え、伊藤、岩澤、菊池の4人は、このカセットに録音された音声を聞いてみることにする。

テープから流れてきたのは、ダイヤル操作によって問い合わせ先を切り替える、ごく一般的な自動音声案内だった。しかし、提示される選択肢の内容はきわめて異様なものだった。「完全な人間を目指しましょう」「切除の方法について……」「ステージ1、2……」など、あの忌まわしい実験施設「音楽の家」を強烈に連想させる不気味な文言が続く。

次第に音声は激しく乱れ始め、狂気じみた叫び声のようなノイズがスピーカーに響き渡る。同じアナウンスを奇怪に繰り返したのち、音声は支離滅裂な状態へと陥っていく。最後に、オペレーターへ繋ぐための呼び出し音が鳴るが無言。その後は「オペレーターにお繋ぎします」という乾いたアナウンスが、ただエンドレスに繰り返されるだけだった。

この音声を聞いていた麦田は、突如として意識を失い、椅子から床へと転げ落ちてしまう。幸いにも彼女はすぐに意識を取り戻したが、娘の体調不良による寝不足も重なっていたため、この日は一旦帰宅して休んでもらうことになった。

その後、季節は3月に入る。取材班のもとに、一旦カメラを止めざるを得ないほどの「重大な情報」がもたらされることを示唆したところで、このエピソードは幕を閉じる。

感想(ネタバレあるかも)

テープの録音内容は、かつて存在した「(しん)能力開発センター」なる機関に電話をかけた人物が、その通話内容を記録したもののようにも思えますね。園長の苗字が「神(じん)」だったので、「新(しん)」ではなく「神(じん)」なのかもしれません。

最初の選択肢は「1.能力開発の質問」「2.すでに発動している人」「3.その他の質問」で、電話口の人物は「2」を選択したと思われます。続く選択肢は「1.切除の方法について」「2.再構築の経過を……」ですが、2番目のアナウンスの途中で「ピッ」とプッシュ音が鳴るため、おそらく「1」を選んだのでしょう。「切除には三段階の行程があり、ステージ1が『1』、ステージ2が『2』、ステージ3を……」の途中で再びプッシュ音が響きますが、その後に続く音声の内容から、実際には「3」を選んでいたことが分かります。アナウンスの途中でボタンを押していても、必ずしもその前の番号を選んでいるとは限らない、あるいは電話口の人物はすでに何度もここに電話をしていて、選択肢の内容をすべて把握している(だから先回りして押している)とも受け取れます。

「ステージ3は頭部の切除となり……」という物騒な内容になってから、徐々に音声が乱れ始め、例のBGMとともにアナウンスはめちゃくちゃになり、悲鳴のような声まで聞こえてきます。少し落ち着いたかと思ったところで、「その後の経過をお知りになりたい方は、1を。『いぎゃあてい』に行きたい方は……」というアナウンスが流れ、「ピッ」というプッシュ音で「2」を選択したようです。直後、「オペレーターに(FAXのピーヒョロー音)お繋ぎします……オペレーター繋ぎします……に、オペオペオペオペオペオペをしましょう」と音声は不穏さを極め、「完全な人間を目指しましょう」という不気味な声が響きます。

さらにプッシュ音の後、「その他の方法は24通りあります。ご希望の番号、プラスシャープ…」と続き、3回プッシュ音が鳴った後に「19番…オペレーターにお繋ぎします」と呼び出し音が鳴り響きます。

いよいよ繋がるのかと思いきや、不気味な無音ののち、「オペレーターにお繋ぎします。しばらくお待ちください」という無機質なアナウンスがエンドレスに繰り返される状態に陥ります。このタイミングでスタジオの麦田さんが卒倒してしまうため、この無限ループが一体どれほど続いたのかは、視聴者には分かりません。

ここで気がついたのですが、前回「Tape.7」の廃墟で後藤さんがブツブツと呟いていた「1?……2……1だね」という数字の羅列は、まさにこの自動音声ガイダンスを彼も聞いていたということではないでしょうか。

また、アナウンスに出てきた「いぎゃあてい」という言葉の響きも非常に不気味です。調べてみると、般若心経の一節に「羯諦(ぎゃーてー)」という文句があるようですね。「悟りの世界(彼岸)へ向かって完全に行け」といった意味合いのようですが(AI調べ)、作中の「完全な人間」「切除」というキーワードと重なると、宗教的な狂気を感じさせます。

音声案内そのものはオカルトの王道というか、ありがちと言えばありがちな演出です。しかし、「切除」や「完全な人間を目指しましょう」といった、これまでに散りばめられていた伏線がこの1本のテープで確信に変わり、物語が最終回に向けて一気に収束していく気配が漂っています。

今回は前回と打って変わって短めのエピソードだったため、少し肩透かしな感もありましたが、次回へ向けたアバンで、事態がここから大きく一転することを大いに期待させてくれます。

それでは。

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